主要トピックス

青山英生氏:ケイティケイ株式会社の青山です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

まずは主要トピックスです。2022年3月にグループ会社化したイコリスが順調に業績を伸ばしています。ただし、イコリスはもともとの決算期が異なるため、今回の会計期間は1年決算ではなく、やや短縮している影響もありますが、順調に推移しています。

また、本年より株主優待を開始しました。

業績ハイライト

業績ハイライトです。当社の決算日は8月20日です。売上高は前期比102.4パーセントと微増ではありますが、増収となりました。利益に関してはやや厳しく、営業利益は前期比89.4パーセント、経常利益は前期比93パーセントとなっています。

2023年8月期決算概況

数字の詳細をご説明します。配当について、前期(2022年8月期)までは年1回、14円でしたが、今期(2023年8月期)より中間配当を実施しています。今期の配当は1円増配の年間15円で、配当性向は26パーセントです。

売上高については、先ほどお話しした連結子会社等の増収はあったものの、利益面では販管費が増加しています。要因は、退職給付に関する費用や、当初予定していなかった株主優待に関する費用等が増加したことが挙げられます。併せて、原材料費の一部値上げにより利益がマイナスとなっています。

四半期毎の売上高の推移

四半期ごとの売上高の推移です。2021年8月期の172億8,500万円から2022年8月期は171億9,800万円と減少していますが、この段階で収益認識に関する会計基準に変更があったことを考慮すると、2022年8月期は前期比で増収となります。

2023年8月期は微増ではあるものの、売上は増加しているとご認識ください。当社の売上高の四半期推移を見ると、第4四半期が若干厳しくなるものの、毎期ほぼ4等分されたかたちとなっています。

四半期毎の営業利益の推移

四半期ごとの営業利益の推移です。今期は第4四半期が厳しい数字となりました。退職給付に関する運用の評価損の約2,600万円に加えて、株主優待費用で約1,300万円を計上しています。この約4,000万円が当初の想定よりも厳しくなった要因とご理解ください。

営業利益の分析

営業利益のウォーターフォールチャートです。ITソリューション事業の伸長により売上総利益が順調に増加していますが、退職給付費用や株主優待費用等の販売管理費が売上総利益よりも上回ったため、営業利益は前期比で減益となっています。

売上総利益と利益率

スライドのグラフには記載していませんが、売上総利益率について、2019年8月期が20.5パーセント、2020年8月期が20.9パーセントだったため、5期連続で上昇しています。今後も事業ポートフォリオ、特にIT系に注力し、利益率の向上に努めていきます。

セグメント別 実績

セグメント別の実績です。当社はサプライ事業とITソリューション事業の2つの事業に分かれています。

サプライ事業の売上高は前期比99.1パーセントと微減ですが、ITソリューション事業は前期比118パーセントと伸長しています。ただし、現段階ではITソリューション事業の売上比率が低く、全体の約8割がサプライ事業となっています。事業の内容については、後ほどご説明します。

セグメント利益は、ITソリューション事業が前期比129パーセントと伸長しています。こちらを今後の成長事業と位置づけています。

主な取り組み

主な取り組みについて、事業内容に触れながらご説明します。サプライ事業のリサイクルトナーを中心とした、オフィスサプライ全般です。

スライドには長野県の駒ヶ根市にある当社の工場を掲載しています。こちらの工場では太陽光パネルを設置し、再生エネルギーでリサイクルを行っています。

また、以前から障がい者雇用を推進しており、約100名の障がい者の方に生産に携わっていただいています。10名弱の方は工場で、残りの方は私どもの連携施設に部品等を持ち込んでお手伝いいただいています。

リサイクルといっても、最終的には一部廃棄物が出てしまうのですが、その廃棄物を次の認定工場で熱エネルギーに変え、ゼロエミッションを達成しています。

これまでこのような話は社内の話でしたが、現在、SDGsが注目されており、社内の話を社外でも聞いていただけるような環境になってきました。当社では従来リサイクルを行っていましたが、サステナブルな商品として再定義し、ただ単にコストメリットがあるだけではなく、環境貢献面でもリサイクルトナーの事業を拡大していきたいと考えています。

ITソリューション事業においては、ハード機器の販売を行うだけでなく、すべてのハード機器はネットワークとつながっていることから、企業におけるネットワークセキュリティ等のニーズに対して、IT人材が採用できない、もしくは情報システム部門がない中小企業、「ひとり情シス」向けの支援や、電子帳簿保存法対応なども行っています。

リサイクルトナー関連のサプライの基盤のお客さまにおいてもこのような需要があるため、今後もそちらを進めていきます。加えて、イコリスのデジタルマーケティングを駆使したEC事業も伸ばしていきたいと考えています。

連結財政状態

B/Sについてご説明します。スライドに記載のとおりのバランスとなっており、自己資本比率は45.9パーセントです。バランスシートの下部に「うち、退職給付に係る資産」と記載していますが、2022年8月期は2億1,200万円あったものの、確定給付型の年金資産の運用において債券の下落により資産が減少し、短期で見た場合に多少の評価損が出てしまいました。

