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DIC、18年の予想PERは9倍 投資フェスで明かす、5つの背景

2018年9月15日に第4回投資フェスで行われた、DIC株式会社のIRセミナーの内容を書き起こしでお伝えします。IR資料 質疑応答パートはこちら

(提供:DIC株式会社)

シリーズ
DIC株式会社 > 第4回投資フェス IRセミナー
2018年9月15日のログ
証券コード
4631 (SBI証券で株価をチェックする)
スピーカー
DIC株式会社 コーポレートコミュニケーション部長 中川真章 氏
個人投資家 夕凪 氏
フリーキャスター 叶内文子 氏
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シリーズ
DIC株式会社 > 第4回投資フェス IRセミナー
2018年9月15日のログ
証券コード
4631 (SBI証券で株価をチェックする)
スピーカー
DIC株式会社 コーポレートコミュニケーション部長 中川真章 氏
個人投資家 夕凪 氏
フリーキャスター 叶内文子 氏

個人投資家向け会社説明会

中川真章氏(以下、中川) ご紹介にあずかりました、DIC株式会社の中川でございます。よろしくお願いいたします。それでは、ご説明させていただければと思います。

覚えてもらいたいこと

dic_2018ir-002 次のページをお願いします。 「DIC株式会社って、初めて聞いた」「知らない」「何の会社かわからない」というご意見がとにかく多いので、まずは社名を覚えて帰っていただければというところから、スタートします。 会社のコーポレートビジョンとして「Color&Comfort」と言っておりまして、「カラー」と「快適」を作る会社です。化学会社ですので(実際に何をしている会社なのか)よくわからない(と思う)のですが、「まだまだ成長していきます」ということも、今日はお伝えできればと思っています。 それでは、今放映している、私どもの会社のテレビCMをご覧いただければと思います。 動画が流れる) 中川 このテレビCMだけをご覧いただいても、「やっぱり、何の会社かよくわからない……」というのが、正直なところだと思います。吉岡里帆さんに出ていただいているのですが、あくまでこのテレビCMは社名を言うところだけに特化していますので、これだけでは(会社の概要が)わからない。 そもそも、なぜこのようなテレビCMになっているかと言いますと、先ほども申し上げましたように、会社の名前の知名度が低いんです。一般的な調査をしますと、2、3割の方にしか知られていません。社名のみならず、会社の内容も今ひとつ理解されていないということで、ここからご説明していければと思います。

創業110年のグローバルな化学メーカー

dic_2018ir-004 それでは、このスライドで(ご説明いたします)。 みなさまの中にも、「大日本インキ」という社名を聞いたことのある方がいらっしゃるかもしれません。10年前の2008年に、社名を変更いたしました。旧社名が「大日本インキ化学工業株式会社」というもので、「印刷インキの会社です」と非常にわかりやすい社名でした。この後でご説明しますが、インキ(だけ)の会社でなくなりつつあるところもあって、「化学会社として生きていこう」ということで、社名を変更させていただきました。 ところが、社名を変更してもう10年経つのですが、旧社名のイメージが拭えないところ(がございますの)で、このような機会も使わせていただいて、みなさまの認知を高めていければと考えています。 (スライドに)戻ります。明治41年の1908年創業で、もう110年になります。会社の規模としましては、ここにありますように、資本金が966億円、連結売上高が8,000億円弱です。従業員は、グローバルベースで見ますと2万人を超えていまして、1つの特徴(となっています)。また別のスライドでご説明しますが、64ヶ国171社の拠点を持っている、「非常にグローバルな会社です」というところを、宣伝しておきたいと思います。

