会社概要

茂木貴雄氏(以下、茂木):代表取締役社長の茂木でございます。私から、2021年3月期第2四半期決算概要をご説明します。はじめに、会社概要となります。

当社は、2001年10月に創業、2015年3月に東証マザーズへ上場しました。日本で初めて、コールセンター向けのクラウドサービスの提供を開始しており、約750拠点の導入実績があります。

会社概要_サービスラインナップ①

当社サービスラインナップは、コールセンター運営に必要不可欠な4つのサービスが主軸となっています。電話系システムとして「@nyplace(エニプレイス)」と「COLLABOS PHONE(コラボスフォン)」の2つがあります。「@nyplace」は、米国AVAYA社のシステムをベースとしており、高機能で、大規模なセンター向けです。

一方「COLLABOS PHONE」は、コールセンターにおける基本機能を有しており、短納期・低価格が特徴です。

顧客管理システムとしては、インバウンドコールセンター用に「COLLABOS CRM」、アウトバウンドコールセンター用に「COLLABOS CRM Outbound Edition」を提供しています。

会社概要_サービスラインナップ②

さきほど説明した4つの主軸サービスに加えて、業務をサポート、効率化する5つのITソリューションもあわせて提供しています。昨年リリースした「AmiVoice(アミボイス)」は、通話内容をテキスト化して自動で回答内容を表示するなど、AIを活用したサービスとなっています。

もう1つ、AIを活用したサービスとして「Golden List(ゴールデンリスト)」があります。こちらは、企業の持つ顧客データを基に、「いつ、誰に、どの商品が売れるか」を独自解析して、成約見込みの高いリストを作成するサービスで、アウトバウンドの費用対効果を高め、収益向上に貢献できるサービスとなっています。

他にも、LINEと当社「COLLABOS CRM」とのチャット・ボット連携など、コールセンター運営において必要となるシステムについては、ワンストップで提供が可能です。

会社概要_クラウド型CRM市場推移

マーケット状況の資料です。システムを自社で保持・構築するオンプレミス型から、クラウドサービス型への移行がさらに進むと予測されており、2021年度には逆転すると予測されています。

会社概要_クラウドサービスのメリット

クラウド型コールセンターシステムを導入する主なメリットをまとめています。自社でシステムを保持・構築する必要がないため、初期費用を抑えることができ、短納期でコールセンターを構築できます。

また、席数に応じた月額課金制で、一時的なキャンペーン等の席数増加にもフレキシブルに対応できます。さらに、保守やバージョンアップのための作業員が不要で、常に最新のサービスが利用可能です。

会社概要_導⼊先企業の特徴(2020年9⽉末時点)

導入企業の特徴についてですが、業種は、主にテレマーケティング、アウトソーシング等のサービス業を中心に、製造メーカー、金融に至るまで幅広い業種で導入いただいています。

また、当社サービスの継続利用年数としては、約半数のお客さまに、5年以上当社サービスをご利用いただいています。10年以上ご利用いただいている企業も1割以上あり、長期契約のウェイトが高まっています。

会社概要_導⼊先企業(⼀部)

現在、当社サービスをご利用いただいている企業の一部となります。最近では、テレビコマーシャルでお馴染みのニキビケアシステムを提供しているプロアクティブや、海外保険、国内保険でお馴染みのエイチ・エス損保の導入事例を当社ホームページに公開させていただきました。

損益計算書(サマリー)

第2四半期の決算概要についてご説明します。2021年3月期第2四半期決算ですが、売上高は10億1,700万円となり、第2四半期の売上高としては過去最高となりました。第2四半期においては、「@nyplace」の期間満了に伴う大型案件の終了があったものの、既存顧客の業務拡大に伴う拠点の拡張や増席、また新規案件の獲得が売上増加に寄与しました。

一方、営業利益は「@nyplace」の交換機等への先行投資、人材関連への投資、中期経営計画における開発費用等の増加により6,300万円で、経常利益は6,500万円という結果となりました。

なお、当社の子会社だった株式会社シーズファクトリーは、今後の事業展開におけるシナジー効果を見据え、2020年7月1日付で吸収合併しています。

サービス別売上⾼⽐較

各サービスの売上高の前年同期比較となります。当社の売上高の8割を占める「@nyplace」は、前年同期比3.7パーセント減、「COLLABOS PHONE」は、前年同期比24.6パーセント増となりました。

