2017年9月期 第2四半期 決算説明会
吉田浩一郎氏:みなさん、こんにちは。決算発表が立て込んでいるなか、クラウドワークスの決算説明会に足をお運びいただきましてありがとうございます。
我々は創業以来、「働き方革命」を標語にし、個人に報酬を届けるということを一心に邁進しておりますので、毎クォーターあるいは半期ごとに、みなさまとお会いさせていただけることを非常にうれしく思います。
それでは、私から上半期の状況をご説明させていただきます。我々、上場以来一貫して続けておりますが、対話型ということで、みなさまと一緒に新しい社会インフラを作っていく所存でございますので、ぜひご質問をいただけたらと思います。
まず、「我々の何がイノベーションか」ということを改めて再定義しました。従来、働くインフラというのは、働く自社ビルを建てて、その中に従業員を雇い、どれだけ従業員を雇ったかということが、会社としての社会貢献の1つの指標だったと思います。
我々はそれ(働くインフラ)をインターネットを通して、クラウドワーカーに対して就業と報酬を届けている。それが我々のイノベーションであると思っています。
我々は当然、売上や利益を追っていくのですが、上場会社、あるいは世の中すべての会社が利益を追っているわけです。では、「我々は何のために存在しているのか」を考えたときに、この違いに行き着きました。
そういう意味で、「我々の『働き方革命』とは何なんだ?」ということでいくと、「世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる」。こういう指標を掲げて、日々邁進していこうと話しています。
報酬額とクラウドワーカー数 推移のイメージ
実は今期の予算、総契約額65億円というのは、報酬額になおすと、我々の手数料を引いたワーカーの報酬額が49億円となります。この49億円を日本の平均年収420万円で割り戻すと、実に1,166人。それだけの就業のプラットフォームになる。
我々にとっては、別に従業員であろうが、インターネットを通して報酬を届けようが同じですので、我々の従業員が135名ということで言いますと、これ全部を足しこむと実に(従業員換算)1,300名分です。
我々はプラットフォームを通して、世の中に1,300名分の報酬を届けている。もうすでにそんな状況になっているわけです。ですので、みなさまのご支援により、もともと0だったものが、すでに1,300名を従業員換算できるわけです。
1,300名の会社というと、会社の入口としてはなかなかのところに立っていると思います。これを単純に10倍、100倍そして最終的に300倍を目指していきたいと思っていまして、これを今、(ワーカー報酬額)49億円と従業員分を足すと54.6億円です。
それを10倍にすると13,000人。そして次が13万人。そして次が39万人、時間軸は今精査しているので、次回はこのタイミングについてもできれば目標を掲げたいなと考えているのですが、この39万人というのは何かというと、日本の正社員数ランキングでトヨタが34万人で1位なんです。
我々のこの報酬を届けるかたちを、あと300倍にするだけで、実は日本一の就業インフラになると。20世紀は会社を創って従業員を雇うというのが社会貢献だったかもしれないのですが、我々はインターネットを通して39万人に報酬を届けるということを1つの目標にしまして、これをやったら日本一になると。
さらに「世界一はどうなるんだろう?」というと、ウォルマートは220万人。ここまでくると、我々は世界一の就業インフラになると。
この世界観を私個人で考えています。AmazonもGoogleもFacebookもAppleもこのような指標は掲げていないわけです。そういう意味でいきますと、これを実現すれば、世界で唯一のイノベーションを起こす会社になれる。それで社会に価値を届けられると感じていまして、すごくワクワクしています。
改めて「この事業をとことん伸ばしていきたい」と思っております。その点においては、みなさまのご支援が非常に重要でございますので、ぜひ末永く一緒に歩いていただければと思います。
クラウドワーカーの報酬事例
上半期は、実績ベースで19億3,275万円という報酬をお支払して、前年同期比で50パーセント以上伸びているような状況です。この左下(写真)は、昨年の11月にヒカリエで通期の決算の後にやったものですが、すごい盛り上がりで、車イスに乗った方もいらっしゃって、当然車イスの方でもお金が稼げるわけです。
みんなに「ありがとう」と言っていただいて、「本当にいいプラットフォームをやっているな」と思っております。
クラウドワーカーの報酬事例(最新実績)
その中で、ワーカーの報酬事例として、最新の実績をまとめているんですけれども、やはり今、最新の状況でも(報酬)1,000万円を超えてきている人がいます。
クラウドワークスのプラットフォームだけで、1,000万円の報酬を稼ぐことができる。もちろん、さっきの(平均年収)420万円で割り戻すと1,300名と申し上げましたが、インターネットの常で、報酬の分布というものがございますから、トップの人は1,000万円も2,000万円も稼ぐけれども、ロングテールの人は1,000円とか2,000円という人がまだまだいる状況です。そこの報酬アップにも取り組んでいきたいと思っております。
上半期トピック
上半期のトピックは3つです。
