Day1 機関投資家は決算説明会のオンライン化を求めているのか?

秋元洋平(以下、秋元):みなさま、こんにちは。時間になりましたので、ただいまより、「みんなの説明会×ログミーFinance」共催ウェビナー「Day1 機関投資家は決算説明会のオンライン化を求めているのか?」を始めます。本日の司会を務めます、ログミー株式会社の秋元と申します。よろしくお願いいたします。

今年の3月頃から新型コロナウイルスの影響を受け、多くの決算説明会が中止になりました。そのような中、一部の企業はオンラインに切り替え、多くの投資家にリーチできたことによりピンチをチャンスに変えました。ただ、多くの企業さまは、「投資家がオンライン化を受け入れてくれるのか?」という不安や、開催のノウハウがないことなどにより、実施が進まなかったと思われます。

そこで、本日の「Day1 機関投資家は決算説明会のオンライン化を求めているのか?」では、AXA Investment Managersの齋藤さまにご登壇いただき、機関投資家目線で決算説明会の各種開催方法や、今年5月の決算説明会集中期間にどのような対応を行なっていたかなどをお伺いしたいと思います。

そして1週間後の来週6月17日水曜日には、本日の続編として実際に決算説明会でオンラインツールを使用した企業のご担当の方にご登壇いただき、オンライン化に際してより具体的なお話をお伺いできればと思っています。本日の内容と併せてご視聴いただくことで、オンライン化がみなさまにとってより現実的なものとなればと思っています。

このあとは、前半の30分から40分ぐらいで「みんせつ」の中安さまと齋藤さまにお話をお伺いして、残りの時間で「Zoomウェビナー」の挙手機能を利用し、みなさまからご質問をお受けできればと思います。

不慣れなため至らない点があるかと思いますが、みなさまがオンライン化した際の反面教師にしていただければと思っています。それでは、齋藤さま、中安さま、よろしくお願いいたします。

中安祐貴氏(以下、中安):よろしくお願いします。

齋藤剛氏(以下、齋藤):よろしくお願いします。

中安:代わりまして、私が進行をさせていただきます。今、視聴者の方は300人ほどいらっしゃいます。事前登録では500人ぐらいですが、セミナーを500名規模で開催するとなると、200万円ぐらいはかかると思います。今回は「Zoom」での開催ですが、いくらで開催できるのですか?

秋元:500人までの視聴者枠で、月に何回開催しても2万円です。

中安:四半期ごとに決算説明会を開催するとなると、会場を確保するのもすごい大変ですし、運営スタッフの人を抱えたり、資料を用意したりなど、けっこうコストがかかる中でかなり手軽に開催できます。

アジェンダ

中安:あらためまして齋藤さん、よろしくお願いします。

齋藤:よろしくお願いします。

中安:先ほどご説明があったように、私から30分間質問させていただき、そのあとみなさまから質問をお受けしたいと考えています。

本日の登壇者のご紹介

中安:齋藤さんは、もともと大和証券に入社されて、JPモルガン証券、SMBC日興証券にもご在籍され、途中にスタートトゥデイ(現ZOZO)にいらっしゃいました。また、事業会社とセルサイドを経験されたあと、去年AXA Investment Managersにいらっしゃったということで、セル、バイ、IRの3つの視点でいろいろなお話をお伺いできればと思っています。

Q1.本決算シーズンの働き方

まず、3月、4月、5月と、新型コロナウイルスの影響でかなり働き方が制限されたと思うのですが、齋藤さんはこの3月から5月の間、どういう働き方をされていましたか?

齋藤:会社としては、今もそうなのですが、4月の中旬ぐらいから「Work from Home」に完全移行しました。4月中旬ぐらいまでは、説明会に行ったり取材に行ったりができたのですが、その後はビデオや電話などすべてオンラインで動いて、今は説明会などはありませんが、基本的に取材はすべて「Zoom」を使っています。

セルサイドなども、説明会シーズンに入った時はセキュリティが一番厳しいため、「ZoomとYouTubeは使えません。電話もしくはSkypeだけです」ということがとても多かったのですが、今は徐々にグローバルで承認がおりて、「Zoom」は使えるところが増えているようです。

とくに、外出自粛規制が緩和されたあとは、基本的にはご相談しながら、「来てくださいということなら行きますよ」というかたちにはしているのですが、IRの方々も完全に会社に戻っているというのは全体としてはまだ少なく、みなさま在宅で仕事をして、家と家でつなぐかたちでミーティングすることが多いですね。

中安:セルサイドも今は自宅が多いのですか?

齋藤:おそらくみなさまもご存知かと思うのですが、セルサイドは基本的にワーカホリックですので、「来るな」と言われても「家にいても暇だから会社行きます」というような人たちが多いのではないですか? 各社の営業の方と話していても、以前は「会社は来なくていいって言っていても、来ているシニアアナリストが多い」という話が多かったのですが、今はとくに国内系で、トップダウンでオフィスに何割以上いてはいけないという司令がおりているようで、「強制的にオフィスに行けなくなって、家で仕事をしている人が多い」と聞いています。

中安:セルサイドが比較的オフィスにいて、バイサイドとIRの人たちが自宅にいるのが基本でしたが、最近はセルサイドも自宅にいるようになりはじめたかたちなのですか?

齋藤:そうですね。

Q1.本決算シーズンの働き方 ~決算説明会の開催形式~

中安:我々はいろいろなところで決算説明会の情報を掲載しています。スライドの左側が去年の開催形式で、右側が今年の開催形式なのですが、去年までは、本決算といえばやはり会場開催が96パーセントを占めています。今年の会場開催は26パーセントと書いているのですが、まだ未定のものもあり、おそらくこれからかなり減ると思います。テレカンは50パーセント、ライブ配信は24パーセントで、今年の本決算はかなりテレカン、LIVE配信が多かったと思うのですが、齋藤さんはすべて参加されましたか?

齋藤:会場は行っておりませんが、LIVEとテレカンは参加しました。

Q2.決算説明会で良かった形式

中安:次の質問に移ります。今回、いろいろな決算説明会に参加されて、どの形式がよかったですか?

齋藤:僕は外に出られませんので、LIVEが一番よかったと思います。ただ難しいのが、今回は基本的に本決算のシーズンですので、LIVEでマネジメントの顔を見られたほうがよかったというのがあると思います。決算期によっても違うと思うのですが、12月決算では今回は第1四半期となりますので、慣れていなければLIVEではなく電話でもよいかな思います。ですが、基本はやはりLIVEが一番よかったですね。

中安:テレカンはどうですか?