中長期的には3パーセントで回る商品で運用しており、キャッシュアウトしたわけではありませんが、評価損を計上しています。

2024年8月期 予想

2024年8月期の予想についてご説明します。売上高は前期比102.2パーセントの180億円と、微増レベルであるものの着実に伸ばし、営業利益・経常利益でも前年を上回る数字を目指します。

EBITDAについては、IT投資により償却費用等が増えているため、6億2,400万円と昨年よりさらに上回る数値を計上しています。

上半期の売上高・利益ともにマイナスと予想しているのは、経費科目にはなりますが、販売管理費の増加(広義の投資)によるものです。

当社は、グループビジョンである「Change the office mirai」のもと、オフィスの未来に向かって顧客にさまざまな提案していく中で、会社自体、あるいは会社のインフラを変えながら、お客さまに提案できる機会を作ろうと考えています。

その費用計上により上半期は利益面で厳しい数字になっていますが、投資効果を活かし、通期では増収増益を計画しています。

配当について、2023年8月期は中間・期末ともに7円50銭でしたが、2024年8月期は8円とさらに増配し、配当性向を27.6パーセントまで水準を引き上げ、株主のみなさまに還元したいと考えています。

2024年8月期 セグメント別予想

セグメント別の予想です。先ほど、サプライ事業の売上高を微減とお伝えしましたが、2024年8月期はさらに微減し、前期比98.7パーセントの140億円を見込んでいます。ITソリューション事業の売上高は、前期比116パーセントの40億円を計画しています。

各事業の売上構成比は、サプライ事業が77.8パーセント、ITソリューション事業が22.2パーセントと予想しています。ITソリューション事業の売上伸長により全体の売上を押し上げていきたいと考えています。

今後の課題と取り組み

今後の課題と取り組みについてです。先ほど、SDGsに関連したリサイクルトナーの取り組みについてお話ししましたが、スライドには具体的な数値を記載しました。

経済産業省の数値等を用いて確認していますが、リサイクルトナー1本の利用により、プラスチックの廃棄量が約0.4kg、CO2排出量が約0.8kg削減されることがわかっています。

私どもは製品を扱う企業としての責任があるため、多く使用していただいているお客さまにもこのビジネスモデルに参画していただこうと考えています。

循環とは、供給した製品を、使用済みカートリッジとして返却していただくことで成り立ちます。このような数値を踏まえ、お客さまにさらに提案していきます。

新ECサイト「YORIDORI(ヨリドリ)」についてです。今週、長年運用してきたECサイトの抜本的なリニューアルを行うことを発表しました。まだ1次開発の段階であり、こちらへの投資は続けていきます。インターネットの活用により利便性をさらに高めながら、顧客へのアプローチの方法やリーチの仕方などを工夫し、EC型のビジネスを進めていきたいと考えています。

また、ITソリューション事業では、複合機を起点とした提案を進めようとしています。みなさまも実感されていると思いますが、複合機はコピーを取る以外にもデータをPDF化したりサーバへ保存したりといったゲートウェイ的な役割があります。

そのような役割を提案したり、イコリスのデジタルマーケティングを駆使したEC事業やサプリメント等の開発を推進しながら、ITソリューション事業を伸ばしていこうと考えています。

事業価値・ビジョン

あらためて、中期経営計画の事業価値・ビジョンをご説明します。当社グループが営む事業は、サステナビリティに資する行動そのものであると考えています。

SDGsとDXを成長エンジンとして、グループビジョン「Change the office mirai」を掲げています。

オフィスの未来を変えることには、現実的に旺盛なニーズがあると思います。ただ単に家具を変えるだけではなく、会社の中ではネットワークやセキュリティ等は一体となっています。働き方やワークプレイスなどの概念も変わってきていますし、人材難による採用等の問題もあります。

このようなニーズに対して、環境とあわせて提案していきたいと考えています。

成長イメージ

今後の成長イメージについてです。スライドの概念図は、ビジネスの立体化を表現しています。基盤事業としてリサイクルトナーなどのサプライ事業があり、その上にITソリューション事業、デジタルマーケティング・ECを既存のお客さまに提供していきたいと考えています。

重点戦略

サプライ事業の堅守は厳しい面があるものの、事業としての価値を訴求しながら堅守し、ITソリューション事業を拡大させます。さらに、人材等リスキリングも含めた経営基盤の強化を重点戦略に据えています。

数値目標

数値目標についてです。3年前に中期経営計画「Growth Plan」を発表し、その際に売上高の目標を190億円に設定しました。しかし今回は、当初計画から10億円減の180億円に修正しています。

同じく営業利益・経常利益についても、当初計画ではそれぞれ5億2,000万円、6億円としていましたが、今回は3億8,000万円と4億8,000万円に修正しています。

理由については次のスライドでご説明します。

数値目標(セグメント別)

