個人投資家向けIRセミナー・講演会

高橋忠仁氏(以下、高橋):それではプレゼンを始めたいと思います。会社概要、事業概要、2020年12月期第2四半期の業績結果、12月期の業績予想の順にご説明させていただきます。

会社概要

高橋:会社概要です。1982年に設立しました。本社は新横浜にあります。従業員数が連結で268名、東証二部上場です。事業内容は後ほど詳しくご説明しますが、半導体とそれに関連するものです。主な取引先はNEC、オリンパス、ソニー、 富士通、アンリツ等、大手の電子機器製造メーカーおよびベンチャー企業で、トータルで3,000前後の会社とお付き合いさせていただいています。売上高は昨年の連結が304億1,000万円でした。

経営哲学

高橋:私どもの経営哲学です。非常に大事にしているのですが、「多様な存在との共生」を創業以来行っています。多様な存在とは、当然ですが、私ども1社だけでは何もできません。国内外のいろいろなステークホルダー、例えば、イスラエルのベンチャー、シリコンバレーのベンチャーといった、多くのさまざまな方々とそれぞれの強みを持ち合い、日本のお客さまをお手伝いするのが使命だと思っています。

また、使命に「世界の多様な文化のもとで生まれる最適なソリューション」と書きました。私は、世界中にそれぞれ文化があると思っていまして、やはりイスラエルは長年の歴史の中から新しいベンチャーが出てきますので、彼らが持っている素晴らしいものを日本のお客さまに活用していただくことが、私どもの仕事だと思っています。

業績推移で見るPALTEKの歩み

高橋:業績推移で見たPALTEKの流れです。当社は1982年にスタートしました。非常に特殊な半導体というか、まだ一般的でない半導体を扱っていたため、最初の12年間くらいは啓蒙期間のようなかたちで、ほとんど売れませんでした。それが1990年前半くらいから、主に通信機器にその半導体が採用されたことで大きく伸びました。

ただご存知のとおり、2000年過ぎに通信機器のバブルが弾けましたので、そこから少し低迷の時期に入りました。少々時間がかかったのですが、リーマンショック後に現社長を中心に事業を推進し、おかげさまで再度成長軌道に乗ることができました。ここ1年から2年は目の前の新型コロナウイルスの問題も含め、またいろいろと新しい試行錯誤の時間に入っています。

事業内容

高橋:大きく3つに事業ドメインを分けています。半導体事業は中心事業です。当社は株式市場で半導体商社に分類されているのですが、商流の観点よりも、むしろより高度な半導体の中身をしっかりと理解し、お客さまが使えるようにお手伝いできることが強みだと思っています。その強みをベースに、お客さまが設計するときのデザイン作業もお手伝いするのが、デザインサービス事業です。昨今直接エンドユーザーにお届けしなくてはならないケースもありますので、そのあたりを含めてソリューション事業を展開しています。

PALTEKグループの強み

高橋:グループの強みですが、先ほどもお伝えしたとおり、より高度な半導体、特殊な半導体を技術的にしっかりと咀嚼し理解してお客さまに提案し、開発をお手伝いすることです。その具体的な中身は、通信の技術、画像処理技術、制御技術の3つの技術で、相対的な強みを持っています。それらをベースに5G、AI、IoT、ADAS、ロボット分野に注力していきたいと思っています。

重点施策について

高橋:まず最初に半導体からお話しします。事業環境は、コロナ禍でかなりいろいろな要素において減速あるいは加速があり、一概には言えないのですが、5G、IoT、ビックデータ、AIの活用による半導体市場はグローバルに拡大すると思います。その中で、私どものお客さまである日本の電子機器メーカーがどこまでご活躍できるかによるのですが、そのあたりをしっかりサポートするのが、私どもの仕事です。

車載分野についてはEVカーを初め、ADASという言い方をしますが、非常に電子化してきていますので、その関連の半導体市場にしっかり訴求できるようなお手伝いも始めています。

