2016年度第3四半期業績サマリー

畑野誠司氏(以下、畑野):みなさまこんばんは。当日は本当にお忙しいなか、当社の決算説明会に起こしいただきまして御礼を申し上げます。まずは私から、本日3時に公開いたしました、当社第3四半期の決算説明をさせていただきます。

お手元にございます資料、業績説明をご覧ください。まず最初に、2016年度第3四半期業績サマリーでございます。

第3四半期業績サマリーを2ページ目にまとめておりますが、2016年度第3四半期の3ヶ月の売上高は前年比マイナス7パーセント減収の、2,377億円。9ヶ月の累計ではマイナス8パーセントの6,996億円となりました。

情報機器、ヘルスケアの主力製品は販売好調で円高影響による為替影響が3ヶ月ではマイナスの75億円。9ヶ月累計ではマイナス627億円あり、ともに減収となっております。

しかしながら、この為替の影響を除けば、それぞれプラス3パーセントの増収となっております。一番右側の欄にそれを記載させていただいております。

続いて、営業利益ですけれども、3ヶ月ではプラス19パーセント増益の、159億円となりました。

当社は経営施策の1つとして、知財権価値の最大化に取り組んでおります。この第3四半期に特許関連収入の78億円を計上したことにより大幅な増益となっております。

今回の特許関連収益につきましては、光学分野におきまして、当社の携帯端末向けレンズビジネスが縮小するなかで、当社が保有する特許の許諾権の活用を通じて、知財権価値の最大化をはかり、収益化する経営戦略の考えのもとで、今期の産業用材料・機器事業セクターで収益を見込んでおりました。

この考え方につきましては、この後、社長の山名からも詳しくご説明させていただきます。

なお、この特許関連収入は一時的な要因となりますが、3ヶ月、9ヶ月、累計ともに、為替の影響、そしてこの特許関連収入を除いての実質増益となっているということでございますので、ここのところはしっかりとおさえさせていただきたいと思います。

情報機器事業では、オフィス、複合機とITサービスの提供を組み合わせたハイブリッド販売。また、カラー機の中高速シフトを推進して上位機種の販売が伸長。3ヶ月、9ヶ月、累計ともに増益増収となっております。

産業用材料・機器事業は主要製品の販売減により減収となりましたが、この特許関連収入を計上して増益を確保いたしました。

2016年度3Q/9ヶ月累計 営業利益・前年比実質増減

次のページをお願いいたします。

このグラフは当社セグメントごとの営業利益の対前年比を事業要因、外部特殊要因に分けて示しております。

左側にあります第3四半期3ヶ月のグラフをみていただきますと、事業要因はプラス11億円の増益でございます。為替影響といたしましては、このピンクの部分でございますけれども、マイナス61億円の減益要因。また、その他収益費用として、前期に北米倉庫売却益として計上した5億円が大きな減益要因となっております。

一方、産業用関連機器事業の特許関連収入、78億円が増益要因となりまして、トータルのその他収益費用としてはプラス81億円の増益要因となっております。

次に、右側の9ヶ月累計では、その他収益費用はプラス86億円の増益要因となっております。北米倉庫売却益は前年の第2四半期に31億円計上しておりまして、当期には減益要因となりますが、前年上期に実施した特別早期加退職の加算金の25億円ございます。

これは当期では増益要因となりますので、これらが86億円増益の大きな要因でございます。

2016年度第3四半期 セグメント別売上高・営業利益

次のページをお願いいたします。

このページではセグメント別の売上高、営業利益を説明させていただきます。当第3四半期、9ヶ月の累計、3ヶ月のセグメント別売上高、営業利益でございますが、まず、9ヶ月の累計でご説明させていただきたいと思います。

情報機器事業の売上高は為替の影響を受けて、前年度比マイナス9パーセント減収の5,622億円となりました。ヘルスケア事業は、昨年に買収したViztek社の効果、それから製品販売においてのデジタルシフトを加速し、2パーセント増収の634億円となりました。

産業用関連機器事業はタックフィルムをはじめとした主要製品の販売減、計測機器での大口案件のきずれなどにより、マイナス20パーセント減収の655億円となっております。

営業利益につきましては、情報機器事業は381億円、ヘルスケア事業は15億円と、ともに為替影響を受け前年を下回る結果となっております。こちらは後ほどご説明いたしますが、為替の影響を除きますと、増益でございます。産業用材料・機器事業は市場の影響もあり主要製品が販売減となりましたが、特許関連収入でプラス9パーセント増益の144億円となりました。

3ヶ月につきましても為替の影響による減収、減益の影響は9ヶ月の累計と同様の状況でございますが、売上高につきましては、ヘルスケア事業は円ベースでも前年並。営業利益では、産業用関連機器事業は冒頭ご説明いたしましたとおり、特許関連収入で大幅な増益となっております。

