リンクアンドモチベーショングループの事業構造①

小笹芳央氏(以下、小笹):株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役会長の小笹でございます。それでは2019年12月期第2四半期の決算説明会を始めさせていただきます。

本日の説明会のアジェンダとしては、1点目に会社概要、2点目に業績報告、3点目に今後の経営方針と業績予想の修正、4点目に各事業状況の報告、5点目に各組織状況の報告、そして最後、6点目に自己株式取得についてのお知らせでございます。

スライド3ページの図が当リンクアンドモチベーショングループの事業構造でございます。BtoBの組織開発Div、BtoCの個人開発Div、そして両者を繋ぐマッチングDiv、それらに加えまして、ベンチャー・インキュベーションとなっております。

リンクアンドモチベーショングループの強み

当グループの強みや特徴は3点ございます。まず1点目は、基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」であり、これはオンリーワンの存在であるということでございます。

2点目は、収益の安定性と成長性の両立でございます。個人から法人まで、幅広い事業領域を有しておりますので、収益の安定性と成長性の両面を追求できるビジネスを展開しております。

3点目の強みといたしまして、自社の従業員とのエンゲージメントでございます。「モチベーションエンジニアリング」を自社に適用することで、エンゲージメントの高い組織を実現しております。以上3点が当グループの強み及び特徴でございます。

連結損益計算書(実績 前年比・予想比)

では業績報告に入らせていただきます。売上につきましては191億3,400万円となり、前年比で減、予想値に対しても未達となりました。営業利益に関しましては14億7,100万円となり、前年比の69.6パーセントで大幅減となっております。予想値についても未達でございます。

これは、組織開発Divにおいてサブスクリプションモデルに重点的に注力した結果、販売管理費の増加と他の既存事業の成長鈍化が起きたことが要因となっております。

連結損益計算書 販売管理費(実績 前年比)

7ページは連結の販売管理費についてでございます。表④の販売関連費用につきましては、「モチベーションクラウド」などの重点プロダクトにおいて販売促進に重点的に注力したことにより、前年比で121.2パーセントと大幅に増加いたしました。結果といたしまして、販管費全体は前年比で104.2パーセントとなっております。

セグメント別 売上収益・売上総利益(実績 前年比)

セグメント別の売上収益及び売上総利益とその前年比でございます。スライド上段の組織開発Divは、コンサル・アウトソース事業が想定以上に伸長しなかったため、売上収益、売上総利益ともに前年比で大幅減となりました。

中段の個人開発Divでございますが、学習塾事業が伸び悩んだものの、キャリアスクール事業の堅調な業績推移を受け、売上収益は前年比で微増となり、売上総利益は前年比で微減となっております。

下段のマッチングDivでございます。こちらは人材紹介・派遣事業が伸び悩んだものの、ALT配置事業の堅調な業績推移を受け、売上収益は前年比で微減、売上総利益は前年比で微増となっております。

組織開発Div 事業別 プロダクト売上収益(実績 前年比)①・②

こちらが各Div別のプロダクト売上収益前年比でございます。組織開発Divは、①のコンサル・アウトソース事業において、「パッケージ」及び「コンサルティング」が想定以上に伸長せず、売上収益、売上総利益ともに大幅減となりました。その原因は、以下の2点でございます。

まず1点目に、2019年第1四半期において、立て直しを図るために「コンサルティング」と「モチベーションクラウド」を扱う組織を分化させましたが、その効果が出るのは第3四半期以降になることがあります。

2点目に、サブスクリプションモデルに重点を置き、コンサルティングの人員リソースをサブスクリプションモデルに重点的に投下したことが原因となっております。

個人開発Div 事業別 プロダクト売上収益(実績 前年比)③・④

続きまして、個人開発Divでございます。③のキャリアスクール事業は、会計、国家試験、英会話が順調に推移したことで、売上収益は前年比で微増、売上総利益は前年比で微減となりました。

④の学習塾事業では生徒募集が想定以上に伸長せず、売上収益は前年比で減、売上総利益は前年比で大幅減となっております。

マッチングDiv 事業別 プロダクト売上収益(実績 前年比)⑤・⑥

こちらはマッチングDivでございます。⑤のALT配置事業は、文部科学省が推進する英語教育の拡充を的確に捉えて堅調に推移し、売上収益は前年の105.7パーセント、売上総利益は大幅増の前年111.7パーセントとなっております。

