第2四半期累計実績ハイライト

寺田親弘氏(以下、寺田):本日は、当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。CEOの寺田でございます。それでは、私から第2四半期の累計実績や新たな取り組みについてご説明します。

まずは、2021年5月期第2四半期累計実績についてです。5ページをご覧ください。ハイライトについて3点ご説明します。1点目は第2四半期の累計実績についてです。連結売上高は、前年同期比21.3パーセントの成⻑となり、連結営業利益については前年同期比525.4パーセント増と、大きく増益となりました。

2点目は、通期業績見通しに対しての進捗です。国内における新型コロナウイルス感染者数が増加傾向にあり、事業活動に対する一定のマイナス影響は継続しましたが、日本全国に緊急事態宣言が発出された2020年4月や5月に比べると、営業活動における制約などは引き続き改善傾向にありました。その結果、連結業績は期初の見立てに対し、順調に進捗しました。

3点目は、クラウド請求書受領サービス「Bill One」についてです。「Bill One」の契約者数は2020年6月末と比較して10.6倍と、順調に拡大し、これまでの当社サービスの中でもっとも立ち上がりの早いサービスとなりました。

連結実績の概況(1)

第2四半期累計の連結業績は、6ページのとおりとなりました。売上高は前年同期比21.3パーセント増の約76億3,600万円となり、前四半期と比較して成⻑率が再加速しました。

営業利益は、売上高の増加にともない、前年同期比525.4パーセント増の約6億8,600万円となりました。また、経常利益は約4億5,400万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は約3億8,800万円となりました。

セグメント別実績の概況

セグメント別の実績は7ページのとおりとなりました。Sansan事業は増収増益、Eight事業も増収および赤字が縮小し、各セグメント売上高においても前四半期比で成⻑率が再加速しました。

事業戦略

続いて、新たな取り組みについてご説明します。9ページをご覧ください。その前に、まずは既存事業で現在注力している施策からご説明します。Sansan事業では、従前より取り組んでいる契約件数と契約当たり売上高の拡大、そしてビジネスプラットフォーム価値の向上に向けた機能開発や他社連携のほか、2020年6月から提供を開始した「オンライン名刺」機能の利用拡大に注力しています。

「オンライン名刺」においては、「Eight」との機能連携に加え、10月より「Microsoft Teams」との連携も開始しています。「Microsoft Teams」のユーザーは、同サービスのカレンダー機能から「Sansan」の「オンライン名刺」を送信できるようになりました。

また、Eight事業では、BtoBサービスのマネタイズ強化と同じく「オンライン名刺」の利用拡大に取り組んでいます。BtoBサービスにおいては、既存の各サービスの立ち上げに注力するとともに、新たなビジネスイベントサービスを開始しています。

また、新たな取り組みとしては、クラウド請求書受領サービス「Bill One」や、イベントテックサービスの拡大に注力しています。次のページから、この新たな取り組みについて個別にご説明します。

「Bill One」:サービス概要

10ページをご覧ください。1つ目の新たな取り組みとして、「Bill One」についてご説明します。あらためてサービス概要をお話ししますと、クラウド請求書受領サービス「Bill One」は、多数の拠点や部門にばらばらに届いていた紙やPDFの請求書のオンライン受領を一元的に可能にするサービスです。

紙の請求書は「Bill One」のスキャン代行センターが代理で受領し、またメール添付の請求書は専用メールアドレスで受領したのち、いずれにしても99.9パーセントの精度で「Bill One」がデータ化します。

したがって、請求書を受け取る企業は受け取り先を「Bill One」にするだけであらゆる請求書のオンライン受領が可能となり、発行する側の企業も従来どおりの形式で請求書の送付ができるため、負担がかかりません。名刺と請求書は非常に似通っていると思っています。

コロナ禍において、リモートワークへの移行は企業の喫緊の経営課題である一方、請求書関連業務に関しては、いまだに紙媒体の受領・処理が残るゆえに出社が強いられるなど、大きな課題にもなっています。

「Bill One」ユーザーは、請求書の受け取りから支払い承認までをオンラインで実施することが可能な上、どのようなフォーマットの請求書であっても99.9パーセントでデータ化し、一元管理することができます。まさに「Sansan」の請求書版です。

「Bill One」:他社サービスとの連携

11ページをご覧ください。「Bill One」では、他社サービスとの連携を推進しています。財務会計システム「勘定奉行クラウド」とは、2020年11月より連携を開始しました。本連携では、「Bill One」で受領、データ化した請求書情報や画像そのものが「勘定奉行クラウド」に半自動的に反映され、請求書の受領から会計処理までの業務フローがデジタル化されていくことで、経理担当者のテレワーク実施を後押しします。

今後は、会計ソフト「弥生会計」と業務アプリ開発プラットフォーム「kintone」との連携を予定しており、さまざまな他社サービスとの連携によりサービス価値を高めていきたいと考えています。

「Bill One」:契約件数の推移と潜在市場規模

12ページをご覧ください。スライド左側のグラフは、「Bill One」の契約件数の推移を示しています。まだ立ち上げたばかりのサービスであるため、詳細な実績は控えさせていただきますが、2020年6月末と比較すると、2020年11月末における契約件数は10.6倍となりました。

なお、12月にはBill One事業部を発足し、体制を強化しています。12月発足時点では22名ですが、2021年5月末までに40名の体制構築に向けて採用を強化しています。これらの体制強化やサービスの改善等によって、2022年5月期末までに契約件数1,000件を目指します。

次に、TAMの考え方について触れておきます。「Bill One」は、請求書の発行企業の行動を変えることなく受け取り側の企業が請求書データを利用できる、とてもユニークなサービスであり、業種や企業規模を問わずお使いいただけます。そのため、対象企業は「Sansan」と同じく日本国内の全企業であると考えています。

スライド右側のグラフの濃い⻘色の四角は11月末時点の「Bill One」契約件数、薄い水色の四角は「Bill One」へ送付した請求書の発行企業数、灰色の一番大きな四角は日本国内の企業数を表しています。

ご覧のとおり、広大な開拓余地がある一方で、「Bill One」は契約件数の拡大以上に請求書送付企業数が増えるモデルであるため、加速度的に企業との接点の増加が見込まれます。さらに、コロナ禍の企業ニーズを捉えたユニークなサービスであることから、当社グループの収益の柱になる可能性を秘めていると考えています。

イベントテックサービス:サービスのポートフォリオ

続いて、2つ目の新たな取り組みとして、イベントテックサービスについてご説明します。13ページをご覧ください。前回の10月の決算説明会でもご説明しましたが、あらためて概要をお伝えします。こちらは、当社が取り組んでいるイベントテックサービスのポートフォリオを表した図です。

