2016年度第3四半期 連結純利益概要

鉢村剛氏(以下、鉢村):みなさま、こんにちは。伊藤忠の鉢村でございます。今日はお忙しい中、私どもの決算発表のネットカンファレンスにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

本日公表いたしました決算の概要につきましてご説明をいたします。まず、連結純利益の概要でございます。

利益項目については、大きく4つハイライトしております。まず、この第3四半期の連結純利益は史上最高益だったということであります。

昨年の3Q段階でも、2,809億円ということで史上最高益と申し上げましたけれども、本年度も引き続きまして、初の3,000億円台を乗せましたけれども、3,003億円ということで、極めて好調な3Qの決算を締めることができました。

食料、金属、情報・通信ならびに化学品における好調な基礎収益に加えまして、今年度からフルに連結をしておりますCITIC(中国中信)の利益貢献が大きく、現時点では若干数字がスローであるエネルギー、住生活、機械における価格だとか為替のインパクトをカバーして、大幅に前年対比で増益になっているものであります。

申し上げましたように、伊藤忠商事は今年度3,500億円という史上最高益を目標に掲げておりますけれども、この進捗率は86パーセントとなっておりまして、年間の史上最高益に向けて、極めて達成が近いという、手の内に入ってきているというふうに考えております。

また、当期の一過性損益は、後ほどご説明いたしますが、1Hで310億円と申しました。この3Qでネットいたしまして5億円がございまして、トータルで315億円程度の利益になっております。前年同期は約500億円でございました。

これらを除きますと、基礎収益力はこの3四半期ベースで約2,700億円程度、前年同期が2,300億円程度でございましたので、通常損益ベースでも極めて強く、400億円程度の増益になっておりますので、基礎収益ベースでも史上最高益になっていると考えております。

また、4点目でありますけれども、弊社の強みでありますポートフォリオが分散した事業形態を持つ中で、事業会社の黒字化比率というのは、昨年同時期の80.4パーセントから83パーセントに、3ポイント増加をしております。着実に低採算・赤字事業の減少・改善が進んでいる、ということであります。

セグメント別 当社株主帰属四半期純利益

それから、セグメント別の第3四半期の特徴でございます。

お手元にPowerPointお持ちでございましたら、一番大きく前年対比で変わっております、増益になっている部分が、「その他及び修正消去」に入っている部分でございます。ここの中に、CPとCITIC関連の収益が入っております。

ご案内のように、この「その他及び修正消去」の中には、「本社口」と称する、本社でかかる経費あるいは本社が課しているタックス等も入っておりますので、その他の部分の基礎収益のようなものも、ここの中に見込んでおります。また、社内でかかっている金利等も、ここに入っております。

それから、大きくこの今期で収益で貢献しましたセグメントは、この次に目が付きますのが、やはり食料でございます。食料は630億円ということで、前年同期比で282億円、年間の目標値700億円と言っておりますので、進捗率が90パーセントになっております。年間の見通しベースでもかなり強含みのセグメントでございまして。

とくに、青果物関連事業のDoleは一昨年、手を打ったワールドワイドパッケージフードの部分のターンアラウンドに加えて、昨年手を打ちましたエッシュ&フレッシュという、アジアの青果物のビジネスが黒字化をしたということです。

これ、価格が高騰してきているという部分、対日向けの価格が高かった部分のプラスに加えて、品種改良や生産設備の改善、供給する農家の増加、灌漑設備の改善など、ありとあらゆる手を打ってきているわけでございますけれども、このDoleの改善があったという部分。

それから、食品関連流通事業というのは、ファミリーマートを中心にサプライをしている日本アクセスですけれども、客先取引の1件1件の改善ですとか、個別の経費の、例えば物流関連の経費の改善等、地道な作業によりまして、たぶんレコードハイになる利益を計上する予定でございます。

加えまして、ファミリーマート・ユニーの統合に関わる利益の計上等が、この分野の中に入っております。このセグメントは、極めて強含みであると。

加えまして、情報・金融という分野、実は前年同期比でマイナス表示になっておりますけれども、前年の368億円の中には、オリコの評価益というのが昨年90億円入っております。それを除きますと、ほぼ横並びではあるんですけれども。

情報産業ベース、1月31日に公表いたしましたCTC、それから携帯販売事業のコネクシオ、あるいは、携帯の補修事業・保険関連のアシュリオン、フェルナンド、こういう分野のビジネスが極めて堅調でございます。