齋藤:セルサイドがまだビデオで入れないという会社が多かったため、僕が聞いていた会社は、動画と電話の両方をセットで行なっているところが多かったと思います。そうすると、僕はLIVEの方を選びます。

電話の場合、決算発表した日の夜にテレカンをして、リアルの会場で開催していた様子がビデオに映るようにと、2段階で行なっているところが多かったと思います。いつもどおりですよね。

中安:当日、決算発表を3時くらいに行ない、その日の17時から18時ぐらいにテレカンがあり、その次の日のお昼や午前中に決算説明会を開催するというかたちでしょうか?

齋藤:そうですね。

Q2.決算説明会で良かった形式 ~アンケート結果~

中安:我々で事前に「みんせつ」の会員向けにアンケートをとったのですが、LIVE配信が半分ぐらい占めています。LIVE・テレカンのどちらでもよいというのが24パーセントで、会場開催もすべて切り替わると思いきや、今の齋藤さんのお話のとおり、生で見たいという声もあり、9パーセントになりました。

Q3.オンライン決算説明会の良かった点・悪かった点

中安:それぞれの良かった点と悪かった点を教えていただけますか?

齋藤:やはりLIVEで一番よいのは、たくさん聞けるところですね。本来であれば、丸の内から八重洲に移り、八重洲からまた丸の内に戻る、というように小走りで5分、10分で移動しなければいけないようなことがなく、回線を切り替えればすぐ次の会場に行けることが一番大きいと思います。

僕は一番繁忙なとき、おそらく3回線くらい同時に開いていました。オープニングの社長の話だけ聞くことや、音はいらないから社長の顔色だけ見ることもできてしまいます。また、とくにバイサイドだと特定のセクターがなく、繁忙期だと何十社と重なるため、どこに行くか普段でもとても悩みますが、直接決算の数字を見てどこに行くか決めます。事業会社の人にとっては迷惑な話なのかもしれませんが、時間内であっちに行ったりこっちに行ったりできることがLIVEなどのよい点ですね。

中安:悪い点はありますか?

齋藤:回線によっては少し不安定になるケースや、質疑応答をテキストで受けて間延びするケースがありました。例えば、「今話している間に質問を送ってください」としているところはよいのですが、何社かはLIVEで社長が30分ぐらいプレゼンをした後に、「質疑応答の時間に入りますので、みなさま質問を打ち込んでください」と言って、5分のイントロを置くこともあります。今回ほとんどの会社が初めてだと思いますので、慣れの問題だと思うのですが、あえて言えば悪かったところです。

中安:やはりテキストで起こすかたちのQ&Aがメインですか?

齋藤:基本的にはテキストで送るか、質問したい人は電話で入るという2パターンがありました。個人的には、テキストのほうが実務的にとてもやりやすいのではないかなと思って見ていました。

中安:それはなぜですか?

齋藤:視聴者が質問を見られないようにしていると忖度ができます。また、普段のQ&Aは、例えば同じ流れで同じ質問をするのではなく、アナリストが聞きたいことをそれぞれ聞きますので、同じようなことを何度も聞いてくることもありますが、それをまとめることができます。

どのセクターでもあると思うのですが、質問ではなくてセルサイドアナリストが話したいだけでは? というものがすべて排除されますので、ピュアな質問が出てきます。

また、質問が出やすくなる部分もあると思います。例えば、普段だと基本的にバイサイドは質問しないのですが、テキストだと質問が出やすくなると感じます。

中安:その場合、名前は出るのですか?

齋藤:出しているところと出していないところがあります。会社のスタンスで分けてよいと思うのですが、僕は基本的にどこの誰かというのは気にしません。また、質問したのに答えてくれなかったという問題点については、一番最初に「時間の都合で答えられなかったご質問は後で個別に答えます」と言っておけば済む話だと思います。

また、いつも2問で終わるような、なかなか質問が出ない会社もあると思います。これは少し「技」になるかもしれませんが、質問を誰でも見えるようにしていなければ、FAQを質問のように言うこともできます。質問があったことにして、会社が話したいことを話すなど、いろいろコントローラブルになると思います。事業会社にいた経験上というところでお話をすると、そのようなことができるという意味で、テキストはやりやすいのかなと思います。

中安:事前に他の人の聞きたいことがわかると、被って同じような質問をする必要がありませんよね。

齋藤:そうですね。

Q3.オンライン決算説明会の良かった点・悪かった点 ~アンケート結果~

中安:これも我々でいろいろアンケートをとってみたのですが、齋藤さんがおっしゃったように、リアルな会場では3つ掛け持つことは絶対無理ですから、移動時間が不要というのは大きいですね。また、LIVE配信でも意外と近くて経営者の顔がよく見えるため、比較的よかったということですね。

悪かった点は回線が不安定であるということで、自宅のWi–Fiの環境が整っていない方が意外といらっしゃると感じます。また、先ほどのお話ですとやはりセキュリティですね。

齋藤:セキュリティについては、こうやって「Zoom」で開催するところが増えてきた結果、「Zoom」を許可しないと仕事にならないということで、各社OKにしています。そのような意味では、みんなが許可すればこの点は問題なくなっていきますよね。

中安:セルとバイ、内資と外資という4つの軸で言うと、どこが一番セキュリティが厳しいですか?

齋藤:国内セルが一番厳しいですね。 

中安:一番緩いのはどこですか?

齋藤:ヘッジファンドですかね。

中安:たしかに、どんな形式でも対応できますよね。

齋藤:そうですね。

中安:AXA Investment Managersはどうですか?

齋藤:当社はけっこう早い段階からインターナルでもグローバルの会議はすべて「Zoom」で行なっていましたので「Zoom」は問題ありませんが、「Google Meet」と「YouTube」は今でもできません。

中安:Microsoftの「Teams」はどうですか?

齋藤:「Teams」も会社からではできませんね。

中安:意外ですね。

齋藤:今は家からですので会社の回線は使わなくていいのですが、今後、例えばアフターコロナでみんなオフィスに戻ったときに、「オフィスからつなぎなさい」となると、どこまでできるかというのが難しいと思います。

おそらくバイサイドは自分のデバイスの持ち込みには厳しくないと思うのですが、セルサイドになると、マイラップトップ、タブレット禁止というようなことがありますので、そこがやはり引っかかってくる可能性はあるかなと思います。

中安:たしかにそうですね。また、テレカンでは電話代がかかるというのもけっこう生々しい声ですよね。とてもよくわかります。

齋藤:これぐらい会社が払ってほしいですよね。

中安:1時間ですし、しかもカバレッジが50社、100社などになってくると大変です。BlackBerryなど、携帯を支給してくれる会社とそうではない会社がありますし、家の固定電話からかけられる場合もあれば、固定電話をひいていない家もいまどきはあります。

齋藤:若い方などですよね。

中安:そうですね。携帯でかけなければならないことも出てきているようです。やはり昔からなのですが、テレカンは一般的ですし、第1四半期、第3四半期はテレカンという会社もありますよね。

齋藤:多いですね。

中安:昔からけっこう多いですよね。テレカンの方が接続も安定しますし、入り方も慣れてる投資家さまは多いのかなと思います。

Q4.オンライン決算説明会で良かった・印象に残った企業

中安:開催しているライブやテレカンで良かった会社はありますか?

