2017年9月期決算説明会
吉田浩一郎氏:こんばんは。
本日はクラウドワークスの決算説明会にお越しくださいまして、ありがとうございます。
もう何度か、だいぶお顔を拝見している方も多くなってきているかなと思うのですが、このように継続的に足をお運びいただいていることに、非常に感謝申し上げます。
今回は、この表紙ですね。
それぞれ、1名がクラウドワークスの社員・1名がクラウドワーカーのみなさんです。我々は6年続けてきた中で、AKB48ではないですけれども、社員にとって「推しメン」のようなかたちで、自分の好きなクラウドワーカーさんがだんだん生まれてきました。そして、その人に会いに行ったというような感じです。
ですから、(社員とクラウドワーカーさんは)ネットの向こう側でつながっているわけですけれども、このように実際に会ってみると、「どこかしら、みなさんは表情が似ているね」と言っている話があります。そのようなかたちで、世界中・日本中の人とつながって、この新しい世界が生まれているという考え方をしています。
トピック
トピックは、こちらのスライドのとおりです。
第4四半期は、1年前にみなさまにお話しした業績予想通り、黒字化を達成したということです。
続いて通期は、費用を約40パーセント圧縮し、総契約額は40パーセント成長したということで、我々の利益改善あるいは効率化が、順調に推移していることを報告いたします。
2018年9月期は、総契約額100億円ということをコミットさせていただき、EBITDAで黒字化へということです。この後またお話しいたしますが、電縁社(株式会社電縁)の買収(連結子会社化)があります。この電縁社の売上計上の内容を含めた詳しい業績予想を、今精査中です。
クラウドワークスのビジョン「働き方革命」
クラウドワークスのビジョンは、「『働き方革命』世界で最もたくさんの人に報酬を届ける人になる」ということです。
2017年9月期累計で、約53億円の報酬をお届けしています。
少し、数字の計上を見直しました。我々の社員の中でも半分クラウドワーカーになっている人や、クラウドワークスで働いているアルバイトの方。また、クラウドワーカーで働いていたけれども、(社員として)うちで働くようになった方。そのような方がかなり増えてきて、グラデーションがさまざまになってきているので、我々が個人に対してお支払いしているすべての報酬を、総額で話しているということです。
そのため、うちにいちばん近いところで言うと正社員になりますが、正社員・派遣・アルバイト。アルバイトの中には、オンラインで働いている方もいらっしゃいます。
そこから、クラウドワーカー・フリーランスといったさまざまな方々が、インターネット(オンライン)・オフラインを含めて、あらゆるかたちで働いていらっしゃるという状況です。
クラウドワーカーの報酬事例(2017年9月期実績)
クラウドワーカーの報酬事例です。
これは、クラウドワークスを通して得られた年間報酬額を対象としています。年間報酬額が1,000万円を超えている方も、だいぶ増えてまいりました。
やはり、クラウドワーカーの方もストック型になってきているので、だんだんと経験を積み、我々の「プロクラウドワーカー制度」という認定制度も踏まえて、報酬の額が継続する。このことによって、だんだんと(報酬を)得やすくなってきている・上がってきているという傾向があるかなと思っています。
通期の業績
業績ハイライトです。
通期営業赤字を前期比で約2.6億円、43.5パーセント改善しました。社員数はほぼ変えておりませんので、そういう意味では、かなり圧縮に成功したと言えるかなと思います。
その一方で、総契約額は順調に成長して、前期比で38パーセント伸ばしました。この1年、この目標を達成する中で、既存のサービスの効率化・自動化に関するいろいろなノウハウが、我々の中でもどんどん進んできました。今期に関しては、さらにここより高い成長を目指せるイメージが湧いております。
四半期営業費用
続いて、四半期の推移のご説明です。上場したのが、2015年の第1四半期ということになります。
そこからぐぐっと投資を重ねてきて、総契約額に対して65パーセントの費用をかけて投資しているというのが、(費用割合として)最大だったのです。現在は、それが25パーセントというかたちになっています。上場時の(黒字)水準はもう少し低いのですけれども、ほぼそのような水準になってきたというかたちです。
四半期営業収益と営業利益
そちらに伴い、四半期ごとの営業収益と営業利益の推移は、ご覧のようになっています。 2015年9月期の第3四半期が、最も投資をしている状態で、2億7,800万円を投資していました。これは合算していただくと、だいたいほぼ今の数字になっているかなと思います。
