第3四半期決算実績 サマリー
小口正範氏(以下、小口):三菱重工で財務を担当しております、CFOの小口でございます。本日は、大変お忙しい中お越しいただきまして、誠にありがとうございます。
さっそくではございますけれども、第3クオーターまでの決算の概況についてご説明申し上げます。お手元の資料にもとづいてご説明申し上げたいと思います。
まず、経営成績でございますが、3ページをめくっていただきたいと思います。
緑色で書かれた部分が今年の第3クオーターまでの実績でございまして、受注高につきましては、2兆6,564億円と、ほぼ前年同期並みの数字でございました。
多少円高のよる目減り分がございましたけれども、一方、ユニキャリアを統合したことによる増加もございまして、全体としては微増という状況でございます。
それから売上高でございますが、2兆6,942億円ということで、前年同期に対して1,383億円減少しております。
私どもの受注と売上の関係について、ご説明を一度させていただいたかと思うのですが、だいたい2年ぐらい受注のほうが先行するという状況でございます。
昨今の状況をみますと、もう少し足が伸びてきて、受注から2.5年とか3年ぐらいズレてきおり、当初予定してたよりも、少し売上高が伸び悩んでいるという状況でございます。
それから営業利益ですが、684億円ということで、前年度の比較におきますと1,169億円の減でございます。
後ほどまたご説明いたしますが、この内容については当然ながら精査をいたしておりますけれども、1つは競争力を占めます変動費率を前年度と比較しますと、58パーセントぐらいで、今年同期は円高の影響はございましたが、ほぼ同じぐらいの58.5パーセントぐらいでございます。
そうしますと、損益の悪化原因というのは、売上高が当初予定したものよりも後ろに倒れていると。5兆円規模に向けて順調に受注を積み上げてまいりましたけれども、売上高の計上状態が少し後ろに倒れているということで、固定費との間でアンバランスが起こっております。
それを一時的なものとしてみるのか、もう少しロングレンジでみるのかということで、固定費の規模が適正かどうなのか見直す必要があると思っております。
分析をいたしますと、売上高と固定費の関係が一時的にアンバランスな状態になっておりまして、限界利益が約700億円程度減少しているというのが、対前年同期との比較における営業利益の差となるかと思います。
経常利益は509億円ということで、同じく前年同期に対して1,238億の減。多少、12月末、3Q末の状態で円安側にきておりますので為替差損益、評価差損益、入金差損益を含めました営業外の金融収支が改善しておりまして、500億円を超える利益になりました。
ここは中間決算の時と比べると、経常利益が持ち直した理由の1つでございます。
それから、特別損益の197億円でございますが、これは中間の時にご説明いたしましたが、客船2番船において、年間見通しのなかで円安側に触れる売上の減、および1番船で出てきているいろんな課題を2番船に適用したこと。それから、品質コストを高めるために予算追加を行ったと。
こういうことで、中間段階で164億円の特別損失を追加計上いたしましたけれども、船は順調に進んでおりまして、来年度の第1クオーターの引き渡しに向けて、最後段階に来ております。
非常に複雑な船なので、なにが起こるかというのはございますが、ほぼほぼ工程およびコストも予定どおり進んでおりますので、大きな問題はもう起こらないと考えております。
その結果、純利益はマイナス112億円と、赤字になっておりますが、三菱自動車の持分法投資損益を第1クオーターで持分連結した時に計上したものが約288億と、約300億弱ございます。
その部分は税金があまり影響を受けないというか、その分の損が下にドンときますので、経常利益と純利益の間に少しアンバランスが起こっているのは、三菱自動車の評価損の持分法投資損益の問題でございます。
逆いうと、それがなければ、経常が300億ぐらい乗っており、それで税金を300ぐらい差っ引いて、お尻も200から300のプラスと。こういうのが普通のイメージする数字でございますが、そういう特殊要因がございまして、まだ第2、第3クオーター末でも、残念ながら、純利益は100億程度のマイナスになっているという状況でございます。