その他については、AI音声認識サービス「AmiVoice」が前年同期比で大きくプラス成長となりました。

サービス別分析 電話システム関連

電話系システムの「@nyplace」と「COLLABOS PHONE」の売上高、および期間平均契約数の推移についてです。まず「@nyplace」については、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、既存顧客において、官公庁の給付金業務受注や国勢調査案件などのブース拡張による数百席規模の増席や、EC・通販需要の高まりによる増席、さらに「3密」対応で人と人の間をあけるための拠点追加等が発生したことによる売上の増加がありました。

一方で、前期および当期での大型案件の契約終了により、月額利用料金が減少して、期間平均利用席数は7,168席、売上高は7億5,711万円となりました。

また「COLLABOS PHONE」については、コストメリット重視による堅調な引き合いを背景とした大型案件を含む新規契約の獲得の他、既存顧客において、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う小売業の人材需要拡大による業務拡大等により、期間平均利用チャネル数は1,675チャネル、売上高は1億3,074万円となりました。

サービス別分析 顧客管理システム関連

コールセンター利用に特化した顧客管理システムについてです。「COLLABOS CRM」については、電話系サービスと組み合わせたトータルソリューションの提供により、当社サービス全体の売上高に寄与しているものの、スポット案件等の終了に伴う契約ID数の減少等により、期間平均利用ID数は2,002ID、売上高は6,375万円となりました。

一方、「COLLABOS CRM Outbound Edition」については、大型のテレマーケティング会社のアウトバウンド業務需要による新規契約等により、期間平均利用ID数は925ID、売上高は2,441万円となりました。

営業利益の増減要因

営業利益の増減要因となります。営業利益は、売上原価、販管費ともに増加して、前年同期1億円に対して6,300万円となり、3,600万円の減少となりました。

主な要因は「COLLABOS PHONE」およびその他の「AmiVoice」等の売上高増加による増益が1,700万円に対して、「@nyplace」の大型案件の終了に伴う月額費用の減少、および今後の需要拡大を見据えた先行投資の増加があり、2,500万円の減益、また販管費は2,900万円の増加となり、内訳としては人的リソースの確保・拡充に伴う給与・賞与制度の改定等の環境改善による人件費関連の増加が3,700万円、中期経営計画の開発等に伴う業務委託費や広告費、その他雑費が1,700万円増加、一方、コロナ影響に伴う営業活動の一部自粛や社員の出張制限等による企業活動費用が2,600万円減少しました。

貸借対照表(サマリー)①

貸借対照表です。こちらは時間の都合上、口頭での説明は割愛させていただきますが、次のページにポイントをまとめていますのでご覧ください。

貸借対照表(サマリー)②

主な増減については、開発投資等による無形固定資産が5,200万円増加しています。

キャッシュ・フロー計算書(サマリー)

キャッシュ・フロー計算書です。こちらも時間の都合上、口頭での説明は割愛させていただきますが、次のページにポイントをまとめていますのでご覧ください。

営業キャッシュ・フロー計算書

前年同期と比べて、開発投資等による投資活動キャッシュ・フローが増加しています。

中期経営計画の進捗状況_3つの成⻑戦略

2020年5月12日に開示した中期経営計画の進捗について説明させていただきます。主軸についてですが、1つ目は、現有サービスを補完・強化するサービスの開発、2つ目は、AI技術を活用した新しいサービスのリリース、3つ目は、マーケティング事業領域への参入となっています。

中期経営計画の進捗状況_戦略マップ

「戦略①」から「戦略③」は、個別でのサービス提供もありますが、まったくつながりがないものではなく、連携してご利用いただけるものとなっており、特に「戦略②」と「戦略③」に関しては、密接に連携して提供していくものとなります。

また既存のサービスは、「@nyplace」はそのまま存続しますが、それ以外のサービスは、基本的に「戦略②」と「戦略③」に集約されるかたちとなります。

中期経営計画の進捗状況①

中期経営計画の目標売上高は、2021年3月期が21億円、次年度が24億円、最終年度が28億円であるのに対して、2021年3月期第2四半期の実績は10億1,700万円となりました。なお、通期業績予想数値は、21億4,000万円としています。

中期経営計画の進捗状況②

「戦略①」については、計画当初の予定よりも前倒しで開発を完了し、2020年10月29日にリリースを完了し、サービス提供を開始しています。「戦略②」と「戦略③」については、当初の開発計画に対してサービスや機能を具体化していく中で、より市場のニーズを捉えたサービスの機能や内容を検討したことに伴って、各開発工程の修正・追加・統合を実施することにより、人的リソースの補強、投資タイミングや償却時期の発生タイミングの見直しをしていますが、中期経営計画に変更はありません。

