2017年3月期決算説明会 業績概要
上田輝久氏:私から2017年3月期の決算説明をさせていただきます。最初に業績の概要です。
売上高は3,425億円で、前年から若干の増加となります。為替の影響が169億円ほどあり、それをなんとか克服しようとやってきました。中計の目標3,500億には届かなかったのですが、為替の影響169億円を克服して増収にこぎつけたというかたちです。
営業利益は371億円で前期比3.9パーセント増、経常利益は370億円で前期比6.3パーセント増です。親会社株主に帰属する当期純利益は265億円で、前期比10.8パーセント増となりました。この結果、営業利益率は前期比で0.4ポイント改善して10.8パーセントとなりました。
売上高、営業利益、経常利益、純利益のいずれも4期連続の増収増益で、過去最高の業績というかたちで落ち着きました。
大きく見ると、売上高における為替の影響169億円を克服できなかったことが課題だと考えています。
営業利益は、中計最終年度の目標350億円を超えることができましたが、ここも60億円ほど為替の影響を受けています。マイナス効果があったものの、中計最終年度の目標を達成できたという状況です。
利益増減要因
利益の増減の要因です。マイナス要因が為替影響の60億円と実質費用増の影響が40億円ほどありました。
プラス要因は、実質増収の影響が70億円、採算率改善の影響が16億円、製造収支改善の影響が19億円ということで、マイナス要因とプラス要因が合わさって結果的に増収となっています。
事業セグメント別損益
事業セグメント別損益です。大きなポイントは、計測機器と産業機器の2つの事業セグメントの売上高が増収になったことです。
医用機器と航空機器は残念ながら減収となりました。医用機器は為替の影響があり、為替の影響を覗くと24億円増、前期比3.8パーセントのプラスです。
航空機器は、為替の影響を除いても16億円減、5.6パーセントのマイナスです。実質的には計測機器、産業機器、医用機器が増収となるなかで、航空は減収になったということです。為替の影響が入ってくると、医用も残念ながら減収になったということです。
営業利益は4つの事業セグメントとも増益になっています。医用と航空は減収増益、計測と産業機器は増収増益というかたちです。
営業利益という観点では、収益の改善が見られましたが、売上拡大・事業拡大というところでは、少し課題を残したと考えています。
計測機器/サブセグメント売上高および製品・アフターマーケット売上高
各事業セグメントのご説明をしたいと思います。計測機器は前期比0.4パーセント増です。為替影響124億円を除くと、実質6パーセントの増収となっています。
計測機器の中には10種類の事業セグメントがありますが、とくに主力の液体クロマトグラフ(LC)と質量分析装置(MS)は為替の影響を除くと約10パーセント増ということで、順調に拡大しています。
製品・アフターは円ベースでは、製品が1億円増です。アフターマーケットは7億円増です。為替の影響を除くと、製品は98億円増、アフターマーケットは34億円増です。
新製品がいろんなかたちで寄与してきて、アフターマーケットも伸びてはいますが、本来はもっと伸ばしたいところなので、反省点もあります。
医用機器/サブセグメント売上高および製品・アフターマーケット売上高
医用機器は前期比0.3パーセント減です。為替の影響27億円を除くと、実質4パーセントの増収となります。X線診断システムの中の血管撮影装置が、金額はまだそんなに大きくないのですが、大きく伸びてきました。国内ではかなり競争力が上がってきまして、シェアもトップになってきています。
その他のところも8億円伸びていますが、治療関係の新装置を増やしてきていますので、それぞれはまだそんなに大きな金額ではないのですが、少しずつ寄与し始めてきています。
製品・アフターマーケットという観点で見ると、医用機器の場合は、やはりアフターマーケットの伸びが業績に寄与しています。為替の影響を除くと5.9パーセントの増です。製品は約3パーセント増です。
現時点ではアフターマーケットの比率が30パーセントくらいですが、ここを大きく伸ばすことがこれからの課題であり、取り組みを強化すべきポイントだと考えています。