半導体事業の実績

高橋:半導体事業そのものの売上は、左側の棒グラフが2015年271億8,000万円、昨年が274億6,400万円とほぼ横這いです。ただ中身の構成は一番下の産業機器が一番多いです。半導体全体の消費はみなさまご存知のとおり日本国内でも低迷しているのですが、安く大量に作るものは日本で作るべきものではないと思っているため、より高度な付加価値の高い日本の電子機器メーカーさまをサポートするのが、私どもの仕事だと思っています。半導体そのものの売上はほぼフラットなのですが、より高度な産業機器や通信機器の部分は確実に売上を伸ばしてきています。

半導体事業での採用事例

高橋:半導体事業での採用事例をお話しすると、まずはFA(ファクトリーオートメーション)関係です。工業用のロボットでは、生産ラインのマテリアルハンドリングなどにも使われています。「富岳」が最近非常に注目されていますが、スーパーコンピューターやデータセンター向けでも使われています。右上は5Gです。5Gは間違いなく次の時代に通信インフラとして中心になると思います。ただ先ほどお伝えしたように、新型コロナウイルスの影響やHUAWEI等の米中の覇権争いで、どの時点でどうなるかはなかなか予想しづらいのですが、5Gの通信インフラの基地局やWDM装置の開発・設計への半導体提供を始めています。

従来からしっかりと半導体を提供してきたのは医療機器であり、内視鏡、CTスキャナ、MRIなどです。半導体はこのようなところのお客さまのお手伝いをしながら売上を上げています。

デザインサービス事業について

高橋:次はデザインサービス事業です。先ほどお伝えしたとおり、半導体をうまく使えるようにお客さまをお手伝いする事業です。例えば、高度な医療機器になると、お客さまが「このようなものを作ろうか」と概念を設計して、それが実際に市場に届くまでのあいだに4年から5年くらいの時間がかかります。私どもの仕事は、お客さまが「このようなものを作るから、この半導体をくれ」という場合のお手伝いではなく、お客さまがより「このような高度な内視鏡が作りたい。胃の中のこのような画像を、こんなふうに見たいんだ」という段階の、概念設計から私どもはお手伝いするのです。それをコンサルティングや仕様検討と言っているのですが、その時間軸から具体的なハードウェアやソフトウェアに落とし込む作業を経た一連の作業をお手伝いしています。

設計・製造の開発分野

高橋:業績は2015年の13億5,400万円から昨年の22億1,800万円へと推移しています。現社長が中心になって主導してきましたが、おかげさまで右肩上がりに伸びています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):産業機器はもともとシェアが多いとは思うのですが、医療機器の部分のシェアが多いのは、もともと御社が得意とされているためなのか、それともそのような技術がおありなのか、あるいは大口受注が入ったのかを教えてください。

高橋:当社が最初の頃からずっと扱ってきたFPGA(注)という半導体があるのですが、その半導体がどんどん進化し発展してきており、とくに医療機器を中心に、その半導体が不可欠なものになってきています。その半導体をより高度に使いこなし、設計サポートができる点でお役に立つことができています。

(注:FPGA(Field Prgrammable Gate Array):PLD(Programmable Logic Device)の一種で、設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできる半導体)

坂本:昔からのお付き合いのところの技術があったため、現在では医療機器において結構なシェアがあるということですね?

