「リスク=危険」という意味ではない

中原良太氏:ここで、「リスクって何なのか?」というところを勘違いされている方が、非常に多いので、補足としてお話をしていきます。

リスクとは何か? みなさん、何だと思います? リスクって聞くと、危ないとか、あとはハイリスク・ハイリターンという言葉を思いつくと思うんですけれども。そもそもリスクというのは、「危険」とかそういう意味じゃないんですよ。

どういう意味かというと、リスクとは「不確実」という意味なんですね。あやふやなこと、よくわからないこと、予想できないことがリスクである。つまり、よくわからないということがリスクなんですね。

だから、不確実という言葉がリスクなので、「儲かるかもしれない」というのも、同じようにリスクなんですよ。つまり、確実じゃないこと。

例えば、今日のことはあんまりリスクがないと思うんですね。例えば、僕は今、家にいます。よっぽどのことがないかぎり、事故を起こすことがないです。つまり、リスクがない状況、不確実な状況がない。確実に安全ということが言えます。

ですが、明日になったら、外に出て、電車に乗って、どこかに出掛けるとか、そういう予定が入ってたら、車にひかれるかもしれないとか、電車が脱線するかもしれないとか、人に階段から突き落とされるかもしれないとか……まあいろいろと不確実な材料があります。

つまり、リスクとは何かというと、利益につながるか、損失につながるか、どうなるかわからないということがリスクですと。

それで、このリスク管理というのは何をするものかというと、そのわからないものを管理していくというものになります。

わからないものをわからないなりに、危ないことを危なくないように、危険を冒さないようにしていくことが、リスク管理の主な目的ですね。

主にリスク管理とは何かというと、とくに投資の場合は、資金管理のことを指します。例えば、100万円持っている内のいくらを投資するかとか。

自分の全財産が100万円を丸ごと投資してしまうと、これはリスクが高いんですね。なぜかというと、100万円がすべて不安定な状況にさらされて、先が何も見えない状況になるからです。

ただ逆に、「10万円しか使いません。残りの90万円は取っておきます」ということになると、この90万円に関しては何が起きても安全ですよね。

リスクを取って、利益が出るか損が出るかわからないものは、この残りの10万円だけですと。こういう状況は、リスクが抑えられていて、非常にローリスクな状況ということになります。

実例1.為替取引

それで、このリスクが高い低いというのを、実際の例でお話します。

まず、よくFXなどで使われてる為替取引というのは、けっこう勘違いされてる方が多いんですけど、為替取引はそもそもリスクが小さいです。

為替取引というのは、例えば海外のお金を買うとか売るとかいうことですよね。

ですので、そもそも国がつぶれることがないので、株式投資とは違って、お金の価値がなくなるということはほとんどないんですよ。まあ、たまにありますけど、実例がほとんどありません。

ですので、通貨はリスクが低い資産だと言えるんですね。その代わり、リスクが低いということは、リターンの可能性も小さいということなんですよ。

ですから、少しでもたくさん稼げるようにするためには、レバレッジを利かせる。つまり、100万円を使って2,000万円を動かす、まあテコの原理ですよね。ちょっとの力でたくさんのものを動かすということをして、意図的にリスクを引き上げていくというのがFXなんですね。

普通にドルとか海外の通貨を買っても、儲かるとか損するということはほとんどないんですけど、こうやってテコの原理を使って、自分の持ってるお金の最大25倍ぐらいの資金を運用するようになるからリスクが高くなるというのがFXの特徴です。

実例2.株取引

次にご紹介するのが株取引。株取引の場合は、為替と違ってリスクが非常に大きいです。それこそ企業が倒産するというのは、本当にしょっちゅうあります。

参考までに、2015年に上場廃止になった企業は60銘柄以上、つまり月に5つぐらいの会社が上場廃止になってますと。

だいたい今、市場にある銘柄が2,500銘柄あるとしたら、500分の1の確率で大外れを引く可能性があるわけです。ですので、けっこうリスクが大きいんですね。

なので、もともと危険なので、さらにレバレッジ、テコの原理を使ってしまうと、本当に危なくなります。

なので、日本の株式取引市場ではレバレッジは最大でも3.3倍。「どんなにリスクを取ったとしても、これ以上は取れないですよ」という規制がかかっています。

これはとても危険なので、とくに株だと100万円がレバレッジ3.3倍で0円に……0円というか借金しちゃう可能性も出てくるんですよね。

とても危険なものですので、よほど運用の実績やちゃんとした投資ノウハウを持っていないかぎり、レバレッジは利かせないほうがいいと思います。

もちろん使い方によっては非常に役に立つものですし、私もレバレッジを使った運用はしているんですけれども、初心者がいきなりこのレバレッジを使うのは、非常に危険なのでやめましょう。

レバレッジの利かせ方の注意点

ここからは「リスク管理のすごさ」というのをお話ししていきますが、次のお話に進む前に、ここでちょっと補足します。

一般的には、投資する先のもの、例えば株に投資するとか外国の通貨に投資するとか。この投資先によって、レバレッジの利かせ方を大きく変える必要があります。

例えば、海外の通貨というのは、そもそもなかなか値動きが取れないんですね。だから、こういう投資商品にお金を投じる時には、基本的にはレバレッジをかけた投資をします。つまり、レバレッジを利かせないと何もできないような状態なんですよ。