⑥の人材紹介・派遣事業は売上の大半を占める販売職派遣が伸び悩みました。外国人サポート及び動員・紹介が伸長したものの、売上収益は前年比で大幅減、売上総利益は前年比で減となっております。

連結貸借対照表(実績 前年比)

12ページは連結の貸借対照表でございます。資産は、納税資金を現預金でまかなったために減少しております。負債は、長期借入金の返済にともない減少しております。純資産は、当期純利益の計上により増加し、増加額は4億1,500万円となっております。

2019年12月期 第2四半期 配当

13ページは配当に関してでございます。2018年に引き続き、四半期配当を実施いたします。当初の予定どおり、1株当たり1.8円の配当を9月25日に実施予定でございます。

今後の経営方針について(これまで)

続きまして3点目、今後の経営方針と業績予想の修正についてでございます。まず、これまでの方針としては、サブスクリプションモデルへの徹底注力、とくに組織開発Divにおいて中長期的な利益をもたらすサブスクリプションモデルの「モチベーションクラウド」に対して、人員や資金を始めとしたリソースを積極的に投下するというものでした。

その結果起こったこととしては以下の2点がございます。1点目は既存モデルの低迷でございます。以上の方針の結果、既存のコンサル・アウトソースモデルが手薄になり、売上収益が伸長しませんでした。

2点目に「モチベーションクラウド」の進捗の遅れがございます。「モチベーションクラウド」においても当初は既存顧客に対して営業を行い、非常にスピーディに順調に立ち上がっておりましたが、徐々に新規顧客や大手企業に対する営業の割合が増えたことで当初の想定以上に商談が長期化し、計画に対して進捗が遅れました。

今後の経営方針について(これから)

今後の経営方針につきましては、既存モデルとサブスクリプションモデルを両立させる「併走型経営」というものを掲げて組織を束ねてまいりたいと思います。

ポイントといたしましては4点ございます。1点目として、2019年上半期の未達分を織り込み、年間連結業績予想の下方修正を実施いたします。

2点目に、組織開発Divにおいてはサブスクリプションモデルの新サービス立ち上げに加え、既存のコンサル・アウトソースモデルの復調にも注力してまいります。

3点目として「モチベーションクラウド」に関しましては、進捗の遅れからKPI目標数値の見直しを実施いたします。

4点目ですが、今後は個人開発Divにおいても、サブスクリプションモデルによる展開を促進してまいります。

業績予想の修正について:2019年12月期連結業績予想の下方修正

業績予想の下方修正についての報告でございます。売上収益につきましては385億円、営業利益は18億8,000万円、当期利益は10億5,000万円と予想しております。営業利益につきましては、売上収益の減少以外に以下の2点の影響を受けると考えております。

1点目としては「モチベーションクラウド」を始めとしたサブスクリプションモデルへ引き続き積極的に投資してまいります。

2点目に、国内人材派遣事業と学習塾事業につきましては、のれんを保守的に見積もりまして減損損失を見込んでおります。

組織開発Div 事業KPIの結果と推移 (サブスクリプションモデル)

坂下英樹氏:株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役社長の坂下です。私からは、組織開発Divの事業KPIとトピックスについてお伝えします。

はじめにサブスクリプションモデルの事業KPIについてです。サブスクリプションモデルでは「モチベーションクラウド」月会費売上を事業KPIと定めています。

導入数、納品数、月会費売上が着実に推移したことで、前年比で164.6パーセント、直前の四半期と比べても109.2パーセントで着実に推移しています。

組織開発Div 事業KPIの結果と推移 (コンサル・アウトソースモデル)

次に、コンサル・アウトソースモデルの事業KPIについてです。コンサル・アウトソースモデルでは過去12ヶ月の平均顧客粗利単価を事業KPIと定めています。

2019年第2四半期はコンサルティングの人員リソースをサブスクリプションモデルに投下したことで伸長できず、結果的に直前の四半期比で84.1パーセントとなっています。