高橋:はい、その点もありますが両方ですね。

坂本:また、営業の社員もある程度技術を持たれているのでしょうか? 技術営業なのか、それとも営業の方とは別に技術を担当する方がいて訪問するかたちなのか、あるいは一緒に同行するのかという部分で、どのような営業スタイルを取っているのかを教えてください。

高橋:両方です。営業の者も当然ですが、ある程度技術的にお客さまのニーズを理解し、半導体の技術的なことを咀嚼したうえで提案できなくてはなりません。営業も単なる営業というよりは、セールスではなくある程度の技術的な理解が必要です。ただ、そこでは完成しませんので、そのあとは技術担当の出番です。

ODMビジネスの強化

高橋:デザインサービス事業ではお客様の設計のお手伝いをします。こちらは単発でフィーをいただくことになるのですが、設計だけでなく、量産も受託することがあります。量産といっても医療機器などの産業機器ですので、年間数百台というレベルです。その量産製造を積み重ねていこうというのが、私どものODMビジネスです。こちらは、例えばCTスキャナ等で行っています。

ODMの事例

高橋:ODMの具体的な例としては、CTスキャナがあります。CTスキャナでは検査をすると放射能を浴びるため被曝するのです。その放射能の被爆量をいかに落として、なおかつ鮮明な画像を得るかが、メーカーの競争になっています。私どもの強みは放射能の被爆量を落とすための開発をお手伝いしたことです。被爆量を落とすとデータ量が減りますので、画像が不鮮明になります。その少ないデータから、より鮮明な患部の画像を出すアルゴリズムを開発して、機器に組み込むためのハードウェアボードとしてお届けしています。つまり、開発・設計するというビジネスに加え、メーカーに数百台のユニットを納入するビジネスです。

ソリューション事業の領域

高橋:3番目のソリューション事業です。ソリューションという言い方は非常に抽象的なのですが、この中で大きく3つに分けています。ブルーの部分がAIやIoTの部分で、具体的にAIに関わることを行っています。映像システムは、いろいろな映像配信システムです。それからソーシャルビジネスがあります。

ソリューション事業の業績

高橋:ソリューション事業全体は、まだ金額としては小さいのですが、昨年は7億1,800万円と順調に伸びてきています。

AIの在り方はエッジAIが主流に

高橋:AIにおいて私どもが行うのは次のようなことです。センサーを使っていろいろなデータを取り、それを通信を介してクラウドに上げて処理すること、こちらは現在の主流になっています。ただ、大量のデータが飛び交うため通信料がばかになりません。また、通信による遅延時間はリアルタイムな処理を行うときに問題となります。

3番目にセキュリティーがあります。通信ということでサイバー的な介在が入ってきます。当然ですがクラウド処理はこれから中心として行っていくのですが、一部ではクラウドに送らずエッジ側(端末)で一連の処理を行うエッジ・コンピューティングに変わってきています。私どもが得意なのは、AIソフトウェアではなく、ソフトウェアをより小さい半導体の中に閉じ込め、エッジで工場やセキュリティー、医療、自動車の現場におくハードウェアです。

農機・建機・搬送装置の自動化ソリューション

高橋:一例をあげると、サイレックステクノロジーやDMPといった、いずれも建機分野、AIで素晴らしい活躍をなさっている会社とコラボしまして、私どもはAIのソフトウェアをよりコンパクトな半導体の中に入れて高速かつ消費電力を少なくするということを行っています。

映像配信システムのビジネス展開

高橋:映像配信システムは、わかりやすく言うと防衛です。昨今もイージス・アショアで問題になっていますが、防衛のときも従来は1つのミサイルが飛んでくるのを処理すれば良かったのですが、現在はいろいろなものがネットワークでつながっていますので、リアルタイムで処理する必要があります。そういった場合に、高度な画像を送りながら瞬時に処理するのは簡単ではなく、そのあたりに高度な画像処理の技術が必要になっています。私どもは従来からそのようなことを行っています。現在は医療機関でも遠隔医療などの手術の現場で同じようなことが起こっていますので、そのようなところに提案する活動を始めています。

従量課金モデル①:脱プラスチック対策(1)

高橋:それから、ソリューションの中で、私どもの中では脈略があるのですが、外からはあまり脈絡がないように見えるのが従量課金モデルです。具体的な内容を説明しますと、まず脱プラスチック対策があります。マイクロプラスチックの問題も、人類にとっては大問題です。その中で私どもが行おうとしているのは、スライドのとおりで、従来のプチプチなどのプラスチック系梱包材を、紙の緩衝材に変更していく製品の提供になります。

