2019年3月期第3四半期決算説明会

飛戸克治氏:みなさま、こんにちは。本日はご多忙のところ、弊社の決算説明会にお越しをいただきまして、誠にありがとうございます。これから限られた時間ではありますが、弊社の内容および決算の中身につきまして、ご案内をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

すでに弊社の内容をご承知のみなさまもいらっしゃるかと思いますが、なにせ12月にIPOいたしまして、時間も経っていません。しかも弊社の内容からいきますと、あまり世間さまに知られていない部分もございますので、繰り返しになる部分は恐縮ですがご了承いただいて、会社の概要からご説明をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

本日の目次は、このようなことになってございます。

当社の概要(オーウエル株式会社とは)

当社の概要でございます。

当社は、企業理念に「オーウエルの社会的使命は、最適整合の創造」を掲げまして、工業用塗料販売で国内トップクラスの塗料関連事業を主としまして、センサーを中心とする電気・電子部品事業を、グローバルに展開する生産財の商社でございます。設立は1943年11月。現在、満75歳となります。資本金・代表者は、そこにありますとおりです。事業内容は、塗料関連事業と電気・電子部品事業の大きく2つでございます。

従業員数は連結で600名、単体では389名でございます。売上高は連結で637億円、単体で562億円でございます。関連会社は、連結対象の子会社が16社、持分法適用関連会社が4社という構成で、事業を営んでいます。

企業理念

オーウエルの「社会的使命」は、「最適整合の創造」という企業理念を掲げています。

この「最適整合の創造」とは、いついかなる場合においても、お取引先に最適なものを提供していく。そのようなことが、意味合いとして込められています。現在中期経営計画を運用していますが、その中でさらにビジョンを掲げていまして。それが「意匠や機能で、人々の未来を豊かにする」というものでございます。

「意匠」とは、例えば自動車の塗料あるいは外壁といったものに代表されるように、美観・美粧を施していくことが意味合いでございます。そして「機能」とは、例えば塗料関係でいきますと、高日射反射率塗料と呼ばれる熱線反射塗料であるとか、あるいは傷がつかない塗料であるとか、そのような表面の機能を付与していくような意味合い。

それから、後に出てまいりますエレクトロニクス部品なども、衝突しないような機能を付与していく。そのための素材として扱っています。いずれにしましても、そのような「意匠」や「機能」を付与していく。結果的に、世界中の人々の未来が豊かなものになる。この「豊か」とは、決して贅沢な暮らしをするとか、そのようなことではございませんので。

「このようなものがあって良かった」とか「こんなものがあって助かった」と、そのような物心両面で豊かな生活ができるように、我々が寄与していきたい。そんな願いが込められています。

オーウエルの提供価値

現在のオーウエルの提供価値は、「お客さまの課題解決」であると定義をしてございます。

我々が商売するに当たりまして、仕入先さま・協力会社、それから我々とともに、グローバルのお客さまに対して、この課題解決という機能を提供していこうと考えています。その中で、大きな要素が3つあると定義しております。

1つは「PRODUCT」。弊社は商社でございますので、仕入れて販売する商品・サービス。これはもちろんですが、後に少し触れますが、メーカーポジションで製造している商品もございます。そのような商品のプロダクト。

それから、我々オーウエル自身の「FUNCTION」。これはロジスティクスの機能であったり、ラインをきちんとしたものに運営していく機能であったり、いろんなものがございますが、我々の「FUNCTION」。

それから、何をおいても我々は人の会社でございますので、社員のパッションになります。パッションを代表とする、「MIND」のところです。「このPとFとMの掛け算で、我々の価値の大きさは決まる」と、社内では言ってございます。

事業別売上構成比

次に、事業別の売上構成比であります。この数字は2018年3月期のものであります。

塗料関連事業が全体の78.1パーセントを占めます。約500億円程度でございます。それと、電気・電子部品事業が21.9パーセントほど。約140億円ほどでございます。塗料関連事業の中の半分くらいは、塗料・表面処理剤の販売でございます。それから、化成品・物資と呼ばれる防音材とかフィルム、あるいは接着剤といった類のものの販売。

