損益計算書の概要
鍵本忠尚氏:みなさま、おはようございます。本日はお足元の悪い中、当社の決算説明会にご足労いただきまして、ありがとうございます。それでは、さっそくですが、当期の決算発表をさせていただきたいと思います。
まず決算概況ですが、前期に比べまして売上がないというところで、売上高の減少がございます。
営業利益でございますが、研究開発費の増加は、主にAthersys社とのライセンスの拡大に基づきまして費用が拡大し、ネガティブになってございます。
最後のボトムの当期利益も、前期(2017年12月期)は事業譲渡益がございましたが、今期(2018年12月期)はそれがないために、赤字が拡大しているというところでございます。
研究開発費です。ここで少し注視していただきたいのが、Athersysに10ミリオンプラス10ミリオンの支払いをしております。以前発表させていただいたとおり、後半の10ミリオンのところに関しましては、4回に分けた支払いになっておりますが、費用計上は今期にすべて上げておりますので、(それにより)ここでこのような研究開発費の増加が見られております。
それから、従業員数です。社員のみの数字を申し上げますと、86名になっておりまして、19名の増加がございました。役員を含めた社員数は、今はトータルで111名になっております。社員の増加、そして体制の強化がしっかり進んできておりまして、経営をしている身としましては、歯車が回ってきた感覚が非常に強くございまして、安心しているところでございます。
貸借対照表の概要
貸借対照表です。数字は(スライドを)見ていただいたとおりでございますが、昨年(2017年12月期)末は約192億円の流動資産でございましたが、現在は約152億円ということになっております。これも、Athersys社への提携、それから株式への投資というところに入っておりますので、下の固定資産の増加も併せて見ていただければと思っております。
数字(のご説明)は、以上でございます。
パイプライン
続きまして、事業のアップデートをさせていただきたいと思います。
まず、一番上の脳梗塞でございますが、従来の予定どおり、順調に組み入れが進んでおります。どれぐらい進んだかということは、とくに開示をさせていただいておりませんが、我々の予測するスピードで、予定どおりに患者さんの組み入れが進んでおりますので、従来からお話をさせていただいている、「治験を開始してから、約2年で終わります」という時間軸に変更はございません。
続きまして、今回Athersys社から以前オプション権をいただいておりました、英語で「ARDS」と呼びますが、こちらの権利行使を行いました。権利行使にしたがいまして、当社のパイプラインとして現在認識されております。あとでまた詳しく申し上げますが、現在、治験開始に向けて準備中でございます。
常々発表させていただいておりますが、当社の経営目標として「3年以内に、3本の承認品目をとろう」というところに合致するパイプラインと考えて、現在進めているところでございます。
以上が、体性幹細胞(再生医薬品の)「MultiStem®」に関するパイプラインでございまして、次にオレンジの項目の、iPSC再生医薬品分野の話に移りたいと思います。
まず、WetタイプAMD(滲出性加齢黄斑変性)でございます。こちらは、みなさまもご存じのとおり、臨床研究が進んでおります。これを受けまして、上場時には「2017年開始という予定でございましたが、少し遅れます」という開示をさせていただいておりました。
(2018年8月8日現在は)いよいよ準備が進んできておりまして、まさに治験開始ももうすぐ発表できるかなという状況でございます。
こちらは、我々が当初会社をつくった根本の技術でございますので、一日も早く承認を取り、日本中の患者さまに届けたいと思っております。こちらも、先に申し上げさせていただきました「3年(以内)に3本(の承認品目をとろう)」という目標に間に合うように、がんばっているところでございます。
それから、下の代謝性肝疾患ですが、横浜市立大学と共同研究を進めておりますが、プラットフォーム技術でございます。また、のちほど発表させていただきますが、この開発を加速するために、子会社として切り出して進めているところでございます。
それから、海外のDry AMD(萎縮型加齢黄斑変性)も、新たな活動としまして、米国のNEI(国立眼科研究所)との共同研究を開始いたしました。日本国内におきましては、これまで理化学研究所さまと共同研究を進めておりますが、米国で本格的に承認を取るための体制としまして、米国でもっとも信頼されている研究所であるNIH(国立衛生研究所)の中のNEIとの共同研究開発をして、そこを足場に米国市場へ広げていきたいと考えております。
