2018年3月期 通期業績サマリー

福本英雄氏(以下、福本):管理本部の福本と申します。今回から数字面の報告をさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

それでは、2018年3月期の通期業績概要についてご説明させていただきます。3ページの業績サマリーから説明させていただきます。

赤枠が2018年3月期の結果となります。受注高、売上高、売上総利益率、利益、それぞれ公表計画を達成することができました。また、パブリック市場、エンタープライズ市場、パートナー事業がそれぞれ堅調に推移いたしました。

個別の数字をご説明いたします。

最初に受注高です。ソリューション展開が引き続き好調に推移しており、通期では1701億6,400万円、公表計画に対して6.4パーセント増、前年同期比3.8パーセント増となりました。

売上高は1,611億700万円で、公表計画に対して2.6パーセント増、前年同期比で2.5パーセント増となりました。

また、売上総利益率が23.5パーセントとなり、公表計画に対して0.7パーセント増、前年同期比で1.1パーセント増となりました。

一方、販管費ですが295億8,700万円で公表計画に対しましては3.7パーセント増、前年同期比で0.4パーセント増となりました。

その結果、営業利益は82億4,100万円で、公表計画に対しまして14.5パーセント増、前年同期比43.4パーセント増となりました。経常利益は84億1,800万円、当期利益は56億8,200万円となりました。

受注残は、691億2,100万円で前年同期比15.1パーセント増となりました。

営業利益増加の主要因

続きまして4ページ、営業利益増加の主要因についてご説明させていただきます。

当社グループは利益向上に向けて、原価低減、サービスの拡大、そして生産の改善に注力してまいりました。

この結果、2018年3月期は原価低減及びサービス拡大の影響で売上総利益率を前年同期の22.4パーセントから23.5パーセントへと、1.1パーセント改善できました。また、売上高を2.5パーセント拡大することができましたが、社員1人あたり生産性改善を進めたた結果、販売管理費を前年同期と同水準で維持できました。これによって、営業利益は前年同期比43.4パーセントを達成することができました。

マーケット別 受注高・売上高・受注残

続きまして、5ページの、マーケット別の受注高、売上高、受注残についてご説明いたします。

順に説明をさせていただきます。

(スライド記載の)紫色はエンタープライズ市場となっております。引き続きセキュリティ対策、クラウド基盤、働き方改革の引き合いが好調です。受注高、売上高ともに前年同期比で増加いたしました。

緑色は通信事業者市場となります。注力しているクラウドサービス基盤ビジネスが堅調に推移しているものの、受注高、売上高は前年同期比で減少となりました。

赤色は、パブリック市場となります。自治体、中央省庁、ヘルスケア、大学、研究所などでセキュリティ対策、クラウド基盤案件が堅調に推移いたしました。自治体向けが堅調に推移し、前年同期比で多少の減少にとどまったこと。中央省庁、ヘルスケア等の案件が好調に推移した結果、受注高、売上高ともに自治体向けセキュリティ需要が強かった前年同期を超えることができました。

最後に、青色はパートナー事業となります。引き続き主要パートナー向けビジネス及び、通信事業者経由のマネージドサービスが好調に推移し、受注高、売上高とも前年同期比で大きく増加いたしました。

商品群別 受注高・売上高・受注残

次の6ページは、商品群別の受注高、売上高、受注残となります。

(スライド記載の)上から順に薄紫色が機器、ピンク色の部分がサービスとなっております。

サービスを組み入れたソリューション提案が進んだ結果、サービスの受注高、売上高が増加するとともに、その比率も向上しております。サービスの受注高は前年同期比で11.9パーセント増加。構成比も3.1パーセント増加いたしました。サービスの売上高ですが、前年同期比で7.2パーセント増加しました。構成比は1.8パーセントの増加となっております。サービスの受注残となりますが、前年同期比で17.7パーセント増加しました。構成比も1.7パーセントの増加となっております。

マーケット別・商品群別の売上高推移

7ページはマーケット別、商品群別の過去10年の売上高推移となります。

マーケット別ではエンタープライズ市場、パブリック市場、パートナー事業が継続して拡大傾向にあります。

一方、通信事業者市場は2011年度をピークに減少となっております。商品群別では、サービスが10年間継続して成長傾向にあります。

セグメント情報

続きましてセグメント情報となります。資料の8ページをご覧ください。

全てのセグメントで利益率が向上しております。エンタープライズ市場では、売上高が増加し利益率も向上したことで、利益が増加しております。通信事業者市場は売上高自体は減少いたしましたが、利益理解前によって利益の減少額は抑えられました。パブリック市場は売上高と利益率の増加によって利益も増加いたしました。パートナー事業ですが、売上高が大きく伸長し利益も増加しております。

