2017年3月期(第34期)決算概況①

山田正彦氏:社長の山田でございます。2017年3月期の決算についてご説明を差し上げます。

まず事業分野ですが、IT分野、モバイル・クラウド・ソーシャルネットワーク等、かなり変化が激しくなっておりますが、VR・IoTなど新しい分野も広がっておりまして、当社を取り巻く事業環境も急激に変化をしている状況です。

業績の概況ですが、連結売上高は前期比で減収となりました。円高の影響に加えて、ブランド製品事業での製品サイクルの移行期の影響で、売上が減少しております。

また、グローバルIT基盤整備による減価償却費の増であるとか、外注費の増加等によって営業損失、そして、3月に決定したグローバルIT基盤システム(無形固定資産)の一部減損などに伴い当期純損失を計上させていただきました。

ブランド製品事業は前期比で減収となっております。

クリエイティブビジネスは出荷台数は増えましたが、製品ミックスの変化によって、あるいは下期に予定していた一部製品のリリース遅延等があり、減収となりました。

また、コンシューマビジネス、ビジネスソリューション事業も為替や市場環境変化の影響を受けて苦戦しております。

また、テクノロジーソリューション事業、こちらも前期比で減収ですが、10月に発生しました当社のお客様であるサムスン電子のGalaxy Note7のリコール問題によって、生産中止となり、スマートフォン向けの売上が大幅に減収いたしました。

一方で、タブレットペン向けのデジタルペンの出荷は拡大して売上に貢献してくれております。

2017年3月期(第34期)決算概況②

こちらが決算概況の数字ですが、売上高は713億1,000万円、8.1パーセントマイナスです。

営業利益は11.7億円のマイナス、経常利益は8.7億円のマイナス、当期純利益は55.3億円のマイナス。

そのなかにはソフトウェアの資産の減損等もあります。約40億円強はこのなかの一部として入っております。

1株当たりの純利益はマイナス33.93円。1株当たり純資産は130.75円です。

為替レートですが、1ドルにつきまして、当期実績109.03円で9.3パーセントの円高。ユーロについては9.8パーセントの円高傾向でした。

2017年3月期(第34期)決算概況(前回予想比)

こちらが3月14日に開示させていただきました、前回予想との差異です。売上高は715億円の開示内容に対して、713億と円とほぼ予想水準で着地をしています。

一方、ブランド製品事業、テクノロジー・ソリューション事業の売上の構成はだいぶ変わりまして、ブランド製品事業が18億円前回予想時点からのマイナス。一方、テクノロジー・ソリューション事業は16億円のプラスとなりました。

結果的に営業利益は約5億円のマイナスと想定しておりましたが、11億7,100万円のマイナスで、6億7,100万円の損失となっております。

経常利益も同様で、2億2,000万円の悪化となっております。そして、当期純利益は税効果会計の影響等もあり、6,600万円のプラスで変化しております。

連結損益計算書

続きまして、33期と34期、終わった期とその前の期の比較です。

売上高全体は通期では8.1パーセントのマイナス、713億1,400万円。売上総利益は10.3パーセントのマイナス。販管費は6.2パーセントの増です。

そして、営業利益が11億7,100万円のマイナスでして、変化が大きいところです。増減としては48億円の悪化となります。

経常利益も46億円、そして当期純利益はIT関係の資産の減損もあり、78億円の悪化となっております。

このなかで、為替の影響額とありますが、ドルにつきましてはドル安に振れましたので売上高で55.1億円の減、営業利益で3.1億円の減となっております。

また、ユーロに関しましては売上高で14.2億円の減、そして営業利益で8.4億円の減という影響になっております。

アジア通貨はドルと一緒に計算してありますが、とくに中国・韓国等の通貨安は大きく影響してまして、通常のドル円のレートの影響よりも少し大きめにドルベースの影響が出ております。

連結売上高比較

こちらが先ほどの(連結売上高の)数字でありますが、グラフになっております。

下のブルーの部分がブランド製品事業で、10.3パーセントのマイナス、カッコのなかは、グラフ横に書いてにありますが、マイナス2パーセントで、為替影響を除いた金額の差異になります。

テクノロジー・ソリューション事業は4.3パーセントのマイナス。為替影響を除きますとプラス5パーセント。その他事業は国内でやっておりますCAD関係の事業ですので、3パーセントのプラスになっております。