日本国内では、大規模な展示会・カンファレンス、小規模なセミナーに至るまで、さまざまなビジネスイベントが開催されており、BtoB領域において企業と企業が出会う場所として必須なものになっています。

ビジネスイベントの運営においては、オフラインではもちろんのこと、コロナ禍において急激に普及したオンラインイベントについてもさまざまな課題が生じています。当社グループは、セミナー・イベントの管理から、開催前、開催中、開催後までのビジネスイベントの運営に関わる課題を解決する各種ソリューションを提供しています。

なお、投資先の株式会社EventHubが提供する「EventHubオンライン」は、2020年4月に提供開始後、約半年間で利用企業数が約3.5倍、売上高が約20倍に成⻑するなど、イベントテックサービスに対するニーズは拡大傾向にあります。出会いからイノベーションを生み出す当社にとって、まさに真正面から取り組むべき領域と考えています。

イベントテックサービス:新サービス

14ページをご覧ください。具体的なサービスについて2つほどご説明します。スライド左側の法人向けセミナー管理システム「Sansan Seminar Manager」は、セミナー運営を簡単かつ効果的に行うことができるセミナー管理サービスです。

具体的には、専門的な知識がなくても、募集ページ作成からセミナー開催、受付といった一連の業務をワンパッケージで運用できるほか、独自の技術により正確な来場者データベースを構築することが出来ます。また、コロナ禍で注目されているウェビナーにも対応しています。

本サービスは、MAツールなどとの連携が可能であり、単発的な業務からマーケティング業務にセミナーをつなげ、効果的なセミナー運営を支援します。さらに、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」との連携により、同時に「Sansan」の機能強化に貢献することも期待しています。

続いて、スライド右側の新世代エントリーフォーム「Smart Entry by Eightオンライン名刺」をご覧ください。こちらは、名刺アプリ「Eight」で提供している「オンライン名刺」の情報をダイレクトに活用することで、入力の手間を一切排除した新世代のエントリーシステムです。

みなさまも経験があると思いますが、イベント受付や資料請求時の登録フォームは、入力の度に手間がかかるため、登録自体を辞めてしまうことや、情報入力ミスによって正確な情報が取得できない等の課題があります。

本サービスでは、登録者がQRコードをスマートフォンで撮影するだけで「オンライン名刺」の正確な情報が企業に送信され、登録が完了します。こちらは「Eight」ユーザー以外の方でもご利用いただくことが可能です。

提供開始以降、複数のイベントのWebフォームで1万2千件以上のエントリー登録が行われており、イベント参加者の管理業務の効率化に加え、新型コロナウイルス感染症対策として、オフラインの現場においても非接触型の受付体制の実現に貢献しています。今後もビジネスイベントを全方位でサポートできる体制構築に取り組んでいきます。

連結業績の見通し

最後に、通期業績見通しについてご説明します。16ページをご覧ください。2021年1月に一部の地域に対して緊急事態宣言が発出されたため、今後の動向については注視する必要がありますが、少なくとも2020年4月や5月ほどの影響はないものと捉えています。したがって、さらなる大きなマイナス影響は想定しておらず、これまでの堅調な業績推移を鑑みて、現時点において期初に公表した通期業績予想に変更はありません。

第2四半期累計実績は、通期連結業績見通しに対して順調な進捗となっており、中でも営業利益については高い進捗率となっています。第3四半期以降においては、売上高成⻑率の加速に向けたさまざまな戦略、およびそのための投資を検討・実行していく予定です。このような成⻑の再加速に寄与する取り組みや投資の強化を図り、2022年5月期は売上高成⻑率30パーセント以上を目指します。

決算に関する説明は以上ですが、最後にみなさまにお伝えさせていただきます。昨日、当社は東京証券取引所より、東証マザーズから東証一部への市場変更が承認されました。株主のみなさまをはじめ、当社を支えてくださっているすべてのステークホルダーのみなさまに深く感謝申し上げます。

今後もビジネスインフラとして広く社会に認識される状態をグループ全体で目指し、持続的な企業価値向上に向けて取り組んでいきます。続いて、橋本より、3ヶ月実績についてご説明します。

連結実績の概況(2)

橋本宗之氏(以下、橋本):CFOの橋本でございます。私からは、第2四半期の3ヶ月実績についてご説明します。第2四半期の連結業績については、18ページのとおりとなりました。売上高は、前年同期比24.3パーセント増の約39億6,900万円で、前四半期と比べて成⻑率が再加速しています。

営業利益については、前年同期比約6億3,200万円増の約4億9,200万円と、大きな増益となりました。経常利益は持分法投資損失等を計上した結果、約3億5,200万円となりました。なお、第2四半期は繰延税金資産の追加計上に伴い、法人税等調整額をマイナス約8,000万円計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は約3億200万円となりました。

連結営業利益の増減要因

19ページは、連結営業利益の増減要因について記載しています。連結売上高が前年同期比で約7億7,500万円増加したことに加え、広告宣伝費が前年同期比で約2億7,100万円減少した結果、営業利益は大きく増加しました。

Sansan事業においては、毎期、新たなテレビCMの制作・放映を行っていますが、前期は第2四半期から放映したのに対し、当期は第1四半期で行ったため、当第2四半期の広告宣伝費は減少しました。また、人件費が約2億2,200万円増加しているのは、採用強化によるものです。

Sansan事業の概況

Sansan事業の実績についてお話しします。20ページをご覧ください。売上高は、前年同期比20.5パーセント増の約35億4,300万円となりました。また、営業利益は前年同期比86.4パーセント増の約15億8,100万円となりました。売上高の増加および広告宣伝費の減少等により、営業利益率は前年同期比で15.7ポイント増加しました。

Sansan事業:「Sansan」売上高・ストック売上高

21ページは、Sansan事業のストック売上高について掲載しています。ストック売上高についてあらためてご説明すると、スキャナレンタル代や契約内容に応じた月額の固定収入を指します。その他の売上高としては、すでに保有している名刺を、新規導入時に一括してデータ化する際に生じる初期収入や、導入サポート時にかかる一時的な収入、契約データ化枚数の上限を超えた時に従量で課金される収入等があります。

ストック売上高は、「Sansan」の契約件数が前年同期からこの1年間で積み上がっていること、ならびに「Sansan」の解約率がコロナ禍においても低水準にあることから、前年同期比25.0パーセント増の約33億6,200万円で、セグメント全体の売上高と比較しても順調に推移しました。

一方、その他の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響で新規契約の獲得数の鈍化や契約データ化枚数を超過するケースが減少したことから、前年同期比で減収となりました。