主として北米やヨーロッパの間伐材のバージンペーパーを使い、右下の写真のように、必要なものを必要なときだけ吐き出す機械と紙の提供を始めています。おかげさまで国内外で必要性が非常に認められてきています。

従量課金モデル①:脱プラスチック対策(2)

高橋:それではどのようなビジネスになるかと言うと、スライド左上のような機器を安くお客さまにレンタルします。お客さまがそれを導入し、自分のところで必要な紙を必要なだけ使っていただくというかたちです。紙の良い点は、 マイクロプラスチックの問題もさることながら、従来であれば、かさばる梱包資材を大量に置くスペースが必要です。短い時間でそれを適切なかたちにするまでに、非常に手間ひまがかかっているのです。こちらは必要な分を必要なときに手元にはき出せるようにしていますので、お客さまの人件費を含めた経費の観点でもお役に立てています。

坂本:御社の本業とはズレているイメージで興味があったところなのですが、セールスの仕方としては、だいたいお取引先にお声がけするかたちですか?

高橋:社名は言えないのですが、私どもの工業用の機器を作っているお客さまが、作ったものをヨーロッパなどの海外に出荷する際に、プラスチックの梱包材が大量に使われているといろいろな問題があるため、それを変えたいということがスタートのきっかけでした。目の前としては今回も新型コロナウイルスの影響により、Eコマースのお客さまといった、従来私どもの得意ではなかったお客さまへの広がりが出てきつつあります。

坂本:そこからまたビジネスが広がれば面白いですね。

従量課金モデル②:感染症対策(1)

高橋:次に従量課金モデル②と書いていますが、感染症対策です。当社はいろいろなセンサーの技術を持っています。例えば、時々話題になりますが、保育園等での新生児の突然死の問題があります。それを見守るための体動センサーとして、身体の動きから子供の挙動を把握し、子供たちを守ろうという製品を扱っています。保育園ではインフルエンザなどの感染症にも対応する必要があり、ここ1年から2年の間、ずっと課題になっており、ちょうど今年、そちらの対策をしようと準備していました。その矢先に、偶然にも新型コロナウイルスの問題が起こったのです。除菌装置(除菌液)は新型コロナウイルスにも有用であると証明されていますので、今は主として新型コロナウイルスの対策現場に使われているものが多くなってきています。

従量課金モデル②:感染症対策(2)

高橋:空間除菌のための装置を販売するのですが、それ自体が目的ではなく、販売したら除菌液を定期的に補充する必要があります。その補充する除菌液をお客さまにお届けして販売していくのが主なビジネスモデルです。今年は3月にスタートしたのですが、おかげさまで販売台数は右肩上がりに順調に上がってきていますので、台数がもっと増えていけば、確実に除菌液をコンスタントに販売できると考えています。

連結業績結果

高橋:第2四半期の業績結果です。2020年度第2四半期の売上高は158億7,400万円、前年同期比7.3パーセント増です。売上総利益は19億2,500万円で前年同期比13.0パーセント増。販管費は16億9,900万円で前年同期比3.6パーセント増。営業利益は2億2,500万円、前年同期比264.7パーセント増。経常利益は1億5,300万円、前年同期比146.3パーセント増と、おかげさまで第2四半期の売上高は増加してきています。新規事業への投資は引き続き継続しています。

連結業績の四半期推移

高橋:四半期推移はグラフで示しますとこのようなかたちになっています。

2020年12月期 業績予想について

高橋:次に、12月期の業績予想です。ここはちょっと厳し目に考えています。すべての会社がそうだと思いますが、今回の新型コロナウイルスの影響がどこまで出るのか、まだ読みきれない状態です。そのため、6月26日に公表した業績予想は現状では通期予想をそのまま据え置きしています。

通期見通しはのちほどもう少し具体的にお伝えしますが、新型コロナウイルス感染症の影響がどこまであるのかについて非常にざっくりとお伝えすると、お客さまが「ブレーキを踏んだ」状態であることは確かです。踏んだタイミングは別なのですが、お客さまが「ブレーキを踏みっぱなし」ではないのも確かです。どのタイミングでブレーキを戻すかは、いまいち見切れないのが現状となっています。

坂本:工場が止まったということもありましたか?