連結利益比較

こちらは連結の利益比較です。当期、営業利益が11億7,100万円のマイナスと、そして経常利益は8億7,000万円のマイナスです。

そして当期純利益につきましては55億3,400万円のマイナスと。このなかに42億円強の特別損失、そしてIT資産の減損処理があります。

販管費及び一般管理費の主な内訳

こちらが販管費及び一般管理費の主な内訳です。人件費は2.7パーセント増。研究開発費は1.3パーセント増。販促・広告宣伝費は3.2パーセントマイナス。その他が15.3パーセント増。そして、販管費合計が16億6,500万円、6.2パーセント増です。

一方で、円高に振れておりますので、海外で使っている経費につきましては少なくなって見えることにより、その影響額全体として18億円ありますので、為替調整前で考えますと、34億円強ぐらいの販管費の増になっております。

結果的に、売上高販管費率は40.3パーセントで、高いところになっております。

とくに主要な増加項目としましては、グローバルIT基盤の整備に関わる減価償却費、こちら4.8億円の増。そして、そのカットオーバーに絡む様々な外注費等があり、7.6億円の増。また人件費2.7パーセントの増になっております。

事業セグメント別損益

続きまして、事業セグメント別の損益をご説明いたします。

売上高・営業利益・営業利益率につきましては先ほどご説明させていただきましたが、まずブランド製品事業を見ていただきます。

売上は438億7,400万円で10.3パーセントのマイナス。ほぼ為替相当分くらいのところが持っていかれておりまして、為替の調整後であるとほぼ横ばいです。

営業利益はブランド製品事業は約3割の減となっております。全体としてコストの高いものに売上の比率がシフトしているところがあり、その部分が影響しております。

テクノロジーソリューション事業は4.3パーセント売上のマイナス、そして営業利益は21.9パーセントのマイナスになっております。

コーポレート他は経費がありますが、こちらは22.9パーセントの増となっておりまして、営業利益率全体としてマイナス1.6パーセントとなっております。

事業ハイライト‐売上高‐ クリエイティブビジネス

続きまして、事業の内容についてハイライトを説明いたします。

ブランド製品事業のなかにはクリエイティブビジネス、それからコンシューマビジネス、ビジネスソリューションと3つあります。

まずクリエイティブビジネスの全体であります。こちらは7.4パーセントのマイナスとなっております。出荷ベースでは新興国向け等がけん引いたしまして、5パーセントの成長となりましたが、十分な力を持って成長できなかったと。

下期から新製品を市場投入をして回復はしましたが、通期では十分の成長につなげることができなかったことから、前期比では減となっております。

このなかで、ペンタブレットにつきましては7.8パーセントのマイナスとなっております。

プロフェッショナル製品の「Intuos Pro」につきましては、前期を上回っておりますが、円高やモデル移行期の影響等により減収となりました。

また、次世代ペン技術を搭載した新モデルを1月に発売しており、紙に書いたメモからデジタルコンテンツまでをつなぐという新しい形を提供しております。

また、コンシューマ向けの製品は「Intuos 3D」という3次元対応のモデル、モデリング対応製品が好調であります。

一方で、昨年の4月に起こりました熊本地震で、ICを供出するメーカーの工場が震災の影響にあったものですから、供給問題が長期化しまして、全体としては減収になっております。

また、新興国向けのモデルが中国・インド・南米等で新規拡大しておりまして、出荷台数としては40パーセントの成長となっております。

事業ハイライト‐売上高‐ モバイル

続きまして、モバイル製品です。こちらは4.6パーセントのマイナス。(売上高)42.5億円となります。

タブレット端末につきましては、様々なデジタルペン搭載の機種が増えていくなかで、競争環境が変わってきていることがあります。

一方、プロクリエイター向けのハイエンド製品は引き続き需要が高く、その需要は継続しております。

当期、上期につきましては既存モデル「Cintiq Companion 2」というモデルを販売しておりましたが、やはりエンドオブライフに近づいておりまして、その部分が大きく減少しました。

10月に新スタイルの製品を3Dデザインであるとか、カラーマネジメントを対応して出しまして、名前も変えて「WACOM MobileStudio Pro」というかたちで発表しております。

こちらの売上は前年同期比の60パーセント増となっておりまして、ハイエンドにはしっかりとした需要があることになります。また、引き続き市場リーダーシップを強化したいと考えております。