欧州市場に関しましても、従来どおり米国で第Ⅱ相試験が終わり、第Ⅲ相試験ぐらいから一緒に治験を始めるというものが、一番合理的な計画であろうと考えているところでございます。
米国国立眼科研究所(NEI)と共同研究開発を開始
それでは、少し各論に入りたいと思います。
今年(2018年)の5月に、米国国立衛生研究所の眼科専門分野であるNEIと、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞に関する、加齢黄斑変性治療法の開発に向けた、共同研究を開始いたしました。
NEIにおきましては、すでにiPS細胞の自家……理化学研究所で、まさに世界で初めて行われた臨床研究は、自家の臨床研究を行いました。NIH・NEIにおきましても、自家の臨床研究が、まさにこれから始まろうとしているところでございます。
端的に言いまして、日本からしますと、約4年遅れで米国が進んでいる状況でございますが、彼らが米国の患者さま向けに開発した(iPS細胞由来RPE細胞)シートなどがございますので、そういったものを組み合わせて、我々が使えるように共同研究が進んでいるところでございます。
ヘリオス社では、従来から世界中で承認がとれるiPS細胞をつくっておりまして、それのマスターセルバンクというものが、すでに過去に完了しております。これは、まず始めに非常に重要なことでございます。例えば、ヨーロッパのGMP基準が一番厳しいものですが、このレベルでつくられたiPS細胞を保有しております。
つまり、日本・米国・欧州いずれの規制当局でも、承認がとれるものをしっかり準備しておりますので、逆に先方からも「この細胞を使った治験を行いたい」というお話をいただいて、このような合意に至ったところでございます。
当社の事業上のもくろみとしましては、先に申し上げましたとおり、NEIを中心に、米国での展開を進めていきたいと考えております。
アサシス社との提携拡大
それから、Athersys社の提携拡大です。今年(2018年)の3月13日に、Athersys社との基本合意・戦略的出資にいたりました。現在、同社発行済株式の8.7パーセントを保有する筆頭株主になっております。
それから、6月7日に、「MultiStem®」を用いた開発・販売の新たな権利を獲得いたしました。そして6月18日に、私がAthersys社の社外取締役に就任しております。
こういった基本合意・戦略的投資、取締役への就任を通じまして、当社とAthersys社が共通で進めているプロジェクトを確実に見ていき、そして進めていくという体制を敷いているところでございます。
2018年3月13日締結 基本合意内容(再掲)
その中で、以前(2018年)3月13日に締結した基本合意の内容について、進捗のご説明を差し上げたいと思います。
まず、全体的な交渉内容のオプション権としまして、非常に広い範囲の交渉ターゲットを設けました。現在、すでに脳梗塞に関する開発は合意していたところでございますが、まずライセンス権とオプション権獲得という、2つの項目がございました。
まず国内は、外傷性疾患や、ARDS(急性呼吸促拍症候群)などの疾患。海外におきましては、「MultiStem®」の臓器原基全適応症における権利や、眼科疾患、iPS細胞由来やRPE細胞製品との併用療法など、さまざまなライセンス権を交渉してまいりました。
また、さらなるオプション権としまして、中国における脳梗塞(急性期)、ARDS、外傷性疾患を対象に、交渉を進めてまいりました。
2018年6月7日までの取得権利
これらのものに関しまして、(2018年6月7日)現在合意に至ったものが、次のページでございます。
脳梗塞(急性期)や、現在パイプライン化されましたARDS。それから、iPS細胞と「MultiStem®」の併用療法。そして、これを国内において(利用)するというところの権利をとっております。
それから、海外におきましては、臓器原基全適応症における「MultiStem®」の利用におきまして、グローバルで「MultiStem®」を臓器原基に関して利用することが可能になりました。
また、あらゆる眼科疾患に関する権利、iPS/ES細胞由来眼科製品と「MultiStem®」の併用療法に関しましては、エクスクルーシブなライセンス権を獲得しました。
対価として、20億円の支払いをしております。ここにおいて、支払いをした金額がございますが、開発が成功した際のマイルストンから減額されますので、トータルでの我々の資金負担は、非常に軽いと考えております。
現在、これ以外のライセンス権・オプション権の追加拡大に関しましては、継続して協議をしておりますが、我々としましては、市場の可能性や開発のリスクといったものを慎重に検討しながら、現在交渉を進めているところでございます。