高橋:工場が止まったということよりも、お客さまが新しいものを開発するためのお手伝いをしている部分で影響を受けています。

坂本:開発部分が在宅になってしまうと、なかなかアクセスができないということですか?

高橋:お客さまは今回のことで、開発費用を1度ペンディングにするというようなことがあります。やめるわけではないのですが「とりあえず経費を抑えておこう」と働いているのは間違いないと思います。それをどのくらいのタイミングで緩めるかは、いまいち見切れないというかたちです。

2020年12月期 業績予想

高橋:それらを踏まえ、売上が295億円、売上総利益が39億5,000万円、販管費が36億5,000万円となっています。先ほどお伝えしたように、新規事業への投資や特に人的投資はこの間も落としていません。営業利益は3億円、経常利益は2億2,000万円、当期純利益が1億5,000万円と、とりあえず据え置いた判断をしています。

業績見通しの推移

高橋:こちらはグラフにしたものです。売上高は半導体で減少しています。総利益率は先ほども言いましたが、私どもの半導体はそもそもあまり利益率が上がるビジネスではなく、半導体を活用したデザインサービス、ODM、それとソリューションの利益率の高いビジネスを少しずつ上げていますので、そこから少しずつ利益を得てきています。営業利益率に関しては、先ほどお伝えしたとおり、現在はとくに人材に対する投資を止める段階ではないものですから、営業利益率は少し落ちています。

新型コロナウイルス感染症により想定される影響

高橋:先ほどご質問がありましたが、新型コロナウイルスに関してどんな影響があるだろうかということで、感覚的なところで言うと、まず半導体事業のファクトリーオートメーション(FA)において、とくに中国では、ご存知のとおりいろいろな抑止が働きましたので、日本のFA機器メーカーが全体的にスローダウンしています。ただずっとそのままだとは思えないのですが、いずれにせよそちらについては慎重になっていると思います。

医療機器も、多くの病院がコロナ対策のために経営が厳しい状況になっていますので、より先進的な新しい医療機器の導入を止めることはないのですが、ブレーキをかけた状態になっていると思います。

通信機器の5Gはおかげさまで順調です。5Gに関しては多分新型コロナウイルスが逆に広い意味で後押しをしてくれたところがあります。それから、米中の争いで HUAWEI等の中国で主導権を握っていた会社が、覇権争いの関係で日本に出てくることがなくなりました。従来であれば相対的に弱くなっていた通信機器メーカーの出番が若干出てきたように感じていますので、プラスになっていると思います。

放送機器は、直近でオリンピックが中止になった影響を一番受けています。 来年には開催はするとのことですが、ブレーキとアクセルがまだ見えていない状況です。計測機器は、私どものお客さまは5G関連ですので、引き続き堅調となっています。

事務機器は新型コロナウイルスの影響を一番受けていて厳しいところであり、ここは若干ネガティブに考えています。以上が半導体事業で想定される影響です。

デザインサービスは先ほどお伝えしたとおり、なくなることはないのですが、お客さまが瞬間的に経費の拡大を抑えようという動きをしましたので、四半期単位であったものが半期くらいのレベルでズレるかもしれないと考えています。ソリューション事業は、先ほどの紙のパッケージや新型コロナウイルスへの対策も積極的に展示会に出て現物を見せるようにしていたのですが、見せられなくなってしまいました。