例えば、今からお金をドルにしますということをしたところで、お金が倍になるなんてことはほとんどありえないんですね。なぜなら今、1ドル120円とか、それぐらいの為替レートですけど、それがいきなり240円とか360円とかに変動することは考えがたいですよね。

このように、ほとんど売買差益を取ることができないんです。ですので、その代わりにテコの原理を使って、意図的にリスクを増やしてリターンを得られるようにしていくというのが大事になってきます。

ただ逆に、株式投資で、JASDAQやマザーズにある新興株を買う時には、レバレッジを利かせすぎると、そもそも危ないものを取引してるので、その後、倒産してしまったら借金を負いますよと。

ということで、危ないものに投資しようとしている場合には、レバレッジを低く抑える必要があります。

なので、基本的にレバレッジを利かせるのは、本当に売買が活発な株を取引する時ぐらいですかね。

例えば日経225とか、本当に日本を代表するような大きな会社に投資する時ぐらいしか、このレバレッジを使うのはおすすめしません。

リスク管理のすごさを認識

ちょっと戻ってしまいましたが、次に「リスク管理のすごさ」についてご紹介します。

実際、リスク管理はものすごい威力があるんですね。どういったものがあるかというと、ストップ安という株があったとします。私は人生で初めて買った株がストップ安になってしまったという苦い思い出があるんですけど、すっごく危ない株なんですね。

だって、値段がつかないぐらい安くなっちゃう、もう株を売りたい人がわんさかいて、これ以上下がらないというぐらい株価が下がっている株。これはすごく危ないんですよ。

このリスク管理を徹底すれば、もうそのままズルズル0円になっちゃうかもしれないというすごい危ない株ですら利益につなげられるようになるんですよ。

例えば、私が執筆した『StockForecast Marcket Review』という電子書籍があるんですけれども、こちらでご紹介している投資テクニックだと、リスク管理を徹底するだけで、ストップ安という株でも3勝2敗という高い勝率を保って、利益2、損失1という高収益性、まあ利益を出しやすい投資法というのを編み出すことができます。

さらに、ほとんどすべての業種で通用する、再現性の高い投資技術を身につけることができます。

もちろん銘柄を選ぶというのも重要なんですけれども、それに合わせて、リスク管理の威力というのがいかんなく発揮された例なんですね。

その証拠に、リスク管理を実践することで、もっとも危ないとも言えるストップ安の株に投資しても、安定的な収益が得られる投資方法を作ることができます。

ということで、ぜひ今回のような暴落相場。まあ資産が減ってイライラしている方とか、頭を抱えて「どうしよう……」と悩んでる方もたくさんいると思うんですけれども、リスク管理が大事なんだということを今のうちから、今の悔しさをバネに、肝に銘じておいていただければと思います。

まだぜんぜん損を出してないという方は油断しないように(笑)。私もまだまだ、今は若干損してる、若干マイナスなぐらいなんですけど、このリスク管理がなければ、私も初心者の方と同じように大損を食らってたと思います。それだけリスク管理は、すごく大事なものなんですね。

ということで、このリスク管理を徹底するのが非常に大事だということをぜひ覚えておきましょう。

今回のまとめ

ということで、今回のまとめです。

リーマン・ショックとか東日本大震災とか、いろいろな暴落が数々存在していますが、そういう暴落の中でも死なないとか、破産しないためには、このリスク管理が、非常に重要な役割を担っています。ですので、このリスク管理をぜひ学んでおきましょう。

リスクの定義なんですけれども、これは「危ない」っていう意味じゃなくて、「先行きがわからない」という意味なので、このことはあらかじめ認識しておくといいと思います。

つまり、大きなリターンを得るためには大きなリスクを取らなきゃいけないと。それだけ、どう動くかわからない、値動きの激しいものを、買ったり売ったりしなきゃいけないので、もちろん大きなリターンを求めるのであれば、大きなリスクを背負わなければいけないということは肝に銘じておくようにしましょう。

いろんな投資商品があるんですけれども、リスクの低いものに投資をしようと思っている方は、レバレッジを使うというテクニックが1つあります。

ですので、ローリスクなものに投資するのは、比較的効率の悪いことなんですけども、テコの原理、レバレッジを使って、リターンを意図的に増やすことができます。

もちろんこの分リスクも増えることになりますので、その点はお忘れないようにお願いします。

次に、リスクの高いもの、それこそマザーズとかJASDAQに上場している小型株を売買したいという方は、レバレッジなんて使ってる場合じゃないです。やめましょう。

すごく危ないので、レバレッジをしないで、むしろ運用資金そのものを減らすとか、100万円持ってるんだったら20万しかマザーズに入れないとか。そのようにリスクを抑えて、損をしないように前もって対処しておくのがいいかと思います。

最後に、リスク管理を徹底するだけで、まあ、だけじゃないかな? いろいろなテクニックと組み合わせてリスク管理を使うことで、一見危険な株、例えばストップ安の銘柄というのもチャンスに化けることがあります。

ですので、攻めのリスク管理という使い方もあると思いますので、ぜひリスク管理を勉強して、損を減らしてリターンを大きくしていくというのをみなさん勉強していくといいんじゃないかなと思います。

今回は以上です。