Sansan事業:「Sansan」契約件数・契約当たり月次売上高・従業員数

「Sansan」の契約件数と契約当たり月次売上高について、22ページをご覧ください。契約件数は、営業活動の制約が緩和傾向にあること、また、従前より取り組んでいた「Sansan」の販売やマーケティング活動において、他社パートナーとの協業体制の強化等が奏功し、中小企業を中心とした新規契約獲得が進んだ結果、前年同期比15.4パーセント増の7,230件となりました。

一方、契約当たりの月次売上高は、前年同期比3.8パーセント増の16万5,000円にとどまりました。これは先ほどご説明したストック売上高以外の収入、新規導入時の初期売上等が、新型コロナウイルス感染症の影響で低調に推移したためです。なお、ストック売上高のみで契約当たりの月次売上高を算出した場合は、前年同期比7.5パーセント増となりました。Sansan事業全体の従業員数は、前年同期比で88名増加し、443名と順調に推移しました。

Sansan事業:「Sansan」直近12か月平均解約率

「Sansan」の直近12ヶ月平均の月次解約率は、23ページのとおりです。引き続き1パーセント以下の低水準を維持しています。

Sansan事業:「Sansan」顧客規模別収入構成(ストック収入)

24ページは、「Sansan」の顧客規模別の収入構成についてです。これまでのトレンドと同様で、収入構成比に大きな変化はありません。引き続き人員採用を進めながら、研修や育成等も強化し、売上高成⻑の加速につなげていきたいと考えています。

Eight事業の概況

Eight事業について、25ページをご覧ください。売上高は、BtoBサービスの増加により、前年同期比68.9パーセント増の約4億2,700万円で、営業利益は、売上高の増加に伴い赤字額が約6,000万円減少し、マイナス約1億6,700万円となりました。

8月にグループ化したログミー株式会社の業績は、2020年9月から11月の3ヶ月分が寄与しており、その売上高については、BtoBサービス売上高に計上しています。また、「Eight 企業向けプレミアム」の契約件数は、前年同期比67.4パーセント増の1,949件となりました。なお、本日時点において2,000件を突破しており、順調に拡大しています。

Eight事業:売上高・「Eight」ユーザー数

26ページをご覧ください。2020年11月にビジネスイベント「Climbers」を実施した結果、BtoBサービス売上高が大きく増収となりました。また、「Eight」のユーザー数は、前年同期比23万人増の281万人と、順調に拡大しています。

Eight事業:ビジネスイベント「Climbers」

27ページでは、新たに開始したビジネスイベント「Climbers」についてご説明します。本イベントは、若手の役員や事業主を中心としたビジネスパーソン向けに、各界のトップランナーによる講義や企業による展示会を、オフラインまたはオンライン形式で行うビジネスイベントです。イベント中は、登壇者と名刺アプリ「Eight」の「オンライン名刺」交換や「Smart Entry by Eightオンライン名刺」での参加登録等、社内のイベントテックノウハウを活用しています。

初めて開催したビジネスイベントでは、14,000名以上のエントリーを獲得する等、当社のこれまでのビジネスイベントの中では最大級の実績となりました。本イベントは、当期にもう1回実施する予定です。以上で、私からの説明は終了します。続いて、塩見よりEight事業についてご説明します。

自己紹介

塩見賢治氏(以下、塩見):塩見でございます。本日は、Eight事業をご紹介する機会をいただきまして、誠にありがとうございます。これまでは、Eight事業について投資家・アナリストのみなさまに対して、多くの時間を割いてご説明する機会はあまりなかったため、本日は「Eight」の各マネタイズプランの詳細を中心に、基本的な内容についてご説明したいと考えています。この機会を通じ、ぜひご理解を深めていただけるとうれしいです。

初めに自己紹介をさせてください。現在、私は取締役としてEight事業を管掌しています。Sansanは、2007年にCEOの寺田を含めた仲間5人で創業した会社で、私は共同創業者のうちの1人です。

私は、もともと三井物産系列のSI会社で、ソフトウェアエンジニアとして働いており、主に携帯電話のメールシステムや、衛星放送の放送システムの設計と開発を行う仕事をしてきました。前職時代の2001年に、シリコンバレーにある三井物産の海外支社で一緒に働いていたことが、CEOの寺田との出会いのきっかけです。

当時から、Sansanの事業アイデアについては寺田から聞かされており、日本に戻ってきた後も話し合ったりしていましたが、「Facebook」や「LinkedIn」が広まる中、エンジニアである私にとって名刺というテーマは、当初は正直ピンと来ませんでした。

ただよく考えてみると、名刺は連絡先が書かれた「ただの紙切れ」ではなく、人と人との「つながりの証」です。アメリカや日本においても、ビジネスではみなさまが「つながり」をとても大事にしています。しかしながら、そのつながりの証の多くは机の中に埋もれて活用できていません。

企業や個人がビジネス活動をきちんと資産として蓄積し、それを最大限活用できるサービスを作りたい、そして、シリコンバレーのベンチャーに負けない日本発のソフトウェアをいつか世界に送り出したい、そのような想いでSansanの創業に参画しました。

よろしければ、オンラインで名刺交換しましょう。「Zoom」の画面を閲覧可能な方に限られますが、画面上のQRコードをスマートフォンで読み取ることで、私の名刺を受け取ることができます。

「Sansan」や「Eight」をご利用の方は、そのまま簡単に受け取りや返送ができます。どちらも利用していない方でも、画像やデータで私の名刺を受け取った後、ご自身の名刺を撮影して返送できます。

当社では、「Sansan」「Eight」の両サービスで「オンライン名刺」機能を提供していますが、本日は「Eight」のものを紹介しています。ぜひ、交換していただければと思います。

「Eight」の基本機能/特徴

本題に入ります。本日は大きく3つのパートに分けてご説明します。まずは、Eight事業の概要についてです。5ページをご覧ください。「Eight」の基本機能を端的に表現するならば、個人向けに提供するビジネスSNSの性質を持った名刺管理アプリになります。サービスの利用主体は、「Sansan」が企業であるのに対して、「Eight」はビジネスパーソン個人です。

したがって、「Sansan」は転職するとその会社で使っていたアカウントは使えなくなりますが、「Eight」はビジネスライフを通じて、生涯使い続けることができるという特徴があります。サービスの利用フローとしては、まずご自身の名刺を撮影すると、その情報が正しくデータ化され、自身のアカウントが作成されます。

SNSでいう、いわゆる自身のプロフィール情報です。名刺が変わるたびに撮影したり、兼業・複業の名刺、過去の名刺の登録のほか、職務経験やスキルを入力できるため、ビジネスライフを通じて、自身のプロフィール管理が可能な設計になっています。

アカウントが作成された後は、手元にある交換した他人の名刺を撮影するだけで、それらがデータ化され、クラウド上での名刺管理機能の活用が可能となります。個人向けの名刺管理アプリのため、「Sansan」のような高度なデータ活用の機能は備えていませんが、名刺を管理・検索し、容易にアクセスできる利便性の高い基本機能を備えています。