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)とは
続きまして、今回正式に追加しました、ARDSの説明を差し上げたいと思います。
ARDSという病気は、Acute Respiratory Distress Syndromeと呼ばれます。これは、さまざまな重症患者に突然起こる、呼吸不全の総称であります。
少しわかりやすく説明しますと、みなさまのご家族の中でもひょっとすると、最期に亡くなられた時に「肺炎」という病名で亡くなられた方が、いらっしゃるんじゃないかなと思います。あの時の「肺炎」というのは、この「ARDS」というものをわかりやすく表現したものになります。
どういうことかと申しますと、さまざまな原因……重症の肺炎や敗血症・大量輸血・外傷などでも、要は体の中でできてきた「サイトカイン」というものが、肺に詰まってしまうんです。肺に詰まって、それに対して我々の免疫細胞が、なぜか勘違いして肺を攻撃してしまうというものが、この病気の原因でございます。
一般的には、原因となる疾患や外傷などのいろいろな病気が発生してから、24~48時間以内に発生するといわれています。また、発症してしまいますと、死亡率は全体の30~58パーセントの方が亡くなられる、非常に重い致死性の疾患でございます。
現在の治療法ですが、ARDSの生命予後を直接改善できる薬物療法は、ございません。端的に言いまして、さまざまなものを試みましたが、どうしても臨床的な有用性まで見出すところには、至っておりません。現実、人工呼吸管理による呼吸不全の対処療法しかございません。しかし、人工呼吸器の使用が長期化しますと、患者の予後が悪くなることがよく知られております。
このメカニズムですが、我々が今、まさに脳梗塞で治験を試みておりますメカニズムと、まったく同じでございます。
脳梗塞におきましても、血管が詰まり細胞が死に、サイトカインが出て、体の免疫システムが勘違いをして、そこを攻撃してしまう。それによって不必要な炎症が起きて、不必要な組織が死んでいくというものが、脳梗塞のメカニズムであります。
そして、過去のAthersys社のデータ……患者さま一人ひとりのデータをつまびらかに見たところ、「MultiStem®」の投与により、血中の(もろもろの)原因であるサイトカインが劇的に下がり、そして結果的に臨床成績がよくなるということがわかっております。
現在、Athersys社も米国で治験を進めていますが、そのデータを見ながら、我々はこのARDSは非常に重い疾患であり、治療法がない中、「細胞であるから、治る疾患である」「『MultiStem®』であるから、治る疾患である」という見立てを、非常に強めていました。それを受けまして、今回正式にパイプライン化し、治験の準備をしているところでございます。
ARDSの年間発症数
(ARDSの)患者さまの数ですが、いくつか統計がございます。多少数字のぶれはありますが、ざくっと丸めますと、年間の発症が日本国内で約1万人でございます。
疫学データとしましては、50ヶ国のICU利用を調べた分析。それから、今度は場所が非常に特定されますが、千葉県における急性肺障害(ALI)、それからARDSに関する疫学調査が過去に行われていますので、この数字をもとに、いわゆるボトムアップとグローバルのデータを見比べますと、おおむね年間1万人程度という予測がなされます。
ARDSに対するHLCM051を用いた治療法の想定メカニズム
(ARDSに対するHLCM051を用いた治療法の想定)メカニズムです。こちらは先ほどご説明差し上げましたが、改めまして(申し上げると)脳梗塞と同じようなメカニズムになります。
まず、炎症性サイトカインが肺に詰まります。これは、毛細血管が体の中で一番多いから、肺に詰まってしまう。そして、それに対して免疫細胞が不必要に攻撃をしてしまい、結果、その炎症のために肺が水浸しになり、呼吸ができなくなり、そして亡くなるという病気でございます。
脳梗塞で見られたように、全身への「MultiStem®」の投与によってこの炎症は引き、そして呼吸状態が改善できると期待されます。
開発スケジュール
それでは、事業としてどれくらいの時間軸で、どのように承認に至るかですが、現在、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)と、治験開始に向けた交渉をだいぶ進めています。おおむねの進み方はわかってきたところでございますが、具体的な時間の開示は、治験開始後にしっかりとさせていただきたいと思っています。現在申し上げられますのは、従来の当社のポリシーどおり、3年後に3本の承認に合致する製品であると考えています。