塗装・計測機器あるいは完成工事のところは、塗装プラント・塗装設備の納入が主なものでございます。電気・電子部品は、多くのところがホールICという、ICの輸入販売になります。加えまして、先ほどもちょっと触れましたが、弊社はメーカーポジションで展開をしていますので、LED照明の製造・販売。これが、赤い電気・電子部品の領域に入ってまいります。

塗料商社の存在意義

我々は、そもそも塗料関係を扱う商社として発足いたしました。少しくどくなりますが、その塗料商社の存在意義を、ここでご案内させていただきます。我々塗料商社は、塗料メーカーとともに、あるいは塗料メーカーに代わりまして、お客さまの生産現場において塗膜になるまでの各工程で日々発生する、さまざまな課題の解決に寄与しています。

塗料という商品そのものの特性としまして、半製品であるということがございます。塗料という液体そのものでは、ほとんど価値を発しません。それが塗膜というフィルムになって、初めてその価値を発生することになります。ここに示しています図は、左側が塗料の状態。右側にいくにしたがって、塗膜になっていくとご理解をいただければと思います。

左側の塗料では、ロジスティクスあるいは在庫管理のところは、塗料も生物でございますので賞味期限がございます。そのようなものを、先入先出はもちろんですが、保存の状態を整えていく。それから、我々はお客さまのBCPの一環を担っていますので、在庫機能が塗料の状態ではございます。これが塗膜になっていく工程を記させていただいています。詳細は割愛をいたしますが、この塗料が塗膜になっていく過程で、日々いろんなことが起こってまいります。

塗料メーカーさんも入る場合がありますが、その塗装ラインを、我々のメンバーが日々技術サポートさせていただいています。トラブルが起こった、あるいは何か新しいものが入るときに、我々のメンバーが入り込んでいろいろ対処する。

もう1つは、この工程の中で使用される塗料の製造は、塗料メーカーさんが当然やられるわけですが、その一部を我々委託を受けまして塗料を製造しています。

あるいは、この塗装の工程をすべて我々で請け負って、塗膜としてお客さまに提供するといったビジネスもございます。ということで、塗料商社としまして、お客さまの塗装ライン……我々は自動車とか工業塗装が中心ですが、そのようなラインで日々活動していることが、主体になってまいります。

塗料関連事業の概要

「じゃあ、日々の技術サポートは何をやっているの?」ということなのですが。先ほど申し上げましたように、いろいろ変わっていくラインの状態を把握しまして、不具合の未然防止につなげたり、問題発生時の一時的対応や応急処置を実施しています。その下にあります絵では、先ほど申し上げているようなことを少し概念図にしてございます。

一番上のところが塗膜なのですが、塗膜を構成する大きな要素として、材料や設備がございます。その材料の中にも、いろんな条件がございまして。もちろん設備にも細かい条件があって、これのどれか1つでも狂いますと正常な塗膜ができていかない。そんなところを示させていただいています。そのような少し条件の外れたところあるいは故障部分を、我々で対処していくということでございます。

電気・電子部品事業の概要 1/2

続きまして、電気・電子部品事業の中身です。

我々の扱いの大部分のところで、ホールICというセンサー用途でこのICを販売しています。このICにつきましては、現在TDK-Micronas GmbHというドイツのメーカーの代理店としまして、営業・マーケティングあるいはグローバル物流・一部品質検査に至るまで、弊社で担ってございます。

このICがどのような部位に使われているかを、この図で示しています。スイッチングセンサーとかリニアセンサーと呼ばれる、角度を検出する用途に使用されていまして。適用部位としては、ここのところがどんどんと広がってきています。

電気・電子部品事業の概要 2/2

もう1つ、電気・電子部品事業でいきますと、LED照明製品でございます。

これは弊社で製品の設計・企画をやりまして、製造は外部へ委託をしている商品であります。ご案内のとおり、世の中のほとんどのものが、もうLEDに置き換えられています。当然、大手の照明メーカーさんも参入しておられるゾーンですので、我々がそことまともに張り合っても勝ち目がございません。

弊社が活動する市場は、主に組み込み市場あるいは工場構内照明、植物プラント向け育成用の照明。このようなところにターゲットを絞って、活動をしてございます。

業界におけるポジショニング

結果的に、現在の各業界におけるポジショニングです。

塗料関連事業におきましては、単体売上高ベースでは国内トップクラスです。厳密に言うと、塗料メーカー系の販売会社・商社さんがおられますので、そこを入れますと純粋なトップではございませんが、それを除けますと独立系ではトップであるということです。