情報機器事業:第3四半期総括(累計)

情報機器事業でございますけれども、9ヶ月累計の売上高は、前年比マイナス9パーセント減収の5,622億円となりました。

オフィスサービス、商業・産業印刷共に減少となっております。製品販売では、当社が推進するハイブリッド販売、付加価値型アプローチによるA3カラー複合機でセグメント4以上の上位機種は、引き続き販売台数を伸ばしました。したがいまして、為替影響を除いた事業の実態はプラス4パーセントの増収となっております。

営業利益は381億円と、前年比25パーセントの減益となっておりますが、これも為替の影響を除けば、プラス6パーセントの増益となります。カラー上位機種の販売増によりまして、製品ミックスが改善していることが要因でございます。

情報機器事業:オフィスサービス分野の状況(第3四半期)

次のスライド、オフィス分野におきます、直近3ヶ月についてご説明させていただきたいと思います。

オフィスサービス分野の売上高は、8パーセント減収の1,385億円。営業利益はマイナス27パーセント減益の90億円となっております。

繰り返しになりますが、為替の影響がございますので、それを控除いたしますと、それぞれプラス2パーセント、プラス7パーセントの増収増益でございました。

ITサービスソリューションは、文章の電子化サービスを中心としたコンテンツマネージメントサービスを拡充いたしまして、米国では大型商材の受注に結びつけております。

オフィスプロダクトでは、A3カラー機の上位機種の販売シフトが加速しております。前年同期に比べまして、カラー複合機の販売台数は10パーセント強の伸びでございます。

当社が注力する、セグメント4以上でも同様の伸びを示しております。

下の方でございますけれども、OPS、GMAのグローバルメジャーアカウントにつきまして、第3四半期にはドイツに本拠地を置く世界TOP20の製薬会社からの7年に渡る長期契約の受注や、中国通信キャリア大手から新規大型契約を獲得したりということで将来へ向けた布石も残しております。

情報機器事業:商業・産業印刷分野の状況(第3四半期)

商業・産業印刷分野のスライドです。

直近3ヶ月の売上高はマイナス6パーセント減収の531億円、営業利益は30パーセント減益の29億円となっております。これも為替の影響を控除いたしますと、それぞれプラス6パーセントの増収、プラス7パーセントの増益ということでございます。

産業印刷インクジェットでは、オンデマンドテキスタイルプリント、「Nassenger SP-1」をフランス、トルコで受注いたしました。

それからMPM、プリントサービスでは、とくに欧州での既存のお客様向けサービスが堅調に推移しました。

売上高は、為替の影響を除きまして、プラス12パーセントの増収となっております。

プロダクションプリントにつきましては、カラー最上位機種の「bizhub PRESS C1100」が、北米、それから中国などを中心に好調な販売でございました。

また、モノクロ機の「bizhub PRO 1100」も米国の教育機関や、メキシコの法務庁などから大口案件を獲得するなど、堅調に推移しております。

ヘルスケア事業:第3四半期総括(累計)

続きまして、ヘルスケアの状況を説明させていただきます。

ヘルスケアはデジタル画像診断機DR、超音波診断装置が好調な販売でございました。そして医療ITではViztekによる米国プライマリケア市場の売上拡大で、9ヶ月累計の売上高は、2パーセント増収の634億円となっております。

営業利益は為替の影響がマイナス16億円あり、34パーセント減益の15億円となっておりますが、これも為替の影響を除けば、35パーセントの増益という決算になっていっております。

ヘルスケア事業の状況(第3四半期)

続きまして、ヘルスケア事業の状況です。

この内容でございますが、成長戦略の3本柱でございます、DR、超音波画像診断、医療ITの製品販売が堅調でございます。とくにDRは日、米、中国で販売増となり、好調に推移いたしました。超音波画像診断装置は、日本での販売は好調に継続したほか、中国でも昨年9月から販売を開始いたしまして、第3四半期は販売台数を伸ばしております。

医療ITもクラウドを軸としたネットサービス事業が拡大してきました。この結果、デジタル製品分野の売上高は、3パーセント増収となっております。

一方、アナログ製品の販売減は不可避でございまして、デジタル製品の売上を伸長させ、デジタルシフトをヘルスケア分野では進めていきたいと考えております。

産業用材料・機器事業:第3四半期総括(累計)

続きまして、産業用材料・機器事業に関しましてご説明させていただきたいと思います。

産業用材料・機器事業でございますけれども、産業プロ用レンズは需要減の影響、それから計測機器事業の大口案件が第4四半期以降にずれ込みました。それからまた、タックフィルムの価格圧力のなか、当社は高付加価値製品に周知をしております。その結果、9ヶ月累計の売上高は、対前年比20パーセント減収の655億円となっております。