以上が事業KPIのご報告となります。

組織開発Div サブスクリプションモデルの拡充①

次に、今後の注力テーマについてお話しします。顧客の課題解決に向け、サブスクリプションモデルの拡充として「コミュニケーションクラウド」と「チームワーククラウド」の2つのサブスクリプションモデルのサービスを新たに開始しました。

この2つの新サービスはどちらもエンゲージメント向上に繋がるサービスです。「モチベーションクラウド」と合わせて「モチベーションクラウド」シリーズとして、組織改善のスピード向上と効果促進を目指します。

組織開発Div サブスクリプションモデルの拡充②

新サービスは組織のコミュニケーションやマネジメントにまつわるサービスであり、単一サービスでの導入も可能ですが、「モチベーションクラウド」と併用することでより組織改善における効果が高まるものと考えています。

「コミュニケーションクラウド」については「モチベーションクラウド」の会社項目の課題に対応しており、「チームワーククラウド」については「モチベーションクラウド」の上司・職場項目の課題に対応しています。

この2つの新サービスは「モチベーションクラウド」の診断結果に応じて適切なコミュニケーション設計をサポートするツールであり、「モチベーションクラウド」と併用することでより効果的な組織改善を実現します。

組織開発Div 今後の成長イメージ:モチベーションクラウドシリーズ

次に、今後の「モチベーションクラウド」シリーズの業績イメージを説明いたします。全体方針でも説明があったとおり、「モチベーションクラウド」の営業先が既存のベンチャー企業から新規・大手企業に変わってきたことで、当初の計画より時間を要しています。

そのため、2019年末および2020年末の計画を修正した上で、2021年末には月会費売上3.7億円を目指したいと考えております。

組織開発Div 今後の成長イメージ:売上構成

今後は事業基盤となるコンサル・アウトソースモデルをしっかりと復調させつつ、サブスクリプションモデルを順調に拡大させることで両モデルの併走を目指します。以上が組織開発Divの状況報告になります。引き続きご期待ください。

個人開発Div 事業KPIの結果と推移

小栗隆志氏:株式会社リンクアンドモチベーション取締役の小栗です。私からは、個人開発Divの事業KPIとトピックスについてお伝えします。

個人開発Divでは、過去12ヶ月平均受講者数と過去12ヶ月平均LTVを事業KPIとして定めています。平均受講者数は直前四半期比で99.7パーセントとやや減少しましたが、平均LTVに関しましては直前四半期比で102.3パーセントと順調に推移しています。

以上が事業KPIのご報告になります。

個人開発Div 重点プロダクト:「英会話」

次にトピックスとして、重点プロダクトについてお伝えします。現在、個人開発Divでは英会話の拡大に重点的に注力しております。グローバル人材の需要の高まりという世の中の流れに加え、全国84教室で英会話のコンテンツを展開しており、順調に推移しております。引き続き教室展開を行うことでさらなる拡大を目指してまいります。

個人開発Div 今後の注力テーマ

次に、今後の注力テーマについてお話しします。リンクアンドモチベーショングループ全体の方針にも合わせ、現在受講者の継続率向上に寄与する新たなサブスクリプションモデルのサービスを構想中です。

変化の激しい今の時代において、継続的に自分のキャリアを向上させていくこと及び自分磨きや学びは非常に重要になってくると考えています。そのため、個人開発Divにおいては、挫折させないトータルキャリア支援を行っていくことが今後の優位性になると考えております。

一人ひとりの受講者がどれだけ挫折せずに学び続けるか、つまり受講者の継続率を重点指標として定めています。そして、これまでも継続率を高めるために個人の価値観やスキルを可視化させるサーベイ、面談、カウンセリング等を実施してまいりました。

