2020年度第2四半期 連結業績(IFRS)

内藤晴夫氏:それでは2020年度第2四半期決算についてご説明します。上期のP/L状況をお示ししています。ヘッドラインにも記載していますが、この期間はグローバルにCOVID‐19の影響を色濃く受けたと言っても過言ではないと思っています。

そのような中でしたが、トップラインの売上収益は3,170億円、前同比で106パーセントと増収を確保できました。売上原価は25.1パーセントと2.7ポイント改善しましたが、主として自社創生の新製品が拡大したミックスの改善によるものです。

その結果、売上総利益は前同比で2桁の上昇を示し、2.7ポイント改善しました。大変ロバストな収益力を示していると考えています。

研究開発費です。当社の場合、パートナーよりの分担金が戻入されると、研究開発費に対して売上比で30.7パーセントと、グローバルインダストリーの中でも手厚く資源を配分している企業と言えると思います。

展開する「ニューロロジー」「オンコロジー」の2領域に十分な資源を配分していると考えています。

販売管理費は1.9ポイント拡大しています。後ほどご説明しますが、いずれも目前の事業機会やこれからの事業機会に資源を配分しているもので、成長のための投入と言えると思います。

以上の結果、営業利益は341億円、前同比で106パーセント、当期利益は258億円となりました。ROEは中間値ですが7.6パーセントです。そして、本日の取締役会において中間配当金80円を決議させていただいています。

売上収益の増減要因分析

売上収益です。スライド左側の前年同期2,993億円から始まり、各リージョンの売上収益の状況を示しています。日本事業はマイナス62億円でした。新薬創出加算品目は増大していますが、薬価改定やCOVID‐19の影響を受けたと考えています。

アメリカスにおいては「レンビマ」が強く成長し、「BELVIQ」の販売中止やCOVID‐19のネガティブインパクトを跳ねのけてプラス96億円と、しっかり伸長したと考えています。

中国においては、第1四半期にCOVID‐19の影響があったと考えていますが、第2四半期に吸収してプラス13億円のアップサイドに出る上期でした。

欧州は現在も第2波のCOVID‐19の影響を大変強く受けているリージョンではありますが、「レンビマ」が強く成長し、プラス8億円となりました。

アジア・ラテンアメリカは、主として台湾における「ヒュミラ」の契約終了にともなうインパクトで、マイナス13億円となりました。この間、COVID‐19の影響が5パーセントほどあったのではないかと推定しています。

スライドの右下にはグローバルブランドの増減を示しています。「レンビマ」が伸長し、結果として178億円の増になりました。この増はもちろんワンタイムではありましたが、「タゼメトスタット」の権利譲渡にともなう収益金があり、ワンタイムで135億円の増収影響がありました。

営業利益の増減要因分析

営業利益の増減を示しています。スライドの左側に昨年の営業利益320億円を記載していますが、その隣のグローバルブランドがプラス183億円と非常に拡大しています。その後の4つの項目はいずれも直前に見えている事業機会、そしてこれからの事業機会に対する資源投入と考えています。

日本では7月、米国では6月に新発売した「デエビゴ」の上市関連費用、「レンビマ」のR&D費用、また「レンビマ」の拡大にともなうパートナーに支払う利益折半費用の増、これからの事業機会のアルツハイマー関連費用を資源配分しました。

スライドの右側にはワンタイムイベントによる営業利益の増を示しています。その結果、前年に対してプラス21億円の増益となりました。

スライドの右端に研究開発費の状況を示しています。先ほどお伝えしたようにパートナーよりの戻入を黄色で示しています。全体としては減額ですが、昨年度に「エレンベセスタット(BACE阻害剤)」のプロジェクトが終了したことによる減額です。

COVID‐19 治療薬・ワクチン創出への取り組み

事業の内容です。まずCOVID‐19関連の取り組みについてご報告します。スライドの上段では、治療薬についての取り組みを示しています。

「エリトラン」です。私どもがかつて重症敗血症の治療薬としてフェーズIII試験まで行いましたが、エンドポイントを満たさず終了したテーマです。

「エリトラン」は、サイトカイン産生の最も上流にあるTLR4のアンタゴニストです。したがって、COVID‐19にともなう肺炎などの原因とされるサイトカインストームを最上流で止める可能性があると考えられています。