通期トピックス

今までお話した内容をサマリーとして通期トピックとして記載させていただきました。

通期では全体的に好調に受注、売上が推移いたしました。主に、クラウドシステム及びセキュリティの分野が牽引し、工場向けIoTも好調に推移いたしました。セグメント別に見ますと、エンタープライズ市場では全業種でクラウド基盤、セキュリティ対策が好調です。これに加えて製造業を中心としたインダストリアルIoTの取り組みも本格的に進みつつあります。通信事業者市場では、クラウドサービス祈願が堅調であるものの前年同期比で減少となっております。パブリック市場では、補正予算もあり高水準だった前年当期を超過しております。

自治体におけるセキュリティ対策が今期も継続し、前年同期比で多少の減少にとどまり、中央省庁案件の増加やヘルスケアのクラウド基盤案件が伸長したことによります。パートナー事業も前年同期比で大幅に増加しております。この要因は、主要パートナービジネスが引き続き継続、拡大していること。そして、通信事業者向けにマネージドサービスを実現させる特定商材が大きく拡大していることです。

連結貸借対照表

続いて、バランスシートです。10ページをご覧ください。

流動資産ですが、前期末と比較して売掛金の回収が進んだことにより現預金及び、有価証券が239億5,300万円と67億1,600万円増加し、売掛金及び、受取手形が27億7,500万円減少しております。その他の項目では、大きな変更はございません。

為替レート等

続きまして11ページをご覧ください。

為替レートについて、当期の平均レートは前期と同水準の111.04千円でした。1株当たり当期利益は67円16銭と増加いたしました。社員数は若干増加して、2295名となりました。以上が2018年3月期の通期業績概要となります。続きまして2019年3月期の見通しについて当社、荒井からご説明させていただきます。荒井さん、よろしくお願いいたします。

2019年3月期 通期業績の見通し

荒井透氏(以下、荒井):荒井です。よろしくお願いいたします。私からは、2019年3月期の業績見通しについてお話をさせていただきます。

既に、公表させていただいています、弊社の中期経営計画3年間の計画の3年目の数字と変更はありません。

2018年3月期の受注高を参考に売上高を参考に売上高を1,700億円とさせていただきました。引き続き原価の低減及び、サービス事業の拡大に注力し、売上総利益率を前年同期比で0.3ポイントほどですが改善をさせること。また、生産性を更なる改善を進めまして販管費を据え置くということで営業利益を110億円とさせていただいております。

配当は、中間及び期末とも普通配当15円、弊社30周年の記念配を2円ということで17円、年間34円とさせていただきます。この成績で当期利益を達成出来た場合の配当性向率は38.8パーセントになる予定となっております。

2019年3月期 通期業績の見通し:マーケット別

続きまして、各マーケットの見通しになります。資料の14ページでございます。

エンタープライズ市場ですが、引き続きセキュリティ対策、クラウド基盤といったところ、あと働き方改革といったところが順調に推移すると想定していまして、好調を維持できると考えております。

また、インダストリアルIoTが実需が拡大するということを考慮しまして、成長路線で計画をさせていただいています。現時点で受注高、売上高とも多くのパイプラインを有しております。

続いて、通信事業者市場ですが、昨年度まで減少傾向にありましたが、今期は多少復活できるのではないかと考えております。内容としては引き続きクラウドサービス基盤といったところに注力をしていく予定です。設備系のビジネスが増加するということは想定しておりません。

また、パブリック市場ですが、今期は自治体向けのセキュリティ対策案件は少し減少すると想定しておりますが、昨年度より好調に推移している、ヘルスケア、大学研究所、また新たに教育委員会といったところでセキュリティ対策、クラウド基盤が拡大するであろうと考えております。また、中央省庁案件も盛んな年になると想定しておりますので、ほぼ前年と同様の数値は達成できるのではないかと想定しています。

また、パートナー事業ですが、継続して主要パートナー向けビジネスは成長できると思っています。また、通信事業者経由のマネージドサービスは順調に拡大をしておりますので、こちらも成長できると想定しておりまして、このような数字をまとめさせていただいております。

2019年3月期 通期業績の見通し:商品群別

商品群別の業績見通しです。

利益工場に向けてサービス比率を拡大するということで進めていきたいと考えております。受注高で、申し上げますと42.1パーセントから43パーセントへと計画をさせていただいています。

後ほど説明があると思いますけども、サービスビジネスの開発の強化、とくに付加価値の高いサービスの促進といったところに注力していく所存でございます。

営業利益増加の主要因

利益増加の主要因です。

売上高が前年同期比で5.5パーセントの増ということ、先ほど申し上げました通り売上総利益率を多少改善すること、また、販売管理費を同水準でキープするということで、営業利益を達成します。