それから、稼ぐ力を表しているEBITDAですけれども、2,000億円程度ということで、前年度よりも1,000億円減っております。これは本当に損益科目へ影響が出てるということでございます。
第3四半期決算実績 セグメント別内訳
これがセグメント別の状況でございます。
受注につきましては、エネルギー・環境は、比較的堅調に推移しておりまして、1兆582億円という状況でございます。
一方、交通・輸送はTier1ビジネスで端境期になって落ちている。それから商船でかなり苦戦をしていることもございまして、前年同期に対しましては1,000億程度の減、あとはほぼほぼ同じような状況で推移をしております。
売上高につきましては、先ほど申しました全般的に受注から売上計上の時期がズレているということで、各ドメイン別の売上高も減少しております。
この辺りはSBU別に細かくみていくと、PMIの遅れだとか、いろんなかたちで表れてきますけれども、大きくマクロでみると、固定費の規模と売上の規模のアンマッチが営業利益の悪化というかたちで出てまいります。
そういったところで、一番影響が出たのが交通・輸送ドメイン。それからエネルギー・環境、それから機設で営業利益がマイナスに出ているというのは、そういうアンバランスが生じていると理解をいたしております。
第3四半期決算実績 貸借対照表
バランスシートです。
今は、5兆7,046億円ということで、2,000億ほど前年度末から増えています。増えているものは、たな卸資産でございます。
受注は比較的堅調でありまして、売上は少しズレているということで、たな卸資産が積み上がったかたちになっております。ご承知とおり、当社ではバランスシートの効率化等に進めておりまして、この辺りの圧縮というのは経営上の課題でございます。
したがいまして、このたな卸資産の増加部分を借金でカバーしているという状況なのでございますが、これは年度末にかけて解消するとみております。
したがいまして、流動性を高めるということで、コマーシャルペーパーで今、一時的に調達をしております。年度末にはこれを返済する予定でございます。
第3四半期決算実績 主要財務指標/キャッシュ・フロー
自己資本比率、有利子負債残高、D/Eレシオを示しております。
自己資本比率については若干利益が出ていないということもございまして、29.4パーセント、1.1ポイント悪化をしております。
有利子負債も、一時的なバランスシートの膨らみによって増えておりますが、年間の見通しでは、この部分のキャッシュ・フローは回収できると思っておりまして、9,500億円程度に戻ると思っております。
D/Eレシオは、今現在では0.70。
キャッシュ・フローの状況でございますが、やはり営業利益が少し悪いというところで、それからバランスシートも膨らんでいるということで、第3クオーター累計で当社の今までの平均的な動きでは、キャッシュ・フロー的には一番ボトムになります。
したがって、第3クオーターから第4クオーターにかけて上がっているという状況ですが、残念ながら、去年よりも少し谷が深くなっていると。
ただ、この問題につきましては、アセットマネジメト、資産の流動化も含めて、年度末には回復し、全体としてのフリーキャッシュ・フローの見通しは、プラスの1,000億円とみております。
第3四半期決算実績 セグメント別(受注高・受注残高)
こういう状況のなかで、もう少しセグメント別にご説明いたします。
受注高については、ほぼ前年同期並みでございますが、中身を申しますと、エネルギー・環境部門で増加。一方で、Tier1の端境期を迎える交通・輸送で減っております。防衛・宇宙は、ほぼほぼ横ばい。
機設のフォークリフトは、ユニキャリアを統合したということで増えておりますが、一方、これも中間段階ではご説明いたしておりますけれども、世界的な経済の低迷を受けて、インフラのベースになっている製鉄機械・コンプレッサが少し苦戦して、プラスマイナスでほぼイコールという状況でございます。
第3四半期決算実績 セグメント別(売上高)
次に、売上。
売上もみていただいているとおりでございますけれども、エネルギー・環境ではコンベンショナル火力が増加しておりますけれども、ややガスタービンサイドが減っている。