参考までに、Athersys社の開発状況をご説明差し上げます。2016年1月より、欧米におきまして、ARDS患者に対する治験を実施しています。第Ⅰ相・第Ⅱ相試験をやっていますが、(目標症例数は)36名対象。それから、(対象患者は)中程度から重症のARDS患者さま。追跡調査期間は1年間です。
主要評価項目ですが、投与後4時間以内の安全性および忍容性を確認する。投与後24時間以内の、投与と関連する重要な有害事象を見ることになっています。
副次評価項目としまして、安全性評価項目は副作用・バイタルサイン・臨床検査・死亡など。有効性の評価項目は、人工換気離脱日数……人工呼吸器をどれくらいで外せるかということです。それから、ICUの在室不要期間・死亡率・入院期間などを見ています。
脳梗塞でもそうでしたが、米国のデータを見ながら、このまま我々がそのデザインで治験をするということではございません。米国でのデータを見ながら、どのようなデザインが最も差が出るのかをよくよく検証して、日本で治験のデザインを新たにして、そして臨床試験を走らせることになろうかと思います。
繰り返しになりますが、こちらもバイオの事業としましては、非常に早い段階での承認が取れるパイプラインと見込んで権利交渉を行いましたので、近い段階で正式な治験開始の時期、それから承認の時期を発表させていただければと思います。
以上が、新しいところのアップデートになります。
現状の日本の脳梗塞急性期治療について
従来のところ……脳梗塞に関しましては、先に申し上げさせていただきましたとおり、従来我々が引いている治験組み込み速度に合致するスピードで、今のところ順調に組み込みが進んでいますので、なかなか「どれくらい進みました」と発表しませんが、ご安心いただければと思います。
HLCM051を用いた治療法の想定されるメカニズム
(HLCM051を用いた治療法の想定される)メカニズムも、こちらはよろしいですね。
アサシス社による欧米における治験
それから、従来のデータです。こちらも何度もご説明差し上げていますが、90日段階でのExcellent OutcomeがP-Value0.02、それから1年後は0.01でございますので、非常に高い確率で、我々としてはこの製品の有効性が証明できるのではないかと考えています。
HLCM051 治験進捗
脳梗塞におきましては、すでに先駆けて申請をいただきました。この中で厚労省へのご相談、それからとくに承認申請後6ヶ月の承認を期待して、現在進めているところでございます。
HLCM051 事業パートナー
日本国内におきましては、ニコン・セル・イノベーションさまへの製造をお願いいたしました。これによりまして、足下での国内生産をしっかりやることによって、揺るぎのないバリューチェーン、揺るぎのない事業体制を実現していきたいと思っています。
iPSC再生医薬品分野 事業パートナー
それから、アップデートとしまして、iPSC再生医療分野です。我々は非常に幅広いバリューチェーンを持っています。ここに今回、NEIが入りました。北米、それから欧州に対するプレゼンスという意味では、非常にブランドのあるところでございますので、ここを足場に、さらに進めていきたいと思っています。
抗VEGF薬の市場規模
加齢黄斑変性も、少しアップデートがございます。2017年の抗VEGF薬が、ついに1兆円を達成しています。これの代替方法として、RPE細胞の製品ができていきますので、ぜひみなさまには、競合品の売上をご認識いただければと思います。
DryAMDに関しては、未だに有効と考えられる治療法は出てきていません。市場はWetAMDよりも大きいと考えられています。
WetAMDに対する現在の治療法の課題
ここで、少しアップデートがございまして、「再発が治まる」という話は、従前から差し上げていました。次は有効性です。再発が治まるだけで、本当にそんなに強い治療法になるのかは、常々議論の余地がございます。
一方、加齢黄斑変性に対する抗VEGF薬を長期で投与した場合の視力予後も、いろいろなスタディの結果、わかってきました。ぜひ見ていただきたいのが、「抗VEGF薬を投与したら、視力がずっと維持されるか」と思うと、そうではないんです。
このグラフをご覧ください。2年目の段階では、投与前よりも視力は改善していますが、その後に抗VEGF薬を投与し続けても、7年後に向けて視力がずっと落ちてきます。これは、薬では細胞が変性していくのを抑えられないので、新生血管をいくら抑えても、ベースの視力はどんどん落ちてくるという現象が、抗VEGF薬の長期スタディでわかってきています。
一方、こちらは理化学研究所さまのデータになりますので、我々では公表しませんが、公表ベースのデータで言いますと、RPE製品を投与後に視力は下がることなく、まったく横に維持されているところでございます。