事業ハイライト‐売上高‐ ディスプレイ

続きまして、ディスプレイ製品です。こちらは7.6パーセントのマイナスです。

出荷台数は5パーセント以上の成長となっておりますが、こちらも新しいペン技術を搭載して新規商品に入れ替えました。

11月に製品を発表いたしましたが、13インチのモデルはすぐに発売につながりましたが、少し大型のモデルの16インチは3月末まで出荷が遅延いたしました。

とくに、液晶の大型のもの、あるいは高精細を搭載しているのですが、発熱問題等様々な問題が起こりまして、その対応に少し時間を取ってしまったという状況です。

また、既存モデルにつきましても、商品のライフサイクル、とくに大型のものについては後期に入ってきていますので、この部分が減収につながったことで、全体は7.6パーセントのマイナスでした。

事業ハイライト‐売上高‐ コンシューマビジネス

続きまして、コンシューマビジネスです。こちらも非常に苦戦しまして、4割減になっております。

iPad用のスタイラス製品は、非常にシンプルなものについては、市場規模自体が縮小しております。

ICを積んだインテリジェントスマートペンが非常に増えてきており、そちらにに少しずつ市場が移行していると。一方、当社が出した製品の一部に品質問題等が発生しまして、その部分が減収となっております。

また、一昨年に出した「Bamboo Spark」モデルが後期になりまして、この部分が減収と。 そして、昨年の9月に新世代の製品に変えまして、営業を続けております。

こちらは非常に好評なので、安定的にこれからも回復していけると考えております。

また、クラウドサービス、デジタルインクを格納して、その保存と活用のためのサービスを行っておりますが、この「Wacom Cloud」の提供も昨年から始まっております。

事業ハイライト‐売上高‐ ビジネスソリューション

ビジネスソリューションです。こちらの売上高は23パーセントマイナスです。

モバイル端末の競合が始まっておりまして、市場環境の変化とか円高の影響関係が長期化をするとかいろんなことが起こっております。全体としては、欧州市場を中心に減収となりました。

一方で、サイン端末の「STUシリーズ」というものがありますが、こちらは日本の国内流通の大手であるとか、インドの公共機関、あるいは最近は銀行の端末としても活用が始まっておりまして、こちらについては引き続き伸ばしていけると思いますが、ヨーロッパの市場を十分にはカバーできなくて、全体としては微減になります。

そして、大型の液晶ペンタブレット、10インチ・20インチサイズにつきましては、いろんな金融端末としても採用されていますが、案件数が少し下がっておりまして、この部分が減収となっております。

事業ハイライト‐売上高‐ テクノロジーソリューション

続きまして、テクノロジーソリューション事業です。こちら、売上が267.6億円、4.3パーセントのマイナスです。

とくにスマートフォン向けに関しましては、Galaxy Note7の品質問題の発生により生産中止となり、この部分が大きな影響、約2割の減となりました。

一方、旧製品Note5の生産は少しずつ継続しておりましたので、この部分が売上に貢献しております。

また、次のモデル、次世代のスマートフォンに対するペン技術の開発も引き続き継続しております。

また、全体としてはペンの小型カートリッジ化とか自動生産と、こういうところに取り組みまして、今後広がってくるスマートフォンだけではない電子文具についての対応も準備をしているところです。

事業ハイライト‐売上高‐ タブレット向け

続きまして、タブレット向けです。

アクティブES(AES)ペン、そしてEMRと両方あるわけですが、全体としては3割の増となりました。

とくに、アクティブESペン、こちらについてはタッチパネルの技術を使ってペンを稼働させるという技術でありますが、中国のファーウェイ社であるとか、レノボ等様々な会社で採用されております。それが全体としての売上に貢献をしてくれております。

また、レノボに関しましては「Yogabook」という紙も使って(作成できる)、そのような新商品でありますが、こちらにもEMRペンが採用されて、需要が増加しております。

また、現在Microsoft社と続けております、Windows10向けの標準ペン。これはWindowsタブレットであれば、Surfaceでもそれ以外の機種でも全部動くペンでありますが、これが現在開発と量産の段階に入っているところです。

そして、新しいところではGoogle社のChromeOSを搭載した教育向けのタブレット、「Chromebook」という製品ライン・カテゴリーですが、こちらにEMRのペンが採用されておりまして、これが今非常に拡大を始めているというところです。