また、データ化した名刺の保有者が「Eight」ユーザーであった場合、アプリ上でつながることができるため、メッセージ機能を通じて相手とチャット形式で連絡できるほか、相手の名刺情報に変更があった場合には自動的に通知が届くといったネットワーク機能を活用できます。

そして、これらの基本機能は無料で提供しています。どこでマネタイズをしているのかについては後ほどご説明します。

「Eight」の沿革

6ページでは、「Eight」サービスの沿革についてご説明します。「Eight」は社員2名、インターン1名の体制で、Sansan事業部の片隅みのエリアで開始しました。社内限定公開や招待制での利用など、さまざまなテスト・検証を経て、2012年に一般向けにサービス提供を開始しました。現在は100名を超えるメンバーでサービスを支えています。

当社は法人向け名刺管理サービス「Sansan」が創業事業ですが、いずれは世の中の名刺のやり取りをすべてデジタルで完結したいという思いがあり、その実現に向けて、法人だけでなく、個人も含めた両面で取り組む必要があると考えました。

また、先ほどもお伝えしましたが、「ビジネスのつながり=人脈」は個人の資産ですが、それらを管理できるものがなかったため、ビジネスコンタクトを集約できるサービスを作ろうと思ったのがきっかけです。

機能面については、2010年あたりからさまざまな試行錯誤を続けてきましたが、2013年に「メッセージ機能」を搭載して以降、現在の「Eight」の大きなかたち・枠組みが作られました。それは「名刺情報を貯める」アプリではなく、「ビジネスのつながりを活用する」アプリへ、すなわちビジネスネットワークへ進化させたということです。

そのために「メッセージ機能」だけでなく、「プロフィール機能」や「オンライン名刺交換機能」を搭載し、ビジネスのプラットフォームとして使用されるようなアップデートを継続的に行ってきました。

そして、2015年には個人向けの有料サービスを、2017年以降は企業向けのさまざまな有料サービスの提供を開始し、現在ではこれらマネタイズの強化に取り組んでいます。詳細は後ほどお伝えします。

「Eight」のポジショニング

7ページです。「Eight」のユーザー数は当第2四半期末で281万人となりました。このユーザー数の定義は、単純なアプリのダウンロード数ではなく、アプリをダウンロード後に自身の名刺をプロフィールに登録し、実際に利用を開始したユーザー数となっています。サービスの開始以降、さまざまなメディアで取り上げられ、着実にユーザー数を伸ばしてきました。

2018年5月期第3四半期には、初めてテレビCMを放映しましたが、それ以降、さほど大きなプロモーションコストをかけることなく、堅実な拡大が続いています。その結果として、「LinkedIn」など、他社が展開する国内の主要ビジネスSNSと月間のアクティブユーザー数を比較すると、当社の「Eight」がNo.1のポジションとなっています。

業績推移

8ページは、Eight事業の四半期別の業績推移になります。スライド左側のグラフは、後ほどご説明する、BtoC、BtoBサービス別に売上高を示したものです。BtoC向けの有料サービスは2015年から、BtoB向けは2017年から開始したばかりですので、規模はまだ大きくはありませんが、着実な成⻑が続いています。特に、2019年5月期からBtoB向けサービスのマネタイズを強化したことで成⻑が加速し、セグメント全体の業績拡大をけん引しています。

スライド右側の営業利益についてですが、本事業はマネタイズを開始したばかりで、まだ投資が先行するフェーズであるため、赤字を計上しています。先ほどご説明したとおり、2018年5月期第3四半期にはテレビCMを放映し、大きな赤字となりましたが、以降は大きな広告宣伝活動はしていないため、売上高の増加に伴い、徐々に赤字が減少していくフェーズに入っています。

マネタイズの方針

続いて、有料サービスの各ビジネスモデルについてご説明します。10ページは、現在の主なマネタイズプランを示したものです。有料サービスを大きく分類すると、「名刺管理サービス」「広告サービス」「ビジネスイベントサービス」「採用サービス」の4つに分けられます。

この中で「名刺管理サービス」については、BtoC、BtoBの両方で有料プランを展開していますが、残りのサービスはすべてBtoBで、企業からマネタイズをするモデルとなります。名刺管理以外のサービスは、「Eight」が保有するユーザーベースを活かした、「Eight」ならではのマネタイズプランといえます。先ほどの業績推移にあったように、これからの成⻑をけん引するのは、これらBtoB向けのプランになります。

①名刺管理サービス「Eightプレミアム」/「Eight 企業向けプレミアム」(1)

11ページ以降では、各プランの詳細についてご説明します。初めに「名刺管理サービス」についてです。個人向けに提供している「Eightプレミアム」は月額480円、または年額4,800円で、無料の基本機能に加え、「名刺データのダウンロード」や「画像メモ機能」などの追加機能が使えるサービスです。

無料で利用している場合には、名刺の表面の主要項目のデータ化はベストエフォートとなりますが、有料プランでは、裏面も加えたすべての項目を最優先でスピーディにデータ化します。

次に、企業向けの「Eight 企業向けプレミアム」ですが、こちらは契約することにより、企業ないしは組織内の「Eightプレミアム」ユーザー同士で名刺情報を共有し、顧客情報の管理ができるサービスです。

高度なデータ活用が可能な「Sansan」とは異なり、企業としての最低限の名刺管理ニーズに応えるサービスとなっており、主に従業員数が20名以下程度の小規模企業に対して、「月額10,000円+月額400円×ユーザー数」で提供しています。

前述のとおり、「Sansan」とはターゲットが差別化されていますが、この「Eight 企業向けプレミアム」を使ってから、「Sansan」への新規契約に切り替える事例なども一部であるため、名刺管理市場を創出するという観点で、シナジーのあるサービスであると捉えています。

①名刺管理サービス「Eightプレミアム」/「Eight 企業向けプレミアム」(2)

12ページは実績になります。まず、「Eightプレミアム」ですが、現在開示しているBtoCサービス売上高は、すべてこのサービスで構成された実績となります。「Eightプレミアム」のユーザー数自体は開示していませんので、ご了承ください。

次に「Eight 企業向けプレミアム」ですが、こちらは単独の売上高は開示していませんが、契約件数を開示しており、右側のグラフのとおり順調な拡大が続いています。これは「Sansan」にも言えることですが、日本国内の労働人口でみた場合、名刺管理サービスの浸透度はまだ2パーセント程度の低い水準にあります。

加えて、従業員数が99人以下の小規模企業は約180万社も存在しますので、企業向けサービスの伸びしろは非常に大きいものと捉えています。また、個人向け、企業向け両サービスの売上高は、料金モデルの性質上、ストック売上高としてカウントできますので、Eight事業の安定的な成⻑に寄与しています。