坂本:結構大変ですね、アクセスの部分が……。

高橋:オンラインでも説明していますし、従来の延長線上で右肩上がりにはなっているのですが、大規模な展示会等ができなくなり、お客さまのところへ持っていって説明することができなくなったことが、部分的にネガティブに働いています。新型コロナウイルスの影響に関しては以上となります。小規模ですが、社内の新規投資はこの間落とさずに続けています。

2020年12月期 剰余金配当の方針

高橋:配当は従来どおり10円と、安定的な配当を予定しています。

株主優待制度

高橋:株主優待制度もクオカードを中心に従来どおり行いたいと思っています。以上です。

質疑応答:中計およびデザインサービス事業について

坂本:それではご質問に移りたいと思います。私どもからの質問と、あとはTwitterで事前にいただいたものです。まず中計についてです。デザインサービス事業とソリューション事業を伸ばしていこうということで、こちらは利益率が高いのも当然あると思うのですが、15パーセントほどで60億円の予想になっています。営業利益は60パーセントくらいで、営業利益ベースは5パーセント以上の20億円でしたが、60パーセントであれば12億円ほどになる計算だと思います。ある程度はここから伸ばさないといけないと思いますが、今の取り組みを含めて教えていただけたらと思います。

高橋:おっしゃるとおり、半導体そのものでは利益率は出ないと思っています。ただ、半導体もより高度に進化していますので、お客さまもそう簡単にご自身で使いこなすことは不可能です。半導体を用いてお客さまと一緒に彼らの製品により付加価値を付けることが、私どもの使命だと思っており、それがデザインサービス事業になっています。作ったものを提供するODMビジネスということで、そちらについては右肩上がりで順調に伸びてきています。

私どもの使命感なのですが「この国の在り方はどうあるべきか」と考えると、現在は安くて良いものをたくさん作れば勝てるという時代ではありません。日本の強みは産業用の少量多品種の、より付加価値のある電子機器を世界にタイムリーに発信することだと思っているので、その強みをお手伝いすることが仕事だと思っています。

坂本:ちょうど同じような質問が来ています。デザインサービス事業については、海外リソースは安く優秀なものもありますが、アジアの会社はコストで、北米・欧州の会社は技術力が強みだとすると、御社としては「日本固有のきめ細かいサービスと技術力で闘っていく」ということでよろしいでしょうか?

高橋:私どものまったく勝手なイメージですが、電子部品の世界は別にして、完成品で数兆円や数千億円という巨大な市場に、あまり日本のお客さまのハードウェアの出番はないだろうと思っています。数百億円あるいは数千億円の下でニッチであっても世界中でどうしても必要な機器を作ることが、相対的に最終的な機器を作る日本のお客さまの強みではないかと思っています。

坂本:少数でも不可欠なものですね。

高橋:はい、不可欠なものです。

質疑応答:株主還元について

坂本:次は株主還元についてです。「安定的な配当を維持しながら、業績に対する配当性向を勘案」とありますが、足元の業績も絡んで配当性向が高くなっていると思います。

高橋:はい、申し訳ありません。しかし、安定的な配当はしっかりとキープしたいと思っています。

坂本:現在の10円をベースにだいたい維持されるということですね。

高橋:そう考えています。上乗せできるような業績に早く持っていけるようにがんばります。

質疑応答:業界再編について

坂本:あとは業界再編についてです。私は御社を半導体商社と一括りにするのはちょっと違っていると思っており、技術的なものと付加価値の高いものを入れる会社ということで、なかなか一括りにできないところはあるのですが、やはり日本の半導体商社は多すぎるのではないかという話があると思います。そこで合併再編もなくはないのですが、もう少しあっても良いのではないかということと、どこか良い企業と協業することで、よりお取引先とのビジネスが広がると思っているのですが、そのあたりをお伺いできればと思います。