1つはキュレーションライティング。昨今の「まとめサイト」の報道や社会の指摘の影響があって、このライティング市場が少し冷え込むという話があったのですが、そのなかで、上半期の総契約額が約29億円と過去最高を更新しております。
上場後に立ち上げた新しいサービス群が、次なる成長の種を生んでいまして、前年同四半期ベースで171パーセント、つまり2.7倍に成長しております。また、すでに3月に単月黒字化を達成しておりまして、第4クォーター黒字化見通しに対して、確かな手ごたえを感じている状況です。
業績の推移
各事業の状況です。こちらはもう(推移グラフを)見たままというかたちになりますが、総契約額が36パーセント増といったかたちで順調に推移しております。
四半期営業費用
また、その総契約額ベースと費用の割合なのですが、これが赤い部分です。上場前の2014年9月期の第4クォーターは黒字になったわけで、この蓋然性をもって上場させていただいて、一気に投資を加速したといったかたちとなっています。
その投資を回収するべく、そこの効率をどんどん上げていった結果、今、上場前の黒字のところに、グロスはちゃんと拡大しつつ、その費用の効率を合わせていくということを続けている状況です。
黒字化に向けた施策
収益・費用・効率、あらゆる方向から第4クォーターの黒字化見通しに対して、施策を仕掛けています。今日発表しましたが、タスク無料化を一時停止していたり、違反案件も(排除により、)マッチング率を向上させていただいています。
あるいは、人件費の最適化。コア業務を内部に抱えて(コア業務以外の業務を)外部化。我々自身もクラウドソーシングをやっている事業ですので、適切な外部化をさらに進めるということですとか、あるいは広告効果の見直しを行っています。
上場後には、一気に広告を加速したところがあったのですが、この2年をかけて最適解を見つけていくということを繰り返しています。
2017年9月期第2四半期 P/L
これが、上半期までの累計のP/Lです。総契約額が約29億円、前年同期比で36.4パーセントの増加です。営業収益の前年同期比の増加が少し鈍化していますが、こちらはそういったキュレーションメディアのところの影響もありまして、現状の予算の見通しは据え置きといったかたちになっています。第3クォーター・第4クォーターで新規事業分も含めてカバーできると考えています。
2017年9月期第2四半期 B/S
現預金としては18.6億円で、自己資本比率も57パーセントで、非常に盤石な財務基盤を築いております。
ユーザー(クラウドワーカー)数
事業の状況です。こちらも順調に推移しておりまして、クラウドワーカー数も前年同クォーター比で51パーセント増といったかたちになってます。
クライアント数
クライアント数も年間4万社増えまして、16万社というかたちになっています。
ユーザーの定着(総契約額のストック化)
こちらは毎クォーター出させていただいてる数値なのですが、クライアントもしくはワーカーのリピート率も8割といったかたちで順調に推移しておりまして、クラウドソーシングというと「単発の外注じゃないか」とコメントをいただくのですが、毎回しっかりとご利用いただけるプラットフォームになっております。
上場後に立ち上げたサービス群の成長
ここが今回新しくご説明する部分だと思っていまして、やはりキュレーションメディアの影響のなかで、昨今言われていたのは単価の問題です。
「単価が安すぎるんじゃないか」あるいは「価格の下落圧力が強いんじゃないか」という話があるなかで、ワーカーさんにもしっかりと継続的に働いてもらえる環境、あるいはクライアントさんにもいい質の仕事で満足してもらえる状況を提供すべく、いろんな取り組みをしています。
創業当初はインターネットでただ運営をしていて、「みなさん使ってください」「ユーザーサポートがあります」といったかたちだったのですが、例えばメールでサポートして、よりワーカーが集まるようなかたちで発注の文面を代行するサービスを作ったり、ここに書いてある「CWコンシェルジュ」もそうなのですが、「なにか発注したいのだけど、いい発注方法や相場がわからない」といったときに、電話で相談にのれるようなサービスを作ったり、
あるいは、我々がより大きなクライアントさんに「適切なワーカーさん探しまでやりますよ」と積極的に案内することで、発注単価もある程度整えていって、ワーカーさんの質も整えていくということを、メールベース、電話ベース、スカイプ面談、あるいは訪問、そういったことも踏まえてやっていくことで、いろんなサービスを立ち上げているのですがこれが非常に効果がある。
担当者個人だけで発注するのはまだまだハードルが高いということで、ここの成長余地が大きいのかなと思っていまして、現状で実に2年前の17倍になっています。前年同四半期から見ても2.7倍の成長になっている状況です。
報酬額向上への取り組み
報酬額向上の実態はどうなんだというところで、プラットフォームでまだまだ安い仕事というのはもちろんあります。ただ、それはプラットフォームで相互に合意がなされているなかでは、副業で月々1万円、2万円稼ぎたいという方もいらっしゃいますので、その部分はその部分として進めていくと。
ただ、単価向上を望んでいる方々にきちんと単価向上の施策、提案を届けるようにしていきたいと取り組んだ結果、新サービス群におけるシステムエンジニアの月額報酬が、月額52万円で全国平均を超えてきた。
こういったかたちになれば、先ほど日本の平均年収が420万円という話がありましたけれども、月額52万円であれば全国の平均年収を十分上回っている数字でございますので、こういった安定的に働ける仕組みを我々が提供できるのかと思います。