これは、非常に重要な点でございます。もちろん、自家の1例目でございますから、他家で今後数多くの患者さんに投与して、同じような結果が出るかが重要ではあるのですが、少なくとも初めの1例目に関しましては、視力が3年10ヶ月間、横ばいでございます。
一方、抗VEGF薬であれば、2年後はずっと下がっていく傾向でございますので、ここはおそらく長期的に一番重要な……再生医療製品の中で、とくに我々のような置き換え製品です。根本の原因である細胞を置き換えることに関しましては、非常に重要な有効性が、ここにあると考えています。
薬価の手がかり〜既存医療の医療費からのアプローチ
従来から、この数字は変えていません。市場予測、それから薬価予測です。主に(申し上げたいことは)考え方です。抗VEGF薬の薬価が16万円、投与回数が年間6回ですので、年間(治療費が)100万円かかるわけです。
従来の我々の想定は、「じゃあ、それを30年投与したらどうか」「20年投与したらどうか」ということで、生涯医療費推定を出し、それより安いことは重要であろうと考えていました。しかし、先の抗VEGF薬を使っても視力が下がることを考えると、意味のある患者さまの数で、仮に視力維持が本当にこの再生医療製品で可能であれば、数年後の視力の差も薬価に考え込めるのではなかろうかと、考えるようになってきました。
ただ、繰り返しになりますが、まだ1例でございますので、本当に数多くの患者さまに投与したときに、それだけの数年後の視力の差を我々で維持できるかは、これから証明されなければならないことではあります。
理研等による臨床研究の進捗
それから、理化学研究所などによる臨床研究の進捗ですが、こちらは今、自家の1例目の話はさせていただきましたが、浮遊液での他家細胞の5例は、もう症例の投与は完了しています。前回も発表させていただきましたが、手術におきまして、一部で網膜上膜形成と網膜浮腫が観察されたことを、報告させていただきます。
これに関しまして、手術法の改善を重ねていまして、こちらもおおむね、今のところどうしたらいいのかは明らかになり、進んでいるところでございます。これも繰り返しになりますが、今後の臨床研究への影響はない、そういった副作用であったことはご報告差し上げていますので、臨床治験開始に対する影響はないと考えています。
iPS細胞由来RPE細胞製品の製造体制
製造も、しっかり進んでまいりました。大日本住友製薬さまが(大阪府)吹田市に建設した再生・細胞医薬製造プラントのSMaRTに、我々の合弁会社であるサイレジェンが入っていまして、こちらは現在約20名体制で、この細胞を作っています。
3次元臓器の作製メカニズム
それから、臓器原基です。こちらもさまざまな論文が出てきまして、本格的にプラットフォーム技術として、加速化をしていきたい段階に入りました。とくに肝臓や膵臓、それから中枢神経系など、どうしても臓器原基を使ったほうが、より再生医療の効果が高まる疾患領域が明確になってきています。
市場性の拡大(肝臓移植の代替治療)
それを受けまして、初めは肝硬変やOTCという疾患を中心にいくのですが、適応拡大を目指して、研究開発を進めているところでございます。
会社概要・経営陣
とくに臓器原基に関しまして、「株式会社器官原基創生研究所」という名前で会社を作りまして、現在運営を開始しているところでございます。
こちらは繰り返しになりますが、プラットフォーム技術となりますので、「どの臓器を、いつどのように進めていくのかどうか」そして、「パートナーがあるのかないのか」「いつの段階で、臨床に入るのかどうか」など、しっかり事業計画を見ながら、そしてサイエンスの面を固めながら、どこかの段階で事業計画を発表させていただければと思っています。
当社沿革と再生医療を取り巻く社会動向
全体の流れ(当社沿革と再生医療を取り巻く社会動向)を、ここに示させていただいていますが、創業当時から、また株式公開以降にも、みなさまのご支援をいただきまして、事業としてはしっかり充実してきたところでございます。
組織も上場後3年が経ち、111名体制になって歯車が回ってきて、そして「3年後に3本承認」という目標も具体化し、しっかり再生医療を日本に根づかせる、そして日本から世界へ羽ばたく体制ができてきたと考えています。
どうしてもバイオ領域ですと、毎日ニュースが出る企業ではございませんので、みなさまにおかれましては「どうしてるのかな?」と思われることがあるかもしれませんが、きっちり日々業務は進んでいますので、その点はぜひ、ご安心をいただければと考えています。
あとは、アップデートと言うよりは、従来の補足資料になりますので、今日の発表は以上とさせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。また引き続き、よろしくお願いします。