2016年度12月期決算概況
花井陳雄(以下、花井):それでは、始めさせていただきます。お手元の資料をまず開いていただいて、これは将来の見通しに関する注意事項といつもと同じ文章でございますけれども、ご留意をよろしくお願いいたします。
次に、2016年度は中期経営計画、我々は5年計画ということを発表しておりますけれども、その1年目にあたりますけれども、全般的にみて順調なスタートがきれた1年目だったというふうに考えております。
業績ですけれども、2016年度と、それから今年の2017年度は中期経営計画の中での投資Phaseと我々は考えておりますけれども、昨年2016年度も積極的な開発投資を行ってまいりました。
また、昨年は為替が非常に変動したということ、それから後発品の進捗があったということで、2015年に比べると減収減益になりましたけれども、これはほぼ想定の範囲内ということで、我々が2017年に計画した業績がほぼ達成できたのではないかと考えております。
それではファイナンシャルの方は立花からご説明いたします。
2016年12月期連結決算概況 前年比
立花和義(以下、立花):立花でございます。ファイナンシャルレビューということでご説明いたします。
6ページをご覧ください。これはすべてを一覧にしたものございまして、減収減益でございます。営業利益が上方修正した目標にくらべれば若干未達でございますが、ほぼ予想を達成しております。
2016年12月期連結決算概況 前年比損益分析
次の7ページをご覧ください。これは前年対比の当期利益の増減を棒グラフで示したものです。左が15年で、一番右の棒グラフが2016年の実績になります。
111億円の減益となっております。左から、売上総利益の減益が169億円になっています。うち、為替の影響が113億円ございます。薬価改定あるいは、円高による売上利益の減少がございます。
販管費が47億円減少しております。利益的にはプラスになっています。しかし、為替の影響で、円高の影響で98億円の影響がはいっております。実質は50億円販管費は増えたとご理解ください。結果といたしまして、111億円の減益となっております。
2016年12月期 セグメント別決算概況
次の8ページは、セグメント別にあらわした表でございます。医薬事業、バイオケミカル事業とも減収減益となっております。とくにバイオケミカル事業は円高の影響が強くでた決算になりました。
医薬:2016年12月期 前年比損益分析
9ページに医薬の前年比損益分析ということで、左側が売上高、右側が営業利益。これは上から下にみていただきますと、15年の売上高の実績が2,792億円。昨年が2,632億円と160億円売上高が減少しております。そのうち、為替の影響が112億円でございましたので、実質50億円の減収となりました。
下のコメント、黒い丸印で3つ書いております。まず国内医薬品でございます。これは43億円の減収となっておりますが、薬価改定の影響が約100億円ございますので、実質の数量的には伸ばした決算だったかと思います。
内訳を見ますと、ジーラスタ、ノウリアストを新製品群と言っていますが、ここは市場を順調に伸ばしておりますけれども、アレロック等の長期収蔵品と言われるものが、薬価改定だとかあるいは、ジェネリックの浸透等によりまして、減収いたしまして、結果的に、ここが全体的に43億円の減収になったということです。
技術収入他は62億円の減収になっております。これは前年にKHK4563のオプション案件の契約締結に伴う一時金計上があったため、これと比較しますと減収になっております。
海外販社が41億円の減収となっておりますが、為替影響で109億円の減収要因となっておりますので、実質的には70億円近い売上増を達成したということでございます。
右側の営業利益でございます。昨年の実績263億円は、前年対比で98億円の減益でございますが、売上総利益が140億円の減益要因となっております。
うち、為替要因が87億円。下の解説をみていただくと、実際には53億円の減益でございます。先ほど申し上げた薬価改定あるいは、技術収入の減少よります。
研究開発費を除く販管費につきましては、64億円の減少となっております。増益要因になっていますが、為替の要因が67億円入っておりますので、実質的には3億円増えたということです。協和発酵キリンの単体のほうでは減収したんでございますけれども、海外の経費が増えております。
研究開発費22億円の増加となっています。この為替要因で25億円減少の見かけ上になっておりますので、実質的には47億円の増加となっておりまして、50億円近い研究開発費の増加があったということです。これはグローバルに売り上げる後期開発品費用の増加がメインでございます。
医薬:国内主力品などの売上高
10ページは主力品の売上でございます。これは国内の主力品の売上でございます。ネスプ以下の減収の部分がございます。これは薬価改定の影響が多いということになります。レグパラ、ジーラスタ、ノウリアストは伸ばしております。技術収入は60億円のマイナスであったということになります。
達成率は16年の7月に出した予想に比べてどこまで達成したかということでございまして、ほぼ目標通りということになります。
バイオケミカル:2016年12月期 前年損益分析
バイオケミカルの事業でございます。11ページをご覧ください。
売上高は15年と比べまして、16年は52億円の減収でございます。為替要因が41億円ありますので、実質的には10億円程の減収になりましたけれども、海外については、欧米は順調に進んでおります、一部アジアで競争激化によりまして、化学品等が軟化しまして売上が落ちているということになります。