齋藤:僕を含めてけっこう周りからも「あそこよかったよね」と一番名前が出るのはエムスリーです。エムスリーの谷村社長にお願いして、ホームページに載せていない動画を今回いただいたのですが、もともとエムスリーは医療事業者向けにWebセミナーを開催しており、スタジオを持っていますので、まず画像が非常にきれいです。谷村さまの表情がよくわかるということと、資料と谷村さまとの組み合わせなどがきちんとできています。

(動画が流れる)

Q&Aは電話回線で入ってもらって、いわゆる普通の説明会と同じように音声でやり取りしていたのですが、エムスリーはやはり画像がきれいでした。

中安:(動画を見ながら)これが質疑応答ですか?

齋藤:そうですね。質問に対してそれに当てはまるページを表示しています。

中安:これが電話で入ってるのですか?

齋藤:Q&Aに関しては、電話で入るのが中心です。

中安:会場はどこですか?

齋藤:小伝馬町にあるエムスリーのスタジオです。ちなみに、エムスリーは投資家からの評判やフィードバックがとてもよかったそうです。130名から140名くらい入っており、アンケートで90パーセントぐらいの方が、今回の方式の方がよいと回答したようです。「他社でも使いたい人がいたら全然出します」「スタジオまで来てもらうのでもよいし、そうではなくても大丈夫です」と谷村さまがおっしゃっていましたので、もしご興味がある方はエムスリーに問い合わせしてみてください。

他には、ユーザベースがけっこうよかったと思います。「Zoom」を使って開催していたのですが、「sli.do」というサービスを使って質問をとり、オーディエンスインタラクションのものを使って完全に「見える化」していてとてもよかったですね。インタラクティブに動けるようなかたちになっていておもしろかったです。

中安:しかも「いいね」「僕もそれを聞きたい」という人が投票できますよね。

齋藤:誰かが質問をして、それに「いいね」を押すと、その「いいね」が多いものが上に来ますので、例えば100人参加していても質問する人が1人でも、「それ聞きたい」を押すだけで、参加者の熱量がわかります。集中している質問をいかに優先して答えていくか、というやり方をしていておもしろかったなと思います。会社側も、どういうところに興味を持たれているかがその場ですぐわかりますので、よいと思いました。

中安:「Zoom」で開催しながら「Sli.do」を使うのですか?

齋藤:「Sli.do」自体が「Zoom」でも「YouTube」でも組み合わせて使えるようになっています。実際に実務で触ったことはないのですが、これはおもしろかったと思います。

逆に、証券会社のIR会社が「今回は動画の方がいいです」と言って切り替えたケースは、混乱した方が多かったと思います。

中安:そうなのですか?

齋藤:どことは言いませんが、某小売りが主催したものは、オーディエンスが入れなかったのではなく、主催者側が40分ぐらい繋がらなかったというものがありました。

中安:それは悲惨ですね。

齋藤:初回ですので仕方がないと思いたいのですが、「Zoom」で開催した方が早かったとは思いました。そのような意味で、この会社は印象に残りました。

中安:今回の「Zoom」は「Zoomウェビナー」ですので、基本的に視聴者の人たちは運営側でミュートに設定できますが、視聴者も話せる形式では、セミナーの間にずっと話し声が聞こえており、運営側が「すいません、どなたかわかりませんが声をオフにしてください」と言っても、その人が自分だとわかっておらず、そのまま音が漏れていて最悪の決算説明会だったというのは聞いたことがあります。

齋藤:業者が入れば業者の方で、どの回線で誰が入っているかをすべて把握して、その人個人に対応できるというものもありました。ただ、それは「Zoomウェビナー」で強制ミュートすればよいわけです。冒頭で「開催するのにいくらかかりますか?」という話があったと思うのですが、コストですよね。感覚的には「Zoom」でも「Teams」でも「Google Meet」でも大きい差はなく、必要十分だと思います。

中安:回線も、最初は「Zoom」がとても安定していて他はあまり安定しておらず、とくに「Google Meet」はハングアウト時代はあまりよくなかったのですが、最近は「Google Meet」も画質や音質はよくなっているみたいです。

Q5.オンライン説明会について、IR担当者へのご要望

説明会に関して、IRの担当者さま向けになにかご要望などはありますか? 

齋藤:今回、急遽会場開催からオンライン開催に変えたという中では、例えば、「みんせつ」上で「会場開催が中止になりました」「会場開催からオンラインに変わりました」という連絡は見られたとしても、どの方式で開催するかは基本的にはすべて「IR担当者にお問い合わせください」というものが多く、こちらが臨機応変に対応できなかったというところはあります。

名刺をいただいてるところであればすぐに問い合わせができるのですが、そうではないと「どこに問い合わせすればいいの?」となります。自社の「みんせつ」ページ内に「IR担当の◯◯にご連絡ください」と連絡先があればそこに連絡すればよいのですが、そうではないと、失礼な話なのですが、我々は直前に参加するかどうか決めますので、「もう時間がないから無理だ」となってしまうケースもあります。「『みんせつ』を使ってください」と中安さんは言ってほしいのかもしれませんが、導線を明確にしてほしいというところはあります。

中安:今回はたくさん苦情がきました。おっしゃるとおりで、みなさま「IRの連絡先を教えてください」「電話会議なら電話会議の電話番号を教えてください」と、前日や当日におっしゃるのです。IR担当の方に、できるだけ「みんせつ」上に書いていただくと投資家の方もわざわざ電話したりメールしたりすることがありませんので、IR担当者にとってもだいぶ負担がなくなると思います。

齋藤:みなさま、IR会社を使っており、そこが事前に何回か説明会の案内を送っていると思うのですが、我々は基本的にほとんど見ていません。フォルダ分けして、そこのフォルダに自動的に入るようにしていると目につかず、「連絡はしているけど見られない」というケースが非常に多いと思います。直前に検索して「案内が来ていたんだ」であればよいのですが、そうでないと少しつらいなと思います。

中安:その会社がどのIR会社と契約しているかということはわかりませんので、結局それぞれのサイトを見にいったりしないといけなかったりする必要があります。メールが届いていたらよいのですが、今のお話でメールがごみ箱に自動的に入っていたりということがあるのですよね。