一方、営業利益の減収につきましては、販売減少や価格低下の影響を受けておりますが、ご説明いたしました特許関連収入を計上いたしまして、対前年比9パーセント増益の144億円となっております。

産業用材料・機器事業:産業用光学システム分野(第3四半期)

続いて、直近3ヶ月の産業用光学システム分野の売上をご説明させていただきます。

こちらは17パーセント減収の107億円となりました。計測機器では、買収いたしましたドイツのInstrument Systems社、ディスプレイの測定装置の販売が堅調でございました。前回の第2四半期でもご説明致しました大口案件につきましては、第4四半期以降にこれがずれ込んでおります。この結果、前年比マイナス7パーセントの53億円となりました。

産業プロ用レンズ、その他の領域につきましては、デジタルの一眼レフやコンパクトカメラなど、最終製品事業の需要減速により減収となっております。当社がトップシェアを持ちますブルーレイディスク用のピックアップレンズにつきましては堅調に推移しております。

産業用材料・機器事業:機能材料分野(第3四半期)

続きまして、機能材料分野の第3四半期の説明でございます。

やはり価格の低下圧力は続いておりますが、当社は高付加価値商品に集中した拡販を続けておりまして、売上高につきましては、マイナス16パーセントの減収の107億円となりました。大型テレビ向けの「IPSパネル用ZeroTAC」、「新VA-TAC」につきましては、第2四半期に続き販売が堅調でございました。

また、中小型パネル向けの超薄膜フィルムは第2四半期から販売を伸長させております。当社としましては、フィルム技術の優位性を活かして、高付加価値製品に集中する拡販を継続していきたいと思っております。

フリーキャッシュフロー

このスライドはフリーキャッシュフローの説明でございます。

当期のフリーキャッシュフローはこの図に示しておりますように、改善の傾向にございます。当期につきましては、運転資本改善による営業キャッシュフロー増に加え、投資源により、フリーキャッシュフローは対前年比で直近3ヶ月においてはプラス102億円、9ヶ月累計では367億円改善する結果となっております。

年度末に向けまして、ポジティブなフリーキャッシュフローを創出するべくバランスの取れた財務体質を維持していくつもりでございます。

2016年業績見通し

続きまして、2016年度の業績見通しでございます。

ここに記載しておりますとおり、前回公表した業績予想は、据え置いております。EU問題、それからアメリカの大統領選挙の影響もあり、為替市場が大きく揺れ動いておりますが、このなかで為替前提は1ドル110円、1ユーロは115円。

年度につきましては5円、円安に見直しております。お手元の資料最後のページのほうに為替感応度を示しておりますとおり、ドルに対する感応度は依然ニュートラルでございます。ユーロにつきましては足元のレートに比べまして、円高のまま据え置いております。

今後の先行きにつきましては、決して楽観視できる事業環境ではないと考えておりますが、現在の業績見通しの売上高は、1兆300億円。それから営業利益550億円。当期利益360億円の達成に向けまして努力してまいります。

なかでも、利益につきましては当期利益の増加に非常にこだわって達成していきたいと考えております。

16年度第4四半期の取組み:情報機器事業

それでは、次のスライドでございます。第4四半期の取組みのポイントを最後にご説明させていただきます。

第4四半期での重点取組みでございますが、情報機器では現在抱えております大口案件を確実に収益計上までつなげていきたいと思っております。

それから機器の販売に留まらず生産、調達面でのさらなるコストダウン。加えてサービス原価や管理費の低減を図ってまいります。

これらは、オフィスサービス、商業・産業印刷に共通した取り組みでございます。オフィスサービス分野につきましては、当社が得意といたします付加価値型アプローチの徹底、それからプライスのコンペティションにおける価格コントロールの成果出しをしっかり進めていきたいと思います。それからA3カラーの販売増を継続してプリントボリュームへの増大につなげていきます。

また、商業・産業印刷ではライトなPP市場に投入した新製品や最上位機種などカラーPP製品の重点販売を進めてまいります。加えましてフランスMGIが持つパッケージ印刷機など、新商品の拡販も推進してまいりたいと思います。

16年度第4四半期の取組み:情報機器事業以外の事業

ヘルスケアでございます。

第4四半期は、とくに日本では最大需要期となるためDR、超音波、医療ITのデジタル3本柱の拡販を絶対に進めていきたいと思っております。こうすることによって事業の収益最大化に取組みます。

それから、計測機器では大口案件のずれ込みがありましたが、確実な出荷を行い収益の貢献に結びつけたいと考えております。

機能材料では、当社が戦略製品と位置付ける「超薄膜 QWP」、「新VA-TAC」、「IPS用のZero-TAC」の拡販を行いまして、さらなる収益貢献に結びつける所存でございます。

以上、私からの決算説明はここまでさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。