②広告サービス「Eight Ads」

次に広告サービス「Eight Ads」についてご説明します。13ページをご覧ください。「Eight」のアプリには、フィード画面、タイムライン画面がありますので、さまざまな企業から主にそこに出稿する広告を獲得しています。

1つひとつの広告サービスの詳細説明は割愛しますが、通常のインフィード広告やリード獲得に特化した広告、さらにはブランディングの観点を取り入れた記事広告やデータを活用した運用型広告サービスなど、幅広いサービスを提供しています。それぞれのサービスごとに料金設定は異なりますが、表示数や配信数に応じた従量制が中心となっています。

「Eight」の広告サービスの特徴としては、「Eight」ユーザーが登録していただいた自分自身の名刺データ、プロフィール情報を活用できることから、情報感度が高いと思われる、狙ったユーザーに広告を届けられる点が挙げられます。

また、「Eight」は国内最大規模のビジネスパーソンが登録するサービスであり、多くのユーザーはビジネスに意識が向いている時にアプリにアクセスする傾向があることから、BtoB広告の訴求内容に対して高いエンゲージメントが期待できるといった特徴も有しています。

③ビジネスイベントサービス「Meets」

14ページでは、ビジネスイベントのサービス「Meets」についてご説明します。このイベントは、何かのサービスを売りたい企業とそれを買いたい顧客の両者が出会う場を提供する、セールスピッチ、商談イベントのサービスになります。

具体的には、「Eight」のテクノロジーやデータを活用して、最適な来場者ターゲティングを行い、「Eight」ユーザーの中から、優良な見込み顧客を集客します。その上で、参加企業側には6分間のセールスピッチをしていただき、その後、質疑応答などを経て、最終的には各サービス担当者と「Eight」ユーザーである見込み顧客との間で個別のミーティングができるという設計になっています。

料金が発生するのは、サービスを売りたい企業側だけであり、主にはイベントの開催形態や規模に応じた固定料金制となっています。1社当たりおおむね数十万円から100万円、200万円というように、イベントによって異なります。

コロナ禍以前はオフラインでの開催をメインとしていましたが、現在ではオンラインでセミナー動画の視聴や担当者とのミーティングが可能な形態で実施しています。また、決算説明のパートで触れましたが、当第2四半期に「Climbers」という新しいビジネスイベントも開催しており、今後も定期的に実施していきたい考えです。

④採用サービス「Eight Career Design」

マネタイズプランの最後として、「Eight Career Design」についてご説明します。15ページをご覧ください。始めて2年程度になりますが、これは「Eight」のユーザーに対してダイレクトリクルーティングが可能な採用サービスです。

ここまで、「Eight」は国内最大規模のビジネスパーソン基盤を有しているという説明をしてきましたが、採用サービスの観点ではもう1つ大きな特徴があります。それは、「Eight」ユーザー層は、まずは名刺管理を目的にアプリに登録しているという性質から、他社の転職サービスにはまだ登録していない、いわば未開拓の優秀な人材層と捉えることができるということです。

そして、名刺情報を自身のプロフィール情報に設定し、さらには職務経歴やスキルといった情報も登録できることから、採用側からすれば、採用したい優秀な候補者を容易に見つけ出し、プールしておくことが可能なサービスとなっています。

昨今のように、需給がひっ迫する中で優秀な人材の採用をスムーズに進めるためには、タイミングのキャッチが非常に重要となりますが、「Eight Career Design」は、ユーザーのプロフィールの更新や転職意向度の変化など、転職意欲が高まったタイミングをタイムリーにつかめる仕様にしていますので、現在の採用における課題に対応したサービスとなっています。

料金モデルは、プランに応じた月額の固定料金に加えて、採用決定時に1人当たりの成功報酬をいただくモデルとしていますが、年収の35パーセント前後の手数料が発生する一般的な他社サービスに比べて、高い価格競争力があると捉えています。国内の採用市場は非常に大きなマーケットですので、今後、大きな収益の柱となっていくことを期待しています。

イベントテックサービスとの関連性

続いて、16ページをご覧ください。先日公表した、当社グループの新たな取り組みであるイベントテックサービスにおいて、Eight事業が果たす役割も大きなものになっています。ここでいう「イベントテックサービス」とは、テクノロジーを用いてイベントの主催者・運営者を支援するサービスですので、先ほどご説明した「Meets」といった、当社が主催するビジネスイベントのサービスとは異なるものと考えています。

イベントテックのサービス群のうち、「Eight Ads」「Smart Entry」については先ほどご説明していますので、ここでは、ビジネスイベントのプラットフォームサービス「Eight ONAIR」について簡単にご紹介します。

ビジネスイベントプラットフォーム「Eight ONAIR」

17ページをご覧ください。「Eight ONAIR」は現在開発中の機能になりますが、「Eight」上に、現在開催中、そして今後開催予定のイベントを一覧として集約・表示する専用ページになります。

コロナ禍では、オンラインでのセミナーやイベントが主流になったことで、参加ユーザーからすると移動時間が不要になり、手軽に視聴したり、隙間時間を有効に活用したりすることができるようになりました。

しかしながら、イベントとの出会い方は、Web上での検索や偶然SNSで見つけるといった体験が多く、興味のある情報にリアルタイムにキャッチアップができず、⻭がゆい思いをすることも少なくありません。

この「Eight ONAIR」は、「Eight」上で専用のページを見るだけで、自分の職業や属性に合った最適なイベントに出会うことが可能となります。そして、「Eight」ユーザーの方は、ご自身の名刺情報をすでにプロフィールとして登録していますので、煩わしいフォーム入力等をすることなく、参加ボタンを押すだけで、すぐにその場でイベントに参加することができます。

イベントの主催者側は、告知ページを簡単に開設することができ、それだけで「Eight」ユーザー層へのアクセスが可能となります。加えて、参加者情報は入力ミス等が発生しやすい手入力ではなく、正しくデータ化された名刺情報からもたらされますので、主催者からしても大変価値の高い機能になっていると捉えています。

現時点で、本機能でのマネタイズは予定していませんが、これによってイベントテックサービスの成⻑を後押しできるだけでなく、「Eight」ユーザーの増加にも大きく寄与することを期待しています。

Eight事業部の体制

次に、Eight事業部門の体制についてご紹介します。18ページをご覧ください。ご覧のとおり、現在、Eight事業部は5つの部で構成されています。約1年前は、事業部内を細かく分けた部を設定していませんでしたが、マネタイズプランの充実や進捗状況に合わせて組織体制を変更し、強化しました。

