リックソフトの会社概要
大貫浩氏:みなさん、こんにちは。本日はリックソフト株式会社の決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。代表をしております私から、決算説明をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
今日のアジェンダですが、3点あります。あらためましてになりますが、会社の概要と、今日のメイントピックスであります決算状況、そして最後に、当社の強みと成長戦略の3点についてご説明したいと思います。
まず、会社の概要です。弊社のミッションは「『価値ある道具(ツール)』を世界中の多くの人が使えるようにすること」となっております。ちょっと大げさになってしまうかもしれないのですが、人間だけがこのように進化してきた歴史(の裏に)は、いかにツール、道具を改善し、いいツールを使ってきたかというところに少し依存している部分もあると思います。
私たちの思いとしては、そうしたいいツール、いい道具を世界から日本に持ってきて、日本の顧客が、いい商品やサービスを提供できるという世界を作りたい。そして、日本だけでなく、世界中の多くの人がいいツールを使えるようにするといった世界にしたい。そういう思いを込めて、このミッションとしております。
Atlassian社の概要
その中でも、弊社がいいツールだと思って取り組んでいるのがAtlassianのものです。こちらはオーストラリアの会社です。スライドを見ていただくと、「Crowd」「Trello」「Jira Software」などさまざまなツールがあります。技術的な話になるので、ご説明は省略させていただくのですが、主にAtlassianがどういった会社なのかだけ説明させていただきたいと思います。
オーストラリアで起業した会社ですが、大学を出たての2人の若い青年が、約17~18年前に起業しました。短い期間で業績が軌道に乗り、2015年にナスダックに上場しました。ナスダックに上場した時は、起業から14年経った時で、実は弊社も起業から14年で上場ということで、同じような期間を経てそれぞれ上場しているという共通点がございます。
そして、この会社は一度も赤字になることなく、ずっと右肩上がりで好調な売上と利益を上げていまして、今も非常に高い株価をつけている会社でございます。
ビジネスモデル・収益構造
続いては、当社のビジネスモデル、収益構造を説明する資料になっております。当社は、スライド一番下の「海外ソフトウェアメーカー」と書いてあるとおり、価値あるツール、生産性を上げるツールを世界から当社が探し出してきて、日本のお客さまに提供するという、ライセンス販売の事業をベースとしております。
ライセンス販売といっても、ただライセンスを日本のお客さまに提供するだけでなく、技術的なサービス提供、もしくは自分たちでクラウドサービスも展開しています。
ソフトウェアをうまく、楽に使うためのクラウドサービスを弊社で作りまして、それをお客さまに使ってもらうといったかたちで、日本のお客さまに、海外のいいソフトウェア、価値あるソフトウェアを使ってもらうのが1つです。
もう1つが、スライドの(「リックソフト」の枠の)一番右側です。「ソフトウェア開発業務」と書かれておりますが、こちらは今まで海外から仕入れて得られたノウハウから、さらにもっと必要な機能を自社で開発して、Ricksoft, Inc.という海外子会社を通じて、世界のお客さまにご提供する事業もやっております。
主要サービスの概要
この3つの事業をより詳しく書いたのが、このスライドになります。海外からライセンスを仕入れて、日本のお客さまに提供する。こちらを「ライセンス&SIサービス」と言っております。この緑の部分で特徴的なところは、弊社の売上の約87パーセントを占めるものですが、基本がライセンス販売ですので、安定したビジネス基盤を作ることができております。
そして下の2つ、「クラウドサービス」と「ソフトウェア開発」については、弊社独自のビジネスであり、まだ売上は7.1パーセント、5.9パーセントと、ちょっと低い割合になっております。しかし、この2つが弊社独自のサービスということで、他社にはないオリジナルの価値をお客さまに提供できているものです。
2019/2期の実績
続いて、決算の状況説明になります。2019年2月期の実績になりますが、売上が前期17億2,800万円だったものが、24億8,200万円ということで、前年比143.6パーセントという高い成長を遂げることができました。
下の3つ、営業利益、経常利益、当期純利益も、前期がそれぞれ1億3,000万円、1億2,900万円、9,300万円だったものが、実績といたしまして、3億7,100万円、3億8,600万円、2億5,500万円と、約280パーセント前後の成長率を実現することができました。
2019/2期の営業利益の増減分析
この高い成長率をわかりやすいようにグラフ化したものがこのスライドになります。前期の営業利益である1億3,000万円から売上として7億5,400万円上昇しまして、ライセンスを仕入れて売っているものの原価が4億2,500億円でございます。