営業利益は33.5パーセント増と計画上なっております。

2019年3月期第1四半期の足元の状況は、引き続き受注は好調に推移していますので、第1四半期のご報告のときにいい数字をご報告できるのではないかと考えております。

また、売上は多少スローな感じで進んでおりますので、第1四半期はそこそこといった形かもしれません。上期では公表させていただいてる数値をキャッチアップできると考えております。

では、続きまして中期経営計画の進捗と、その取り組み、今年度の政策など吉野さんから説明させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

成長戦略

吉野孝行氏(以下、吉野):今年、中期経営計画3年目でございます。大きな変化は現在ございません。

既存のお客様の投資に対してエンハンスメント、インプリメントでの拡大は、今年も主たる事業の中心となります。

一方、みなさまご存知のようにクラウドシステムに全面置き換えるというケースはありません。ハイブリッド型に傾斜しています。先行している米国市場において、去年(2017年)の秋以降、大きく様変わりしてきたのがハイブリッドです。アンケートでにも結果が出ていますが、全面的移行はハイリスクであると(ユーザーは感じています)。セキュリティが守れない、データのマネジメントができない。その点、日本という国はある意味でアメリカよりは遅れて(普及が)進んだということも影響してるかと思いますけども、現状で完全移行というユーザーははなく、より複雑なシステム構築と運用という形になってきてます。

それからIoTの話を、このあとも少しさせていただきますけども、製造業を中心としたIoTは計画値より上回って現在進んでます。今年度からはもう少し広げて、例えばヘルスケアにおけるIoTといったところにも広げていければと考えています。

中期計画の進捗状況

数字面で振り返りますと、3年前当社は売上高1,451億円でした。これを、3年掛けて利益率の改善とトップラインを変えていくという計画の元に今年度3年目になります。

ここで、インクリメンタル240億円のトップラインをつくると話したときの内容が(スライド)右側のパイチャート、円グラフです。

クラウドシステムwithセキュリティ、コーポーレート、グローバル、IoT、この4つの中で残念ながら計画通りいってないのがグローバル市場です。クラウドwithセキュリティでは、100億円のインクリメンタルをつくるといってますが、実は100億円を既に超えています。コーポーレート市場、60億円も既に超えています。IoT市場は実績で35億円まで削減できました。ですから、今年度は多分50億までいくと思います。

そういう意味で、グローバル市場はいくつか手を打っています。ASEAN中心とした投資が地元ではあるんですが、日本初の投資というのは当初の予定から見るとちょっと低めに進んでいるということで、パイチャートの周囲に計画と青線で実績と書いてございますけども、グローバル市場以外は計画値を超える状況になったという状況でございます。

クラウドシステム with セキュリティ

このページ以降は、今年度の取り組みのところだけお話させていただきたいと思います。

Net Oneという会社の事業携帯を統合サービス事業へ変革するというのが、今年の大きなテーマです。昨年度は、「サービス事業に入っていく」という表現をとりました。今年は「統合サービス事業へ変革」という形をとりたいと思っています。

なにを意図しているかと言いますと、システムである以上、複雑な運用サービスというものは、これからも拡大していくと思われます。より一層、お客様にとって必要となる付加価値サービスは、ベンダーが提供する特徴、フューチャーではありません。ベンダー1社で提供できないサービスをNet One自身が昨年度も開発してきてますけども、今年もこれらを多く開発して、お客様におけるバリューを拡大していこうということが統合サービス事業の中身です。

IIoT(Industrial IoT)市場

IoTにおいても同様です。当社の場合には、製造業におけるIoTという言葉で「IIoT」という言葉を使ってますが、順調にこの領域も進捗してます。

正確に言えば、自動車関連の製造業のお客様。自動車製造だけでなく自動車に収納されるモジュール類の製造業のお客様。それに必要なNC工作機。それからロボットいったもののIoTの素材にあたるもの。こういったような、お客様と一緒になって製造業の製造ラインにどんどん投入されてきてます。

一方、ご承知のようにマスコミ等でAIという言葉が使われるようになってきましたが、当社では、まだAIという言葉は使うつもりはございません。理由はディープラーニング、シンラーニングと呼ばれる生データから何を学ぶか、どのような因果関係があるのかが、まだ正しくはアルゴリズム的にも解析できてないからです。今年はAIとは言いませんけども、いくつかの手法をお客様とご一緒に投入して、2年、3年後はAIの環境に参入したいと思ってます。

グローバル市場

グローバル市場です。

Net Oneシンガポールという会社をつくり、またはシンガポールによる現地の会社でアジアソフトという会社に投資をし、日本初のお客様のASEANエリア内でのIT投資に対する支援を拡大しようというのが、2年前の意向でした。