事業部内には、「プロダクト部」という部があり、「Sansan」とは異なる専用の開発人員も有しています。BtoBの各サービスについては、マネタイズを開始して間もないものもあり、それほど多くの営業人員がいるわけではありませんが、例えば、「Eight 企業向けプレミアム」は7名、「Eight Ads」は約10名、「Eight Career Design」は6名程度の体制で営業活動を行っています。売上高がきちんと伸びていくことが前提ですが、マネタイズを加速させていくにあたっては、今後は人材採用も強化していく必要があると考えています。

成⻑実現に向けた主な課題/施策

今後の成⻑戦略についてです。20ページで、成⻑実現のための主な課題や施策について、ポイントをご説明します。

「Eight」サービスを大きく伸ばしていく上では、ユーザー数をさらに増やしていくことは必要不可欠ですので、重要な指標として毎月モニタリングしています。現在は、大きなプロモーションを行うことなく、名刺管理サービスの浸透によって安定的にユーザー数が拡大していますが、先ほどご説明した「Eight ONAIR」のような新たな機能等を通じて、さらに拡大させていきたいと考えています。

また、各ユーザーのエンゲージメントを高めていくことも重要ですので、「オンライン名刺」機能や自身のプロフィールを充実させられる機能など、さまざまな仕掛けを投じ、日々のアクティブ率の向上にも努めていきます。

一方、ネットワーク価値を高めることばかりに投資してしまうと、事業としての収益化が難しくなるため、マネタイズについても同時に強化していき、まず短期的にはEight事業での単月黒字化を実現させたいと考えています。マネタイズの中心となるのはBtoBサービスですが、現段階ではいずれも始めて間もないですので、「企業向け名刺管理サービス」「広告サービス」「ビジネスイベントサービス」「採用サービス」の4つをバランスよく伸ばしていく方針にしています。

また、過去にビジネスイベントや採用サービスを追加してきたように、「Eight」が保有する質の高いデータを活用した、新たなサービスの創出についても積極的に取り組んでいきます。

「Eight」の目指す将来像

最後に21ページをご覧ください。Eight事業が目指している将来像やビジョンをお伝えするならば、それは「新たな出会いを創出するプラットフォームとなる」ということです。

現在の「Eight」は、アナログとデジタルをつなぐ役割は担えていると思いますが、大きく成⻑させていくためには、デジタルとデジタルのやり取りやオンラインの世界において、今以上に十分な価値を提供するネットワークサービスにしていく必要があります。

例えば、先ほどご説明したような、オンラインでのビジネスイベント「Meets」や、イベントプラットフォームのサービス「Eight ONAIR」は、「Sansan」サービスでは実現できない、「Eight」ならではの価値や役割だと思っています。そして、「Eight」が有するユーザーベースや貴重なデータを活かしていくことで、現在では実現できていないような新しい出会いをまだまだ多く作りだせると考えています。

ほんの一例ではありますが、デジタルでのやり取りによって、簡単に出会いを記録できるようにすることで、今までであれば埋もれてしまっていた、ビジネス上の弱いつながりについても、必要な時に必要な手段で簡単に思い出せる環境を作ることも新しいかたちであると思います。

これらのデジタル化を進めていくという観点では、現状のコロナ禍は事業にとって追い風の状況であると捉え、早期でのビジョンの達成に向け、取り組んでいきます。これらを実現したあかつきには、「Eight」ユーザーの数は現在の数倍の規模になると期待しています。Eight事業を、Sansan事業に次ぐ当社グループの大きな収益の柱に成⻑させたいと考えています。以上で、説明を終了します。ありがとうございました。

質疑応答:「オンライン名刺」の普及について

質問者1:まず1点目は、Eight事業の塩見さまにお願いします。私も「Eight」のユーザなのですが、特に最近は「オンライン名刺」が非常に便利だと思っています。最後におっしゃっていたように、デジタルとデジタルをつなぐネットワークにしていくにあたっては、この「オンライン名刺」を普及させることが非常に重要になると思っているのですが、一方で、個人的には、繰り返して使う方はまだそこまで多くはないと感じています。

ただ、オンラインミーティングで連絡先がわからず困っている人は多く、潜在的なニーズはとても大きい中、まだそこまで普及していないということだと思います。どうすればもっと爆発的に「Eight」の「オンライン名刺」が普及していくのか、何がボトルネックで、どうすれば解消するかなど、今の見通しがあれば教えてください。

塩見:「『オンライン名刺』をどのように普及させていくのか?」というご質問だと理解しました。先ほどご説明させていただきましたが、まずは「オンライン名刺」を実際に使える場を増やしていくことが一番重要かと思っています。

先ほどご説明したとおり、イベントテックサービス各種において「オンライン名刺」が使える仕掛けを入れ込んでいます。特に、Eight事業では「Smart Entry」システムが「オンライン名刺」に対応していますので、こちらを使っていただける事業者さまやサービスをまず増やし、とにかく「オンライン名刺」が便利に使える環境を整えていくところが最優先課題かと考えています。

もちろん、我々が今後提供していく「Eight ONAIR」や大規模イベントの「Climbers」「Meets」といったところでも、「オンライン名刺」を使った便利な機能による「オンライン名刺交換会」といったイベントも含めて浸透を図っていきたいと考えています。

質問者1:ありがとうございます。イベント関連で露出を増やしていくことで、じわじわと浸透していくことだと理解しました。個人的には、自分が送っても相手が返してくれないことが非常に多いため、そこが解消するとよいと思っています。

質疑応答:「Bill One」契約件数1,000件以上という目標について

質問者1:2点目は「Bill One」に関してです。今回、残り1年半で1,000契約という、なかなか野心的な目標を設定されましたが、単価が10万円くらいだとして、1,000社導入するとARRが12億円になりますので、残り1年半で取り組むにはかなり高い目標だと見ています。

一方で、今までは事業部ではなかったところを事業部化して、数十人体制で営業していくということで、これまでどのような営業体制で、どれくらいの成果が出ているのでしょうか? 今後は人を増やすだけではなく、マーケティングなども行うと思うのですが、このあたりについて、もう少し具体的にどのような営業活動で1,000契約を達成するのか教えていただけますか?