そして、販管費が8,800万円になりまして、今期の2019年2月期の営業利益は3億7,100万円となっております。スライドの右側にそれぞれの内訳が書かれておりますので、ご参照願えればと思います。
2019/2期の事業別の売上高
続いて、実際に高い売上を伸ばしたその内訳になりますが、「ライセンス&SI」は15億2,700万円だったものが、21億5,800万円に増えました。これが前年比で141.3パーセントです。
そして、「クラウド」と「ソフトウェア開発」です。最初に述べたように伸ばしていきたい事業ですが、数字自体は約1億円を超えたところで、成長率は158.1パーセントと165.9パーセントということです。「ライセンス&SI」に比べてここを伸ばしていこうという思いもありますし、実際に伸びている状況にあると思っております。
2020/2期の業績予想
続いて、2020年2月期の業績予想になります。こちらは売上が24億8,200万円からちょうど30億円で、約120.9パーセントの成長率を計画しております。そして、営業利益が109.4パーセント、経常利益が105.8パーセント、当期純利益が111.0パーセントという成長率を計画しております。
2019/2期の財務状況
続いてBSになります。資産の部、負債の部、純資産の部と続いておりますが、注目していただきたいのは、資産の部の上、「流動資産」のところです。とくに「現預金」が4億300万円から10億3,700万円ということで、非常に増えています。スライドの上部に書いてありますが、これまでの堅実な企業運営による、安定した財務基盤がこれで築けるかなと思っています。
ただ、この現金はずっとしまっておくだけではいけないと思っておりますので、成長させるビジネスへの投資につなげたいと考えております。
事業環境
最後に、当社の強みと成長戦略についてご説明したいと思います。まず、事業環境ですが、世の中を見れば、AI、ビッグデータ、ソーシャル技術、クラウド技術など、さまざまな新しい技術が出てきていると思います。そして、その新しい技術を使った新商品開発が非常に進んでいる状況にあると思います。
また、商品比較情報による開発激化とありますが、さまざまな商品を比較検討するサイトが非常に多くできています。例えば同じ種類の10製品があった時に、1製品がいいものだと、残り9製品は誰も見向きもしない、買われないというような時代になってきているかなと思っています。
それによって開発にしわ寄せがきて、売れる物を作らないと意味がないのではないかということで、そういう意味で開発が激化しており、ライバルに引き離されない開発が必要になります。
また、一方では働き方改革など、世の中はさまざまな課題が多い状況になっているかなと思っております。
そういう状況ではあるのですが、当社のお客さまはこういった多くの課題を持つ企業さまです。最初に言ったように、当社はそのお客さまに対してこういう課題を解決する、もしくは生産性を上げるツールを提供してサポートすることで、(お客さまの課題を)解決したい。そこが弊社のビジネスの根幹となっています。
プロジェクト管理ツールの変化
その中でも、とくに近年必要とされているのが、プロジェクト管理ツールです。近年、組織的なライン業務よりプロジェクト型の仕事が増えてきており、昔のゆっくりしたプロジェクトではなく、いわゆるアジャイル型開発……世の中の変化に合わせたスピード感、もしくは自分たちで変化することが必要とされるアジャイル型開発や、1社ではモノづくりができないため、海外の企業と組んでモノづくりをするグローバル対応(する企業が増えています)。同じように、複数企業で協業の上でモノづくりをすること(もあります)。
そういうグローバルな複数の会社をつなぐ時に、今はもうインターネット、Webを介してつながるのが普通になっていますので、そうしたWeb対応が必要になるということで、かつて主流だったプロジェクト管理ツールは、なくなってはいないのですが、こういうものでは対応できないため、新しい商品、新しいサービスが作りにくいという時代になってきます。
そういうことで、時流に合ったプロジェクト管理ツールが必要になっていまして、とくに最初に書いたアジャイル型ツールを必要とする組織が増えてきております。
プロジェクト管理手法のトレンド変化
プロジェクト管理手法のトレンドということで少しご説明します。以前はウォーターフォール型というかたちで、イメージでいくと階段状になっていますが、一番最初に要件定義をして、何を作るかを決めて、設計して、実装して、テストをして、最後にリリースとなります。これを1回でサッと流すのですが、サッと言っても、1年や2年かかります。そういう流れでモノづくりが進んでいた時代がありました。
今はアジャイル型といって、要件定義や、先ほど言ったテスト、リリースのサイクルを何回も回すのですが、その期間を短く設定して、何回もサイクルを回すのです。その間に、世の中に新しい技術が出てきたらそれは取り込みますし、お客さまの嗜好が変わったら、それに対応します。
