2021年3月期第2四半期決算説明会

田村博之氏(以下、田村):みなさま、おはようございます。社長の田村でございます。本日はご多忙の中、本会にご参集賜りまして誠にありがとうございます。

さっそくですが、11月4日に開示した第2四半期の決算、そして、元来もう少し早くみなさまにご説明すべきでしたが、4月からスタートしている新しい経営計画について、現状どのようなことを行っているのかをご説明したいと思います。

2021年3⽉期 第2四半期決算の概要

決算の概要ですが、売上面では16.7パーセントの減収、営業利益と経常利益はともに減益となりました。第2四半期での減収減益は4年ぶりのことです。理由としては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で4月、5月はほとんど営業活動ができなかったことが一番の要因です。

6月19日の開示数字は、売上は2,050億円、経常利益は31億円で、売上面ではわずかではありますが、開示数字を割り込みました。経常利益は、31億円としていたものが45億8,400万円となり、45パーセント以上の上振れを実現できたということになります。

その要因ですが、1つは当社オリジナル製品の開発というところを中心に、売上総利益率が改善したからです。もう1つは、当社社員の行動が制限され、またイベント等々が開催できなかったことから販管費が削減できたからです。この両面から、経常利益は上振れとなりました。

配当の状況ですが、中間期は30円、期末で70円ということで、6月の発表時から変更しておらず、100円で予定しています。株主還元率33パーセント以上とお約束していますが、年間を通じてそのKPIをクリアしていきたいと考えています。

来年3月の通期予想に関しても変更しておらず、売上高4,500億円、経常利益100億円、そして当期純利益67億円で、当初の予想どおり据え置きとします。

前半は非常に苦労しましたが、後半は昨年並みか少し下がる程度の前提で作り上げた数字です。ただし、ここ数日間で感染者数が増えてきています。それによって、また政府側から何らかの行動規制が発表されれば、これ以上の影響が出るかもしれませんが、政府側の規制がない限り、この数字で推移するものだと考えています。

セグメント別 売上高

セグメント別についてです。本日、GDPが発表されていましたが、国全体で見ると「4月−6月」よりも「7月−9月」、第2四半期のほうがGDPの数字は好調で、5パーセント増という発表でした。

実は、当社では第1四半期の対前年よりも第2四半期の対前年のほうが、落ち幅が大きくなりました。1つの要因として、全部門において、昨年9月は、10月からの消費税増税ということで特需があったため、9月はかなりご注文があり、売上が上がったという事実があります。

中でも「産業機器」と「工業機械」は、昨年から米中貿易摩擦の問題で受注環境が非常に悪くなっていました。それに加えて、新型コロナウイルスの問題が発生したため、4月、5月の受注環境が非常に悪くなり、それが「7月−9月」の売上にも大きく響いてしまいました。そして、第1四半期と第2四半期の6ヶ月間のトータルでも、大きく前年割れという結果になりました。

「住設・管材・空調」ですが、実はここだけが「4月−6月」よりも「7月−9月」のほうが良化しています。当社の1つの柱であるリフォームビジネスが、「4月−6月」はご自宅に足を踏み入れられなかったということで、まったく工事ができませんでした。その影響により、このセグメントに関しては「4月−6月」が非常に厳しかったです。

「建築・エクステリア」と「建設機械」は、やはり第2四半期のほうが苦戦した結果となりました。4月に緊急事態宣言が発出されましたが、この分野に関してはしばらくの間は工事が動いていました。よって、この分野の売上はそこまで落ち込みませんでした。しかし、それ以後は感染予防ということで工事が止まるようになってきたことが大きな要因です。

また後半については、工業系は中国が多少回復し、あるいは自動車も回復しており、半導体も「5G」が動いてきているため回復するであろうと思っています。また、苦戦した建設系も公共のプロジェクトが動いてくると期待しています。