高橋:従来より同業他社等のいろいろな方々と、トータルであれパーシャルであれ、資本提携などをするという話はずっと行ってきていまして、窓を閉じたことは一度もありません。ただ、私どものこだわりとして「この国のお客さまを強くするにはどうしたらいいか」をいつも考えています。安くて良い半導体をタイムリーに提供するビジネスモデルだと日本のお客さまがSAMSUNGに勝てない、HUAWEIに勝てない、ZTEに勝てないのははっきりしています。単に商流だけの部分はスケールメリットを目指すべきなのですが、「それで本当にいいのですか」というのが深い疑問なのです。

当社はたまたま株式市場で半導体商社という分類なのですが、日本のお客さまが強くならないことには、この国の将来はありません。お客さまを強くすることで結果的に当社も助けられますので、そのための合従連衡はいつでも行いたいと思っています。従来からいろいろな方々と話しているのですが、なかなか自分で腑に落ちないのです。例えば「売上少ないよね、もっと多いところでやったらいいよ」「海外に拠点のあるところとやったらいいよね」など、単純に製品のロジスティクス機能だけであればそれでいいのですが、そのときに日本国内でモノを作っているお客さまが、SAMSUNGやLG、HUAWEI、ZTEに勝てるかというと、もちろんその機能が不可欠であったとしても、私はちょっと違うのではないかと思います。「絶対不可欠な機能なのですか」と思っているものですので、ちょっと歯切れの悪い答えになってしまい申し訳ないのですが……。

坂本:非常によくわかります。投資家も同じことを思っていると思うのですが、本当に日本のことを考えてビジネスをされているとのご回答は、私も初めて受けたので「ああ、そうなんだ」と考え深いものがあります。

高橋:この国の製造業はより強くなって、海外で強くなるのももちろんいいのですが、やはりこの国で雇用を増やしてくれないと困ると思っています。

坂本:同業他社の方といろいろなお話をされると思うのですが、それでも「そうだね」と思われている会社は実際にありますか。

高橋:我々の業界で世界を見るとアヴネットやアローといった数兆円の会社があり、それらの会社がロジスティクスでははるかに優れていることは事実です。極端に言うと、私どもはそこの一部になってしまったというか、「日本のお客さまは本当にエンジニアの方がハッピーなのか? どうもそうではないのではないか?」という気がしています。過去にもそのような話はよくしていたのです。

坂本:すごく勉強になりました。日本もだいぶ変わってきましたよね。日本の企業は「どういうかたちでメーカーにいこうかな」と考えており、御社のような企業があることは、すごく意味があると思います。すべてがグローバルではないのは、「アリ」だと思います。

高橋:悪あがきなのかもしれませんが、その差別化を図るためのお手伝いが何かできないかと考えています。

坂本:お話しをお聴きしながら、日本の産業機械は当然強いですし、医療機器は特徴がありますし、そういうところがよいのではないかと思いました。

質疑応答:米中貿易摩擦の影響について

坂本:次はTwitterから「米中貿易摩擦の影響はありましたか? 教えてください」というご質問です。

高橋:はい、確実にあると思います。私どもが単独で中国において大きなビジネスをしているわけではないため、直接的な影響はないのですが、当社の最先端の半導体というのは、長い時間でアメリカ発の技術に基づいているのは事実であり、それを日本のお客さまが活用して、中国にいろいろなものをお納めしているというかたちになっています。

そのあたりにはっきりは見えませんが「脅しをかけられている」ような状況ですので、お客さまが躊躇しているのは事実だと思います。先ほどもお伝えしましたが「ブレーキのかけ方」「足の離し方」については、お客さまも躊躇しているところですので、影響は出ていると思います。ただ、一方で小さなプラスとして、通信の世界で日本の通信機器メーカーが、国内市場だけでなく世界的に非常に強く、勝っていた時がありました。しかし、いろいろな理由でNokiaに負け、Ericssonに負け、HUAWEIに負け、ZTEに負け、目の前では、HUAWEIが圧倒的だったところにストップがかかりましたので、少なくとも、国内の需要に関しては、HUAWEIなしで作る必要があるため、日本の大手通信機器メーカーには、局所的に良い風が吹いているのではないかなと思います。それを将来の大きな価値にどうやってつなげていけるかは別にして、米中の覇権争いは局所的にはプラスに効いているのではないかと考えています。