また、デジタル文具向けのビジネスの拡大にも取り組んでおりまして、モンブランであるとかステッドラーであるとか、通常の、今までの従来型の文房具メーカーがデジタルに移行するときに部品の提供をし、またそのソフトウェアサポートも進めております。

ノートPC向けのペン・センサーシステムにつきましては、カテゴリー自体がほとんど2in1というデタッチャブルというような分かれて使えるタイプのタブレット端末に需要がシフトしておりますので、これについてはカテゴリーがなくなってきているというところであります。

ですので、来期以降については、タブレット向けは一緒にしておみせできるようになるのではないかと思います。

事業ハイライト‐売上高‐ その他の事業

その他の事業ですが、日本で行っておりました電気設計用製品、3パーセントのプラスです。コーポレート・全社部門に関して簡単にご説明いたします。

まず、デジタルインクの標準化のためのフレームワークで、WILL(Wacom Ink Layer Language)のプロセッションを行いました。そのパートナーシップの拡大を進めております。

また、デジタルインクの普及イベントとして、「Connected Ink」というイベントを開始しており、上海・ベルリン・東京・アメリカ・ラスベガス等で行いました。参加企業としては約600社ぐらい参加していただいております。

そして、デジタルステーショナリーコンソーシアムを9月に設立をして、活動を開始しております。すでに冠企業はほとんど決まりまして、今は新たなメンバーシップの拡大に向けて動いているところであります。

また、中期経営計画につきましては、想定した成長ラインを大きく下回る事業の推移となっておりまして、それに鑑みて利益重視型経営への転換ということで、今後の中期成長をもう一度新たに計画を立てることを含めて、取り組みを進めております。

これを3月14日に発表させていただきました。それに合わせて導入を進めてきたグローバルIT基盤システムの一部の減損を行いました。また、役員報酬の減額も同時に発表させていただいております。

製品ライン別売上高 ブランド製品事業

こちらがブランド製品事業の製品ラインごとの内訳です。

グラフの一番下にあるブルーの部分がクリエイティブペンタブレット。その次に赤がモバイル製品。そしてディスプレイが紫、そしてコンシューマが黄色。ビジネスソリューションがグリーンとなります。

製品ライン別売上高 テクノロジーソリューション事業

こちらは、テクノロジー・ソリューション事業の内訳です。

ブルーのスマートフォン向けは19.2パーセントのマイナスとなっています。一方で、タブレット向け、黄色の部分ですが、こちらは32.1パーセントのプラスで拡大が進んでおります。

機種の拡大と加えて、それぞれのモデル別のボリュームも上がってきておりまして、これから加速をしていくのではないかと考えております。

そして、ノートPC向けにつきましては、ほぼカテゴリーが吸収されていっているものですので、この黄色と紫を一緒にしたものがタブレット端末向けと理解していただければと思います。

現在ほぼスマートフォン向けが半分、タブレット端末向けが半分となっております。また、当社の技術の内容につきましても、タブレット向けにつきましてはEMRはほとんどアクティブES方式に変わってきておりまして、全体としては半々くらいという状況です。

製品ライン別売上高推移

こちらがシーズナリティですね。10月~12月、ここでもう少し上げていきたかったのですが、残念ながら新商品の遅れ等が出まして、十分に年末商戦期を取り組むことができませんでした。

一方で、少し第4クォーターは(売上が)上がったのですが、やはり商戦期のところに新商品をしっかりを出せなかったことは大きな反省点です。

所在地別売上高

こちらが現地の所在地別の売上高です。

テクノロジー・ソリューションが一番下のブルーになっておりますが、その次に下から日本、アメリカ、ドイツ、アジア・オセアニア地域となっております。

日本は9.3パーセントのマイナス。そして、アメリカが13.5パーセントのマイナス。カッコのなかが現地通貨ベースです。ヨーロッパ・ドイツですが、12.1パーセントのマイナス。現地通貨ベースでは2.5パーセントマイナスになります。そして、アジア圏全体で3.6パーセントのマイナスになります。

(参考)現地通貨ベースの売上高増減率

これは少しわかりにくいので、こちらに参考として現地通貨ベースの売上高の増減を挙げました。先ほど見ていただいた数字は日本とアメリカ、ヨーロッパについての為替であります。

中国が中国元ベースですが、12.5パーセントのプラス。韓国が10.6パーセントのプラス。オーストラリアがほぼ横ばい。シンガポールが8.8パーセント。香港は少し下がっております。台湾も少し下がっております。インドが33パーセントのプラスとなっております。