つまり、(上場後に)投資している金額がそのまま、1年半を経て市場拡大につながりました。かつ今期は、上場直前の時のように、また黒字化を果たしたということです。
黒字化を達成する一方で、この第4四半期も、四半期別でみても総契約額を伸ばしてきているというかたちになります。
四半期業績推移
四半期業績推移の、細かい数字をご説明いたします。
こういう時に、よく「投資を絞ったからではないか?」と言われることがあるのですけれども、その(ご説明の)ためにこの表を用意しています。
この3本のグラフの右側に、「広告費・外注費を除く費用(固定費)に対しては、営業収益が6,000万円のプラス」と書いています。これはつまり、逆に言うと、広告費・外注費を6,000万円かけているということです。
そういう意味では、グラフのコストの部分の推移をみていただくとわかりますように、この第4四半期は特別に抑えているわけではなくて、広告費や外注費といった投資は、効率が合うものはそのまま継続しているというかたちです。
2017年9月期通期 P/L
2017年9月期の通期のP/Lは、このようになっております。
総契約額は63億円、営業収益は15億円、営業利益がマイナス3億3,000万円というかたちです。(前期比では)総契約額が38パーセント、営業収益が22パーセントということで、ここの成長が総契約額に対して少し遅れをとっています。
ただ、我々としては規模の拡大、総契約額=クラウドソーシングの市場の発展と感じています。そのため、この短期的なところは、あまり気にしておりません。
今年度以降ここの部分は、また改善が可能であると考えております。
2017年9月期通期 B/S
自己資本比率も56.1パーセントというかたちで、順調に維持をしています。
SaaSビジネスモデル:ストック収益基盤
事業の状況です。
おかげさまで、四半期ベースでみた時に、既存のクライアントからの発注がもう80パーセントを超えているということです。
よく、クラウドソーシングには(もともと)「毎月毎月、0から発注しているではないか」「単発のマッチングではないか」というイメージがあります。
(しかし当社では)すでに80パーセント以上の収益が、既存のクライアントから生み出されている、非常に安定的なプラットフォームになっているということを、こちらでご報告申し上げます。
新規のクライアントに関しては、(総契約額の82.6パーセントからみると)残り17パーセントということになります。
SaaSビジネスモデル:新規獲得効率
こちらのページをご覧ください。詳しい金額は、世の中の市場環境や競合環境などを踏まえて、今回は非開示といたします。
1クライアント当たりの広告の費用を、この1年で劇的に改善しています。(1クライアント当たりの獲得)広告費を1(とした場合、それ)に対して、1ヶ月目でクライアントの広告費用を回収しました。1年間では、投資に対して22倍(のリターンが)出ているというかたちになっています。
この内容を維持する限りは、さらに追加で投資をしても、長期的に収益が見込めるというモデルが確立したと考えています。そのため、80パーセントの既存クライアントがあり、20パーセントの新規クライアントについても、投資対効果があるモデルになっている。このかたちの中で、第4四半期が黒字となったと考えています。
クライアント数
クライアント数は順調に伸びていまして、20万6,000社を突破しています。
ユーザー(クラウドワーカー数)
ユーザー(クラウドワーカー)数も(前年同期比で)45パーセント増で、150万人を突破しています。
さらに稼げるプラットフォームへ
こちらは、次の中期経営方針で詳しく説明いたしますが、プロクラウドワーカーに認定することで、クライアントと交渉しやすくなり、月間平均報酬額が増加しているというデータがあります。
新サービス群が成長、前年同期比2.3倍へ
また、新サービス群も、今順調に成長しております。前年同期比で約2.3倍です。こちらも、次の「クラウド経済圏」のご説明で、詳しく触れさせていただきたいと思います。
急成長事業を子会社化へ
「急成長事業を子会社化へ」です。我々はベンチャーですので、立ち上げ当初からいろいろな人材が入ってくる中には、「将来は起業したい」「将来は社長をやってみたい」というような人材が、数多くいます。
そういう中で、急成長している彼ら自身が立ち上げて急成長させてきた事業は、当事者意識を持たせて、P/LやB/Sを自分たちで見ていくというように考えて、分社化を図っています。さらに、それぞれの市場に対してマーケットヒットをしていく、市場を寡占化していくというようなかたちで考えています。
ドコモ7,488万人*のすきま時間を活用