セグメント別の数値目標です。サプライ事業の売上高については、3年前に149億円に設定しました。設定時点では145億円で、3年間で145億円を149億円と4億円増を計画しましたが、今回は140億円に設定しています。

3年間で約4パーセントにあたる約5億円が減っており、これが現在のサプライ事業の実態です。

一方で、ITソリューション事業の売上高は、2021年8月期が27億円、2022年8月期は29億円でした。27億円から41億円にするためには、1.5倍の売上を目指して進める必要がありましたが、現実的には40億円と見込んでいます。

誤算はITソリューション事業ではなくサプライ事業で、ペーパーレス化等の影響を受け、一部で売上が減少していることです。

利益率に関しては、当初計画よりもITソリューション事業のほうが上がると考えているため、こちらを伸ばしていきます。

現状分析・評価

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてです。東京証券取引所からもさまざまな指標が出ています。スライドには2019年からの数字をお示ししています。

売上高は実態と同様に全体的に横ばいに見えますが、2021年から2022年に収益認識基準に関する会計基準の変更があったため、2022年8月期は減収ではないとご理解ください。

ただし、現段階のPBRは1倍を割っています。これらを勘案し、今回株主優待を開始しました。私どもを支えてくださっている株主さまの約97パーセントが個人投資家です。さまざまなIRのイベントや対話を通じて、株主優待のニーズは高いと感じています。

当社としては株価もまだ不十分だとは思っていますが、この上半期の株価の地合もあり、以前と比べると上昇しています。今後も、中期経営計画に沿った戦略を着実に実行し、PBR1倍に対する施策も含めて、数値を達成していきたいと考えています。

方針・目標

事業戦略としてROE(利益率)の向上、株主還元あるいは認知拡大、PER向上を含めて、PBRの改善に努めます。

具体的な取り組み

具体的な取り組みについては、連結配当性向30パーセントを目処とし、改善を図ります。引き続き、安定的な配当を実施しながら、より還元できるようなかたちで着実に進めていきます。

キャッシュアロケーション・成長投資

今後、投資を行うにあたり、新ECサイト「YORIDORI」に投資をしていきます。加えて、SDGs情報メディア「EARTH NOTE(アースノート)」の展開や、M&A等を含め、成長を加速させていきます。

キャッシュアロケーション・株主還元(配当)

配当については、2018年8月期からの推移を記載しています。当時は年間10円でしたが、11円から14円、15円から16円と増配しており、こちらについても、さまざまな場で個人投資家のみなさまにお示ししています。

キャッシュアロケーション・株主還元(株主優待)

株主優待です。「ケイティケイ・プレミアム優待倶楽部」については、20単元(2,000株)以上保有の株主さまにポイントを還元しています。ポイントについては、2年間の繰り越しや、他社のポイントと合算して活用いただけるような制度を導入し、株主のみなさまに報いられるような還元制度を創設しました。

サステナビリティへの取り組み(SDGs情報メディア)

「EARTH NOTE」について、中部経済新聞に掲載された記事を記載しています。

検索サイトでもご覧いただければと思いますが、さまざまな企業におけるSDGsの取り組みをご紹介するメディアを創設しました。名古屋大学発のベンチャー企業、IT企業など、地域を問わずにインタビュー記事を掲載しています。

リサイクルのトナーのご説明にうかがった際に、サステナビリティ委員会や環境推進室の方とお話しするのですが、「さまざまな取り組みをしているものの、発信する場がない」といったお声をいただきます。それをきっかけにして、当社で取り組もうということでこちらのサイトを作りました。

現在、名古屋の地銀からも連携したいというお声をいただいています。今後はこちらを切り口に、社会貢献だけではなく、ビジネスチャンスにしていきたいと考えています。

サステナビリティへの取り組み〈女性活躍〉

女性活躍についても「あいち女性輝きカンパニー推進企業」の認定を受けています。今後も女性の活躍を進めていきたいと考えています。

サステナビリティに関する主な指標の推移

スライドはファクトブックの一部ですが、女性管理職比率や男女間賃金格差等も記載しています。この数値については不十分だと認識していますが、会社として、このような数値をきちんとお示ししながら改善していきたいと考えています。

会社概要

最後に、私どもの営業拠点は北海道から九州まで全国19ヶ所にあり、特に東名阪に集中しています。また、生産拠点と物流拠点は2ヶ所あり、サプライ事業には1万5,000社の顧客基盤があります。こちらに対し、1社でも多くIT関連の提案をしていきたいと考えています。

以上、説明をさせていただきました。数字が大きく伸ばせていないという自覚はありますが、ITソリューション事業に関しては、一定の手応えをつかんでいます。サプライ事業を堅守しつつ、ITソリューション事業を着実に成長させ、投資家のみなさまにも還元できるような会社になりたいと考えています。

青山氏からのご挨拶

私どもは、企業の規模からして知名度が低いことは認識していますが、本日は大勢の方にお集まりいただき、誠にありがとうございました。業績を伸ばすことは当然のことながら、本日ご説明したような活動を進めていますので、今後ともご指導いただけますと幸いです。