フェーズIII試験まで進行したものですので、安全性の確認は終わっています。現在、「REMAP‐COVID」という国際的なコンソーシアムの遡上に乗せて臨床研究が開始され、実際に患者さまへの投与がスタートしています。

「E6011」はカン研究所創製のフラクタルカイン抗体です。COVID‐19の症状として血管障害もよく知られていますが、こちらに対する効果が期待されてAMEDのプロジェクトに採択され、現在臨床導入が検討されているところです。

スライドの左下には、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が主導する治療薬創製のケミカルライブラリーのスクリーニングが始まっています。このケミカルライブラリーに、私どものユニークな天然物由来の化合物ライブラリーを提供しており、いくつかのヒット化合物を得ている状況です。

スライドの右下には、ワクチンについての協力ということで旧ボストン研究所で「アジュバント」の創製に成功しています。この「アジュバント」を用いたCOVID‐19ワクチンの研究が、カナダのVBIで行われています。現在、前臨床試験が進行中と理解しています。

AD ContinuumとATN+を基軸とする臨床パイプライン

アルツハイマー病領域のパイプラインについてご説明します。現在のエーザイのアルツハイマー病の「drug developent and discovery」はスライドで示しているように、「AD Continuum(アルツハイマー病の連続する病状進行)」を横軸として、縦軸に「ATN+」と言われているパソフィジオロジカルな仮説、いわゆる病院の仮説に基づくドメインにおいて創薬を行っています。

「AD Continuum」は、「Preclinical AD」「Early AD」「AD」と進行していきます。「Early AD」と横軸のアミロイド凝集体の重なり合うところに「aducanumab(抗Aβ抗体)」があります。

また、「AD Continuum」は「Preclinical AD」まで遡ると、「lecanemab」というINNが付いた「BAN2401」が存在します。ATNの「T」のタウ、タウオパチーは、もちろん「ATN+」全般に関わる病因ですが、このタウは自社のタウ抗体「E2814」のフェーズ I 試験を進行中です。

そして「N」の部分、神経変性(Neurodegeneration)ですが、ファースト・イン・クラスのシナプス再生という薬理作用を追求する自社創製の低分子化合物「E2511」のフェーズ I 試験を開始しました。「E2511」は「AD Continuum」の「Early AD」以降において有用性を発揮すると期待しています。

スライドの下に、認知症の約20パーセントを占めると言われているレビー小体型認知症についての生薬を示しています。

レビー小体型認知症においては、「サイクリックGMP」の低減がヒューマンバイオロジーでも確認されています。その「サイクリックGMP」にかかる「PDE9」を阻害することにより、「サイクリックGMP」を保つ薬理作用です。現在、臨床後期のフェーズII/III試験を進行しています。

aducanumab

「aducanumab」ですが、すでにご案内のとおり、米国においてはFDAに申請を完了し、優先審査に指定されています。

PDUFAアクションデートは明年3月7日と指定されていますが、迅速審査のもと早期に審査を完了する可能性も示唆されています。そして、まさに明日諮問委員会が開催され、審議されることになっています。

欧州医薬品庁(EMA)も申請が受理され、審査が進行しています。PMDAとも申請前相談を実施し、現在申請に向けて準備しています。その他、複数の当局とも申請についての相談を開始したところです。

抗Aβプロトフィブリル抗体 lecanemab(BAN2401)

抗Aβプロトフィブリル抗体の「lecanemab」です。ちなみに「l」は発明者であるスウェーデンのウプサラ大学ランフェルト教授の「l」を取らせていただきました。

「e」はエーザイの「e」で、「ca」はクリエーションの意味で「lecanemab」と命名されています。その「Early AD」についてのレギュラトリー・トライアルの「Clarity AD」です。

COVID‐19の影響を受けた施設も、ほぼ試験再開にこぎつけています。また、医療機関におけるインフュージョンを在宅で行ったり、診断にリモートを活用して遅れの最小化を図っています。