交通・輸送については、交通システムは堅調ですが、先ほど来申し上げている、Tier1の端境期で民間航空機が落ちている。
防衛・宇宙は、ほぼほぼイコール。
機械・設備システムについては、ほぼほぼ受注と同じような傾向を示しております。
第3四半期決算実績 セグメント別(営業利益)
次、営業利益のセグメント別の状況でございますけれども。
全般的には、先ほど申しましたように、変動費率はあまり変わっておりませんが、事業規模で少し固定費とのアンバランスが起こってるということです。
すべてのセグメントにおいて、それがネガティブに動いており、安定している防衛・宇宙の部分についてはほぼ同じような状況でございますけれども、事業規模を拡大している部門については、売上のトップラインが抑え込まえれているということで、全般的に営業利益は下がっております。
とくにそれが顕著に表れておりますのは、交通・輸送でございます。
さらにここは、国内でものを作って輸出をするという事業でございますので、そういう意味では事業規模の停滞と為替円高というダブルパンチを受けてるところで、残念ながらマイナスに行っております。このなかにはMRJの開発費の増加要因も含まれております。
第3四半期決算実績(営業利益)
営業利益の移動状態を示しております。
為替は前月の平均 TTMですので、3Qは12月の売上レートでは11月の平均レートを取りますから、第3クオーターまでは円高の影響を受けております。
それは、第4クオーターになって1月、2月計上の部分は逆に12月、1月の平均レートだと、これは持ち直してくると思いますけれども、為替の影響があるということ。
それから事業規模と固定費のアンバランスというのは、例えば、製鉄、コンプレッサ、それからTier1に表れております。それに個別の事象として、MRJの開発費増というところで、このようなかたちで下がっているという状況でございます。
2016年度業績見通し サマリー
こういうようなファンダメンタルの状況をベースに、年間の見通しをいたします。
受注については多少でこぼこはするかもしれませんが、現状のいろいろな状況を鑑みますと、4兆8,000億円という前回の見通しは達成できる見込みでございます。
売上は逆に、当初、4兆6,000億とか4兆4,000億とみていたところが、少し落ち気味でございますけれども、ほぼほぼ売上については実績に近い状態で読めておりますので、4兆円前後で推移をすると。
したがって、限界利益の減少、それから為替円高の影響も含めまして、営業利益については、年間では2,400億円とみております。
売上についてはほぼ固まっているので、ここから出てくるとすると、少し為替の要因ということがあろうかと思います。
そういうことで、経常利益1,800、純利益1,000億ですが、これは今いろいろ進めております、アセットマネジメント、資産の流動化と、第4クオーターで特別利益を計上する予定でございまして、それを加味して年間1,000億円とみております。
フリーキャッシュ・フローも、先ほどご説明いたしましたけど、今はネガティブな状態でございます。第4クオーターに従来どおりで言えば、営業キャッシュ・フローの好転、それからアセットマネジメント等による追加の資金獲得を加味して、年間ではプラス1,000億とみております。
それを踏まえまして、配当については、12円を今据え置くということでございます。ただ、この年間見通しの数字のなかには、SONGSですね。原子力のSteam Generatorに関わる影響は含んでおりませんので、その影響がこれに加算されるということになります。
為替につきましては、円安側に行っておりますが、前回は100円でみておりました。1ドル11円、1ユーロ110か120円ということで、それは少し円安側でみていて、数字を変えておりません。いろんなかたちでの弱含みの状況も少しはあるのかなということで、円安側にみておりますけれども、数字は据え置いたとご理解をいただければと思います。
2016年度業績見通し セグメント別内訳
次は、受注、売上、営業利益の状況について、セグメント別に示したものでございます。
年間通しでいくと、やはり交通・輸送ドメインは回復できずに250億円のマイナスで、今年度は終わるのではないかというところが特徴でございます。
以上、概要についてご説明を申し上げました。ご清聴ありがとうございました。