航空機器/サブセグメント売上高
航空機器は、売上高が前期比7.3パーセント減です。とくに民間航空機事業に力を入れているのですが、先期に限ってはボーイング747-8の減産等の影響があり、残念ながら減収となりました。
営業利益は、コストダウンやいろんな機種の見直しを進めておりますが、そのような効果もあって、少しずつ収益が改善しています。以前は赤字の状態もありましたが、今は黒字化して、少しずつ収益が改善してきています。
産業機器/サブセグメント売上高および製品・アフターマーケット売上高
産業機器の売上高は前期比7.9パーセント増ということで、トータルで27億円の増加となりました。為替の影響を除くと41億円増となります。
今、半導体分野が好調な中で、半導体制御装置に組み込まれているターボ分子ポンプが大きく伸びています。
半導体以外にもサムスンなどがフラットパネルの製造分野に非常に旺盛な投資を行なっていますので、そのようなところを背景に今、大きく伸びてきています。
油圧機器は市況自体が停滞している部分がありましたが、下期に回復傾向が見られて、ここも若干の増収となりました。
産業機器は製品売上が増えた分、アフターマーケット比率が12.5パーセント、前年から1.8ポイント悪化というかたちになっていますが、この部分はまだまだ伸ばせる余地があると考えていまして、今、アフターマーケットの事業の拠点を増やしているところです。
地域別売上高
日本と海外という観点で業績を見ていただくと、2017年3月期において、日本は1,759億円、前期比80億円増となりました。海外は1,666億円、前期比77億円減となりますが、為替の影響を除くと、92億円増となります。
日本についても海外についても、(為替の影響を除くと)実質的には5パーセントくらいの増であったということです。
海外の地域別に見ていくと、好調だったのがその他アジアです。東南アジア、インド、韓国、台湾などの地域になりますが、こういうところが為替の影響を含んだかたちでも増収となりました。中国はほぼ横ばいですが、為替の影響が61億円あるので、実質的には10.9パーセント伸びています。
欧州あるいは北米は、為替の影響を克服しきれずに、実質的には2〜3パーセントの伸びとなっていますが、円ベースで見ると(北米は)7.4パーセント減、(欧州は)8.9パーセント減にとどまっています。
その他のところが減少しているのですが、これは中近東、アフリカ、オーストラリアという地域です。とくに中近東、アフリカ、南米などは政情不安が続いているということで、まだまだ経済回復というところでは厳しい状況にあります。
地域別売上高/日本
日本の地域別売上高を見ると、計測機器と医用機器が前期比43億円増です。計測機器が5パーセント増、医用機器は13パーセント増となりました。
地域別売上高/北米
北米は前期比7.4パーセント減、31億円のマイナスです。為替の影響約41億円を除くと、実質3パーセントの増となります。
地域別売上高/欧州
欧州は約250億円、前期比24億円マイナス、8.9パーセントの減です。為替の影響29億円を除くと実質約2パーセントの増収となります。
地域別売上高/中国
中国は561億円です。前年は円ベースではフラットだったのですが、為替の影響を除くと61億円の増、実質約11パーセントの増収となります。
地域別売上高/その他のアジア
その他アジアは、前期比6億円増です。前年から円ベースでこれだけ伸びたということになりますが、為替の影響を除くと約10パーセント、31億円増となります。
配当金・配当性向
期末の配当金は1株10円ということで、公表値から変更はありません。配当性向は22.3パーセントになりますけれども、通期では2円増配の20円となります。
2018年3月期/業績予想
2018年3月期の業績予想です。経常利益は380億円、前期比10億円増、率にすると2.6パーセント増となります。純利益は270億円、前期比5億増、率にすると2パーセント増となります。今、4期連続で増収増益になっていますが、5期連続の増収増益を目指していきたいと考えています。