株式会社NTTドコモさんと連携したサービスの「dジョブ™」です。まだまだポテンシャルがあると思っていますし、このような送客の連携は、今問い合わせをいろいろいただいている状況です。これを皮切りに、さらに送客を連携・ワーカーを増やしていくということです。それを重ねていければと思っています。
2018年9月期通期 目標
2018年9月期は、上場来ずっと言っていた「総契約額100億円」を、今回(目標に)掲げております。
先ほど申し上げた通り、クライアント獲得コストに対して、年間営業収益が大きく上回るかたちになっています。そのため我々は、この100億円に対して、必ず達成できると考えております。
その中で、通期に関してもEBITDAの黒字化を、今回目標としてお話しいたします。
株式会社電縁を連結子会社化
また、すでにリリースがある通り、株式会社電縁を連結子会社化しています。
こちらは、我々がやっているクラウドソーシング的な人材ビジネスだけではなくて、ブロックチェーンのR&D、研究開発を手がけております。(このあとの)中期経営計画で述べさせていただく、新しいプラットフォーム外の取引を行っていく、ブロックチェーンの取り組み。
これに対しても非常にシナジーがあるということで、株式会社ガイアックスさんから、電縁社を買収しています。
業績の内容を見ていただくとわかる通り、だいたい概算で足すと、営業利益ベースで1.3億円ということで、67パーセントを6億円強で買収できたということは、このあとのPMIを考えても、非常に良い価格だったと考えております。
中期経営方針「働き方革命」
続きまして、中期経営方針の「働き方革命」についてお話しいたします。
戦略は「クラウドスコア構想」と題しまして、①ビジョン、②成長戦略、③コアバリュー、④技術基盤の4つをお話しいたします。
また、目標は、2020年9月期で総契約額400億円・EBITDA20億円を掲げております。こちらは上場時に(総契約額)100億円を掲げて、今期に達成見込みであることと同じように、ここから3年をかけて総契約額400億円・EBITDA20億円を、必ず実現してまいりたいと考えております。
クラウドスコア構想
まず、「クラウドスコア構想」からお話しいたします。
我々のビジョンは、以前から申し上げている通り「世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる」ということです。20世紀は、大企業の中で正社員が働いていて、その正社員の雇用が1つの社会的意義・貢献であると言われていました。
しかし我々は、正社員でなくてもインターネットを通して、報酬を届けることができる。正社員ではなくても、どのような人でも、パソコンとインターネット、あるいはスマホとインターネットがあれば働けるような世の中になる。このインターネットを通して報酬を届けるということを、1つのイノベーションの指標としています。
その中でビジョンとして、届ける報酬額目標を1.7兆円にするということ。日本一のオンラインの就業インフラというものを、目指しています。
次に、成長戦略ということで、「クラウド経済圏=シェアリングエコノミー市場+Fintech市場」の2つをおいています。個人に対して、新しい価値提供を行っていきたいと思っております。
それにおけるコアバリューが、昨日今日(2017年11月15日・11月16日)で連続して発表させていただいた、AIスコアレンディングの「クラウドスコア」という、個人の与信システムです。
さらに、それの基盤になるというところで、AI。そして今後の取引の自由化を目指すべく、ブロックチェーン技術の研究開発といった、4段の構造になっています。
①ビジョン:報酬額目標1.7兆円
こちらは、日本一のオンライン就業インフラを目指すということで、現在(2017年)9月期が、約1,270人に対して日本人の平均年収422万円を掛けると、53.6億円の報酬になります。
これを、我々は400倍にしていくということで、40万人。これで(422万円を掛けた)1兆6,880億円といったかたちです。(従業員数ランキングでは)トヨタが最新の数字で37万人なのですけど、これを超えて日本一のオンライン就業インフラを目指す。新しい社会インフラを、インターネットを通じて作るということを目指しています。
②成長戦略:クラウド経済圏
その中の成長戦略として、「クラウド経済圏」というものをおいています。シェアリングエコノミーとFintechというのは、両方とも個人にとって意味がある事業だと思っています。まずシェアリングエコノミーによって、個人は生活・仕事、あるいは生活の中のサービス(で報酬を得られる)。
