2022年3月期 第2四半期業績概況
北野裕行氏:2022年3月期第2四半期の業績概況について、売上高は49億6,700万円、営業利益は2億7,300万円で増収増益となりました。売上高は前年同期比2.7パーセント増、営業利益は前年同期比31.1パーセント増となりました。
四半期純利益は2億3,200万円となりました。減益要因は前年度の第1四半期に計上した投資有価証券の売却益の反動減によるものです。
2022年3月期 第2四半期 セグメント別業績概況
セグメント別の業績概況についてです。売上面では、プロダクトサービス・クラウドサービスにおいて主力製品・サービスが堅調に推移したことで増収となりました。プロフェッショナルサービスは減収となりました。
営業利益は、プロダクトサービス・プロフェッショナルサービスが増益となりました。一方、クラウドサービスは、主力サービスの増収影響はあったものの、新規サービス開発などの先行投資によりセグメント利益としてはマイナスとなりました。
プロダクトサービス 2Q業績概況
セグメント別の業績の概況です。まず、プロダクトサービス事業についてです。売上高は21億200万円、営業利益は5億5,500万円の増収増益となりました。
プロダクトサービス 売上の内訳
売上の内訳は、メインフレーム事業は大型案件の受注もあり好調に推移しました。自動化事業と帳票事業に関しては、コロナ禍によって増加した、オンプレミス製品をクラウド化し、運用負担を削減させる需要をうまく取り込み、売上を伸ばしました。また、クラウド化を推進しているお客さまが増えていることもあり、クラウド運用事業も前年同期比89パーセント増という結果になりました。
プロダクトサービス 営業利益の増減要因
営業利益の増減要因は、各事業が増収となったことで1億8,800万円の増益要因となりました。一方、グループ会社の役務系事業の不振や、お客さま都合による受注案件の期ズレの影響が3,100万円の減益要因となり、結果5億5,500万円の着地となりました。
クラウドサービス 2Q業績概況
クラウドサービス事業についてです。売上高は14億4,500万円、営業損失は1億6,700万円で増収減益となりました。
クラウドサービス 売上の内訳
売上の内訳は、IT活用クラウド事業は前年同期比3.2パーセント増となりました。これは、DX支援などのサービスマネジメント領域とリモートワーク推進サービスが堅調に推移したためです。
事業推進クラウド事業は前年同期比13.1パーセント増の成長を遂げています。人材派遣や人事管理向けサービスが堅調に推移しました。
ソーシャルクラウド事業は前年同期比66パーセント増となりました。今までは民間のバス業者向けに提案していたサービスを、今期からはB2G戦略として市役所などの自治体向けに提案しています。このような街づくりに貢献する提案が奏功し始めています。
IT活用クラウド事業における主力サービスの業績推移
IT活用クラウド事業の2つの主力サービスについて説明します。1つ目は、サービスマネジメント領域の「LMIS(エルミス)」というサービスです。
現在、各企業がデジタル化・DXを推進していますが、いずれも事業をサービスシフトしている企業が多いです。そのため、サービス提供後の品質マネジメントとお客さまの満足度をモニタリングしてリピートにつなげることが求められています。
このような需要を受け、サービスをマネジメントする製品として「LMIS」の受注が好調に伸びています。売上高は前年同期比6.8パーセント増、平均成長率11パーセントとなっています。
2つ目は、リモートワークを支援するコミュニケーション基盤の「Digital Workforce(DWF)」です。これを使えば、操作性とセキュリティを確保しながら、いつでもどこでも会社のシステムにログインし、自分のパソコンで仕事することができます。
こちらも、コロナ禍によってニーズが非常に高まっています。売上高は前年同期比15.1パーセント増、平均成長率24.5パーセントと高い成長率を維持しています。
クラウドサービス 営業損失の増減要因
一方、営業損失については、前年同期より拡大しています。しかし、これは今のところ計画どおりです。先ほどお伝えした各領域のクラウドサービスの増収効果に伴う増益2,300万円に対して、新サービス展開のための研究開発費やマーケティング関連の販管費が1億6,700万円増加しました。ただし、これは計画どおりの投資の結果ですので、第3四半期・第4四半期にかけて黒字に転換していく見込みです。
プロフェッショナルサービス 2Q業績概況