齋藤:フォルダ分けしているだけで、ごみ箱には送っていませんが、今見たらIR関係のフォルダは3,700が未読ですから、溜まってくると見なくなり、削除して終わりですよね。

中安:ごみ箱ですね。

齋藤:そうですね。事業会社に取材に行ったときも言っているのですが、いろいろなサイトを見なくて済むため、「みんせつ」しか見ていません。それぞれのIR会社を見なくて済みますが、「みんせつ」のカレンダーを見て、そこに載っていないとミスするケースもあります。

「事前に連絡したときに、すぐに参加すると送ってよ」と思われると思いますが、とくにバイサイドはクロスセクターで見ており、人数が少なければ少ないほどカバーする銘柄が増える分、同じときに重なるものが多いため、そこはつらいなというところはあります。

中安:なぜ、前々から「この会社に行こう」と決めないのですか? なぜ当日なのでしょう。

齋藤:僕のやり方では、「みんせつ」を見て、そのスケジュールをとりあえず自分のスケジュールには入れているのですが、同じ時間帯に5社重なっていたり、また会場で開催しているときは、「この会社に行ったら、こっちの会社に行けなくなるからどうしよう」「何分で抜けよう」ということをすべて毎日決めるわけです。

だいたいみなさん3時に発表して、説明会が4時、5時となると、とりあえず3時の時点で見て、「ここはノーサプライズだから行かなくていいな」など、数字を見てからでないと判断できないのですよね。

中安:そうですね。そのような意味では、できるだけ我々も導線をわかりやすいようにしていきたいと思っています。

Q5.オンライン説明会について、IR担当者へのご要望 ~アンケート結果(LIVE配信)~

中安:アンケートで投資家さまからいただいたお話になります。「出席登録をもっと簡単にしてほしい」「開催方法を幅広く告知してほしい」などですね。

齋藤:ライブに限らず、今までのように普通にリアルで説明会を開催しているときも同じで、申込先が違うとそれぞれIDを作らなければいけない部分ですので、それは永遠の課題ですよね。

Q5.オンライン説明会について、IR担当者へのご要望 ~アンケート結果(テレカン)~

中安:テレカンも結局一緒ですね。もう少し開催方法が簡単になればいいというご意見もありますし、メールで案内が来たあとにメールで番号を送られても、同じフォルダに入ると大変ですね。やはりWebでまとめた方がよいと思います。

齋藤:あとでメールで来るのは仕方ないと思います。我々の意見をすべて聞いていると埒が明かないため、申し込んだものはご自身で見てください、というかたちでよいのではないかと思います。

IR担当者からのご質問(事前アンケート)①

中安:事前にIRの担当者の方々からもいくつかご質問をいただいています。「新型コロナウイルスのあとは、どの形式での説明会がよいですか?」ということです。

齋藤:通期か、第1四半期か、第3四半期かによっても異なると思うのですが、僕は「リアル+バーチャル」の掛け算かなと思います。会場をおさえるコストを考えて各会社の会議室などでの開催にして、行きたい人は行って、「そっちまで行くのは嫌だ」という人はWebや電話で入る形式でよいのかなとは思います。

中安:「合わせ技」がよいということですかね。

齋藤:そうですね。もともとZホールディングス、楽天やDeNAはそのような形式で行なっていますので、「合わせ技」でよいと思います。第1四半期、第3四半期はリアルの説明会なしのオンラインで、ビデオでも電話でもどっちでもよいと思います。

中安:上期と通期が「合わせ技」のようなかたちですかね。

齋藤:そうですね。

中安:「リアル会場での開催の場合、会社方針で参加自粛などはありますか?」というご質問ですが、あるようですね。

齋藤:会社のスタンスで、とくに当社のようなグローバル企業はたぶん規制が入ると思います。当社はとりあえず6月中は不要不急の面談をしてはならないということになっています。ただ、まだ7月以降は決まっていないため、そこはおそらく各社によって異なると思います。

今、少しお話ししましたが、Zoomがどんどん広がってきているため、Zoomに入れない人はエスケープとして電話回線を用意しておけばいいのではないかと思います。

中安:先ほどの、質疑応答にテキストで対応する場合ですね。

齋藤:そうです、それがいいのではないかと思います。

中安:決算まわりからせっかくの機会なのでいろいろお聞きしたいのですが、取材や決算説明会をやむなく開くことができず、中止にした場合はどういう代替手段がいいのでしょうか? やはり1on1などがあった方がいいのでしょうか?

齋藤:たぶん、動画を録画してホームページに載せておくのが一番いいのではないかと思います。その際、不特定多数に見られるのが嫌な会社は、URLを今までにお会いしたことのある投資家や証券会社の人に送るというかたちの対応にしてしまえば、オープンにはならないと思います。

基本的に説明会資料はホームページに開示されているところがほとんどだと思いますので、それに加えて社長の説明動画を置いておくのでいいのではないかと思います。あえて時間をとったスモールでの1on1などは今までも対応されている部分であり、オフラインで行なうのかオンラインで行なうのかというだけの違いだと思いますので、基本的に中止という建付けで考えた場合に、僕はいわゆる動画のアーカイブをどこかに残しておくのがよいと思っています。

中安:投資家にきちんと見ていただけるものですか?

齋藤:僕は見ています。とくに、さきほどのように説明会が重なっていた時にあとで見ることができるというのが大きいですね。ただ、今、家でずっとリモートワークを行なっているため、ある程度使える時間が多く、ゆっくり見ることができますが、それが、例えばオフィスに行って仕事を始めると、ずっと机に座ってずっと聞いている場合もあるかというのが懸念としてありますよね。

中安:たまに、1.5倍速や2倍速で見られるものがありませんか?

齋藤:ありますね。ただ僕は、あまり倍速にして聞くのは嫌ですね。

IR担当者からのご質問(事前アンケート)②

中安:ちなみに、次の質問も1on1ミーティングについてで、オンライン面談を行なっているかと思いますが、今後、アフターコロナになった時はいかがですか?

齋藤:すでにお会いしたことのある人であれば、「今回はオンラインでいいですね」でまったく構わないと思いますが、例えば、我々は常に投資先のアップデートだけではなく、新しい投資先を探すわけですので、最初はオンラインよりも、やはり「Face to Face」の方がいいと感じています。けっこう他のファンドマネージャーや他社のセルサイドと話していても、そのような印象があります。

次の質問で「海外IR」とあるのですが、今回、もともと知っている海外在住のファンドマネージャーに「海外IRは、これから先、必要なの?」と聞きました。基本的に、やはり全四半期などは来なくてもいいが、年1回くらいは来てほしいという人が意外に多いのです。要は、業績のアップデートのようなものはWebの活用で、とくに海外の人たちだと時差もあるため、アーカイブで見られるようにしてくれれば動画で構わないという人たちが多いです。

逆に、中長期の話をする時には、やはり「Face to Face」で話したいという回答が多かったです。とくにニューアイデアを探すという意味で、「Non-deal」でしてほしいという声はけっこう多かったです。

中安:ヨーロッパやイギリスの本社からですか?