そういったことをする必要が出てきました。そして、そのアジャイル型の開発ツールにおいて、世界で一番よく使われているツールを出しているのがAtlassianという会社になります。
Atlassian社の成長
このスライドでは、Atlassianの成長について書かれております。こうした世の中に必要となる製品をタイミングよく出しているということで、Atlassianの売上は非常に右肩上がりで、すごい勢いで成長しています。
5年前は215億1,090万ドルだった売上高が、2018年6月期で873億9,500万ドルということで、グローバルの売上高推移になりますが、非常に伸びています。
一方、日本が属しているアジアパシフィックでは、伸びのかたちは(グローバルと)一緒なのですが、絶対値で見ると売上は約1割になっています。こういう新しいツールはアジアパシフィックへの展開が遅れるという特徴がございますので、アジアパシフィック、とくに日本においてはアジャイルツール、もしくはAtlassianの製品の展開、広がりは今後も見込めるのかなと思っております。
Atlassian社の製品の概要
では、Atlassian製品にはどういったものがあるのかということで、一覧表に書いてはあるのですが、専門的な話になりますので説明は割愛します。さまざまな製品があり、プロジェクトを運営すると言っても、こんなに使うのかと思うのですが、実際にはこれだけ必要となっております。
そして、種類が多いことが、お客さまに非常によくマッチしています。お客さまの要望はさまざまな角度のものがあり、1つではないため、例えばお客さまが必要となるものが「Jira Software」から始まったり、「Confluence」から始まったりします。そうしたお客さまのさまざまな要望に対して、非常に幅広い製品ラインナップがうまく機能して、お客さまに刺さるということで、先ほどの売上の伸びを実現しております。
さらに、これらの製品は連携することができ、複数の製品を連携して、1つの大きな製品のように見せることができます。これによって、大きな製品をお客さまに買っていただく。それはイコール、高い製品を買っていただくというような非常に難しいことなのですが、最初に小さい製品を1つ入れて、それを広げて2製品目、3製品目を使っていただきます。
これを弊社ではクロスセルと呼んでいますが、スモールスタートさせて、クロスセルさせるということで、非常に売りやすいわけです。お客さまの広がりが早いという特徴を持っており、それによってAtlassianの売上の成長を築いております。
なぜAtlassian社が選ばれるのか?
そうした特徴を持っているのですが、なぜAtlassian製品が選ばれるのでしょうか。このスライドにまとめていまして、一番よく言われるのが使いやすさです。
また、下から2番目に書いてありますが、コストパフォーマンスに優れているということで、そういう意味でもお客さまが入れやすいという特徴を備えています。
スライドの一番上に書かれていますが、Atlassianが提供するのはビジネス向けソフトウェアです。ビジネス用ソフトウェアとしては珍しく、口コミで広がる製品になっております。一般的にビジネスのソフトウェアは使いづらくて遅く、もう使いたくないということで、だいたい悪口をよく言われるのですが、それに対してAtlassianの製品は、「あの製品は安くて早くていいよ」ということで、口コミで広がるという特徴を持っています。
Atlassian社の製品のイメージ
その製品の画面イメージがスライドに出ておりますが、プロジェクト管理に特化したさまざまな画面・機能を持っていて、買えばすぐにその機能を使えます。そして、使い勝手がよく、マニュアルを見なくてもわかりやすく使えます。
ある人が言うには「スマホのiPhoneのようなものだ」ということで、Atlassianはそういうような製品づくりを目指してやっているということです。
リックソフトの強み
ここまでが、私たちが扱っているAtlassianの強みだったのですが、続いて、リックソフトの強みについてご説明したいと思います。弊社の強みは3つありまして、日本企業では最初のAtlassianのパートナーということで、さまざまな分野で1位を取っております。
1つ目が、Atlassian認定資格取得者のところで、Atlassianには、実は難しい認定資格者制度があるのですが、その取得者が日本で1位ということです。
2点目が、パートナーランキングがAPACで1位です。こちらは後ほど、スライドでご説明したいと思います。
3点目が、「マーケットプレイスでの自社ブランドの販売はリックソフトだけ!!」とあります。Atlassianの製品にアドオンする製品を販売できる「Marketplace」という仮想市場みたいなものがあります。スマホで言えば「Google Play」「App Store」のようなものです。