続いて、プロフェッショナルサービスです。こちらは売上高が14億1,800万円、営業利益が5,000万円で、減収増益という結果になりました。
プロフェッショナルサービス 売上の内訳
コンサルティング事業は好調に推移しています。こちらもデジタル化・DXを推進する会社、組織によるデータ活用やサービスをマネジメントするニーズが高まっているため、そのような上流のコンサルテーションの引き合いが非常に増えています。
システムインテグレーション事業に関しては減収になりました。従来から取り組んでいる基本的なシステム開発は順調に推移したものの、今年度から展開しているSMB(中堅中小企業)向けの新たなソリューション事業の伸び悩みにより、減収となりました。
アウトソーシング事業も、今年から会社を分けて進めていますが、新規顧客の獲得に若干苦戦しています。第3四半期より新しいサービスを展開することで、ここを改善していく計画です。
プロフェッショナルサービス 営業利益の増減要因
プロフェッショナルサービスの営業利益の増減要因は、システムインテグレーション事業の収益改善効果により、前年同期比で2,800万円の増益となりました。
ユニリタグループの価値提供モデル
続いて、中期経営計画の進捗についての説明です。現在のユニリタグループの価値提供モデルは、この1枚のチャートで表すことができます。スライド下のとおり、ユニリタグループには、「データマネジメント」「サービスマネジメント」「プロセスマネジメント」の3つの強みがあります。
この3つの強みを、「プロダクト」「クラウド」「プロフェッショナル」の3つのサービスモデルに集約し、課題解決のスコープを、IT部門の事業課題から企業の事業課題、例えば働き方改革やデジタルトランスフォーメーション、そして一次産業の活性化、地方創生などの社会課題の領域までを広げることで、企業価値向上を目指しています。
中期経営計画の方針と重要戦略
その過程の中で、ユニリタは中期経営計画の方針として、「共感をカタチにし、ユニークを創造するITサービスカンパニーへ」を掲げ、事業転換を目指しています。3年後の売上高120億円以上、営業利益率10パーセント以上を目標に、4つの重要戦略を推進しています。ここでは、その推進の肝となるサービスシフトの2つの戦略について説明します。
共感をカタチにし、ユニークを創造するITサービスカンパニーへ
現在、我々が中心として事業を作っているのが、このチャートの一番下の層です。お客さまのIT課題に対してプロダクトサービスを提供してきましたが、現在はお客さまがサービスを求められているため、プロダクトサービスに関しては少し伸び悩んでいる状況です。
それを打破するために、プロダクトのサービス化を通じて新たなマーケットを開拓していこうというものであり、それが緑の地層になります。ここの拡大のために、顧客ニーズをしっかり取り込み既存のプロダクトをサービス化していく戦略です。
そして、事業課題や社会課題の解決のために、新しいサービスを投入してマーケットを作っていくことがクラウドサービス事業のミッションです。いずれもサービス型のビジネスモデルの実現を通じ、事業構造をストック型の事業に変えていくことで、収益基盤を強固にしつつ、サービスカンパニーに変わっていくという計画です。
サービス提供型事業の創出
サービス提供型事業の創出について説明します。現在、ユニリタのお客さまは大手ユーザが多く、既存のプロダクトも中長期的に使い続けていただいているため、既存ユーザをしっかりと支える体制を継続的に作っていくということをコミットしなければいけないと考えています。
一方で、長く使っていただくためにクラウドにシフトするお客さまも多いことから、クラウド上で我々のサービスが使える環境を作ることにも、併せて取り組んでいく必要があります。これにより、今のお客さま以外の新しいお客さまの需要も取り込んで再成長したいという考えのもと、この戦略を推進しています。
サービス提供型事業の創出 「まるっと帳票」
具体的に事例を1つ紹介します。帳票事業において「まるっと帳票」というサービスを提供しています。現在、コロナ禍で顕著に表れたのですが、オフィスに行かないと仕事ができないお客さまも非常に多く、仕事を進める際にどうしても書類が必要になることがあります。
この事態を解消し、いつでもどこでも仕事ができるようにするためには、それらの書類をデジタル化して、帳票の基盤をクラウドに上げ、どこからでも見られるようにしなければいけません。そのようなニーズを捉えて、「まるっと帳票」を開発し、提供しています。
現在、法律も変わってきており、電子帳票の保存法が改正されたり、請求書に関しても電子化の流れになっているため、そのような将来性も見据えてこのサービスを提供し始めましたが、お客さまの引き合いは非常に増えてきています。