齋藤:両方です。UKもニューヨークもそのような感じでした。

中安:どちらもなのですね。

齋藤:海外IRで最も問題になりそうなこととして、投資家がオフィスにいるかわからないことがあります。海外投資家はこのまま「Work from Home」に移行する可能性があり、その場合、訪問の効率性が問題になってくるかもしれないので、ブローカーのカンファレンスなどを有効活用していく必要性が出てくるかもしれませんね。

また、次のカンファレンスの質問にも絡むと思うのですが、先週、クレディ・スイスがカンファレンスをオンラインで開催していて、9月はみずほ証券とメリルリンチの大きなカンファレンスがありますが、みずほ証券はだいぶ早い段階からどちらでも参加できるように準備していると聞いています。

バーチャルのカンファレンスが増える分、逆に言うと「Non-deal」できてくれる「deal」に関しては、ウエルカムなものが多いみたいですね。

中安:そのような意味では、四半期アップデートや業績の話に関してはオンラインでいいのですが、やはりその前のアイデア発掘的なブレストはオフラインですよね。

齋藤:そうですね。

中安:少し時間が押してしまいましたが、会場のみなさまからの質疑応答に進みたいと思います。

秋元:今、Q&Aが18問出てきています。

中安:すごい。

齋藤:待っている間に質問にお答えしましょうか?

質問:Zoomでの競合他社の参加について

中安:「みんせつ上にZoomのURLは掲載したいけれど、そうすると競合他社が入れてしまう。競合他社が入れないようにするには?」という質問です。これは我々の本題ですね(笑)。

齋藤:パスワードを付与すれば、ほかは入れないようにできます。

中安:それはもちろんできるのですが「みんせつ」上にパスコードまですべてオープンにしてしまうと、競合他社も入ってくるリスクがあるということですね。ただ、閲覧権限を設定すれば問題ないですね。

齋藤:「参加する」を押したあとに一手間入れてもいいのではないですかね。パスワード発行などは電話会議でも発行して、回線がつながったときに会社名と名前を入力して入り、それを言わないとコーディネーターから「お前誰やねん!」と言われるようなかたちですね。同業他社は排除しても構わないと思います。

質問:事前収録について

齋藤:事前収録についてですが、事前収録だとわからないかたちで行なえばよいのではないでしょうか。Q&Aにつなぐ時だけ元に戻すようなものが今回は多かったです。例えば、4時に動画を配信しますと言って、その時間になると動画が見られるようになっているところが多かったため問題ないと思います。ただ、セルサイドが「アピールとして質問したいのにできない」といった不満を取り除くとよいと思います。

また、僕は全然違いますが、バイサイドでどんな質問が出たかをすごく気にする人がいると思うのですが、その人たちがどう思うかは、僕らにはわからないです。

中安:バイサイドの質問を気にするバイサイド、ということですか?

齋藤:そうではなく、説明会でどういう質問が出たかを気にするバイサイドは多いらしいです。その人たちの思いがどれだけ排除されてしまうのかがわからないということです。

中安:そのような声も聞きますね。でも、多分テキストはもらえないですからね。

質問:Web会議でのアンケートについて

齋藤:Web会議での質問は後からメールでくるケースが多いです。多分「Zoomウェビナー」ではそのままアンケートを取れるようになっているはずですので、そこでそのまま回答するか、質問者から翌日にプッシュがくるケースが多いです。多分、会場で紙に書いてもらうよりも回収率は高いと思います。

中安:書くのも集計するのも、多分お互い大変だと思います。ちなみに我々も、終了後はアンケートに自動的に切り替わるようになっています。そのやり方がよいかなと思っています。

質問:会場開催と動画開催の違いや書き起こしの活用について

齋藤:「会場だと最後まで聞いてもらえる」ということですが、先ほどのお話のとおり、説明会が重なっているときは他を見に行くことがありますが、「行ったら聞くしかない」ということがあるわけではないため、そこはあまり気にされず、常に聞きたいと思うプレゼンをしていただければよいと思います。

また「書き起こしは活用されていますか?」という質問ですが、かなり活用しています。

質問:1on1ミーティングのオンライン対応について

中安:現状の説明会だけでなく、1on1などもオンラインに対応しているのでしょうか?

齋藤:1on1などもけっこうオンライン開催があると思うのですが、収束後もオンラインを使用するかについては、お互いの気持ちだと思います。それこそ、「今回はオンラインでいい」「たまには会いましょう」といったやりとりがあっていいのではないのかなと思います。

その人の好みにもよると思います。多分、オフィスにいたくないから外に行きたいという人もいれば、たくさん参加したい人もいますし、話している内容ではなく顔が見たい、オフィスの雰囲気を見たいといった人もいます。僕はすごくオフィスの雰囲気を見るのですが、さすがにオンラインだとわからないですよね。

質問:説明の順番について

齋藤:複数出席されるオンラインだからこそ、説明の順番が重要かということですが、基本的に、決算を報告して、その後マネジメントから定性的な部分の話になる流れは、別にオンラインだから変えるべきだということはないですよね。話す順番、内容はリアルと一緒でいいと思います。

中安:時間はどうですか? 1時間のうち、どういう配分でQ&Aを行ないますか?

齋藤:時間はだいたい一緒で、プレゼンが30分でQ&Aが30分のケースがほとんどです。

質問:英語と日本語の通訳について

齋藤:英語と日本語の通訳についてですが、ユーザベースなどは、「日本語の人はこちらから」「英語の人はこちらから」と、2回線を用意しています。

僕はスタートトゥデイのときはよく同時通訳を入れていました。スタートトゥデイ、メルカリ、サイバーエージェントはみなさま同じやり方だと思いますが、基本的に同時通訳の音声は別回線で流していますね。逆に、そこはやりやすいのではないでしょうか。

回線で流すだけだと思いますので、リアルの会場でヘッドセットを用意するよりは動画のときのほうがよいと思います。

中安:今後はハイブリッドがよいということですね。

質問:IRサイトへの決算動画掲載について

中安:「齋藤さんはIRサイトへの決算動画掲載を支持していますが、どれだけ見られているのでしょうか?」というご質問です。

齋藤:IRサイトの動画はアーカイブで見ることが多いですね。例えば、6月に入ってから取材をすごく増やしていますが、せっかく載せてもらっているのに、それを聞かず、説明会に出られなかったからと内容を直接聞くのはすごく失礼ですので、きちんと聞くようにしています。逆に、見ていない人には「載せているから、見てください」と先に言っておいたほうがいいと思います。あまり我々に気を遣う必要はないため、「時間がもったいないから、事前に見ておいてください」でよいと思います。

中安:ちなみに、最新版を見るのですか? それとも昔のものを掘り返して見るのでしょうか?