それから、金融関連の事業の一過性の反動がございましたけれども、この分野も堅調な収益を挙げております。

それから金属関連の分野です。昨年同期が201億円だったものが247億円ということで、鉄鉱石・石炭価格の上昇のメリットが、この中に入っております。

一方で、若干一過性の損失があったものですから、増益幅というものが46億円ということになっておりますけれども、年間の進捗状況が、前回上方修正をした見通しの300億円の中の82パーセントということでございますので、足元の鉄鉱石価格がとくに続く場合は、かなり大きな上振れが期待できるのではないかと思っております。

以上の3分野、それから、セグメントで分けますと、見た目はちょっと減少しているエネルギー・化学品分野の中の、化学品分野も極めて順調であります。

主要3事業でありますシーアイ化成・伊藤忠プラスチックス・伊藤忠ケミカルフロンティア、これらの事業は堅調でございますし、その他の小さな事業会社も収益貢献をしております。化学品分野は好調でございます。

こういう中におきまして、若干前年同期比でマイナスになり、進捗率が60パーセント台と、現時点ではまだ目標値に対して少し下振れをしているのが、繊維であり、機械であり、エネルギーであり、住生活でございます。

繊維に関しましては、国内のアパレル産業やはり厳しい状況が続いております。百貨店向けの婦人関連事業が販売不振等がございます。

こういう中で、小さな事業会社を含めて経費削減を徹底的に進め、物流経費を削減するなど、手を打っている中でですね、大きな損ということはございませんけれども、330億円というターゲットを今年は持っておりますので、そこに向けて、下期型のビジネスでありますので、下期の駆け上がりを期待しているということでございます。

それから機械につきまして、これも進捗率が63パーセントで前年対比で27億円減という、376億円ということでありますけれども、単体の自動車の輸出関連が、円高の影響もございまして、私どもが得意としております、中近東それから新興国、アフリカ向けの自動車の輸出が若干スローになっております。

それから、船舶市況の低迷によりまして、個別採算が悪化している船舶等がございます。これらも赤字になっているわけではございませんけれども、当初想定している利益よりも下がっているということであります。

医療関連機器の売却というのが1Qにございましたけれども、これら含めましても若干、今スローであります。こういうところですね。

それから、エネルギー関連は、昨年が特殊な利益、これはアメリカのシェールガスから撤退したことによる税効果を取っていたりですね、昨年はアゼルバイジャンのBTCパイプライン関連の特殊な利益があったということもありました。

それらを除いたうえで、若干単体のエネルギートレードのビジネス、これは海外に展開しております重油ですとかLPG含めた、油の地域間取引をやることで利益を得るビジネスなんですけれども、この部分の赤字が出ております。こういうことがあり、エネルギー分野は若干厳しい形になっているということであります。

住生活分野でありますけれども、これは一番大きなインパクトを受けておりますのは、昨年好調でありましたパルプのビジネスで、ブラジルのセニブラ、それから、フィンランドにあるMETSA FIBREのビジネスでございますけれども、両方とも、昨年は広葉樹・針葉樹ともにパルプ価格が高騰しておりましたけれども、今年は市況に打たれているということがありまして、円高の影響もあり、この分野は厳しい数字になっております。もちろん赤字ビジネスではございませんけれども、収益レベルが若干下がっている。

それから、昨年減損したETELに関しましては、ほぼ昨年並みの利益に回復しております。中では、イギリスの小売関係が若干低調ではありますけれども、オランダの小売が好調であったり、卸しビジネスに対応したり、最近進捗しているECビジネスに対する展開を手を打ったりと、いろんなことをやったり、経費の削減もしたりしている中で、ETELのビジネス、European Tyreのビジネスはほぼ昨年並みのレベル感に今なっているということであります。

全体感は以上でございます。

キャッシュ・フロー

それからキャッシュ・フローでございます。

キャッシュ・フローにつきましては、強めのキャッシュ・フローが引き続き出ているということが、大きなポイントであります。

中期経営計画の中で「キャッシュ・フローを重視する経営をする」と申し上げ、とくに「投資のコントロールをしながらフリー・キャッシュ・フローをコントロールしていくんだ」という計画、1,000億円以上の実質フリー・キャッシュ・フローを目指すという中で、1-3Qで2,200億円の実質フリー・キャッシュ・フローになっております。