坂本:確かに、そこは普段であればHUAWEIがかなりのシェアを得ていたこともあったのかと思いますので、そこは日本のチャンスを生かしてほしいなと思います。

高橋:情けないチャンスなのですが(笑)。

坂本:いいえ、大事だと思います。御社のビジネスチャンスがそこにもあると思います。ところで、御社のお取引先は、先ほどのものも含めて、どちらかというと日系企業が多いのでしょうか?

高橋:そうです。

坂本:御社の株も、貿易摩擦の追い風を受けるかもしれませんね。

質疑応答:5Gについて

坂本:次に「去年から5Gが足元で徐々に加速してきているという話もありましたが、今年は新型コロナウイルスもあったため、現在はどのような状況でしょうか? メインペースでいうと、去年よりはかなりアクセルが踏まれていると思うのですが、5Gへの御社の落としどころについて、環境も含めて教えていただきたいと思います」という質問が来ています。

高橋:計測関係のところは、5Gが順調に伸びているように感じています。ただ、通信機器メーカーの一部基地局やWDM関係は伸びているのですが、大きく伸びているという印象はまだありません。それから、5Gに関しては手探りの状態で、先程もお伝えしたように、残念ながらHUAWEI、Nokia、Ericssonに負けてしまいましたので、5Gに派生するローカル5Gに、日本のお客様が次のチャンスを見出そうとしているのではないかなという気がします。

坂本:じわじわ来ているなという感じですね。

高橋:はい。広い意味では、私どもがどこまで恩恵にあずかれるかはわからないのですが、5Gに代表されるよりよい高速の通信技術の普及が、今回の新型コロナウイルスの影響もあり、リアルから今回のようなかたちに切り替わりますので、今後5Gが伸びるのは間違いないと思います。

坂本:確かに、そのような前提のサービスが用意されていますので、そこが用意されていないとなかなか…というところですね。

質疑応答:新規ビジネスについて

坂本:次に、成長市場よりも新規案件獲得継続ということで、新規ビジネスについての質問が来ています。この新規ビジネスには、どういった領域での投資をお考えなのか、教えていただきたいと思います。

高橋:私どものビジネス分野は先ほどお伝えしたとおり、大きく分けて、半導体そのものの事業、半導体を高度に使うためのデザインサービス事業、それからソリューション事業というところで3つあります。

高橋;当社は、当然ながら半導体を深く理解し続けるのがベースで、これがなくなったら成り立ちません。そして、利益に貢献するもの、利益を加速しようとする事業が、デザインサービス事業とソリューション事業です。ソリューションの中でもAIやIoT、マイクロプラスティックの問題などに関する事業です。

高橋:先ほど、この間も投資は止めていませんと言ったのは、AIや車の自動運転に関するADASやEV化に関してです。まだ結果は出ていないのですが投資は継続し、より大きな花が開くよう努力しています。5G・AI、それからIoTもADASに含まれます。

高橋:AIはこちらのソリューションのところに「AIソリューション」ということで入っています。それから、それを見守るための通信技術で「機器監視システム」があります。「フリートマネジメントシステム」は、運送を「無線でいろいろ見よう」というシステムで、基本的には通信の技術になるのですが、このあたりにも投資しています。

それから、ソーシャルビジネスのところで先ほど具体的にお話しした、紙を用いたマイクロプラスティック対策、それと今回の新型コロナウイルスや季節性のインフルエンザ等を除菌するシステムは比較的堅調ですので、継続的に投資を続けています。

坂本:新規事業を活かしつつ、今までの事業にも注力していくということですね。

高橋:新規事業のところは、本当に世の中の変化が激しくなっていますので、自分たちの延長線上だけで考えても、多分置いてきぼりを食うだろうなと考えています。