ヨーロッパは前年に化粧品、素材ビジネスを譲渡しておりますので、そこの減収部分もございますが、それを跳ね返してと言いますか、カバーしております。国内につきましては、医薬品原料が若干マイナスになっておりますが、通信販売等で伸ばしておりまして、ほぼ前年並みということでございます。
協和ファーマケミカルにつきましては、医薬原薬等がぜんぜん無出荷が多かったということで、前年対比で減収となっております。
右の営業利益でございますが、前年対比28億円の減益になっております。うち、為替要因が19億円ございますので、実質は9億円ということでございますが、ここは先ほどコメントいたしました通り、アジアにおける価格に軟化、競争激化というところがメインでございます。
2017年12月期連結業績予想
2017年の予想につきましては、13ページをご覧ください。
今年から前半、後半の予想は割愛させていただいております。と言いますのは、協和発酵キリン自体の業績が医薬でとくに前半、後半の研究開発費の発生、あるいは技術収入の入り具合がかなりぶれますので、これを出してもミスリーディングになる可能性もございますので、1年全体を通した業績の予想発表にさせていただいております。売上高から当期利益まで、増収増益を見込んでおります。
2017年12月期連結業績予想 前年比損益分析
売上高から当期利益まで、増収増益を見込んでおります。当期利益の増減比較を14ページに示しております。
若干の当期利益のプラスなんですが、主なところは売上総利益です。ここは技術収入が16年にくらべまして17年は増加していくということと、それから特別損失の方で、固定資産の売却益等がなくなりますので特別損益の方が減少しまして、結果的に前年より若干のプラスになる当期利益の予想でございます。
2017年12月期医薬事業の業績予想
医薬事業、バイオケミカル事業につきまして、詳しい説明をしておりますが、そちらはアペンディックスのほうを見ていただきますと、35ページ、36ページの方に前年比の業績予想の比較分析をしております。
それから為替につきましては、最後2ページにまとめて記載しておりますので、そちらも合わせてご覧ください。以上、ご説明終わります。
2016年の主な進捗状況
花井陳雄氏(以下、花井):私のほうからR&D Reviewについて報告させていただきます。
これは2016年度の国内の進捗状況を書いてありますけれども。一番上のRTA 402、バルドキソロンメチルですけれども、これは2型糖尿病、慢性腎臓病ということで、非常に期待しているものですけれども。
過去にアメリカの提携先のリアタがPhase3試験を打って、血管系の副作用で中断ということになりましたけれども、我々は、ここはイヌリンクリアランスのGFRという非常に難しい臨床試験ですけれども、それをしっかりやりまして。
Phase2の途中結果発表しておりますけれども、非常に良好な結果が出ているということで、これは非常によい結果だと思っております。
次の、好酸球性慢性副鼻腔炎のKHK4563、これはIL-5受容体の抗体ですけれども、Phase2開始しています。これは抗体については、喘息・COPDという適用でやっておりますけれども、さらに副鼻腔炎での適用拡大を狙っているということでございます。
次はIL-17受容体抗体の4827、「ルミセフ」を昨年9月に発売しております。
それから、パーキンソン病患者を対象としたKW-6356のPhase2試験を開始。これはあとで説明いたします。
一番下の、潰瘍性大腸炎を対象としたKHK4083。これはOX40の阻害抗体ですけれども、日本でもPhase1を開始しております。
2016年の主な進捗状況
次のページは海外です。
Nivolumab、これはBMS(Bristol-Myers Squibb)さんとの共同試験で、KW-0761、モガムリズマブとの併用療法の固形がん対象の試験を、昨年の2月に開始しております。これもあとで説明いたします。
次のKHK4563、Benralizumabの喘息を対象としたPhase3の結果ということが、これはアストラゼネカさんからも発表されましたけれども、喘息の増悪度、それから呼吸機能を改善したということで、非常によい結果ということで発表されております。
次の、成人T細胞白血病を対象としたKW-0761、モガムリズマブのPhase2の結果ということでございますけれども、これもあとでまた説明をいたします。
再生不良性貧血を対象としたAMG531のPhase3試験を日本と韓国でやっております。
それから、小児X染色体遺伝性低リン血症(XLH)を対象とした、抗FGF23抗体についてですけれども、これもあとでスライドで説明しますけれども、FDAから「Breakthrough Therapy」に指定されたということで。これは小児の難病であまり例がないということで、非常に高く評価されているということを認識しております。
同じくKRN23でTIO、ENSを対象とした試験を開始しています。これもあとで説明いたします。
それから一番下の、潰瘍性大腸炎を対象したKHK4083、これはOX40の阻害抗体のPhase2を開始しております。非常に新しいメカニズムでございますけれども、非常に期待している抗体でございます。
2016年の主な進捗状況
あとでご紹介いたしますけれども、最初がKHK2455とKW-0761の併用試験を開始したということ。