中期経営計画の進捗状況_成⻑戦略①

2020年10月29日にリリースした「成長戦略①」のサービス内容については、こちらとなります。新たな自社製品となり、コールセンター業務を効率化する新ITソリューションです。

単体でのサービス提供の他、当社主軸サービスである「@nyplace」および「COLLABOS PHONE」等の現有サービスとの連携も可能とし、現有サービスのさらなる成長にも貢献します。

従来の電話やメールだけでなく、有人チャット、FAQ情報を基に、AIにて自動的にチャット返答するチャットボット、携帯電話番号へのショートメッセージ送信の対応が可能となります。

お客さまからの「時間や場所の制約なく気軽に問い合わせたい」「早く回答が欲しい」「通話料や待ち時間を減らしたい」等の要望に応え、またコールセンター側の「できるだけ自動化したい」「オペレーターの対応時間を削減したい」等の要望に応えることで、コールセンター業界の人手不足の解消にも貢献します。

業績予想(2021年3⽉期_通期)

2021年3月期の業績予想についてご説明します。第2四半期の売上高は、コロナ影響により、一部顧客におけるコールセンター業務の一時閉鎖や、新規獲得案件の納期遅延等の発生があったものの、既存顧客における業務拡大等により、おおむね前回発表予想のとおりの推移となりました。

利益については、コロナ影響に伴う交通費、交際費の減少、セミナーのオンライン化に伴う会場費等の減少による企業活動費用の減少のほか、中期経営計画の投資タイミング等の一部見直しにより、上方修正となりました。

通期については、売上高は、コロナ影響に伴うEC関連等の業務拡大や在宅ニーズ等による需要増を見込む一方、顧客ニーズとして投資の振り先がコールセンターの課題を解決する新たなサービス機能の検討から、在宅機能追加等のインフラ再整備へとシフトしている面も踏まえ、第2四半期時点における売上推移の状況を通期としても継続して見込んでいます。

さらに、10月に販売を開始した2つの新サービスである「チャットボット&有人チャットサービス」、チャットボット等と連携可能なFAQ サービス「Challbo」「CollasQ」についても、コールセンターの課題解決に貢献する周辺サービスとして提案するとともに、主力としている電話系サービスの拡販につなげていきます。

一方、利益は、引き続き人員補強に伴う労働環境や育成、採用等の人材への投資費用、中期経営計画に基づく開発を含めた投資を⾒込むことから据え置きとしています。

【補⾜】業績及び事業運営におけるコロナ影響について

コロナの影響についてです。まず業績への影響ですが、プラスとマイナスの両面があります。プラス面としては、既存顧客において、給付金業務に伴う数百席規模での増席や巣ごもり需要に伴うEC関連業務の拡大、小売業を対象とした採用関連業務の拡大等が発生し、一時費用、月額費用が増加しています。

一方、マイナス面としては、一部のお客さまで、緊急事態宣言下の一時的なコールセンター閉鎖による売上高の一時的な減少や、新規顧客における構築の納期変更等の影響も発生しています。

具体的な金額は差し控えますが、昨対比の実績としては、相対的にプラス面の影響が大きく働いている状況と見ています。また、これらの需要は一定程度続くものとして考えており、現時点においては見通しに一部織り込んでいます。

事業運営への影響は、極力オンラインへ移行しており、現時点においてオペレーションにおける⼤きな影響はありません。

【補⾜】⾃⼰株式の取得ついて

自己株式の取得についてです。今後の株主還元の⼀環として、また経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂⾏を可能にするため、11⽉6⽇開催の取締役会において、⾃⼰株式を取得することを決議しています。取得する株式の総数は75,000株、株式の取得価額の総額は6,000万円となります。

私からのご説明は以上となります。

質疑応答:医療や公共関係のコールセンターニーズについて

質問1:新型コロナウイルス感染症に関連するような医療機関や公共関係のコールセンターニーズは高まっているのでしょうか?

回答1:説明の中にもありましたとおり、特に医療機関というよりも公共関係のコールセンターのニーズは、新型コロナウイルス感染症に関連するものもあり、そのニーズは高まっている部分があると考えています。

質疑応答:配当について

質問2:配当に関する考え方を教えてください。

回答2:配当に関しては、上場以来無配を続けてきており、それに関しては株主のみなさまからいろいろなご意見をいただいています。

当社としては、中期経営計画で決めているように、まずは当社製品の開発に事業資金を充てていきたいと考えています。ただし株主のみなさまへの還元も重要な課題だと考えています。今回は配当というかたちではないのですが、株主還元の1つの策として自己株式の買取を決議しております。

基本的には、配当できる事業利益が安定した時に、配当について積極的に考えていきたいと思っています。