技術力がある会社は、自社製品をそこに登録してAtlassian製品を機能アップできるという特徴があります。海外の実力あるベンダーは、そこに製品を登録しているのですが、日本でそれができて、一般的にグローバルに販売できているのは弊社だけということで、オンリーワンと書かせていただいています。
世界でも有数のAtlassian社のパートナー
先ほど2点目で出ました「パートナーランキング」についてです。全世界のパートナーが、先ほど言った認定技術者に対して、Atlassianのことをどれだけ知っているというスコアを内部でつけていまして、Atlassianのホームページで見ることができます。
そのスコアでのランキングということで上から数えますと、弊社は、約400社いるパートナーの中で、グローバルで見ても10位前後にランキングされております。これはアジア・パシフィックの中ではダントツのトップになっています。
日本には弊社以外にもパートナーが6社いるのですが、弊社は昔からAtlassianと一緒に協業しながら日本に製品を広めてきたこともあって、スライドの右手に書かせてもらっていますが、Atlassianと密に協力しながら、日本にAtlassian製品を広める役割をずっと担ってまいりました。
取引の積上げ実績
弊社は2009年からAtlassianのパートナーになっているのですが、毎年ユーザー数を増やしています。この地層のようになっているグラフが、その年にお客さまになっていただいた方々を売上ごとに色分けしたものです。国内約400社以上の顧客基盤がありまして、そのうち100社以上が上場企業様になります。
そして、今の弊社の売上を作っているのは、(グラフの)2019年の部分で見ると、かなり昔、2010年等からお客さまになっていただいた方々であり、ずっと継続してお客さまになってもらっています。また、この緑の部分で、2016年のお客さまは非常に伸びています。
そういう特徴はあるのですが、基本的にはすべての階層、すべての年代のお客さまが年を追うごとに増えています。これは、先ほど言ったようにさまざま製品があるためクロスセルが機能している、もしくは製品の利用者数を増やすとライセンスコストが上がっていきますので、それによって……アップセルといいますが、そこが機能していて、使っていくにしたがってAtlassian製品がお客さまの環境の中で広がりを見せて、結果的に売上が上がっていくかたちになっております。
クラウドサービス(RickCloud)の成長
続いて、弊社が力を入れているものの1点目として、クラウドサービスの成長のご説明です。2019年2月期の3月、弊社の期首ですが、これは毎月の売上グラフで、この頃から弊社のクラウドサービスの売上の角度が過去に比べて急になっております。
やはり日本のお客さまのクラウドサービスに対する考えがどんどん変わってきています。昔は「セキュリティが心配だ」ということで導入に二の足を踏んでいるところもあったのですが、最近は「クラウドを使って自分たちのビジネスを伸ばせ」と考えが変わってきております。この流れは今後の主流になると私たちは考えており、このサービスは同等の成長を続けるのではないかと考えております。
ソフトウェア開発の成長
最後に、弊社が伸ばしたいもう1つのところが、自分たちで開発したソフトウェアです。こちらのスライドは、海外向け(と国内向け)の売上グラフですが、緑の部分が(海外向けですが)2019年2月期になって非常に高くなっています。スライドの上に書いてありますが、2019年3月7日時点で、日本を除く海外のお客さまが1,103社です。
弊社はRicksoft, Inc.という海外子会社を通して、世界のお客さまに、自分たちが日本で開発したソフトウェアを提供しています。そのRicksoft, Inc.のホームページを見ていただくと、実際のお客さまとしては、Airbus様、Google様、Costco様など、本当にグローバルな海外企業にお客さまになっていただいていることが見てわかるかなと思います。
またスライド上部の2行目に書いてありますが、このAtlassian向けのアプリ市場は国内の数十倍あります。先ほど「アジア・パシフィックは(グローバルの売上の)約1割」と言いましたが、日本だけで言うともっと少ないわけです。
海外、欧米だけで90パーセントで、それ以外のアジア・パシフィックにはオーストラリア、韓国、中国も含まれますので、そういったところ向けに私たちのソフトウェアを展開しています。
今は翻訳して6ヶ国ぐらいに展開しているのですが、そこを含めると日本の市場より数十倍あるということで、このソフトウェア開発事業に関しては、海外が私たちのメインターゲットであると数年前から定義して、そこで売れる製品を、海外子会社のRicksoft, Inc.と本社が協力して開発を行ってまいりました。その結果が数字としてやっと現れてきたのが2019年2月期かなと思っています。
以上で、2019年2月期の決算発表を終わらせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。