齋藤:昔のものを見ることはないですね。昔のものでも、説明会資料や短信、事業報告書は過去を遡って見ていますが、動画は直近分だけですね。ただ、将来の可能性のことなど、中計について話していることがあって、期間中であれば過去の動画も見ます。

質問:スモールミーティングについて

齋藤:「スモールミーティングはどうされていますか?」という質問ですが、結局、どういう内容で行なうかだと思います。証券会社が主催のものでは、事務的に、説明会の次の日やその次の日にセルサイドアナリストが主催してスモールミーティングを行なうケースはありますが、正直なところ意味がないものも多いと思います。逆に、企業主催で「specific」で、この領域、この担当者に話させるためスモールミーティングを行ないましょう、というものはすごくニーズがあると思います。

中安:つまり、IRの人だけではなく事業部の人などに話させるということですか?

齋藤:そうです。例えば、今回の説明会で質問がある分野に偏っていた場合に、企業では「この人に説明させたら、みんな理解してくれるかな?」というものがあると思いますので、もし可能であればそういうものを実施するほうがよいと思います。

質問:事業会社の説明会の集客の変化について

中安:「事業会社の説明会の集客はどのように変わりますか?」という質問です。メールでなく、ということでしょうか。

齋藤:メールを見ていないと言いながらも、結局、メールしかないですよね。

中安:あるいはWebですね。しかし、気になる企業があるという前提で参加されるため、メールが来たから行く、というのはいかがなものですか? つまり、メールが来たから行くのか、気になる企業であればメールが来なくても行くのか、ということです。

齋藤:メールは見ていないため、興味があれば行くということです。バイサイドはそのような人がとても多いと思います。セルサイドは、自分のカバレッジや担当範囲が決まっているため、その中でどこに行くかを考えるだけですので、おそらく行くとは思います。

中安:あまりメールは見られていないということですね。

齋藤:ただし、バイサイドの人は本当にスタンスによって違うため、通常の説明会会場に行っているバイサイドの人は、基本的に国内系のバイサイドアナリストが多いと思いますし、ファンドマネージャーは本当にまちまちですよね。

とにかく、いろいろな説明会に顔を出していて、「この間も会いましたよね」という人もいる一方で、「僕は説明会には行かないです」という人もいます。そこは、その人のやり方になってしまうため、逆に事業会社としてできるのは、そのような人たちにいろいろな方法で伝えるやり方として、URLを送るなり、時間がない人のためにテキストを残しておいたり、いくつかの選択肢を提示していくのがベストエフォートだと思います。

質問:Q&Aセッションを与える対象について

中安:「セルサイドのみにQ&Aセッションの質問権を与えることを検討しています」という質問はいかがですか?

齋藤:実施している会社はけっこうありますし、逆に翌日、セルサイドだけのスモールミーティングを行なう会社もあります。例えばセルサイドのみだと言えば、バイサイドの人たちは、おそらくよい気分はしないと思うのです。「それなら、お前は質問するのか? しないなら文句を言うな」ということになるのではないかと思います。

そのように自分が排除されたことを明確にされると、嫌な思いをする人たちは多いです。僕の経験談で、セルサイド向けではないですが、ZOZOが会場で朝10時から決算発表会を行なったのですが、前日の夜にグローバルでテレカンファレンスを行なったときに、「なぜ日本の投資家よりも海外の投資家に先に話すのか」と怒られて、「10時に入ればいいじゃないですか」と言うと、「そんな時間は無理だ」と言われたことがありましたが、自分が一番にされないと嫌だという人が金融界には多くいます。今でもレポートで、セルサイド向けの説明会があったと普通に書いているアナリストもいます。

それを見ると、すごく排除された気持ちになります。実際、セルサイド向け説明会を行なうのはよいと思いますが、人材系の会社で多いのが、まず市場関係者からの質問を受けて、そのあとにメディアからの質問を受けるかたちで時差的に行なっていたり、会場の座る場所が書いてあるところもあります。「市場関係者は前に座ってください」「メディアの人は前に来ないでください」と分けていたりすることがあり、セルサイドだけ質問を受け付けるのもよいとは思うのですが、伝え方をうまくしていただければと思います。

中安:できるだけ平等に入れるようにしてあげたほうがよいですね。

齋藤:だからこそ、テキストがすごくコントローラブルですよね。正直なところ、セルサイドでも、会場ではどのセクターでも質問の順番が半ば決まっているようにも思うのですが、あの人の質問が最初に来たら嫌だということもありますよね。しかし、そのようなときに限って、その人たちしか手を挙げない時もあると思いますので、それを排除するのに、実はテキストが一番楽だと思います。

中安:前で手を挙げていて、その人を指名しないといけないときもありますよね。名刺をいただく機会が減り、名刺交換ができないこともあります。しかし、オンラインでも連絡先はわかりますからね。

齋藤:オンラインで個人情報や会社名、連絡先、メールアドレスなどの基本情報を入力してもらえればよいと思います。コンタクト方法は、メール、電話だと思いますので、会社名、名前、電話、メールさえもらえれば対応できると思います。

質問:テレカン終了後の議事録掲載について

中安:「初めてテレカンを行う予定ですが、終了後に議事録を載せておいてもよいでしょうか?」ということです。

齋藤:今回はログミーFinanceのイベントですが、ログミーFinanceの書き起こしを載せている会社もけっこうありますし、またQ&Aのところだけ書き起こしているところもありますが、それはあるとうれしいですね。

中安:動画とログミーの書き起こしでは、どちらを見ますか?

齋藤:どれだけ時間に余裕があるかによりますね。取材が「Face to Face」のときも、オンラインのときも、バーッと目を通す分にはやはりテキストが早いですね。

動画で1時間を取られならテキストを見て、という場合もあります。また、Q&Aのストックはそれほど見ないと言いましたが、みなさんがどういうことを気にしていたかがわかると、取材の際に、「ここの部分はどうなのですか?」というかたちで役立ちます。

そのような意味では、テキストはすごくよいと思います。また、ユナイテッドアローズは、役員が読むテキストをそのままパワーポイントの下に見えるようにしてホームページに載せたりしています。逆に言えば、原稿を用意しているかどうかも会社で違うと思いますが、あると便利ですよね。

中安:まだお答えできていないところもありますが、のちほど質問をピックアップして、齋藤さんにお時間をいただいてメモを取っておきます。

秋元:中安さん、齋藤さん、どうもありがとうございました。今回は、これで終了となります。ご視聴いただき、誠にありがとうございました。

配信中に紹介できなかった質問と回答

みなさまから寄せられた質問について、当日は時間の関係で取り上げることができなかったものを、配信終了後に齋藤さまにご回答いただきました。

<決算説明会の形式について>

中安:「ある程度の割合で、動画収録や音声配信もありますよね?」という質問です。

齋藤:今、上場会社は4,000社くらいありますよね。そのうち、3月決算の企業は70パーセントくらいですかね?