所在地別売上高推移

全体としてアジア圏は非常に活発に動いていると思いますが、やはりだんだんと低価格帯の製品が増えているので、どうしても単価は下がってきつつありますので、売上に対する貢献には少し勢いがないというところがあります。

連結貸借対照表

続きまして、連結貸借対照表について簡単にご説明いたします。

まず、資産の部ですが、無形固定資産の減少、こちらはグローバルIT基盤システムの減損等がありますので、いろいろ入り繰りがありますが、3.8億円のマイナスとなります。

そして、期末に新製品の投入によって棚卸資産が増加しておりますので、10億円ほどの増加と。そして、売掛債権の増加等があります。

負債の方は、長期借入金ですが、昨年の春の金利の低いところで約80億円の様々な借り入れを行いまして、この部分があります。

純資産は株主資本の減少、こちらは配当金の支払いと減損で、全体としては92億円のマイナスで、負債純資産合計は502億5,000万円。

そして、自己資本比率は42.2パーセントで、17.8パーセントのポイントダウンになります。

連結キャッシュフロー

続きまして、連結のキャッシュフローです。

営業活動からのキャッシュフローはほぼ全体としてはトントンで1億2,200万円となっております。

この中で当期純損失があります。そして、その上で棚卸資産の増加、減損の損失分、減価償却費等の入り繰りで、営業活動のキャッシュフローは1億2,200万円。

投資活動に関しましては、固定資産の取得があります。そして、固定資産の売却になり、全体としては34億8,000万円アウトフローになっております。

財務活動に関しましては、32億9,900万円のインフローで、長期借入金、そして短期借入金の返済、そして配当金の支払い、そして自己株の取得になります。

結果的に、期末残高は142億500万円で、ほぼ前期並みの結果となっております。

2017年3月期(第34期)新製品①

当期に出しました新製品を簡単にご紹介いたします。クリエイティブビジネスに関しましては、タブレットのプロフェッショナル用で「Intuos Pro」です。

こちらは従来の筆圧等につきましては、4倍の感度で、全く新しいスタイルの技術を搭載いたしました。

そして、紙の上に書いたものを直接デジタルにつないでいけるというワークフローの提案もしておりまして、これからも新しい形を提供できると考えております。

2017年3月期(第34期)新製品②

そして、こちらは左側がモバイル製品です。13インチ・16インチでIntelのi7とGPU、業界トップクラスのワークセッションマシンのモバイルだと思います。これを4K対応も含めて発売いたしました。

今一番売れているのは一番ハイエンドの商品になりまして、16インチのi7・GPU・3D対応・4Kが今一番売れているものです。

そして、右側の方がディスプレイ製品で、13インチ・16インチと。

16インチは3月までかかりましたけれども、この4月から13インチ・16インチともに市場にちゃんと提供できるかたちになりました。

こちらもディスプレイ製品として、今後しっかりと伸ばしていきたいと考えております。

2017年3月期(第34期)新製品③

こちらはIntuos 3Dで、一般ユーザーの方が3Dのオブジェクトを簡単に作って、ボタン1つで3Dプリンタにプリントアウトできる。

あるいは、3Dプリンティングサービスに契約をすれば、そこから3日後くらいにきちんとプリントアウトされたものが届きますよ、というサービスです。

こちらは昨年の10月くらいから発売を始めたのですが、半年間の間にIntuosスタイルではトップ5くらいの売れ筋ラインになってきました。

やはり、初心者の方でも3Dモデリング等に対するニーズは非常に高いと考えております。

また、今後とも3D対応はハイエンドで行っていきますので、まず入り方としては非常にいい入り方ができたかと思っております。

2017年3月期(第34期)新製品④

こちらはコンシューマビジネスの新製品です。

「BAMBOO Slate」と「BAMBOO Folio」でして、電子文具、紙に書いたものがデジタルインクになり、Cloudに上がるという製品ですが、こちらも引き続き、しっかりと販売を続けてまいります。

また、「Inkspeace」・「Bamboo Paper」等も引き続き利用いただいております。

2017年3月期(第34期)新製品⑤

ビジネスソリューション系は新しいタイプのデジタルサイン端末、あるいは少し大きめの、医療等でも使えるものを含めて、新商品を作り出しました。

デジタルステーショナリーコンソーシアムを設立

そして、デジタルステーショナリーコンソーシアムということで、何度かご説明を差し上げましたが、いよいよ協会が9月に立ち上がりまして、現在はその活動に取り組んでおります。