この傾向はたぶん今年度末も続くと思われますので、1,000億円以上という数字はかなり大きくなるのではないかと想定をしております。

ちなみに、「実質営業キャッシュ・フロー」と書いてある部分でございますが、3,000億円となっておりますこの1-3Qは、昨年の1-3Qというのは約2,740億円でございましたので、実質営業キャッシュ・フローは約260億円の増加でございます。

表面上の営業キャッシュ・フローは昨年対比で200億円ほどの減少になっている2,323億円でありますけれども、ワーキングキャピタルが特定分野で広がってる部分があったので、それを振り戻しますと、実質営業キャッシュ・フローでは強含みということであります。

あと投資に関しましては、引き続き大型投資は極めてコントロールをしているということです。これはユニー・ファミリーマートに対する追加の投資が248億円ありますけれども、それ以外は既存のビジネスにおける固定資産の取得、これは食料分野・情報通信分野・金属分野での固定資産の取得でございますね。こういう部分が出ている程度ということでありまして、引き続き投資は厳選をしております。

いくつかの案件で、2ndクオーターの後半からこの3rdクオーターにかけて、今後展開していくビジネスができたという公表もしておりますけれども、キャッシュアウトは、3rdクオーターでもなく、4thクオーターないしは翌年にずれるものもあるかと思っております。

ということで、キャッシュ・フローは極めて堅調であり、予定通りのコントロールをしているという状況であります。

財政状態

B/Sのほうに移ります。

総資産は、昨年度末に比べまして約3,600億円増えました8兆4,000億円程度になっております。

ネットの有利子負債は2兆5,000億円弱でございますけれども、この12月末には、試みといたしまして、あえて全体の現預金レベルを6,500億円レベルから6,000億円に絞ってみました。

金利感応度も含めて、我々ができることをやってみようということで、借入金の返済がどこまでできるかというのをやってみた部分なんですけれども、借入金の返済というのは1,400億円ほどこの1–3期で行っておりますし、配当金の支払いの830億円、それから11月の頭に申し上げた自己株の取得というのが162億円ございました。

これに加えまして、経営者の対応ということでの自己株を加えている部分等もありまして、トータルの財務活動におけるキャッシュアウトは2,500億円弱になっております。

これらを踏まえてネットの有利子負債のコントロールをしているわけですけれども、株主資本につきましても予定どおりに順調に増加をし、株主資本比率も28パーセント強。

NETのDERは1.0倍に向けて1.04倍に低減をしており、ROEも、これは他社に比べて圧倒的に強い効率のよい数字でございますが、15.4パーセントの年度末目標に向けて、順調に推移をしてきているということで。

マーケットに申し上げてきている財務体質の強化というなかの財務関連のKPIに関しましては、申し上げてきているとおり、順調にコントロールをしているということでございます。

それから最後になりますけれども、3,500億円という今の数値につきまして、今回、上方修正をいたしませんでした。

大きな懸念案件がないなかで3,500億円の達成はほぼ手中にあると思っておりますし、ここからどれだけプラスαを目指せるかというのが、第4四半期の我々の課題であると思っております。

先ほど申し上げましたように、基礎収益が3四半期ベースの合計で2,700億円ということは、単純にいきますと、これだけで年度ベースに直すと3,600億円でありますし、現在若干スローなビジネスである各セグメントにおいても、下期重型の収益が大きいという部分を考えたりいたしますと、すでに特殊な利益が300億円あるということも考えると、流れでいきますと、今年度末に中計の2017年度末に目標としている4,000億円を狙うレベル感にあるだけの勢いは持っているというのが、3rdクオーターを締めた段階の感触であります。

申し上げましたように、食料・情報・金融・金属分野というのは、この4thクオーターも引き続き強いものがあると思っておりますし、その他分野につきましても、下期の駆け上がりというのはそこそこあると思っております。バッファの200億円に関しても現状は使っておりません。

前提条件

それから資源価格のインパクトは、ご案内のように、弊社の場合は鉄鉱石のインパクト大きゅうございますけれども、石炭はあまり大きなインパクトを持っていないということもありまして、下期残りの4Qにつきましては、それほど大きく資源がブレると思っておりません。

けれども、それに代えて、私どもは、83パーセントを超える黒字会社、それから単体の、地道な利益1億2億を積み重ねていくという着実な第4四半期になっていくと思っております。

来年度、3年目になる中期経営計画の2017年度の史上最高益を目標としているというのはマーケットに申し上げているとおりでございますので、その1年前の段階として、今年もきちっと史上最高益を更新をした上で最終年度につなげたいと思っております。以上でございます。