電気・電子部品事業につきましては、ホールICは販売数量で世界3位に入る、TDK-Micronas社からの直接仕入れ・販売ということで、活動をしてございます。国内では、主な自動車関係のTier1メーカーさんに納入をさせていただいています。

特長・強み

続きまして、弊社の特長・強みとなります。

大きく3つございます。1つ目に、安定した事業基盤がございます。2つ目に、長年培ってきた課題解決力がございます。3つ目に、お客さまに寄り添った営業体制がございます。

1-a. 安定した事業基盤

弊社は、75年の歴史を重ねてまいりました。その結果、おかげさまで仕入先さまが約2,000社、お得意先さまが約3,000社。これは2016年度で、実際に動いている取引の対象会社数です。それらのお客さまを国内事業所で45拠点、海外の事業所で12拠点。このネットワークで支えさせていただいているということでございます。

1-b. 安定した事業基盤

その結果が、安定的な売上ということなのですが。

ご覧のとおり、青が単体、赤が連結です。弊社が正式に連結決算を導入しましたのは2017年3月期からですので、データはそこからになっています。大きな伸びもない代わりに、非常に安定した業績で推移させていただいているということでございます。

2. 長年培ってきた課題解決力

長年培ってきた課題解決力です。

とくに塗料関連事業におきましては、さまざまな環境条件においても安定した塗膜品質を提供しているということで、厳しい水準が求められる自動車産業で培った技術を、他業界でも展開してございます。非常に自動車関係は、要求品質が大変厳しゅうございます。その中でもトレーニングを積んで、それなりの……と言いますか、我々独自の課題解決力につなげてまいっています。

3-a. お客様に寄り添った営業体制

お客さまに寄り添った営業体制ということで、取引先との強い信頼関係につながるさまざまなサポートです。

日本の拠点、それから海外の拠点もそうなのですが、弊社はできるだけお客さまの近隣に展開をしてサポートさせていただくということで、拠点を展開してまいりました。

3-b. お客様に寄り添った営業体制

その結果、弊社のお客さまのほとんどがモノづくり企業になります。

そのようなモノづくりの企業のお客さまの製品の開発・企画段階から、製品ができて品質保証のところまで、お客さまの製品プロセスの幅広い工程で当社グループの価値を提供させていただくことが可能でございます。

決算のポイント

続きまして、2019年3月期第3四半期の決算概要について、ご報告を申し上げます。決算のポイントとしては、3つでございます。

1つ目は、売上高は堅調に推移をしています。一方で、利益は為替要因により前年同期を下回っていますが、弊社の予想比では順調に推移をしてございます。

2つ目は、塗料関連事業は自動車メーカーの生産減の影響を受けるも、大型塗装設備の受注やその他主要顧客の売上高が増加をしています。

3つ目は、電気・電子部品事業につきまして、主力のホールICに加えまして、弊社子会社のユニ電子というところがございます。ここの車載向けモジュールの販売が、好調に推移をいたしました。

決算実績サマリー

その結果、売上高では478億4,300万円で、前期対比プラス3.1パーセント。営業利益は9億7,600万円で、マイナス13.8パーセント。経常利益は11億4,200万円で、13.7パーセントのマイナス。四半期純利益は7億8,000万円で、10パーセントのマイナスという結果になってございます。

ちなみに、そこの破線の四角部分に入れていますが、通期予想に対する進捗で申し上げますと、売上高が71.4パーセント、営業利益が72.3パーセント、経常利益が77.2パーセント、当期純利益が78パーセントでございました。

セグメント別動向

セグメント別に見てみますと、塗料関連事業が373億6,300万円で3.1パーセントの増。セグメント利益は、ほぼイーブンの17億4,700万円でございます。電気・電子部品関連事業につきましては、売上は104億8,000万円で、プラス3.1パーセント。セグメント利益は4億4,200万円で、18パーセント弱のマイナスになりました。

業種別売上構成比

業種別で売上構成を見てまいりますと、2018年3月期は自動車が49.5パーセントで、この(2019年3月期)第3四半期が49.7パーセント。ほぼ変わっていません。一部比率として変わっていますのが、機械のところ。前期で9.7パーセントですが、この第3四半期は13.5パーセントになってございます。