ここまでが34期2017年3月期の大きなところのご説明であります。

2018年3月期(第35期)事業環境の見通し

続きまして、2018年3月期、当社第35期になりますが、その基本戦略と主要施策についてご説明いたします。

まず世界経済ですが、基本的には、ビッグサプライズがなければ、アメリカの経済も好調です。それから、中国も持続的に拡大を継続できるだろうと考えておりまして、基本的な基調は悪くないと思います。

一方で、アメリカの政府の通商政策であるとか、EUの不安定化と、フランスの選挙が終わりましたので、そういう部分は不安感は下がっていますが、今後とも様々な緊張があるかもしれませんし、あるいは中東情勢の変化とか、極東の地域の今の軍事的緊張の長期化等も危険視されますので、為替は引き続き不安定な状況と。

1日に2~3円動いてもあまり驚かないという状況が続くのではないかと思います。

IT市場はクラウド・ビッグデータ・モバイル通信、5Gも含めて、ソーシャルネットワークという形で、新しいプラットフォームにどんどん移行していると思っております。

その中で、2018年の後半くらいからサービスインする5Gであるとか、あるいは仮想化技術、VR・ARと呼ばれるものですが、このあたりが非常に新しい技術の革新をけん引していくと考えます。

当社に関しましてはIoT、ペンもそうですけども、VR/AR、3Dプリンティング、セキュリティ関連、このあたりが当社の事業でしっかりと大きな要素になってくると理解しておりまして、それに対する事業戦略等も含めて考えております。

クリエイティブ市場については、市場は拡大しておりますが、一方で大手IT企業との競合も増えていまして、今はお客様にとって、ワコムだけではなく様々な選択肢があるわけですので、その中でしっかりとした利益の位置づけを持ち、市場リーダーシップをしっかりと強めていくことが必要であると思います。

また、モバイル全般、そして教育分野、法人市場、新興市場等が当社にとっての新しい分野になると思います。

デジタル文具の認知が広がっていったり、あるいはデジタルインクがWindows、Chrome等の主要なOSのプラットの中で定着していくことも考えております。

2018年3月期(第35期)基本戦略と主な施策①

当社の基本戦略でありますが、まず第一にグローバル組織の最適化とコスト構造の改善取り組みで、収益力をしっかりと回復させようと、これがまず第一の戦略です。

そして、引き続きデジタルペンとデジタルインクにおける、クリエイティブ、あるいは一般ユーザー向けも含めて、市場リーダーシップを強化して、持続的な成長を目指していこうと考えております。

また、事業モデルの進化と成長が必要な時期になっておりますので、新しい経営チームをつくりまして、そこで中期戦略を新たに立案していくことに取り組みたいと考えております。

また、お客様からみたユーザーエクスペリエンス、実際にはWebサイトに来ていただいて、ものを買っていただいて、使っていただいて、そしてサポートさせていただくという大きな流れの中で、全体に対するお客様のユーザーエクスペリエンスを向上して、関係の強化をしていきたいと考えております。

主な施策といたしましては、まずブランド製品事業ですが、3次元デザイン、とくに3次元CAD、VR/AR、マルチメディア等の機能を強化して、とくに3次元のところは企業ユーザーが大きいですので、企業ユーザー向けのソリューション分野を拡大してまいります。

そのためのマーケティングチームも専任でつくっております。また、地域のマーケティング機能組織を強化して、顧客との、あるいはコミュニティとの連携と需要の拡大を図っていきたいと考えております。

また、製品のソリューションに関しましては、紙上のアイデアスケッチからデジタルコンテンツ・デザインに至るまでの、プロの制作工程を支えるソリューションを提供してまいります。

また、新興市場、とくに中国、アジア、アジアパシフィック、中南米で成長を促進していきたいと考えております。

そして、パートナーとの協業を通してデジタル文具・デジタルサイン、いろんなものを広げていくことによって、ペンとインクというところを1つのコアにしながら、より幅広い分野に使っていただくような、製品内容の展開を考えております。

2018年3月期(第35期)基本戦略と主な施策②

テクノロジーソリューション事業に関しましては、当社はEMR方式とAES方式という2つの技術を持っておりますが、この2つを使って業界標準化を促進していこうと考えます。