登録完了とPrimary endpointのFinal readoutのタイミングは、計画どおり2022年度第2四半期と定めています。こちらに変更はありません。

「Preclinical Space」をターゲットとするAHEAD 3‐45試験はACTCとのコラボレーションで実行されていますが、米国に加えて日本、シンガポール、オーストラリア、欧州の100以上の拠点でオープンする予定です。

米国においては、すでにfirst dosingを達成しています。「lecanemab」は先ほどお伝えしたとおり、「AD Continuum」の上流から「Early AD」までをカバーする薬剤として開発する予定です。

新規抗MTBRタウ抗体 E2814の特徴

タウに関わる新規抗MTBRタウ抗体「E2814」についてご説明します。現在、フェーズI試験が順調に進行しています。

大変ビジーなスライドで恐縮ですが、左上にタウを示しています。N末端からC末端までのタウプロテインです。

このタウのさまざまなバインディングサイトにターゲットをおいた、さまざまなタウ抗体を現在開発中ですが、私どもの「E2814」はこの中で赤く示している「Microtubule Binding Region」にスペシフィックにエンゲージする抗体です。

「MTBR」が行っていることについて、その下に示しています。タウはシナプス間を伝播していきますが、その伝播に関わるタウの断片が「MTBR」と理解しています。

したがって、この抗体は細胞外間隙で伝播に関わるタウを捕らえて除去します。こちらにより、いわゆるタウが原因となる神経原線維変化を防止したり、軽減したりする薬理作用を期待している抗体です。

スライドの右側にヒューマンバイオロジカルなエビデンスとして、さまざまな脳内タウフラグメントの状況を示しています。

赤字がADに関わる部分ですが、ADで唯一増加が報告されているタウフラグメントはこの「MTBR」です。AD脳でヒューマンバイオロジカルなエビデンスに基づきながら伝播に関わる「MTBR」を除去し、このタウオパチーを改善する効果を期待している抗体です。

自社創製の新規シナプス再生剤 E2511

自社創製の新規シナプス再生剤「E2511」は、現在フェーズI試験を開始したところです。「AD Continuum」において、スライドの右側で示しているコリン作動性神経は大変脆弱な状態になり、シナプスの機能障害を起こすことが知られています。

MCI状態においては、機能性神経のシェーマで示している「TrkA」の発現の顕著な減少が知られています。こちらによる神経の退行性変化が起こると考えられています。

「E2511」は第3ブレッドで示しているように、「TrkA」に結合してシナプス再生シグナルをオンにすることで、ダメージを受けた神経の再形成を促したり、シェーマの機能障害をスライドの矢印のように左側に動かしていきます。

そしてシェーマの1番下に記載していますが、神経変性による脳萎縮の悪化を抑制する効果を期待しているスモールモレキュールコンパウンドです。

アルツハイマー創薬の中に「シナプス再生」というまったく新規のコンセプトを導入する、大いなる期待を持った新薬候補です。

レンビマ

話題を「レンビマ」に転じさせていただきます。ご案内のとおり、今年度の見通しの1,580億円の達成に向けて着実に進行していることをご報告します。

スライドの棒グラフで「レンビマ」の上期の状況を示しています。展開する5リージョンのすべてで成長を達成し、前年同期比で136パーセントの685億円と強い成長をマークできました。

5リージョンの状況をスライドの右側でご説明します。中核になるのはアメリカですが、419億円で前同比148パーセントという強い成長を記録できました。

アメリカスについてはこれから詳細にお伝えしますが、肝細胞がんのシェアNo.1を維持、継続しています。また、新たに子宮内膜がんの適応など、さまざまなアップサイドイベントで成長しています。

中国も28パーセントの成長を示しました。HCにおいて新たな患者さま支援のプログラムを展開し、自己負担の金額を減少する手立てを講じて、拡大途上にあります。

欧州はCOVID‐19の影響を受ける中で、適応拡大の国が増えている、あるいは感染リスク低減の観点から内服抗がん剤が推奨されるということで、28パーセントの成長を遂げることができました。我が国においてもHCC、DTCともに非常に高いシェアを維持している状況です。