それから、XLHの小児でKRN23のPhase3を開始したということ。
それから、KW-6002のPhase3の速報結果を発表いたしました。
それからKRN23のXLHでの欧州の製造販売承認のところが受理されたということ。
それから、KHK4827のPhase3を韓国で開始したということがございます。
次、お願いいたします。少しトピックをご紹介いたします。
国内開発の主なアップデート
KW-6356。これは低分子のアデノシンA2A受容体の阻害剤ということで、これのPhase2試験を日本で開始しております。
KW-6356:目標薬剤プロファイル
このKW-6356というのは、先行しているKW-6002、「ノウリアスト」という名前ですでに日本で発売しておりますけれども、このアデノシンA2A受容体に対する阻害効果がかなり強いと。6002よりもさらに強いということで、これはパーキンソン病のところで、単剤での効果も期待しているものでございます。
早期のパーキンソン病、あるいは進行期のパーキンソン病というところで、幅広い効果ということを期待して試験を開始しております。
KW-6356:第2相臨床試験デザイン
次に、簡単に試験デザインをやっておりますけれども、高用量と低用量、それからプラセボの、スリーアームのPhase2試験を開始しております。
グローバル開発の主なアップデート 1
次は、抗CCR4抗体、KW-0761、モガムリズマブの血液がんのほうでございますけれども、これは、昨年、ASCOでATLのところで、既存薬の投与分に比べて、ORRで優れた結果を出したということを、すでに発表しております。
現在、CTCLのPhase3試験を進行中でございますけども、これも、本年の初めに終了するという予定でございます。これも結果が良ければ、当然、FDAへの申請というふうに進んでまいります。
グローバル開発の主なアップデート 2
次のページですけれども、これは、同じくCCR4抗体、KW-0761の固形がんのところでございます。いわゆる、オンコロジーのところでの試験でございますけれども、このKW-0761はレギュラトリーT細胞の阻害効果があるということを基にした試験でございます。
昨年、新たに始めましたのは、先ほども言いましたけれども、上から4番目にあるBristol-Myersとの共同の試験で、Nivolumabとの併用試験を開始したと。
それから、一番下にありますKHK2455、これは、自社の低分子のIDO阻害剤でございますけれども、これとの併用試験を開始したということで、積極的に試験をやっております。
現在、オンコロジーのところは、みなさんご存知のように、非常にたくさんのプロトコルで、臨床試験がやられております。私の聞くところでは、だいたい800くらいのプロトコルで臨床試験がやられているということでございます。
そのなかで、Nivolumab、あるいはTremelimumabということが、だんだん標準療法に近くなってきているということを認識しておりますので、我々、積極的なこういう試験をすることによりまして、KW-0761の特徴を活かしたところでの適応を取るということを追求するためにやっております。これからも積極的にやってまいります。
グローバル開発の主なアップデート 3
これは、アデノシンA2A受容体阻害剤、KW-6002、日本ではノウリアストとして発売しておりますけれど、このPhase3試験を、米国、欧州、その他でやりまして、その結果を発表しました。
これは、患者さんが中程度から重症度ということで、かなり重症に傾いた患者さんを入れました。全期間を通しまして、このKW-6002が、いわゆる、ウェアリングオフという現象を、ウェアリングオフを減少するという効果は見られましたけど、残念ながら、最後のG2週のところで、有意差が付かなかったというところでございます。
このものにつきましては、FDAと議論して、申請ができるかどうかというところで、申請可能であれば、申請をするというふうに進みたいと考えております。
グローバル開発の主なアップデート 4
次は、抗FGF23抗体、KRN23というところのXLHのところです。これ、たくさんの試験をやっておりますので、とくに1本1本は説明しませんけれども、昨年は小児のPhase3試験を開始しております。
それと、これはアメリカのUltragenyxとの共同開発をしておりますけれども、Phase2試験が非常に良好であったということで、欧州で申請ということを、昨年末に行っております。米国では、Ultragenyxのほうが今年の後半に申請を出たということを発表しております。
グローバル開発の主なアップデート 5
次は、同じくKRN23でございますけれども、このTIO/ENSというのは、TIOは腫瘍性骨軟化症、ENSは表皮母斑性症候群ということで、非常にレアなdiseaseでございますけれども、このものにも効果が期待できるということで試験を開始しております。
協和キリンフロンティア株式会社設立
1行だけ、「協和キリンフロンティア株式会社設立」ということで。なんだ? ということでございますけれども(笑)。これは、ネスプの、いわゆる、みなさんが使っている言葉で、オーソライズドジェネリックの製造販売の承認を取るという、そういう目的で設立した会社でございます。
ネスポのオーソライズジェネリックにつきましては、この医療を取り巻く環境、あるいはニーズの多様化ということで、社会の要請にきっちり応えていくというためで、プロジェクトを進めております。
以上でございます。