寺田:先ほどの説明の中にもありましたとおり、事業部としては二十数名の体制になります。また、直近でどんどん人員を足している状況ですので、例えば去年の11月あたりで営業としては数名だったところから今はどんどん増やしています。先ほどの事業部の中に開発から営業、CSという、SaaSに必要な組織を一通り入れ、それぞれ拡大を図っている段階ですので、営業に関して言うとそのくらいの規模です。

他方で、Sansanとしては「培ってきたSaaSを拡大していくノウハウを『Bill One』にすべてぶち込むんだ」という気持ちで取り組んでおり、採用もマックスでかけていこうと思っています。

また、ご指摘いただいたように、マーケティングについてもこれまで培ってきたノウハウもそうですし、今の我々としてはウェアを伸ばしていくことの優先順位も鑑み、投資も躊躇なく行うということで、いろいろな施策を計画しています。Sansanというブランドの価値も最大限に使いながら、市場戦も含め、そしてマーケティングも含め、総合的に「Bill One」を立ち上げていこうという想いです。

当初は数年間かけて「Sansan」の初期を築いたのを、今の我々であれば1年といった短期間で十分できるのではないかという気持ちでリソースを投じています。これができるのも、「Sansan」という事業自体のリソースを無理矢理割くわけではなく、「Sansan」にも引き続ききちんと投資して注力しながら、細部で「Bill one」にも注力しているだけのフェーズにあるからであり、その上に活用して伸ばしていきたいと思っています。

質問者1:もしかしたら、将来的に「Bill one」のテレビCMを見ることになるのかと期待しています。

質疑応答:「Eight」のMAU・DAUについて

質問者2:「Eight」事業についてお聞きします。現状、ユーザー数は281万人到達とご紹介いただいていますが、MAUやDAUは開示できますでしょうか? 具体的な数字がなくてもよいので、利用の頻度についてお伺いできればと思います。

併せて、これからオンエアなどで非常におもしろいものがあるとDAUが上がってくるのかと思い、期待していますが、何をどのように投入するとMAUやDAUが上がっていくのか、御社の今の期待値について教えてください。また、それがどれくらいの期間かについて、何かお話しいただけることがあればお願いします。

塩見:MAUの具体的な数値は開示していませんので、申し上げにくいのですが、おおむね現時点のユーザー数の3分の1程度と考えていただければよいかと思っています。

また、オンエアを通じてMAU・DAUを増やしていくという戦略についてですが、「Eight」自体はかなり高い頻度で使っていただいているサービスだと思っています。しかし、日々チェックするようなニュースやコンテンツはまだまだ不足していると考えています。

その中で、今ニーズのあるイベントに対して情報を提供し、名刺管理以外の情報入手とビジネス系のコンテンツに触れる数を増やすことによって、MAU・DAUのリフトがかなり期待できるのではないかと考えています。

重ねて、「Eight」を使うと非常に簡単にイベントに参加できるという体系を広げていくことで、既存のユーザーがアクティブになりますし、実際に「Eight」をイベントに参加するために使ってみたいと思っているユーザーもかなりの確度で取り込めるのではないかと考えています。こちらは今期中にサービスローンチして、積極的に展開していきたいと考えています。

質疑応答:解約率の上昇について

質問者3:まず、全体についてお伺いします。解約率が若干増えたことに対する認識と、背景があれば教えてください。

橋本:開示しているとおり、解約率は0.65パーセントとなっています。12ヶ月の平均で見ると少し上がっているのですが、具体的に「このような傾向がある」「大きなお客さまが抜けた」という印象はなく、個別に積み上がった結果かと思っています。

月別で見るともっと解約率が小さい月もありますし、0.5パーセントから少し上振れた月もあります。変動はありますが、それに対して課題を感じているということはなく、日々解約の阻止に向き合っている状況です。施策が功を奏すれば、少しずつ上げていくことができるかと思っています。

質疑応答:「Bill One」のマネタイズについて

質問者3:「Bill One」についてお伺いします。料金収受のシステムやマネタイズの方法、ないしは契約している方たちから単価的にどれぐらい頂戴しているかなど、売上につながる数字感のお話はありますでしょうか? 今後、契約者数が増えるともう少し違ったマネタイズのかたちになりうるのかなど、現状や今後について等を教えていただけないでしょうか?

寺田:「Bill One」も純然たるSaaSのモデルですので、月額の課金を設定してお客さまからいただくかたちになります。「Bill One」を利用する、請求書を受け取る側の企業さまから月額金をいただくということです。

「Sansan」もそうでしたが、ビジネスモデルというのは日々改善していくものだと思います。現時点では受け取る請求書の枚数に応じた月額の課金の設定ということで、ここも「Sansan」と似たモデルになっています。つまり、規模に応じて請求書の枚数が異なりますので、月額金もそれに応じて変わってくるというモデルです。

現状は、立ち上げ当初ということで、どちらかというと中小・中堅くらいから入り始め、下は数万円から、上は10万円、20万円とバラついています。ただ、「Sansan」同様、エンタープライズでも十分戦えるサービスであり、実験も始まっています。エンタープライズのようになると桁違いの月額課金をいただけるものも出てくるかと思います。

今は立ち上がりですので、ARPUの見通しは申し上げにくいのですが、「Sansan」と同じような推移も十分あるかと捉えています。

質疑応答:営業活動におけるコロナ影響と「Bill One」の限界利益について

質問者4:2点お願いします。1つ目はSansan事業に関してなのですが、営業活動の状況に関してアップデートをお願いできますでしょうか? 3ヶ月前くらいは「コロナ後の落ちたところからかなり改善してきているが、コロナ前までは戻っていない」という状況だったと思うのですが、現状はどのようなイメージでしょうか? また、オンライン商談ができるようになったと思いますが、今また緊急事態宣言が発出されています。これは営業活動に影響しているのでしょうか?

2点目は「Bill One」に関してです。デジタイゼーションで手作業も必要なのかと思っているのですが、ビジネスの限界利益はどう考えればよいのでしょうか? 可能な範囲でコメントをお願いします。

橋本:正直、コロナ禍において何が定常なのかが見えにくいのが実態です。営業活動は十分行っていますし、その中において、我々が期初に予測した範囲である程度十分な活動はできているかと思います。

ただ、新型コロナウイルスがなかった場合からすると、まだまだ納得できる水準だとは思っていません。したがって、プロダクトの進化もそうですし、営業力の強化も引き続き図りながら、ポストコロナをにらみ、どんどん取り組んでいる状況です。今なお躊躇なく営業人員を増加させていこうと思っていますので、そのあたりを含めて再加速できるのではないかと捉えています。

寺田:「Bill One」について回答します。このサービスは本当に「Sansan」的であり、裏側では、名刺のデータ化を担っているDSOCという部隊で請求書のデータ化を行っています。テクノロジーとオペレーションを組み合わせていますが、今は開始当初ですので、手作業の部分が非常に多いです。これは「Sansan」もそうでした。

ただ、蓄積されていくデータを含めながらどんどん自動化率を上げていくことは可能だと思っています。スケールしていく中で、単にその処理能力を上げるだけではなく、1枚あたりの単価もどんどん下がっていくと思っています。

今は限界利益等々の細かいことを申し上げられる状況ではないのですが、例えば、今「Sansan」で名刺を1枚処理するコストは、創業当初から比べると10分の1以下になっています。最終的には、データを処理するコスト自体もソフトウェアの原価的な観点で十分吸収できるところまで落ちると思っていますので、十分利益の高いビジネスが目指せるのではないかと捉えています。

質問者4:名刺はユーザーサイドがスキャンすると思うのですが、「Bill One」は請求書が御社に送られ、それを御社がスキャンするというステップが必要なのかと思います。これは考え方が違うのでしょうか?