アジア・ラテンアメリカですが、アジアのHCCの専門家が集った「APPLE Consensus Guideline」で、HCCについて「レンビマ」が強く推奨されています。

また子宮内膜がんについてのキイトルーダの併用療法も、次々とアジア諸国で承認を取得するなど拡大基調に入っています。年度の1,580億円をしっかりと達成していく所存です。

米国レンビマの加速に向けて

中核マーケットの米国です。現在、子宮内膜がん、肝細胞がん、腎細胞がん、甲状腺がんの4がん腫に展開しています。

スライドの右上で示しているのが、いわゆるコールの状況です。インパーソン、デジタルの両方を含んでいますが、4月から6月はCOVID‐19の影響を受けて大変厳しい状況にありました。しかし、リアル面談も含めて現在は回復基調にあります。

そして、この10月よりMerckとECとHCCの取り組みをさらにもう一段階強化し、コールのレベルをCOVID‐19以前まで戻すことを合意しています。今後、EC、HCCに大いなる取り組みの前進が図られることを期待しています。

スライドの右下で各がん腫の売上状況を示していますが、上期は子宮内膜がんが1つ新しくアドオンされました。腎細胞がんは、内服抗がん剤の感染リスク低減メリットがあり、大きな伸長を見せています。肝細胞がん、甲状腺がんでは、シェアをしっかり維持している状況であると考えています。

レンビマ+キイトルーダⓇ(LEAP Study)

「レンビマ」は2025年度に約5,000億円レベルに挑むとご案内していますが、その拠り所になるのが「レンビマ」「キイトルーダ」の併用療法による新たな適応追加ラインの追加になります。いわゆる「LEAP Study」です。

スライドのとおり、現在11本の承認申請用比較対照試験が順調に進行しています。スライドの左側は、これから有用性を証明していくがんの新規患者さまの数を示しています。いずれも非常に多くの患者さまが病に罹患されるがん腫です。

肺がん、肝がん、膀胱がん、腎がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、メラノーマなどが並んでいます。それぞれに対してフェーズIII試験が進行していることを、スライドの中段で示しています。中身は胞肺がんで3本、肝細胞がんで2本、子宮内膜がんで2本などです。

スライドの下段です。「メラノーマ 2L」と、いわゆる探索的目的で展開している「バスケット型試験」、固形がんを中心としたトライアルについて良好な結果を得ていますので、「ESMO2020」で発表しています。

キイトルーダⓇとの併用療法 非小細胞肺がん

その中の肺がんの状況についてご報告します。全身療法未治療の患者さまを対象としたフェーズIII試験(LEAP-006試験)です。安全性確認の導入パートは13例で奏効率69パーセントと、非常にロバストな有用性のデータを得ることができましたので、「ESMO2020」で先行的に発表しています。

メインボディの比較対照パートにおいても、患者さまのエントリーが順調に進行しています。こちらに加えて、LEAP-007試験(1L、PD‐L1陽性)、LEAP-008試験(2L)のフェーズIII試験はいずれも患者さまのエントリーが順調に進行しています。肺がんという大きながん腫についてしっかりと貢献すべく、進行させていく所存です。

キイトルーダⓇとの併用療法 バスケット型試験

バスケット型試験の内容をご紹介しています。大腸がん、卵巣がん、胃がんなどでライン後期の難治性のがん腫に挑んだ中で、良好な結果を得ていると考えています。これらの症例数を拡大して、一層研究を進行させていきたいと考えています。

DXを企図した事業構造改革(日本)

話題をリージョンの事業構造の改革に転じさせていただきます。日本ですが、エーザイジャパンの中にデピュティプレジデントを任命して、HX本部とADF推進本部の2つの本部を編成しました。

HX本部は、ヘルスケアプロフェッショナル、エンゲージメント、トランスフォーメーションです。いわゆるデジタルを駆使しながら、医療の専門家に対するさまざまな情報提供の質的向上を図っていこうと試みるグループです。

中身ですが、まずデジタルソリューション部です。小さいブレッドで記載していますが、いわゆる現在のデジタルソリューションとしては、患者さまからさまざまな情報をいただき、それらを自分たちのデータでプロセスして必要な情報や日常生活の改善を開始するモデルを構築しています。