連結貸借対照表

貸借対照表は、ご覧のとおり総資産が226億円減となりました。当社の長年の傾向ですが、前半より後半の売上のほうが多くなるため、3月末比で売上や仕入れが減少した要因で総資産が226億円減っており、その結果、自己資本比率が4.5パーセントアップして38.5パーセントになりました。

連結キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローについてですが、営業活動によるキャッシュ・フローは9億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは22億円のキャッシュ・アウトになっています。この22億円については、すでに発表しているM&Aによる投資が主な要因です。

財務活動によるキャッシュ・フローは34億円のキャッシュ・アウトとなっていますが、そのうち長期借入の返済が12億円となっています。こちらは、すでにM&Aを実行した会社の借入金を返済した結果です。これらにより、期末の現金等の残高は384億円となっています。

以上、簡単ですが2020年9月末、第2四半期の決算の概要でした。

ユアサビジョン360・Growing Together 2023の定量計画

次に、4月からスタートしている「Growing Together 2023」についてです。2020年3月をゴールとした「Growing Together 2020」という第1期の中期経営計画が完了し、第2期の中期経営計画がスタートしたというかたちです。

スライドに記載の「ユアサビジョン360」についてですが、当社は2026年に360周年を迎えます。そこをゴールとして、第1次、第2次、第3次の中期経営計画に定量目標と定性目標を立てて運用しており、4月から第2次中期経営計画が始まったところです。

スライドで「つなぐ複合専門商社グループ」という文字がご覧いただけると思います。当社はこれまで「産業とくらしの複合専門商社」というキャッチフレーズを使っていましたが、4月から「つなぐ複合専門商社グループ」に変更しています。これをご理解いただくために動画を作成していますので、ご覧いただきたいと思います。

ご覧いただいたとおり、当社はこれまでも製造側とマーケット側をつないできました。もちろん、これからもその機能を果たしていきたいと思っていますが、異業種と異業種、メーカーとメーカーという、「新たなつなぎ」の一役を果たしていきたいと考えています。

そして、それによって新たな存在価値を生み出していきたいと考えて、今回このキャッチフレーズに変えさせていただきました。現在はどういう「つなぎ」ができているのかは、後ほどご説明したいと思います。

円グラフをご覧ください。2023年と2026年のグラフですが、薄い水色が現在のビジネスモデルです。そして、それ以外のカラフルな部分が成長戦略であり、新しい事業だとご理解いただきたいと思います。

最終的には「5対5」で、定量的には売上高6,000億円、経常利益200億円を目指していきたいと思いますが、今回の第2次中期経営計画では「7対3」になっています。

2020年3月末では「8対2」でしたが、9月時点ではどうだったのかというと、コア事業の部分が落ち込んだためかなり進んでおり「75.7対24.3」となっています。コア事業の落ち込みによって、カラフルな部分の比率が上がってきているのが現状です。ここから、カラフルな色の部分をもう少し詳細にお話ししたいと思います。

①海外事業

まずは海外ですが、実は海外の部分が新型コロナウイルスの影響で大きく止まってしまいました。当社の駐在員も含めて、10月に入ってからようやく4月の人事異動が実行できた状況です。

またインドにおいては、まだ1人も現地に日本人がいない状況が続いており、その国の中においても行動制限がなされています。ここへきて、中国や台湾等々はかなり元に戻りつつありますが、それ以外の国では依然として苦労しているのが現状です。

このような中、元来進めていたローカル化の状況についてお話しします。当社はもともと、日系企業に対する販売が海外戦略の主軸だと考えていました。そして、2年前からローカル販売していこうと展開してきました。ここへきて、このローカル化において、人材面あるいはビジネスモデル面の両方でもう少し拍車をかけていきたいと思っています。

当社が持つ工業系のところでは、自動化、省力化、あるいは住宅系では省エネ化等々に力を入れていきたいと考えています。また建設においては、輸出入の両方を手掛けているため、両面で拍車をかけて力を入れていきたいと思いますが、特に中古の建設機械、あるいは後ほどご説明する農機についても今後足を踏み入れていこうということで、東南アジア中心に中古の農機を提供していきたいと考えています。