寺田:ほとんどは請求書を送る企業側がメールで送ったり、「Bill One」にアップロードしたりしています。紙の請求書については、我々がセンターで受領してスキャンする行為が発生しますが、全体の中における割合としては決して高くなく、むしろかなり低いかと思っています。

また、「Sansan」についても、初期の取り組み等において名刺の「スキャンセンター」を持っており、お客さまの物理名刺をお預かりしてスキャンすることを日々行っています。それと似たような範囲、もしくはそれより狭い範囲であるため、そのコストが「Bill One」の事業において構造を変えるものだとはまったく思っていません。

質疑応答:請求書の国際規格について

質問者5:私も「Bill One」について質問します。請求書の国際規格を導入しようというお話があると思うのですが、このあたりの標準化が進んだ場合の事業環境の変化についてはどのようにお考えでしょうか?

寺田:「Peppol(ペポル)」や電子インボイスの話については、我々もメンバーを派遣して議論に参加しています。請求書データのフォーマットが標準化されることは、「Bill One」にとっては非常に追い風になると思っています。

名刺と同じく、請求書はいろいろなフォーマットがあり、いろいろな送り方があります。「Bill One」が成立している理由の一番大きな部分は、その組み合わせの中でデジタル化が進んでいないことだと思います。仮に「Peppol」のような電子請求書の標準化が進んだとしても、すべてがそれに対応できるかというと必ずしもそうではありません。

中小企業が対応しきれないことも含め、我々が存在するからこそそのフォーマットへの変換も担えるのではないかと考えています。実際にそのような期待もしていただいていますので、我々としては、流通する請求書そのもののフォーマットの標準化にも積極的に関与しながら、「Bill One」という事業の流れを加速できるのではないかと思っています。

質問者5:今は請求書を発行する側と受け取る側のお話でしたが、例えば、仕様が統一されることによって、今まで請求書を発行する側を担っていた企業が、「Bill One」のように受け取る側の電子化にも参入してくるといった競争環境の変化はありますでしょうか?

寺田:他社の動きを必ずしも精細に予測できるとは思わないのですが、結局いろいろなフォーマットが存在します。また名刺を例に挙げると、名刺も「最初からすべてデータにすればよいではないか」と言えば、それで解決するはずなのですが、やはりそれぞれの会社、それぞれの規模、それぞれの体力においていろいろなフォーマットが出てくるのが常かと思います。

その中において、このフォーマットが出たからといって、事業構造が何か変わったり、違うプレイヤーが入ってきたりということはあまり想定していないのが現状の見立てになります。

質疑応答:契約形態の変化への対応について

質問者6:漠然とした質問で大変恐縮なのですが、例えば電通などのように、従業員の方を個人事業として切り出し、会社と個人事業主との付き合いになるなど、契約形態が変わるケースがこれから増えてくることも考えられると思います。

こうしたことが増えてきた場合、御社としてはどのようなアプローチが可能なのでしょうか? 今は、会社に所属しているのであれば「Sansan」、個人であれば「Eight」を使えばよいと思うのですが、契約形態が多様化した場合、ちょうど間に来るものが増えてくるのではないかと思います。この点について、何か考えていることはありますか?

寺田:例えば「Eight」で言うと、「2枚目の名刺」という機能を去年の秋に出し、かなり反響をいただきました。つまり、兼業・副業の名刺も含めて自分のプロフィールとして登録できるということです。先ほど「Eight Career Design」というエージェント的な転職サービスについてご説明しましたが、そのうち、兼業・副業をマッチングすることも「Eight」として十分取り組むべきであるという捉え方をしています。

「Sansan」についても、利用企業の中では、すでに契約関係にある業務委託の方や一部の派遣の方も含め、データベースとして統合的に管理しているケースも非常に多いです。つまり、会社として顧客アセットをどう管理していくかという課題の重要度自体は変わりません。

契約形態が多様化すればするほど、もしくは今のようにリモート環境になればなるほど、一元化管理することの重要度が上がると思いますので、契約形態の多様化の流れにおいて、「Sansan」の重要度も上がってくるのではないかと捉えています。

質疑応答:「ビジネスインフラになる」という思いについて

質問者7:私も漠然とした内容で恐縮なのですが、今回の統合報告書や御社ホームページの年初の寺田社長のメッセージを拝見していると、あらためて「ビジネスインフラになる」という思いを強めているように思います。

IPOの時にも語っていただいたところだと思うのですが、社長がお考えになっているビジネスインフラというのは、どのような状態なのでしょうか? また、そのために御社に今足りないものはどのようなものなのかについて教えていただけますでしょうか?

寺田:一言で言うと、なくてはならないものの重ね合わせのような存在をイメージしています。ビジネスを行う企業やビジネスパーソンが我々のサービスを何らかのかたちで利用している状態を、多層的に作っていけるかどうかということだと思います。

多層的と申し上げたのは、ベースラインとなる、人と人のつながりや顧客アセットとしての名刺、ならびにオンラインも含めた「進化する名刺」をどう管理していくかということであったり、今回の請求書の取り組みがあるからです。また、弁護士ドットコムさまと契約書の取り組みもしています。さらには、イベントテックということで、人々が出会う場、人々がマッチングされてビジネスを起こしていく場に対して触手を伸ばしています。

もちろん、今日ご紹介したことはいきなり去年始めたわけではなく、数年前から取り組んできたことですし、今もまだ世に出していない新しい取り組みをどんどん始めています。一つひとつを紐解いていくと、我々が行っていることは、手前味噌ですが、一個一個が市場創造だと思っています。「Sansan」で新しい市場を作ってきたと少なからず自負しています。今回のオンライン名刺も、「Sansan」の上に乗る機能だったりもしますが、新しい市場を作っている気持ちで取り組んでいます。

「Bill One」についても、新しい市場を作っているという実感は非常に持っていますし、イベントテックという言葉は、まだ世に出ていなかったところから我々が作っています。最初はイノベーションかもしれませんが、我々にしかできない、でも実は汎用的で、ビジネスを行う上では絶対に必要になるものを作ることで、一つひとつを当たり前にしていき、それがない世界が想像できないということを積み重ねていきます。その営みそのものが、「ビジネスインフラになる」という言葉に込めた想いです。

したがって、「このような状態になったらゴールです」ということを言いたいわけではありません。覚悟やビジネスインフラを目指していくことを掲げること自体が、我々にとって非常に重要ではないかと思い、掲げているものになります。