あるいは、デジタルメディスン的なデジタルソリューションをお届けすることが大変重要なパートになってきましたので、それらを担当するデジタルソリューション部を設置しています。主要ブランドについて「P3モデル」と称しているモデルの構築を図っていきたいと考えています。

フィールドフォースサポート部です。COVID‐19禍はさまざまな規制があり、デジタルツールによる情報伝達の重要性が非常にクローズアップされています。

その中で、いわゆるCRM(Customer Relationship Management)を実行支援するいろいろなツールやプログラムについて充実を図っていき、デジタルによる情報伝達力を向上させていきます。そちらを担当するのがフィールドフォースサポート部です。

3番目のデジタルマーケティング部は、まさしくそのデジタルツールを使い、情報をインパーソンではなくデジタルで一定のポピュレーションの専門家にお伝えする担当組織です。

RWD(Real World Data)マーケティング部は、それぞれの医療機関のRWDを我々も一緒に入って解析、利活用させていただき、さまざまな新しい便益を見出していく試みです。「Coroban」などの転倒防止システム、プログラムなどが含まれています。

スライド中央のADF推進本部は「Alzheimer’s Disease フランチャイズ」の略です。さまざまな準備活動をいよいよ本格化させていく試みで、ブランドのマネジメントなどを行います。

また、このグループはアジアリージョンともかかっていきますので、バリューではプライシング戦略やアクセスの改善、患者さま支援プログラムの検討などに加え、PET・CSFや血液などの診断法の普及などを担当していきます。

3番目のhACと呼んでいるグループはhhcエリアコーディネーターであり、医療圏ごとにかかりつけ医の先生方と専門医の先生方の診断のネットワーク、治療のネットワークなども含めてネットワークをいかに構築するかなど、かかるネットワーク構築を担当するグループです。

4番目のネットワークですが、現在エーザイは167の地方自治体を中心とする認知症連携協定先「のうKNOW」と協定を結んでいます。こちらとのさまざまな取り組みを推進するグループです。その中にはブレインパフォーマンス向上の試みや、MCIへの移行に対する改善などが含まれます。

スライド右側の黄色い部分では、チーフデジタルオフィサーのもとにCX本部を編成しています。コンシューマーエクスペリエンストランスフォーメーションをCXと略していますが、すでにご案内のとおり認知度エコシステム「easiit」を実装に移しています。

「easiit」における会員数の拡大、あるいは会員のみなさまからいただくパーソナルヘルスレコードの睡眠、歩行、食事の情報についてインプットをいかに簡便にできるかなど、IoTの開発等を司るマーケティング部です。

「easiit」の一部のブレインパフォーマンスの簡便チェックツールであるデジタルツール「のうKNOW」はすでに発売しています。現在「のうKNOW」は、保険業界や金融、建設、小売、自動車、フィットネス、化粧品などさまざまなプロバイダーのみなさまとコラボレーションを実現しています。

そのような他業種とのパートナーシップ、それぞれのみなさまの便宜性を向上するための改良などを加えることを担当する、プランニング&パートナーシップ部を編成しています。

「のうKNOW」「easiit」に代表されるエコシステム関連のプロダクトの充実を図っていき、こちらのプロダクトも今後追加していくことを企図しています。

スライド右下の紺色のコンバージョンサイエンスです。このエコシステムの中核はデータですので、治験データやコホートデータをエコシステムにコンバージョンすることを担当するセクションです。

そのデジタルインフラを整備したり、データのセキュリティを担当する部分が右下に記載のTech Squadと呼んでいるグループです。

エコシステム プラットフォーム easiit の深化

すでにご案内のとおり、「easiit」の特徴は日常生活領域と医療領域をつなぐエコシステムです。目的はスライド下部のメッセージをご覧ください。疾患啓発、早期受診、行動変容を興す上で存在するさまざまな理想と現実の差、キャズムを解消することがこのシステムの目的です。

日常生活領域では人々からPHR(睡眠、食事、歩行など)の状況をインプットいただきます。その中にはブレパのチェックの「のうKNOW」の情報もいただきます。この日常生活領域用の「easiit」部分はDeNAと共闘しています。