現地での投資は地政学的な問題もあって計画通りにいってないのも事実です。そういう観点で、改めて日本のお客様に対してガバナンスの効いたIT投資を促すように今年は努めていきたい、それによってASEANにおけるポジションを確立していきたいと考えております。

北米、欧州おいては、異なるベンダー、パートナーさんとの提携に関しては既に契約等を進めておりますので、スポット的なビジネスが今年以降、入ってくるかと思ってます。

そういう状況でグローバルは若干計画に対して遅れているというのが現在の状況です。

コーポレート市場

コーポレート市場は、ひょっとすると、みなさまに誤解を与えているかもしれません。

具体的にコーポレート市場と呼んでいる領域は2箇所あります。

まず、1つは大手エンタープライズの中で従来Net Oneが対応できていなかったところのお客様、もう1つは中堅事業といいますか、SMBでいうところのミッドマーケットの市場、この2つの領域に対して現在Net Oneのエンタープライズがやっている、直接お客様を訪問してディスカッションしながら提案するというモデルから、インターネットを使い、コンタクトセンター等も使い、ビジネスモデルそのものを次の時代に合うようなものに変えていこうというモデルが、コーポレート市場で今チャレンジしている領域です。

成功、失敗、多々ございますが、数字面でお話させていただくと通信キャリア向けのサービス、実はこの領域は大企業には入っていません。全て、中堅企業、SMBといわれるマーケットです。今年度は、この領域を大企業におけるブランチオフィスにも展開できるように通信事業者の方と協議している最中です。これによってNet Oneのタッチできる領域を拡大していきたいと考えております。

それから、キャピタルサービスという言葉を使っています。お客様にNet Oneの名前でご紹介するとき「オールインワン・プラットフォーム」という言い方をしているのですが、単なる機材のレンタルだけでなくて、サービス事業も含めて全てフィナンシャルなサービスを行います。結果的に言うと、お客様は資産をもたずに利用料だけ月費で払っていただきます。こういった仕組みを行うために日本の金融機関と、複数の金融機関とスキームを組んで、このサービスを昨年度から展開してます。

コーポレート市場においては、お客様の負担が少なく最適な利用環境が提供できます。マネージドサービスを使うことによって運用もきちんと対応できる形で、今年度、大きく展開していければと考えております。

ネットワングループの活動全てを「統合サービス事業」と定義

改めて、統合サービス事業とはなんであるかを、このページでご紹介させていただきたいと思います。

お客様ICTシステムの導入をフェーズを、プランニング、計画、導入、ビルド、運用、オペレーション、最適化、オプティマイゼーションという1つのシステムのライフサイクルのフェーズに合わせてNet Oneという会社が何を、どの部署が提供していくかという具合に書いたのが(スライドの)チャートです。

中央部分でオレンジの線で「コンサルテーション」が一度戻って計画のコンサルに入っているところは、最適化というコンサルテーションを今年度から新たに追加してやっているものです。一方、ネットワークを提供する商品群は1つは、ベンダーのハードウェア、ソフトウェア製品、、Net Oneの付加価値であるバリューアデッドを行った製品群、昨年4月に設立いたしましたNet Oneコネクトを中心としたソフトウェア製品この3つの商品群を当社ではフレームワーク、SDHCIと呼んでるんですけども、これはソフトウェア・デファインド・ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャーの略でございます。

すなわち、仮想化環境におけるマルチベンダーのサーバー、ストレージ、セキュリティ、ネットワークの組み込んだシステムです。こういった組み込むときのコンポーネントに取扱商材であるベンダー商品、Net Oneが開発した付加価値製品、それから開発してるソフトウェア製品を組み込んで提供します。それで、お客様のご要望によってはキャピタルサービス、フィナンシャルサービスも合わせて提供する、こういう全体をNet Oneは今年度から統合サービス事業として展開してまいります。

サービス比率の拡大へ

1年前に「2017年度は営業利益72億円を目指します」とこの場(2017年3月期通期決算説明会)でお話して、アナリストの方からは「冗談だろう」と言われました。

1期が終わった段階で数字発表したあと、「ひょっとしたら70億円はいかないけども、60億円代後半はいくんじゃないか」と、アナリスからレポートを受けました。(2017年)10月下旬に上半期を発表したところ、80億円に行くかもしれないというレポートも受けました。年明けから、84億円、85億円、88億円と日増しにコンセンサスの営業利益金額が伸びました。

今年は110億円をターゲットにしていますが、この110億円のキーは、サービス事業の比率をできるだけ機器と同レベルに持ち上げることです。これが、今年110億円ではなく、来年、再来年以降の利益の継続成長させるためには必須の領域であるといったことをみなさんにご説明します。

以上が事業計画の内容でございます。