また、スマートフォンに関しましては、サムソン社の次世代スマートフォンへの移行をしっかりと支援していこうと考えております。

また、教育指導等におきましても、デジタルペンの利用と事業機会の拡大を図ってまいります。

また、より幅広いパートナー企業と一緒にデジタル文具市場を創っていこうということで、部品事業においてもデジタル文具の取り組みは大きいと考えております。

全社的な取り組みといたしましては、グローバル組織体制の強化と組織のコスト構造を適正化に向けて施策を推進しております。

やはり、大きな組織変更をして今2年経ったわけですが、まだ十分にその効率を発揮できているとは思っておりませんので、そこを含めてしっかりとしたインテグレーションをしていきたいと思っています。

また、DSC、デジタルステーショナリーコンソーシアムとWILLをしっかりと普及させて、デジタルインクによるビジネス基盤を作っていきたいと思います。

最後にリスクと機会が少し残りますが、ブランド製品事業に関しましては、新製品の販売、あるいは新製品投入の開発の遅れであるとか、品質問題。こういうところがリスク要因としては我々が見ていかなければならない。

また、テクノロジー・ソリューションに関しましては、サムソンの新世代スマートフォン、これはどのくらいの販売になるのかと、これが1つのリスク要因にもなりうるかと思います。

大きなローンチを企画しておられますので、その中で我々はしっかりと伝えてまいりますけれども、やはり市場に出てみないとわからない部分もありますので、リスク要因として捉えております。

機会としては、新製品・新技術による需要の増、あるいはコスト削減のさらなる進展が機会になると考えています。

連結損益予想の前提

次に連結の損益予想ですが、まず前提につきましてはここにあるとおり、テクノロジーソリューション事業につきましては常に市場環境の変化が激しいところもありますし、市場動向も読みにくいところがありますので、この部分は短期変動する可能性があります。

為替レートの110円が1ドル、118円がユーロと考えておりまして、前期の平均レートとほとんど変わらないレートで設定をしております。

為替感応度(通期分)ですが、1ドル円高に振れますと売上では5億1,000万円、営業利益では300万円の変化になります。

そして、ユーロは円高は両方マイナスですが、売上営業利益ともに1億4,000万円、1億円のマイナスという形になります。

とくに、アジア系通貨の感応度がポイントになっておりまして、この米ドルの中にはアジア圏の通貨の感応度も含めて計算しておりますので、かなりアジア圏の通貨は大きく、ドルと離れて変動する場合はこの限りではないと、少し影響が大きくなる可能性はあります。

とくに中国等の売上比率が大きくなってきておりますので、今後ともアジア圏についてはしっかりと見ていく必要があると思います。

連結損益予想の概況

そして、連結業績ですが、売上高といたしましては、後ほど数字は表で出てきますが、テーブルで出てきますが、売上高全体は8パーセントの成長を見込んでおります。

とくに、当期は終わった期の下半期に投入した新製品、これを1年間使いますので、それも含めて8パーセントの成長と。

利益面に関しましては、粗利率はほぼ前期並み40パーセント相当を維持すると考えております。

販管費につきましては、販管費の見直し、そしてIT投資の見直し等を行って削減する一方で、次の世代の技術のための研究開発等は、やはり進めなければいけませんので、戦略的な部分も少し増加をして、全体では大きくは変化しないかたちになります。

そして、売上高販管費率で37パーセント程度となる見込みであります。

また、営業利益率は2パーセント台のところまで、まずは回復しようと考えております。

ブランド製品事業はディスプレイ製品・モバイル製品については成長基調にしっかりと乗せていけると考えます。

また、ペンタブレット製品につきましては、新興国向けは引き続き好調だと考えますが、一方販売単価は少し低下傾向になりますので、あまり大きな成長を見込んでおりません。

コンシューマは新製品や新商談で回復を予想しております。とくに、MicrosoftのWindows10向けの標準ペンであるとか、そのようなところも期待をかけております。

ビジネスソリューションにつきましては、競合環境等も踏まえて、保守的に予想しているというところでして、1桁の成長を予想しております。全体ではブランド製品事業が12パーセントの増収という想定になります。

また、テクノロジーソリューション事業でありますが、こちらはタブレット向けはペン技術の採用拡大と顧客の多様化によって順調に拡大すると考えております。

一方、スマートフォン向けでありますが、Galaxy Noteの次世代製品を出荷すると想定しておりますが、一方でNote7が中止になっておりますので、長期的に少しずつ流れ続けるという部分がなくなりますので、全体としてはほぼ横ばいという想定であります。