いろいろなかたちで、このシェアリングエコノミーが生まれることによって、個人が報酬を得られるということです。例えば、カーシェアリング。ドライブシェアのUberのドライバーでも収入が得られますし、Airbnb(宿泊施設・民宿貸出サービス)で部屋を貸すことによって、収入が得られるということもあると思います。
そのようなシェアリングエコノミー全般を「クラウド経済圏」において、クラウドソーシングを軸足にして、それぞれ広げていきたいと思っています。
一方で、Fintechです。昨今、麻生(太郎)さんも言及されていたように、今、インターネットを通じて、個人の資金調達ができるようなプラットフォームが広がってきています。
またICO(Initial Coin Offering)という、企業体が上場しなくても自分たちで資金調達をするような流れがあります。私の考えでは、こちらもおそらく5年、10年かけて個人にも広がってくるのではないかと考えています。
②クラウド経済圏 = 個人が主役の経済
そのような流れの中で、従来は企業でしかできなかったものが、インターネットを通じて個人と個人がつながることにより、個人でどんどんできるようになってきている実態があると思っています。
情報の提供については、従来は新聞・雑誌・テレビなどのメディア、自社ホームページがメインだったものが、個人でもSNSやブログで簡単に情報を発信し、情報を得ることができるようになっています。
役務の提供については、従前は企業が提供していたものが、クラウドソーシングによって個人が直接提供できるようになっています。
モノの提供については、従来は店舗で人が売っていたものから、個人によるeコマースが生まれたり、個人がダイレクトに動画配信をして報酬を得るライブコマースも可能になっています。
お金の提供についても、インターネット特有のソーシャルレンディングなどがあります。
個人が個人にお金を貸すことも含めて、シェアリングエコノミーとFintechの全体像をクラウド経済圏と置き、クラウドソーシングを1つのイノベーションの軸足に置き、周辺事業にどんどん拡大していきたいと考えています。
②シェアリングエコノミー関連事業の創出
シェアリングエコノミーの関連事業の創出としては、資料に書いているとおり、モノと役務の両建てがあります。スペースも1つの役務になるかもしれません。モノあるいは移動も役務です。そのようなものをシェアリングしていくことにより、まったく新しい市場が生まれようとしています。
アメリカのベンチャーの時価総額ランキング上位10社の約半分がシェアリングエコノミー銘柄となっていまして、我々はこの市場にまだまだ高いポテンシャルを感じています。
②Fintech領域の研究と事業化
Fintech領域において、クラウドワークスは「ICOビジネス研究会」に参画しています。メガバンク3社、野村證券・大和証券等20社・団体とともに、金融庁とも連携してICOルールを整えていくことをやっています。
こちらは多くが法人を前提としたICOなのですけれども、その中でも我々は非常に特色のあるかたちで参加しています。個人のICOの可能性を含めて、この中で意見交換をして、ICOルールを整備していきたいと思っています。
②クラウド経済圏へ向けて社内・M&A・提携を積極活用
上場後に、「クラウド経済圏へ向けて社内M&A・提携を積極活用していく」というお話をしたのですが、今回は1つステージが進みまして、いろんな成果が出始めています。資料に書いてあるロゴや人がいろいろな取り組み事例になりますので、いくつかご紹介いたします。
②社内立ち上げ:新規事業群は、前年比2.3倍成長
今、新サービスを続々とリリースしていまして、資料に書いてあるロゴはすでにリリースされているものです。新規事業群は、この1年で前年の2.3倍の規模になっています。
これはうちの会社の特色なのかなと思っていますが、新規事業のほとんどは私が考えていないものです。社員からアイデアがどんどん出てきて、一つひとつが事業になり、会社になるということがありました。
先ほどご紹介した、「ビズアシ」や「ブレーンパートナー」も社員の発案です。そのような意味で、会社の1つの事業の再現性が社員によって生まれているということは、ここから伸ばしていくと、無限に広がる可能性があるわけです。
Fintech領域のような新しい展開に関しては、私がコミットしてやらせていただくのですが、既存事業からのアイデアで、社員がどんどん新しい事業を生み出していくということで、トップとボトムからの両建てで、シェアリングエコノミー全般に進出していくような構図ができあがっています。
②既存事業:生産性1.8倍目標で利益創出、再投資へ