今後はより長期的に講座を継続できるような新たなサブスクリプションモデルのサービスを構想中です。ぜひご期待ください。以上が個人開発Divの事業状況報告になります。

マッチングDiv 事業KPIの結果と推移

木通浩之氏:株式会社リンクアンドモチベーション取締役の木通です。私からはマッチングDivの事業KPIとトピックスについてお話しします。

マッチングDivでは、過去12ヶ月平均派遣稼働人数と過去12ヶ月合計紹介人数を事業KPIとして定めています。

平均派遣稼働人数は、海外人材の派遣は伸びているものの国内人材の派遣が伸び悩み、直前の四半期比で98.4パーセントとなりました。

合計紹介人数は、同Div内のALT配置事業においてALT向け各種エンゲージメント施策の強化を行ったことでALTの勤続年数が増加いたしました。

そのため、ALTの必要採用人数が想定より減少し、結果的に連結内部への紹介数が減少したことが影響し、直前の四半期比で92.7パーセントとなっています。以上が事業KPIのご報告になります。

マッチングDiv ALT配置事業

次に、トピックスとして重点事業であるALT配置事業の進捗についてご報告します。ALT配置事業は、文部科学省の英語教育改革を受けて堅調に稼働人数を増加させています。また、利益率の高い案件に注力したことで収益性も向上しています。今後も稼働人数の増加に加え、収益性の向上に引き続き注力していきます。

マッチングDiv 今後の注力テーマ

今後の注力テーマについてお話しいたします。注力事業である外国籍人材事業の拡大を目指していきます。これまで、外国籍人材事業においては従来からの強みを活かした英会話教室のような英語教育業に対しての人材紹介が中心でした。

今後はインバウンド需要の高まりに基づいたニーズの高い販売サービス業やホテル業に対しても積極的に人材紹介を行い、英語圏人材紹介No.1のポジションを目指します。ぜひご期待ください。以上がマッチングDivの事業報告になります。

企業活動のものさし

小笹:続きまして、各組織の状況報告でございます。競争優位の源泉が事業戦略から組織戦略へと変化し人材の流動化が進むなかで、企業におきましては商品市場に加えて労働市場への適応が至上命題になると考えております。

そのような考え方から、当社では商品市場への適応度を測る財務諸表に加え、労働市場への適応度を測る非財務情報としてのエンゲージメントスコアを経営指標に掲げて経営を行っております。

エンゲージメントスコアについて

従業員エンゲージメントを数値化した指標であり、当社で独自開発した組織診断サーベイの結果をもとに判定しております。

こちらは社会心理学に基づき従業員エンゲージメントに大きく影響する要素を16領域に分類します。そして、これらをさらに細分化した132項目が組織診断サーベイの設問となります。従業員の期待度、満足度、その一致度合いと、当社が保有する5,020社116万人のデータベースをもとにエンゲージメントスコアが算出される仕組みとなっております。

エンゲージメント・レーティングについて

スコアは右側(の数字)です。いわゆる偏差値だとお考えください。そして左側がエンゲージメント・レーティングです。スコアとレーティングの関係は以上となります。

エンゲージメントスコアBを平均値としてランク付けを行い、決算開示においては引き続きエンゲージメント・レーティングを開示してまいります。

全社のエンゲージメント・レーティング結果

こちらが各Divに所属するグループ各社のポジション、そしてエンゲージメント・レーティングとなっております。

当グループにおいては全法人12社中でAAAが11社、AAが1社となっております。2017年10月にM&Aでグループインしたa2media社に関しては、年初の組織変更によって一時的にスコアが下がっておりましたが、組織施策を強化したことでスコアが回復しつつあります。

全体として引き続き高いエンゲージメント状態を保っておりますので、必ずやこれが財務諸表、商品市場への適応、業績へ結び付いてくるものと期待しております。

自己株式取得について

自己株式取得についてのお知らせでございます。経営環境の変化に応じた機動的な資本政策を遂行するため、このたび自己株式の取得を予定しております。

金額の上限は5億円、枚数の上限は70万株でございます。取得期間に関しましては2019年8月13日から2019年11月12日までの約3ヶ月となっております。

リンクアンドモチベーショングループの事業構造②

改めまして、こちらが当グループの事業構造でございます。第2四半期まではとくに組織開発Divにおきまして苦戦を強いられましたが、足元はかなり立て直しを図っております。中長期的な利益の獲得に向けたサブスクリプションモデルへの積極的な投資及び足元の業績を支えるコンサル・アウトソース事業の回復に注力してまいりますので、グループ全体の状況に引き続きご注目いただければと思います。

以上、2019年12月期第2四半期の決算説明会でございました。ご清聴ありがとうございました。