連結損益予想

こちらが連結損益予想の数字でありますが、下のテーブルを見ていただきますと、これが通期です。通期では売上高で768億円、54億円相当の増となっております。

営業利益で18億円、そして営業利益率は2.3パーセント、経常利益が17億4,000万円、当期純利益で11億3,000万円というかたちでして、ROEで5.3パーセントであります。

上期は営業利益的には約5億円に近い赤字になるかと考えておりますが、全体としては下期に重きを置いて、我々の事業構造においてはあまり急速には変わりませんので、上期をしっかりと折り返して下期でまた利益をつくっていきたいと考えております。

事業セグメント別損益予想

こちらが事業セグメント別の損益予想です。ブランド製品事業は売上高で12.1パーセントの増。そして、営業利益では42.5パーセントの増となります。

テクノロジー・ソリューション事業は売上で0.5パーセントの増。ほぼ横ばいです。一方で営業利益につきましては7.5パーセントのマイナスになります。

その他事業は2.6パーセントの売上増です。そして、コーポレート関係につきましては6億6,700万円で、十分ではありませんけれども、まずはここまで販管費を削って、それ以降の次の削減を図ることにしております。

営業利益率が2.3パーセントとなり、黒字を回復するわけですが、十分にはまだ力強さは出てきておりませんが、しっかりと回復基調に乗っていきたいと考えております。

連結売上高予想 事業セグメント別売上高

こちらがセグメント別の状況ですが、ブランド製品事業が(グラフの)ブルー、そしてテクノロジー・ソリューション事業がグリーン、その他事業がイエローという形になります。

製品ライン別売上高予想 ブランド製品事業

こちらはブランド製品事業の中の内訳になります。クリエイティブ・タブレット、こちらは「Intuos Pro」・「Intuos」でありますが、こちらは5.2パーセント。ほぼ横ばいです。

モバイル製品が36.6パーセント増。ディスプレイ製品が15.7パーセント増。そして、コンシューマが31パーセント増、これはスタイラスとかスマートパッドになります。

そして、ビジネスソリューションが7.4パーセントの増で、ビジネスソリューションにつきましてはあまり高い成長を想定せずに、その代わりしっかりと実績を作ることに集中したいと思います。

全体としては12.1パーセントの増となっております。

製品ライン別売上高予想 テクノロジーソリューション事業

テクノロジーソリューション事業です。

こちらはスマートフォン向けが約16パーセントマイナスで、Galaxy Note7の販売の長期的なところ、アジア圏がかなり長く売り続けるんですが、それがもうありませんので、Note8に移行するとしても、上期に出てくるはずの通常であれば前期に投入したモデルの販売が継続することがありませんので、16.7パーセントマイナスとしています。

一方、タブレット向けが17.3パーセントの増となりますので、全体としては、ほぼ前期比並みで想定をしております。

所在地別売上高予想

こちらは所在地別の売上高予想です。グラフを見ていただきたいと思います。

投資計画、研究開発費等

設備投資に関してですが、新しい35期に関しましては24億円。前期比で33パーセントの減になります。

IT投資は非常に少なくなっており、主な内容はブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業の製品量産金型と、ほぼ半分ずつぐらいの印象です。そして、減価償却費は前期比で8.8パーセントの増になっております。すでにカットオーバーしているITシステムの償却もあります。

新しい製品の量産金型の減価償却費もありまして、こちらも半分がIT関係、半分が量産金型関係とみていただければほぼ正確ではないかと思います。

研究開発費は49億円で、前期比で11.4パーセントの増となり、新商品の開発と次世代技術の開発。

この中には次のペン技術もありますし、あるいは3D・AR/VRといった開発項目もあります。

2018年3月期(第35期)株主還元策

配当の基本方針は変わっておりませんが、1株あたりの配当金に関しましては、35期につきましては、6円とさせていただきたいと思います。前期実績と変わらずです。そして、配当性向は現在の予想ベースにすると86.2パーセントとなる予定です。

34期の業績の概要、そして35期の業績の予想と、そして現在の戦略についてご説明いたしました。引き続き当社はクリエイティビティを支えるところに事業の主眼を置きながら、技術のさらなる競争力の向上と、そして新しい市場の開拓に取り組んでいきたいと思います。

以上、34期と35期の説明をさせていただきました。

ありがとうございました。