既存事業も黒字化に向けて、普通の企業としては当たり前かもしれませんが、コストダウン、自動化、生産性の向上、効率化を図って、生み出された分を投資に回すといった、さまざまな取り組みをしました。これをさらに高めていき、今期は既存領域の生産性1.8倍を目指し、それによって生み出された利益を再投資していくことを考えています。
②M&A:PMIの成果と共に買収規模を拡大へ
M&Aでは、PMIの成果も上がってきました。2017年5月に買収したgraviee社は、買収前の営業利益予想では2,000万円程度という話があったのですが、PMIにより5月の買収からわずか4ヶ月で3,000万円を超える着地となりました。
こちらも予実管理やマネジメントの連携を通して、PMIの1つの小さなかたちができあがったと思っています。
企業価値1億円のgraviee社に対して、電縁社は企業価値9.6億円という、比較的大きな規模になったのですけれども、今度は1つ桁を上げていくということで、現状1.3億円という年間EBITDAへの想定貢献分が読めています。こちらをPMIを通して上げていくということを、次回・次々回決算の中でご説明いたします。
②Fintech新規事業は、創業メンバーと新CFOで立ち上げ
Fintech新規事業の推進については、今日ここにいる桑江が新しくCFOに就きました。彼は三井住友銀行でも知られた存在で、今回の電縁社の買収においても、三井住友銀行からもお金をお借りして、一緒に取り組んでいます。このようにメガバンクとも連携をしながら、次の買収、PMIも仕掛けていきたいと思っています。
既存事業は社員からどんどん生み出されていますが、Fintech領域を明確に事業として掲げてやっていくのは初めてになります。そこに対しては、クラウドワークスを創業したときのような体制で、私自身もコミットして、創業メンバーである成田・野村と銀行出身の桑江の4人でやっていきたいと思います。
こちらもスケジュールを引いていますので、年内か年明けに、個人に対する新しい領域のFintechをいろいろとご紹介できるかなと思っています。
③個人が主役の時代に合わせた新たな与信
今回のクラウドスコアのポイントについてお話しいたします。まず最近CMでも話題になっている、みずほとソフトバンクによるジョイントベンチャーのJ.Scoreです。
このようなかたちで、既存の銀行では融資できない、あるいは融資に対する制限があるために、個人の領域に対してまったく別の与信を立てていこうという流れがあります。
我々としては、報酬のデータがあって、企業の評価データがあるので、このような与信のデータこそ我々が整備すべきではないかという議論が以前からありました。今回いよいよ事業化していくかたちとなります。
それが「クラウドスコア」ということです。
③クラウドスコアは、個人の収入増と生活の安定に貢献
我々のグループ、各サービスに眠っている人の報酬データ、評価データ、行動データをスコアリングした上で、今回は第1弾として、株式会社CAMPFIREさんと組んで、「CrowdCash(クラウドキャッシュ)」という、契約済みの仕事の報酬前払いサービスの提供を始めてまいります。そして、第1弾で得られたデータをまたためて、さらなる次のサービスを準備してまいりたいと考えています。
③スコアリングにより報酬は62%増の実績
実はこのスコアリングはすでに裏側では動いています。2年前にプロクラウドワーカーというものを始めて、データをずっとためているのですが、プロクラウドワーカーを認定する中で、例えば、裏側でどのようなメッセージをやり取りされているか、メッセージの反応速度はどうか、あるいはログイン率なども見られるようにデータ化して、スコアリングしているのですが、これによる成果があります。
ここではプロクラウドワーカーになると、月間報酬額が62パーセント上がるというデータが取れています。そのような意味では、この人たちは信用があるし、信用があると報酬が得られるというサイクルの実験ができています。
③クラウドスコアがクラウド経済圏を拡大
「クラウドスコア」自体をオープン化させていくことで信用が増加して、取引がしやすくなる(報酬が得やすくなる)、あるいは融資が受けやすくなる。その融資によって自己投資が行われて、生活の安定も得られるというサイクルができ、報酬が増大していくということです。これが「クラウドスコア」と「クラウド経済圏」との関係・サイクルです。
④ブロックチェーン・AI領域の研究開発
こちらに書いてあるとおり、「クラウドスコア構想」では、プラットフォーム外のP2P取引も我々の新しい視点におき、ブロックチェーンとAIにも積極投資をしていきます。