②ロボ(AI)&IoT

ロボットについては、2点お話しします。1つ目は、当社の総合職の女性4名が発案したもので、スライドの写真はロボットを模したものですが、自動で動く消毒ロボットです。上のアタッチメントの部分を取ると運搬でも使えるもので、現在は関西空港の第2ターミナルで活躍しています。

AI活用に向けたconnectome.design社との取組みについて

2つ目ですが、5月にAIのスタートアップ企業と資本提携を結びました。このように、AIを通じて多様なつながりを実現できる可能性が生まれきました。

こちらのスライドについてお話ししたいと思います。「ギルド」という考え方ですが、みなさまもご存知のように、中世ヨーロッパで使われた言葉で「組合」という意味です。

1社でAIを開発していると大きな投資になります。しかし、同じ課題を持っている10社が集まると投資が10分の1に減ります。そのような組合員を募集して、AIの新しいシステムを作り上げようというもので、当社でも、建設機械関係のお客さま6社でギルドを形成してシステム構築を始めています。

このような提案を行いながら、当社の販売先、仕入先にAI導入をご提案したいと思っています。

③環境・エネルギーソリューション事業

環境・エネルギーソリューションについては、1つだけお話ししたいと思います。冬を迎えて「換気をどうするのか」というテーマがあり、北海道ではすでに大変な問題になっています。

換気扇で換気をしたり、あるいは窓を開けても室温が落ちるという違った問題が出てきます。そこで、大手空調メーカーに後付けの熱交換器を開発いただきましたので、室温を下げることなく換気できる後付けの熱交換器の販売に、全社をあげて注力しているところです。

④新流通事業

新流通についてです。当社が持っているECサイトでは、現在約550社、250万アイテムが掲載されています。

スライドに「B to B to U」と記載していますが、新型コロナウイルスの問題で、当社の販売先のお客さま(ユーザー)に訪問できない、対面営業できないという問題が発生しているため、お客さまの要望に応えて、ユーザーに展開できるようなシステムに改造しています。来春には、当社の販売店のみなさまにご活用いただけるよう、急ピッチで進めているところです。

⑤レジリエンス&セキュリティ事業

レジリエンス&セキュリティについてです。テレビでも取り上げていただいたもので、「つなぐ」の1つの例なのですが、当社を含めて3社で開発した冠水センサ付きボラードです。ボラードは、文字どおり「車止め」なのですが、こちらに冠水センサを付けて、責任者あるいはご希望に応じて住民の方のスマートフォンに洪水警報を出そうというものです。

現在、京都の福知山市、千葉の浦安市、そして静岡県で実証実験しているところですが、防災面でも社会に貢献していきたいと考えています。ここで、動画をご覧いただきます。

これから、このような「つなぎ」を展開していきたいと考えています。ここまでが、第1次中期経営計画「Growing Together 2020」から始めた継続の成長戦略です。

⑥農業/⑦介護・医療/⑧食品

ここからが、第2次中期経営計画で追加した戦略で、また第3次で追加したい課題になります。

農業と介護・医療を追加しており、まずは農業ですが、以前から農業で役立つロボットを作り上げたいという思いがあり、開発を進めてきました。後ほど動画をご覧いただきたいと思いますが、かなり完成度が高く、来年半ばくらいにはマーケットに投入していきたいと考えています。

介護・医療では、病院の空調を中心にいろいろな商品の開発が進んでおり、後ほど具体的なものをご説明します。もう1つは食品ですが、食品を売るということではなく、スマートファクトリーの中で食品工場を構築するお手伝いをしたいと考えています。

まずは農業の動画をご覧ください。

タバコの葉っぱです。作業者の方が収穫していますが、この作業者の方にロボットが自動でついていきます。そして、自走で軽トラに上がっていきます。また農薬を散布していますが、散布するだけではなくデータを取れるようになっています。

