2016年度決算、2017年度計画

伊藤彰浩氏:まずは2016年度の決算サマリーでございます。

中計初年度として、構造改革をスピーディーに実行した結果、連結営業利益・当期純利益ともに計画を上回り、当期純利益は過去最高となりました。

2016年度業績と2016年中計の進捗

次の3ページ目をお願いします。

2016年度の決算の概況についてご説明します。売上高は、対前期5.5パーセント減の2兆750億円となりました。円高による為替影響が850億円、キリンビバレッジ、ブラジルキリンをはじめとした会社において一部販売費を売上高から控除した影響が約380億円あり、これらの影響を除くと、実質増収を実現しました。

営業利益は、対前期171億円、13.7パーセント増の1,418億円。昨年第3四半期決算時の予想に対しても、78億円増となりました。

経常利益は、対前期124億円、9.7パーセント増の1,406億円。

当期純利益は、オーストラリアにおけるABI(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)ブランド解約金246億円、ブラジルにおけるマカク工場売却益154億円を計上したことなどにより、過去最高益の1,181億円となりました。

なお2016年度の配当につきましては、平準化EPSに対して、30パーセント以上という方針に基づいて決定していますが、中期計画で予定していたフリーキャッシュフローの創出が予定を上回っていることを勘案し、2016年度の期末配当を1円増配し20円、通期39円を予定しています。

営業利益は、医薬・バイオケミカルが薬価基準の引き下げ、技術収入の減少、研究開発費の増加等により、128億円の減益となりましたが、日本綜合飲料の192億円の増益および海外綜合飲料の100億円の増益で補い、全体としては171億円の増益となりました。

2016年度実績 日本綜合飲料

6ページ目をお願いします。日本綜合飲料の内訳です。

キリンビールは、ビール類の数量が対前年5.5パーセント減になったことなどによりまして、226億円の減収となりましたが、営業利益は限界利益減を原材料費減、その他費用減により補い、72億円の増益となりました。

キリンビバレッジの売上高は、会計処理の影響が338億円あり、実質164億円の増収です。3月にリニューアルした「生茶」が好調に推移したことなどもあり、販売数量が8.1パーセント増加いたしました。

(キリンビバレッジの)営業利益につきましては、販売増に加え、収益構造改革も着実に進展し、対前期116億円増の大幅増益となりました。

2016年度実績 海外綜合飲料 ライオン

海外総合飲料のライオンです。

まずは豪ドルベースの右側の表をご覧ください。種類の営業利益につきましては、豪ドル安の影響を受け、輸入ビールの仕入れ価格が上昇したことなどにより、対前期、2300万豪ドルの減益となりましたが、計画は達成しました。

飲料は注力しています、ミルクベースドビバレッジの販売数量が伸長し、コスト構造改革も着実に進み、対前期2,600万豪ドルの増益を実現しました。

ライオン全体でも対前期、対計画ともに増益を実現しましたが、円ベースでは為替換算の影響で減益となっております。

2016年度実績 海外綜合飲料 ブラジルキリン

ブラジルキリンです。

市場全体がマイナス成長となるなか、地域別商品戦略を展開し、3.5パーセントの販売数量増を達成しました。

営業利益は為替市況高騰により、原材料コストが増加しましたが、コスト削減にも取り組み、のれん等償却前営業利益では6,000万レアルの増益。

円ベースで33億円の増益を達成しました。

2016年度実績・2017年度計画 海外綜合飲料 ミャンマー・ブルワリー

新規連結したミャンマー・ブルワリーでございます。

現地通貨ベースでほぼ計画線の営業利益を計上し、円ベースでものれん償却前営業利益で88億円を実現しました。

2017年度計画の概要

2017年度計画ですが、売上高は対前期1.2パーセント増の2兆1,000億円。営業利益については対前期、11億円増の1,430億円、経常利益については対前期33億円増の1,440億円。

当期純利益については、昨年の特殊要因がなくなることなどにより、501億円減の680億円を目指しております。

ブラジルキリンの売却の概要と財務影響

次のパートに移る前に、本日発表いたしました、ブラジルキリン売却の概要と財務インパクトについてご説明します。

売却価格は22レアル、約770億円です。売却時期はブラジルの公正競争当局の承認を受けなければならないため、現時点では決まっておりません。

そのため、売却損益も現時点では未定でございます。ご参考として、仮に2016年度末の会計数値に基づいて算出した場合ですが、為替の影響により売却損が計上されるものの、税効果の認識により、連結当期純利益には若干のプラス影響となります。

2017年度事業計画は、売却時期は未定であるため、ブラジルキリン社の通期計画をフルに連結しており、株式譲渡による売却損、当期純利益への影響等は加味しておりませんので、ご了承ください。

私からの説明は以上でございます。

2016年度中期経営計画の進捗状況

磯崎功典氏:みなさん、こんにちは。キリンホールディングスの磯崎でございます。早速でございますけども、2016年中計の進捗状況と、現状の課題認識、そして今後の取り組みの方向性についてお話しいたします。

昨年は率直に申し上げて、計画を上回る成果を上げることができました。

スピード感を持って、構造改革を進めた結果であると認識しております。とくに重要課題といたしました、低収益事業の再生・再編では、キリンビバレッジとブラジルキリンの収益性が大きく改善いたしました。

また、ビール事業の収益基盤強化でも国内におけますビールカテゴリの魅力化や、ミャンマー・ブルワリーのPMIなど、着実に成果を出すことができました。

ブラジルキリン社売却について

改めてブラジルキリンの売却について、その趣旨、背景をご説明いたします。

本日2月13日、ハイネケン社とブラジルキリンの株式譲渡契約を締結いたしました。社長就任以来、ブラジルキリン再生を重要課題と定め、キリンホールディングスとブラジルキリンが一体となって、構造改革を進めてまいりました。