クラウドワークスというプラットフォームはもちろん自由取引ですので、以前から中抜きというものがありました。中抜きというのは、我々のプラットフォームで知り合って、契約は外でやるという行為です。なぜそれをやるかというと、手数料があるからです。
ただ一方で、手数料があるのにうちを使い続けている人もいます。そのような人たちは、クラウドワークスでたまる信用データに興味があるということです。
例えば、クラウドワークスで仕事を100件やって、「5段階評価で4.8」となれば、プロフィールページが勝手に営業してくれて、勝手にスカウトが舞い込んでくるというところに価値を感じているということです。
そのような意味で、プラットフォーム外の取引においても、我々の「クラウドスコア」を信用データとして使っていく方法はないかと考えたときに、ブロックチェーンを使って、「外でやるときはこちらの契約のブロックチェーンを使ってください」というかたちでデータをためていくことにより、クラウド経済圏を広げていくことが可能になるのではないかと考えています。
短期的にはクラウドワークスのプラットフォームとカニバることがあるかもしれませんが、プラットフォームの将来像として、代理店の商取引がインターネットによって中抜きされるという流れがありますので、我々のクラウドワークスのプラットフォームで中抜きされる取引内容というのは、遅かれ早かれプラットフォーム外で取引される可能性があるということです。
そのような意味では、クラウドワークスプラットフォームとブロックチェーンによるプラットフォーム外の取引の両建てで、我々が個人間の取引を整備していきたいと思っています。
AIにも積極投資をしています。クラウドワークスの仕事のマッチングエンジンはAIを使っていますが、こちらもまだまだ改善の余地があると思っていますので、ここにも研究開発をしていきたいと思っています。
④ブロックチェーンのP2Pプロダクトをテスト開始
今回、株式会社電縁を買収して、P2P取引を想定した社内流通コインの運用実験を開始しています。
こちらの「ありがとうコイン」は分散型で、誰にでも「ありがとう!スタンプ」が送れて、その結果「ありがとうコイン」がたまっていき、社内でもちょっとしたボーナスになるとう取り組みです。
我々はこちらを社内で実験した上で、オープン化していきたいと思います。当然我々のプラットフォームでも使えますし、外でも使えるというかたちでやっていきたいと思います。
このようなプロダクトの関わりの中で、株式会社電縁と組んでいます。取締役の石原は、日本ブロックチェーン協会事務局を兼務しています。
そのような意味でも、個人間の取引にはブロックチェーンを中心とした仮想通貨の可能性があるのかなと思っています。
④AIの研究開発がサービスのKPI改善に繋がり、学会発表へ
資料の赤字で書いているのですが、悪質案件自動検出AIは、クラウドワークスへの実装が行われています。人間による目視の検出との適合率91パーセントということで、ほぼ自動化できていると言えます。
学会でもこの内容に興味を持っていただき、研究成果を人工知能学会ですでに発表していまして、けっこうな反響をいただいています。
労働は人が提供するものですけれども、労働の未来を考えると、おそらく人にしかできないものが残り、自動化でもいいものはどんどん自動化していかないと、この時代の最適化や新しい社会のデザインができないと思っています。そのような意味でも、我々は今後AIの研究開発に力を入れていきたいと思っています。
2018年9月期目標
最後に目標です。現状、株式会社電縁の子会社化がありますので、売上と利益の予想は精査中です。現段階の目標として、今期(2018年9月期)の総契約額100億円、EBITDA黒字化を目指します。3年後の2020年9月期には、総契約額400億円、EBITDA20億円を目指します。
上場後の3年間、いろいろなかたちで事業計画の精査が進んでいます。その中で考えても、総契約額400億円とEBITDA20億円は十分に達成可能だということで、社内の経営陣で一致団結して、こちらの数字を掲げています。
また中期目標として、早期に総契約額1,000億円、EBITDA100億円を実現していきたいと思っています。
私たちのミッション
私たちの変わらないミッションは「“働く”を通して人々に笑顔を」ということです。今までの報酬を届けるということから、報酬によってスコアリングをして、個人が報酬を届けるだけではなくて、お金を調達するところまで広げて提供しようと考えています。
個人が正社員ではなくても、普通に安心して仕事と生活が送れる世界が実現できたら、それは「”働く”を通して人々に笑顔を」提供することになるのではないかと考えていますので、今期もがんばってまいります。私の説明は以上となります。ありがとうございます。