アウトプットでは現状の健康データの可視化、あるいはブレパに役立つ改善情報を開始し、将来的には発症予測に関する情報も開始したいと考えています。

「easiit」の中核はスライドの中央で示している、ADDMTまで含めた認証治療薬の非常に最新のバーマカ情報を含む臨床試験結果のデータ、あるいは外部コホートの高質なデータをセットして、AIアルゴリズムを用いているデータ部分です。

医療領域では、医療プロフェッショナルのみなさまから電子媒体などでスライドの右側に記載しているようなさまざまな情報をインプットしていただきます。

そちらをプロセスして、全体の患者さまの状況をダッシュボードでお示しする、あるいは標準療法との差異を可視化してお示しします。MRIなどを通じて副作用検出の読影補助を行うなどのアウトプットを企図しています。

COVID‐19下での日本における患者様貢献の拡大

日本では、COVID‐19のもとさまざまな憂慮の拡大による不眠症の患者さまに対して新たなオプションを提供する「デエビゴ」を一層拡大していきたいと思います。デジタルを含めた情報伝達は順調に行われていると理解しています。

もう1点は、いわゆるRA、リウマチに対する新しいJAK1の優れた治療剤「ジセレカ」をギリアド・サイエンシズと協業し、いよいよ世に問うていく重要な機会をしっかりと仕上げていきたいと考えています。

米国での更なる成長を見据えた事業構造改革

米国においては、「Oncology」「Epilepsy」「Insomnia」「AD」の4つのフランチャイズについてしっかりと展開していきます。

中国での患者様貢献の最大化(1)

非常に活発な動きを見せている中国です。スライド左側のパイチャートで中国の売上状況を示しています。前同比で103パーセントと、COVID‐19の影響を克服して成長できました。パイの切り出し部分は新薬で、16パーセントから22パーセントと拡大しています。

内容はスライドの右上で示している「レンビマ」「ハラヴェン」「Fycompa」になります。中国で新薬同様に重要な長期品の状況をご報告します。

政府集中購買でこれらの長期品は購買されます。メチコバールは政府集中購買の入札に成功して、16の州で優先的に購入されるということで、患者さまの数が飛躍的に拡大する状況です。

また、遼寧省の本渓工場ですが、中国におけるジェネリック医薬品は基準薬とのBE試験で生物学的同等性の厳しい評価をクリアすることが拡大条件とされています。本渓工場の「ロキソプロフェン」はその基準を通過でき、今後大きく拡大することを期待しています。

中国での患者様貢献の最大化(2)

中国のもう1つのトピックです。中国の有力なeコマースネットワークグループのJing DongのJD Healthとエーザイで合弁会社を発足させました。

スライド中央の京颐衛享(上海)健康産業発展が、そのジョイントベンチャーです。認知症関係のワンストップ・デジタルサービスをプラットフォーム展開する試みです。

Jing Dongの持つ優れたネットワークやeコマースの実績と、エーザイのいわゆる認知症のさまざまなナレッジを合体させ、コミュニティにおける疾患理解の促進、セルフチェックの促進、医療におけるオンライン診療をさらに拡大していきます。

介護においては介護施設の紹介、モールにおいては関連グッズの販売なども手がけていきます。中国国内に特化しますが、認知症当事者のご家族を対象としたワンストップ・デジタルサービスを展開し、中国国内におけるエコシステム構築の第一歩を踏み出していきます。

2020年度 連結業績見通し(IFRS)

最後に、通期の見通しです。ヘッドラインで示しているとおり、足元の「レンビマ」のしっかりとした拡大を梃として、いよいよ2025年に向けて後半の「EWAY FUTURE」に差し掛かっていきますので、その成長機会に積極的な投資を行う時期と考えています。

売上高は7,190億円で103パーセントの成長です。引き続き売上総利益をしっかりと拡大し、研究開発費、販売管理費ではこれらのオポチュニティーに積極的な資源投入を行います。その結果、営業利益は880億円、当期利益は670億円、ROEは9.7パーセントを達成していく所存です。

また通期の配当金160円の実施には強い自信を持っているとお伝えして、私からのご説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。