実際に、そのシステムエンジニアの継続率もだいたい80パーセントラインで推移していまして、直近3月は実に89パーセント。9割の方が継続していただいています。
なのでクラウドソーシング。もちろん最初は気軽にちょっと働ける、単発で働ける、あるいは単発で外注できるという取り組みだったんですけど、我々が先ほどのようなサービス群によってサポートさせていただくことで、より継続的に、より高単価で働ける仕組みを生み出していくという状況でございます。
2017年9月期 業績見通し
今期の見通しは、まったく変えないかたちで、(契約総額)65億円・営業収益16億円といったかたちで、我々はまだまだ我々物足りない、もっと伸ばしていきたいと思っていますけれども、まずはここを目指していくということです。営業赤字も前年に比べて着実に圧縮をするという予測でおります。
2017年9月期 第4四半期 見通し 黒字化
今期の第4四半期の見通しも引き続き黒字化見通しということで、ここの見通しも変えません。
短期目標
短期目標としても、上場時に掲げたとおり、100億円達成と通期営業黒字を目指すということが、いよいよ現実に近づいてきたと思います。
中長期これからのビジョン
中長期のこれからのビジョンとして、昨年11月の通期の決算説明のときにお話しさせていただきましたが、「『働き方革命』とは何か」というところで、「世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる」ということを定めました。
「働き方革命」3つのドメイン
そのために3つのドメインということで、クラウドソーシングという今の事業だけではなく、「クラウド経済圏」ということで、クラウドの周りにある人々の働き方を変えるような付帯サービスの分野にも、積極的にインフラ投資を行っていこうと考えています。
さらに、人の働き方の裏側にはロボット・AIの活用アウトソーシングというのも今後発表できるかと思っています。
「クラウド経済圏」構想とは……
そのなかでも、1つ取り組みとしてまとまりましたので、この「クラウド経済圏」構想の1つということでお話しさせていただければと思います。
我々が先ほどお話ししたように、世界で最もたくさんの人に報酬を届けた結果、何が起きるかというと、新しい就業インフラですから、企業であればそこに社会保障があったり、社会保障の補助があったり、福利厚生があったり、あるいは保険があったり、あるいはOJTもあるかもしれませんが、そういったいろいろなものがあります。
それを我々は、20世紀の企業と同じように、インターネットを通して、教育や金融や社会保障の仕組みを届けていきたい。仮に39万人といったかたちになって、1人1万円積み立てたとすると、それだけで39億円になるんです。
その39億円が、いわゆる社会保障の原資になりうると考えています。そういうことも我々勉強を兼ねて、中小機構さんにヒアリングに行ったりして、個人事業主の共済というのがすでにかたちとしてありますと。なので、これはそういった共済のかたちをとって、十分に実現可能であろうと思っています。
私は地元が神戸なのですが、神戸co-opという共済がありまして、神戸co-opは日本で一番古いんです。この前100周年超えましたが、100年の次の100年の新しい共済のかたちというものを、この39万人を達成したあかつきには、次に着手できるのではないかなと考えています。
今まではエクイティによって資本を調達して、自社事業を拡大するといったことをやってまいりましたが、今後は積極的にこういった経済圏にあるものの買収も行っていきたいと考えています。
クラウド経済圏への第1歩
そのなかで、このgraviee社(の子会社化)。今期の年商で3億円ほどの予測になっています。我々は先ほどシステムエンジニアの報酬が高いと申し上げました。我々はエンジニア領域から入っていったんですけれども、今度はデザイナー領域です。
クリエイティブ領域に関して、このgravieeさんは非常に強いということで、エンジニア領域だけではなくて、クリエイティブ領域に関してもそういった高単価のお仕事を届けるために、このgravieeさんを子会社化します。
それを我々のプラットフォームに接続して、こういった与信のデータベースを整えていくことで、HR Techの領域に変換していくことができると考えています。なので来期以降、こういったかたちで、クラウドソーシングの本体の事業の拡充だけではなく、「クラウド経済圏」の拡大といったかたちで取り組みを進めていければと思っています。
2035年に向けた価値創出のイメージ
この2035年に向けた価値創出ということでいきますと、クラウドソーシングの上にクラウド経済圏を乗っけて、そして(最後に)ロボット・AIの活用アウトソーシングです。
この2035年ぐらいに、まだ期限は明確に申し上げられないのですが、39万人を達成する頃には日本一の就業インフラ。そしてこういった営業利益も達成できるのではないかなと考えております。
FAQ
FAQはそれぞれ今日いらっしゃらない方に向けてまとめさせていただきました。インターネットで開示させていただいております。
先ほど冒頭で申し上げたとおり、世界で最もたくさんの人に報酬を届けると。我々としてはそれを成果指標として、社会にイノベーションを起こしていきたいと考えております。
私からの説明は以上となります。ありがとうございました。