地域別売上構成比

地域別で売上構成を見てみますと、これもほとんど先期と変化がございません。日本が約88パーセント、アジアが11パーセント、その他となります。

通期業績見通し

次に通期の業績見通しですが、売上高・利益ともに、昨年(2018年)12月の公表値から変更はございません。売上高につきましては、5.1パーセント増の670億円。営業利益は13億5,000万円、経常利益は14億8,000万円、当期純利益は10億円を、現在のところ見込んでいます。

塗料関連事業につきましては、自動車向けの塗料販売など、ほぼ前期並みの売上高を想定していること。電気・電子部品事業につきましては、子会社におけますカーナビゲーション向けのソフト販売が比較的好調であることで、前期比プラスを見込んでございます。

第4四半期の活動

次に、第4四半期に向けての活動となりますが、大きく3つございます。

1つ目は、マーケティング活動の強化を狙った組織変更です。これは来年度の2019年度をにらみまして、組織改編に着手いたしました。

2つ目に、塗料関連事業におきましては、3月末に向けて来ます主要大手顧客の年度末需要を確実に取り込んでいくこと。

3つ目に、電気・電子部品事業におきましては、カーナビゲーション向けのソフト販売の増加を見込んでいます。しっかりとこれを取っていきたいと考えています。

株主還元方針

次に、株主還元方針でございます。

(右側の)大きな丸にございますように、基本的な考え方としては、「今後も安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針」としてまいりたいということです。現時点では、2019年3月期の配当予想は20円を予定してございます。

成長戦略

ここから、弊社の成長戦略でございます。

大きく2つです。1つ目は、塗膜形成に関する課題解決力の向上を図ってまいります。これはどのようなことかと言いますと、塗装の高度化・省人化の実現をしていくこと。それから、グローバル化への対応をしていくこと。大きくこの2つであります。

2つ目に、市場の拡大を捉えたセンサー販売の拡大をもくろんでいること。これはどのようなことかと言いますと、車載向けのみならず、他用途の開発を強化していくということであります。

それぞれ、もう少し説明をさせていただきます。

1-a. 塗膜形成に関する課題解決力の向上

31ページは、代表的な塗装工程の絵でございます。

主に自動車などは、このような工程になっていまして。塗装工程自体はほとんど人がおりませんで、ほぼ自動化されています。先ほど来申し上げている塗膜を作っていく上で、その工程でいろいろサポート活動をするというのは(何かと言うと)このような塗装工程が動いていく中で、いろんな条件が変わっていく。その中で、やはり管理をするのは人が中心になってございます。

人がやっている部分を、少なくともその半分くらいは自動化できないか。我々の持つセンサーの技術・商品・サービスと塗装を、相乗効果で効率を上げていきたい。そんなことが、1つございます。

1-b. 塗膜形成に関する課題解決力の向上

塗料関連事業におきましてはもう1つ、グローバル化への対応ということです。ご案内のとおり、アジアを中心にいろんな意味で「品質向上」という機運が高まっています。あるいはそれに伴って、効率化だとか環境対応といったニーズも高まっています。

したがいまして、日本で形成したそのようなモデルを海外へも展開して、我々の需要として取り込んでいきたいということでございます。

2. 市場の拡大を捉えたセンサー販売の拡大

33ページのところですが、市場の拡大を捉えたセンサー販売の拡大です。我々のお客さまは、塗装工程だけではなく他の工程もございます。そのような製造現場の環境の見える化に、最近お客さまは、多くの課題をお持ちだということがわかってまいりました。

ということで、我々の持つセンサーの技術・サービスを、お客さまの塗装以外のところの工程の、環境の見える化にも寄与していこう。このようなことがございます。

中長期的な成長イメージ

ここまで申し上げましたことを簡単に絵にしますと、34ページのようなかたちになります。

塗料関連事業は、それはそれで、海外あるいは請負を伸ばしていこう。電気・電子部品については、塗装以外にもセンサーを拡大していこう。そして、塗料事業の塗装現場を、両方のシナジーで効率化を図っていきたいというのが、大きな成長戦略でございます。

以上で、私からの資料の説明は終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。