カテゴリ別戦略によるクラウドサービス事業の拡大
次に、クラウドサービス事業の拡大についてです。22ページのチャート図のように、ユニリタグループでは、IT課題・事業課題・社会課題のそれぞれにクラウドサービスを投入しています。お客さまが違うと戦略も違うということで、それぞれの領域ごとに3つに分けて現在事業を推進しています。それぞれマーケットごとに成長率を設定し、それに対して投資をし事業を拡大するという戦略で進めています。
事業推進クラウド事業のTOPIC
具体的な事例を2つ紹介します。まず、事業推進クラウドのTOPICSです。我々の中に「Ranabase(ラーナベース)」という、お客さまの業務プロセスを可視化するサービスがあります。これを現在、キヤノンITソリューションズ株式会社と事業提携することで同社の持つ製品と組み合わせ、お客さま自身による業務プロセスの可視化とアジャイル開発の内製化を支援する「プロセス志向のアジャイル型ソリューション」として開発し提供しています。
キヤノンITソリューションズ株式会社の「WebPerformer」とは、ローコードの開発プラットフォームです。これを開発する時に、まず業務プロセスを可視化するというニーズが必ずあるため、これを組み合わせれば、このプレスリリースにあるように「プロセス志向のアジャイル型ソリューション」ができあがるのではないかということで、一緒にオープンイノベーションを進めている状況です。
これを行うと何がよいか説明します。既存の情報システム部門が、デジタルトランスフォーメーションを推進する旗振り役としてミッションを果たすためには、社内の業務プロセスを知る必要があります。そういったことを「Ranabase」で行うことができ、また、その後に開発すれば非常に生産性の高い開発ができます。これを両社で推進するということで進めています。
ソーシャルクラウド事業のTOPIC
次に、ソーシャルクラウド事業のTOPICSです。こちらは「地方創生」をテーマに取り組んでいる事業です。現在、地方の移動体に関しては、例えば、高齢者の免許の返納などが進んでいるため、バスやタクシーはなくせません。ただし、「使い方がわからない」「不便だ」という課題があります。
そのような課題を、ITを使ってバスロケーションを作るなどして解消することを始めています。これはすでに実現しています。また、バス事業者やタクシー事業者もデジタル化が遅れている状況ですが、我々のサービスでそのような事業者のDXを推進することで、併せて一緒に地域の活性化を進めています。
次に、もう1つ大きな話です。地方創生をするためには、やはり行政の方々と組まなければいけません。そのような行政の政策、例えば「コンパクトシティ」という政策などがありますが、そこと今まで行ってきた民間に対するサービスとを組み合わせて人流解析を行ったりします。その結果、住みやすいまちづくりが実現できるということで進めています。
また、この上期のTOPICSとしては、2つあります。まず、バス車内のCO2濃度の測定です。これは十勝バスの事例ですが、「コロナ禍で密にならないバスの運行をしたい」というニーズを捉えてサービス化しました。もう1つは、小松市のコンパクトシティの実現ということで、コミュニティバスに日野自動車がセンサーを付けて、そのデータを我々が解析するモデルです。このようなことが実績として出てきています。
中期経営計画投資配分と2021年度上期の概況
次に、投資の状況です。本中計の期間中、29億円の投資を計画しています。プロダクトとクラウド両サービス領域がありますが、クラウドサービスの投資は前中計でも増やしており、クラウドサービス事業を事業の柱とするべく拡大していく計画です。
今上期の投資状況は、プロダクトサービスは1.1億円で、先ほどの「まるっと帳票」のようなサービス化のための投資を推進しています。クラウドサービスに関しては3.3億円ということで、新しいサービスの機能開発投資を進めています。また、サブスクリプションとして販売するための我々のシステム管理、システム構築もしています。このように、投資については、計画どおり推移している状況です。
資本施策
最後に、資本政策です。今回、11月11日に主要株主から14万5,000株を自己株式として取得しています。その結果、自己株式がある程度の数になったため、50万株の自己株式の消却を11月30日に行う予定です。これにより消却後の自己株式は、発行済比で5.93パーセントとなる予定です。
以上、中間決算の内容につきまして説明いたしました。ありがとうございました。