中安:もっとありますね。約80パーセントです。

齋藤:そこまでありますか? そうであれば、3,000社以上がこのタイミングで説明会を行なうわけで、同時に見ることはできないですから、その対策という意味も含めて、録画でその時間になったら流しますよ、という方法はよいと思います。私は企業の人と話すときに「開催する時間に見てくれる人だけを相手にするな」とよく言っています。その意味では、動画でなく録画はよいと思います。

<1on1の形式について>

中安:「従来の1on1はどうされていましたか?」という質問と、「今後はどうされますか?」という質問です。先ほどもありましたね。

齋藤:基本的なパターンは、決算発表後のレビュー取材があります。そのあとにプレビューがあり、決算を迎えるというかたちになっています。四半期ごと、年2回、年1回など、企業によっても決算時期はだいぶ変わると思いますので、オンラインかオフラインかで違いはないと思います。

おそらく、オンラインになるから頻度が減るということもないですし、逆にオンラインだからこそ頻度は増えるのではないかなと思います。取材には行かないけれどもオンラインで取材を行なう場合と、今まで電話をかけて取材していたものをオンラインに変えるというパターンの両方で動くのではないかと思います。

中安:きっと、地方の会社などで増えますよね。

齋藤:絶対に増えると思います。

<会場や説明会形式の変更の周知について>

中安:「会場や説明会の形式変更について、どこに情報を載せれば確実に情報をキャッチいただけますか? 『みんせつ」上にしっかり書いておけば問題ないということでしょうか?」という質問です。

齋藤:中安さんから見て、「みんせつ」に依存している人はどれくらいいるイメージですか?

中安:非常に多いですよ。

齋藤:私からの回答というよりも、中安さんから「リアルのデータとして、これだけ活用されています」ということを明確に言っておいたほうがいいのではないですか?

中安:我々から、きれいなデータをお出しします。「みんせつ」のバイサイドとセルサイドを足すと3,800人くらい登録されていますが、繁忙期になると、アクティブ率が70パーセントくらいまで上がってきます。つまり、説明会シーズンでは、2,500人くらいの機関投資家やアナリストが「みんせつ」で説明会情報を確認します。だからこそ、今回は、非常に問い合わせが多かったです。

齋藤:私の意見としては、「みんせつ」を見ればすべてが把握できるという状態にしてほしいということです。それに加えて、IR会社から来るメールはまったく見ていないのですが、企業から個別に送るメールには「IR会社からも送られていると思いますが、会社からも直接、説明会の案内を送らせていただきます」という文面で送るのがよいのではないかと思っています。メールの配信はとくにコストがかかるわけではなく、リストさえあれば対応できると思います。その2本立てでよいのではないでしょうか?

IR会社でも、独立系はすごくしっかりしていますね。この前にお会いした方もそうでしたが、そういうところはすごくしっかり仕事してくれていると思います。証券会社のIR会社における投資家のリストは、「みんせつ」のクオリティのアクティブ率という意味では、おそらく半分ほどではないでしょうか。

中安:おそらく、いちいち各IR会社のURLを叩いて行かないですよね。どのIR会社がどの上場企業と契約しているのか、参加者側はわからないですし。

齋藤:私があちらに行かなくなった理由は、申し込もうとして「みんせつ」で「説明会に参加する」ボタンを押したときに、「『〇〇IR』のページでログインしてください」となって、「そんなの覚えてない」と思ったからです。

普段から自分がよく使うものを2つ、3つほど入力してログインできなかったら「もうやめた」になるだけですからね。逆に、「みんせつ」のIDを持っていれば、各IR会社のページにそのまま入れるようになれば、「みんせつ」がIDaaSになってよいと思います。

中安:そのあたりはかなり戦っていて、本当は実施したいのですが、難しいですね。

齋藤:IR会社からすると、主力を取られると思っているため、無理ですよね。

中安:本当に、IRは上場企業側が変わるしかないですよね。

<バイサイド側へのアピールとしてのセルサイドの質問について>

中安:「セルサイドの質問はバイサイド側へのアピールもあると思います。テキスト入力の質問になることで不満を抱くことになりませんか?」という質問ですが、こちらは答えましたよね。

齋藤:付け足すと、そのようなセルサイドのアピールのために会社が時間を割く必要はないと思います。それほどいい質問をするわけでもないでしょう。セルサイドが延々と5分くらいスピーチしたあとに、質問するケースも多いですよね。

ネットでは若いアナリストが多いため、そうしたことはあまりないですが、ほかのセクターではそのようなことが多く、「大岡裁き」をする司会者もいます。「このような質問ですので、こちらは社長、こちらは担当の役員」と振る人がいて、その人が要約すると質問内容が10秒で終わるのです。バイサイドは、その時間を望んでいるわけではないですよね。

中安:そうですね。

齋藤:そこに気を遣う必要はまったくないと思います。

中安:テキストがいいということですね。

齋藤:そのとおりです。

<決算説明会動画の掲載タイミングについて>

秋元:「説明会のライブ配信は必ずしも必要でしょうか? 事前収録をした動画を資料開示時に配信するかたちで事足りるような気がしています」という質問もあります。

中安:タイミングとしてはいかがですか? 決算短信とともに説明会資料をアップロードして、そのまま動画もアップロードするのがよいのか、後日でもよいのか、いかがですか?

齋藤:AXA Investment Managersは超ロングタームで、決算でプレーすることもないため後日でもよいのですが、カバレッジアナリストからすると、その日中に出してもらわないとレポートを書けないということがありますよね。

またヘッジファンドのように、このタイミングである程度判断して、翌日の寄り付きでどう動くかを考えなくてはならない人たちからすると、やはりタイムリーに出たほうがうれしいですよね。

中安:早いほうがいいということですね。

齋藤:だからこそ、リアルの説明会もその日の夕方に行なうわけです。事前に収録するのであれば、今年は短信や説明会資料をアップロードするタイミングで載せてしまえばいいのではないかと思います。

基本的には、おそらく、その日の午前中の役員会で決算承認が下りてから、という流れがあるため、その前に撮影するのはリスクを感じる会社もあるかもしれないですね。

中安:撮り直しもある、ということですよね。

齋藤:そうですね。ZOZOのように、その日に何かがひっくり返るような会社以外なら、おそらく大丈夫だと思います。

中安:ZOZOの決算説明会はおもしろいです。アーカイブで残っていますよね?