また、映像はワイン用のぶどうの木ですが、ぶどうの木は葉っぱの下から農薬をまかなければいけないという特徴があるらしいです。このように、かなり実用化に近いところで実証実験を行っています。

⑨シェアリング

シェアリングについてです。こちらも農業ですが、ヤンマーのコンバイン、稲刈り機です。機械が2台置いてありますが、農家のお役に立つべく提供しています。それでは、動画をご覧ください。

これは千葉の農家の方の映像ですが、運転手付きでレンタルもできます。北は北海道から南は沖縄まで収穫時期が微妙にずれています。その短い期間に1台1,500万円もするコンバインを購入するというのは非常に難しいわけです。そこで、農家の方にレンタル、シェアリングする事業を展開していきたいと思っています。今後、コンバインのみならず農機の種類を増やしていきたいと思います。

これは千葉ですが、このあと福島で稼働しました。これに拍車をかけ、そしてある程度使ったら、先ほどお伝えしたように、建設機械部門の中古の建機と同じように東南アジアに展開しようと考えています。

コア事業の機能強化を目的とした投資

スライドは、コア事業の展開の1つとして、M&Aを実行した会社です。住宅環境の部門でリフォームに強い高千穂という会社のM&Aを行いました。さらに、コンテナハウスの製造会社もM&Aを行いましたし、また共同で設立したものですが、DONKEYに出資しました。10月には、建機関係で強いメンテナンス機能をお持ちの2社のM&Aを実行しました。

今後も、コアのシナジー効果、あるいは機能強化、そして新しく展開している成長戦略に拍車をかけていくM&Aは、慎重かつ大胆に実行していきたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症対策商品の開発推進

「感染低減ハウス」についてです。富士クオリティハウスは、もともと高品質なコンテナハウスを作るノウハウを持っていたのですが、そこにフィルタ技術、換気技術を持った当社の仕入れ先の技術を合わせて、新型コロナウイルス関係ということで簡易診察室、受付室として使用する製品として発表しています。現在も病院に納入しています。

また、対面でスケジュール化できない現状をサポートするため、集合住宅の個々の工事、点検のスケジュールをスマートフォンあるいはPCで実現できるシステムを開発しています。

経営基盤の強化

デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資ですが、3年間で40億円、次の3年間で80億円、トータルで120億円という投資を考えています。データを装備した会社に生まれ変わりたいと思っているところです。

成長に向けた投資枠(まとめ)

こちらは成長戦略の売上目標と投資枠です。ご高覧を賜りたいと思います。

Growing Together 2023の定量計画&KPI

KPIですが、2023年は売上高が5,450億円、経常利益が164億円です。女性の登用等々も記していますので、ご高覧賜りたいと思います。

YUASA Growingフェアについて

先週末に、スライドのようなイメージで展示会を開催しました。また12月11日、12日には大阪で展示会を行います。この展示会の動画をご覧ください。

本来、当社は1年間のうち5ヶ所でグランドフェアという大々的なイベントを催しています。5ヶ所で6万人から6万5,000人の方々に足を運んでいただくようなイベントです。

今回は、新型コロナウイルスの関係でそのようなイベントは開催できませんでした。そこで、リアルとバーチャルで、なんとかしてみなさまに新しい商品をお見せできないかということで、この展示会を開催しました。

東京では、例年2万人を超えるお客さまにお越しいただきますが、今回は一部のお取引先さまのみのご招待のため、3,165名でした。もちろん事前登録にして、密にならないようにお客さまをご案内して開催した次第です。新しい技術をリアルで、そして各メーカーがPRしたい部分はVRというかたちの展示会としました。年内にもう一度、大阪で同じ展示会を実施する予定です。

以上となります。当社は、冒頭に申し上げたように「つなぐ」ことによって、存在価値を発揮していきたいと考えています。ご清聴ありがとうございました。