その結果、昨年は販売数量が増加に転じたほか、コスト削減も計画を上回り、早期の黒字化に向けて道筋を示すことができました。

より効率的な生産体制に向けて、マカク工場を売却したこともご記憶に新しいと思います。

このように改革を進める一方、ブラジルの厳しい市場環境、競争環境をふまえると、我々が単独で高収益事業へと転換するには限界があると考え、提携等もふくめたあらゆる選択肢を検討してまいりました。

この度、ハイネケン社からの提案を受け、ブラジルキリンを売却することがキリンホールディングスと現地双方のステークホルダーにとって最適だと判断いたしました。

なおブラジルでの一番搾りの販売については、今後も継続してまいります。

キリングループの現状認識

ここからは、キリングループの持続的成長に向けた今後の取り組みについてお話しいたします。中計の方針に大きな変更はなく、ご覧いただいている3課題に沿って改革を進めてまいります。

環境変化をふまえたキリングループの現状認識をあらためて整理しております。詳しくはこの後、各事業ごとに説明いたします。

ビール事業の収益基盤強化 キリンビール

最初にビール事業の収益基盤強化ですが、今後もキリンビールの収益基盤強化に最優先で取り組んでまいります。

とくに昨年大きく数字を落とした発泡酒、新ジャンルカテゴリーの強化、中でも「のどごし」の再成長は喫緊の課題であり、早急に流れを変えていきます。

今後の酒税改定を見据えても、この領域でお客様の支持を獲得することは、我々にとって極めて重要で、中長期視点でブランドの育成に取り組んでまいります。

社内の体制についても、他の業界での経験・実績がある優れた人材をマーケティング部長として配置するなど、強化を図ります。

キリンビールにとってもう1つの課題は、市場構造そのものを変えていくということです。そのために「ビールカテゴリーの魅力化」を一貫した戦略として今後も実行してまいります。

とくに主力の「一番搾り」の強化は、将来のビール減税もふまえて、今後もブランドの育成を進めてまいります。

おかげさまで昨年「一番搾り」ブランドは、3年連続で販売増を達成できました。この流れを本物にしてまいります。

クラフトビールへの取り組みもさらに強化し、3月には昨年資本業務提携したブルックリン・ブルワリー社の商品の販売を開始いたします。

また、より多くのお客様にクラフトビールを知ってもらい、体験してもらうよう、料飲店向けの専用ツール「タップ・マルシェ」も展開してまいります。

次のページ、ライオンの種類事業については説明を割愛いたします。

ミャンマー・ブルワリー

ミャンマー・ブルワリーでは、PMIをスピーディーに進めた結果、収益基盤の強化に一定の目処をつけることができました。

本日2月13日に公表のとおり、次のステージに向け、ミャンマー第2の都市・マンダレーにある、マンダレー・ブルワリー社への過半数の出資を決定いたしました。

ミャンバー国内では新たに種類の製造免許を取得することは難しいと言われております。そのようななか、ミャンマー中心部において、新たに生産拠点を獲得したことで、北部地域への物流コストへの効率化をはじめ、さまざまな点で前進してまいります。

次のページでは、東南アジアにおける事業基盤強化についてまとめて掲載しています。のちほどご覧ください。

低収益事業の再生・再編

続いて、低収益事業の再生・再編についてお話しいたします。

キリンビバレッジは利益ある成長の実現に向けて、ブランド強化と収益構造改革をさらに進めてまいります。

昨年は計画を大きく上回りましたが、営業利益率4.9パーセントが最終ではなく、より強固な収益基盤の構築を目指します。

今以上の一段高い収益性を実現するためには、自社の取り組みだけでは限界があります。したがいまして、物流、製造や間接業務などのコスト面を中心とした他社とのアライアンスについては、今後も継続してまいります。

なお、本日2月13日に公表のとおりコカ・コーラグループの提携につきましては、引き続き協議を進めてまいります。

13ページ、14ページにはライオンの飲料事業、医薬・バイオケミカル事業について掲載しておりますので、後ほどご確認ください。

持続的成長に向けて CSVコミットメント

最後にCSVについてお話しいたします。

私たちは、長期経営構想である、新KV2021(キリンビジョン2021)においてCSVをグループ経営の柱と位置付けおります。今回、これをされに一歩進めて、具体的な重点課題と目指すべき成果を明確にいたしました。

当社の事業ととくに関連の深い、健康、地域社会への貢献、環境。この3つを今後、重点的に取り組むべき社会課題と定め、これらの領域でイノベーション創造してまいります。

先ほどご説明しましたとおり、キリングループは今、持続的成長の実現向けて中計で掲げます構造改革によるキリングループの再生に取り組んでおります。

しかし、さらにその先の成長ドライバーはなにか? その答えがCSVであると考えております。そのために、今中計では既存事業の再生に取り組む一方で、事業創造部を立ち上げ新たな事業の検討を開始しております。

キリングループ各社の技術力を結集し、健康領域を軸に将来の成長ドライバーとなる新規事業を創造し、育成してまいります。

本件につきましては、本日リリースを配布しておりますので、詳細をご確認ください。

持続的成長を実現するために

最後に、本日のまとめでございます。

昨年のいい流れを本物にできるよう、今期、来期と中計の完遂に全力で取り組んでまいります。3年間の実績を積み上げ構造改革によるキリングループの再生を果たし、将来の持続的成長につなげていきます。

ご清聴ありがとうございました。