齋藤:残っていますね。

中安:ZOZOのページを見てみてください。齋藤さんも含めて、みなさまが着ぐるみを着て現れます。

<マスコミの参加について>

中安:マスコミの参加はどうしていますか?

齋藤:僕は、マスコミは分けてほしいと思います。オフラインのときも、マスコミは来ないでほしいと思っていたタイプです。別の質問であったと思うのですが、おそらくQ&Aの聞きたいことが異なりますので、そこを分けるとよいと思います。

ZOZOのときは市場関係者以外は質問できないようにしていました。どうしても対応しなくてはいけないと思う会社は、広報やIRで別の場を設けるかたちでよいのではないかと思います。

中安:ただ、日経新聞や東洋経済などの記者もその日中に記事に起こしたいですよね。

齋藤:記者の方々も、何かあれば問い合わせすると思います。

中安:説明会のあとに電話するため、その場では質問はしないで分けたほうがよいということですよね?

齋藤:そう思います。説明会で聞いている質問がそのまま記事になっていることはほぼないですよね。

<事前に想定した質問に回答する方式について>

中安:双方向での配信ではなく、主催者側からの一方的な配信で、Q&Aは想定質問をいくつか回答する予定ですが、当日の質問は受け付けずに想定質問へ回答するという方法は、機関投資家のみなさまにとってはいかがでしょうか? 

齋藤:よいのではないでしょうか。録画で流すのと同じで、質問があればテキストやメールでくださいというだけの話だと思います。そして、それを共有する場を設けるかどうかです。

例えばユナイテッドアローズは、月次のときに来た問い合わせをフェア・ディスクロージャーの観点ですべてホームページ上に開示しています。「このような質問があって、このような回答をしました」というようなものは、テキストで用意すればいいのではないかと思います。あとでメールでやり取りしたものをすべて載せるかたちにすれば、フェア・ディスクロージャーになります。

中安:できるだけ個別で回答して、きちんと公開していく方法がよいということでしょうか?

齋藤:そうですね。おそらく問題になるのはフェア・ディスクロージャーであり、全員に答えているかどうかになると思いますので、そのような対応をすればよいのではないでしょうか。

<同時通訳について>

中安:「ユーザベースも同時通訳を入れていますか?」という質問です。

齋藤:ユーザベースは同時通訳を入れていたはずです。

中安:日本人と外国人で入口が違うのですか?

齋藤:Zoomのアドレスを日本語と英語で2つ用意します。ZOZOはYouTubeですが、2回線用意しており、サイバーエージェントもメルカリも同じ形式で開催していて、英語は同時通訳の音しか聞こえないようにしています。

ZOZOは外国人の質問がなかったのでそれでよかったのですが、外国人も質問できるようにすると少し面倒かもしれません。英語の質問があると、英語を日本語にする人が必要になりますので、同時通訳の人が両方に対応できません。そこは少し面倒ですが、基本的には2回線用意してもコストが増えるわけではありません。

<決算説明会を多くの投資家に見てもらうための施策について>

中安:決算説明会の内容をより多くの投資家に見てもらうためには、どういう施策を組み合わせていけばよいでしょうか?

齋藤:やはり、ホームページ上での開示ではないでしょうか。例えば決算の際に、「来たい人」ではなく、あとで「ここの会社の説明会を聞きたかったな」「こんな会社、上場していたのか」ということがあったときに、まずはホームページを見に行きますよね? もしくは、「みんせつ」で4桁の証券コードから会社の基本情報に飛べるようになっていますので、そこからホームページにいくと、「自分たちがどういう会社なのか」という説明から、直近の決算のところまで、すべて把握できるようになっていればよいと思います。

その部分では、やはりサイバーエージェントが一番優れていると思っています。「僕たち、こんなことをしています」ということから直近の決算まですべて出ていますし、それまでのワークシートをすべてエクセルで起こせるようになっています。

また、決算説明会資料や音声、ビデオを載せると、結局「1時間の時間が取れない」という声が出てきますが「時間がない」と思う人たちを囲い込むために、記事を5分で読んでもらえるような、「今回、これですべてわかります」というものを用意していれば逃げ道はありません。エクセルシートで入っていると、「ワークシートもこれで作れますよ」ということになります。

中安:もう、アナリストがいらないですね。

齋藤:実績に関しては、事業会社の中の人、「究極のインサイダー」の人たちが一番説明できるわけです。実は、短信の作りが甘いのがいつも許せません。極論、短信を読めばすべてわかるようにすれば問題ないわけです。短信を見る時間がない人のために、「今回のポイントはこれです」というものを出してもらえれば、説明会も動画も音声も必要ありません。

そのようなファン作りを、いかに会社やIR担当の方ががんばるかということだと思います。その場所というのがおそらくホームページであり、ホームページへの誘導の1つのポイントとして、「みんせつ」を使うことができればよいわけです。

毎回、「Google」でその会社の名前を入力して検索しても、BtoCのサービスはサービスサイトに飛ぶため、「会社の情報がどこにあるかわかりません」となります。楽天は長いページを下にスクロールして、最後にようやく企業情報が出てきます。そのような面倒がないように、「みんせつ」にもIRページに直接飛ぶURLを貼り付けてもよいのではないでしょうか? ゲートウェイを固めれば、それでよいと思います。

中安:齋藤さんがZOZOで運営していた「IR背負い投げ」というページがあるのですが、それをシェアしたらよいのではないですか? もうないのでしょうか?

齋藤:僕がZOZOを辞めて3年から4年が経ちますので、さすがにそのページはないですね。僕がZOZOにいたときにまず行なったのは「短信改革」でした。「わが国経済」からの書き出しをやめ、短信だけを読めばわかるようにしていました。僕はセルサイド側の人が取材に来たときに、ほとんどの質問に「短信に書いてあるけれど、読んでないのですか?」と言っていました。

「短信を読む時間がない方、短信を読み通せない個人投資家に」というものをホームページのブログで書いていました。時間のない方のために、「ポイントだけ簡単に言うと」ということで、「これを読めば実績に関しての把握は完璧ですので、将来予想はあなたたちがしてください」というかたちです。なるべくおもしろおかしく、個人にもわかりやすい言葉で書くようにしていました。

中安:基本的な開示情報をきちんとホームページに掲載して、できれば「みんせつ」にアップするとよいということですね。