110年の歩み

dic_2018ir-005 それでは、次のページにいきまして、創業来110年の歩みをご説明したいと思います。110年の歴史は、だいたい4つの段階に大きく分かれています。 まず、明治41年(1908年)に創業してから大正時代ぐらいまでの、インキ事業を始めた頃の話。次に、インキ会社としての勃興期と言いますか、初めの頃の話。それから、大正が終わって昭和に入り、戦後までの事業の多角化(の話)です。だいたい1980年代ぐらいまでに、事業の多角化を進めてきました。 その一方、1980年代からはグローバル化ということで、欧米市場でM&Aをして、会社をグローバルに成長させていきました。最後の10年前(2008年)の社名変更を機に、新しいかたち……インキだけではない、「インキ以外で稼げる会社へ」ということで(新たな飛躍に向けて)変わりつつあるのが、私どもの会社の現状です。 もう少し詳しく流れを追っていきます。もともと日本の印刷インキ業界では、だいたい19世紀から20世紀に切り替わる頃……1890年から1910年ぐらいの間に、各社が創業しています。我々の今の日本での競合先も、だいたい同じくらいの時期に創業しています。 ドイツやアメリカから印刷インキの技術が入ってきまして、我々は最初、インキの原料を輸入して日本国内で練り、インキにして販売する事業からスタートしています。ただ、輸入して販売しているだけだと、どこがやっても結局同じことになりますので、わりと早いうちに、自分でインキを作ること、内作化を始めています。 その次の段階です。インキだけを作っていても、他のインキメーカーも同じことをやっていますから、競争に勝てないということで、大正時代になってから(目を向けたもの)は有機顔料です。 インキはもともと(何でできているかと言うと)、1つは色の素である顔料。もう1つが、糊の成分。インキを紙に付けたりプラスチックに付けたりするために糊が必要ですから、これが合成樹脂(ということです)。 大正時代の末期に、自分たちで有機顔料を作り始めました。また、戦後すぐに、自分たちで合成樹脂を作り始めています。実はこの2つが、今の我々の技術基盤になっていまして、ここからインキ以外のいろいろな事業を育ててきました。 いくつか例を挙げますと、わかりやすいところでは、みなさまのパソコンに入っている液晶の材料です。パネルそのものではないのですが、中で(光を通したり、遮ったりする)シャッターの役割を果たしている(液晶)材料。同じ液晶で言えば、色を付けているところのカラーフィルタの顔料です。 あるいは、まったく違うところでは、自動車用のPPS(ポリフェニレンサルファイド)コンパウンド・接着剤やテープ、あるいは塗料用樹脂や成形加工品ということで、顔料と樹脂(を取り扱っています)。顔料は化学物質ですので、いろいろな材料を合成していくわけです。化学物質をフラスコなどで混ぜて……ということを、昔はやっていました。今は、もっと工業的に作っています。 合成樹脂は、「重合」や「縮合」と技術用語で言ってしまいますが、大きな構造物を作り、最終的には(どうなるかと言うと)……例えば、ペットボトルもPET(ポリエチレンテレフタレート)という合成樹脂です。我々はPETはやっていないのですが。 (我々の事業領域で言うと)例えば、プリント配線基板。みなさまがお持ちのパソコンやスマートフォンに入っているプリント配線基板の材料は、エポキシという合成樹脂でできています。(我々は)このような合成樹脂を作っています。 そのような(事業の)多角化をしていく中で、もともとは日本ローカルの会社でしたが、わりと早いうちから海外に目を向けています。明治・大正の時代から、例えば「中国大陸でビジネスをしよう」というように進出をしていたのですが、第2次世界大戦で一度、海外拠点を失いました。戦後の1960年代ぐらいから、改めて海外に進出していっています。 1986年に、アメリカのサンケミカルという、わりと大きな印刷インキのメーカーをM&Aで買収しました。これが、32年前です。この時はまだ、日本の化学企業が海外の会社をM&Aで買収すること自体がほとんどなかった時代なので、けっこう大きなニュースになっていました。 このM&Aでアメリカの企業を手に入れたことで、サンケミカルはアメリカだけではなく、ヨーロッパにも拠点が多いので、日本・アメリカ・ヨーロッパという世界3極のたくさんの拠点を手に入れたことになり、世界トップの印刷インキメーカーになったところから、グローバル化が始まっています。 その後、インキだけではなく、例えばアジア地域で合成樹脂の会社を持っていますので、いろいろな意味でのグローバル化が進んでいます。最終的に、先ほどの(ご説明にございました、グループ会社の)64ヶ国(171社)につながってくるわけです。 それでは、私どものDICという会社(の製品)が、世間でどのようなものに使われているかということ(のご説明)です。 化学会社、しかも中間素材メーカーですから、あまりみなさまのお手元に触れる製品がありません(身近な物で)ヘルメットと健康食品程度です。健康食品については、後でご説明します。 (スクリーンを示して)今ご紹介しているものが、「カラーガイド」という色見本です。印刷インキから、印刷物の色の見本を作ります。この色に「DICカラーガイド」番号を付けまして、これで色の指定をするわけです。 実際に「DICカラーガイド」で指定された色(を使った)、例えば、JR東日本のシンボルマークの色は、DICの色番号で決められています。 (各社)のデザインガイドラインにはそのような番号が載っていて、その番号を見れば色がわかります。実物の見本を我々が作っていますので、この番号を印刷会社に伝える。あるいはカラーチップと言うのですが、色見本そのものを伝えていただくと、正確な色、正しい色が再現できる仕組みになっています。

事業ポートフォリオの転換に注力

dic_2018ir-006 それでは、次のスライドにいってください。 先ほどから、「(当社が扱っているものが)インキだけではなくなってきました」という話をしていました。2009年から2018年の約10年の時間的な流れを、ここで示しています。 9年前(2009年)はまだ、売上高の半分強がインキ事業でした。営業利益も、インキ事業が半分弱を上げていました。 ところが、2008年にリーマンショックがあって、その後、日本あるいは海外も含めた市場で、印刷物の数が減り、市場が小さくなってきたということで、インキの売上が一時落ち込みました。 その中で我々が何をやってきたかと言うと、ここに「非インキ事業の育成」と書いてあります。(具体的には何かと言うと)1つは、インキではない製品をできるだけたくさん増やしていくこと。 結果として今(2018年)は、比率が逆転しました。2018年の見通しでは、売上高の54パーセントがインキ以外の製品で成り立っています。営業利益はもっと極端で、(2009年ごろの)50パーセント・50パーセントくらいのところから、今(2018年見通し)はインキ以外が73パーセントですから、4分の3くらいをインキ以外で上げているということで、収益構造が大きく変わってきています。製品構成・収益構造も、大きく変わりました。 もう1つ言えることは、「インキ事業のキャッシュカウ化」ということです。そう(4分の3の利益を非インキで上げていると)は言っても、インキ事業が減っているわけではないんです。 例えば、ペットボトルのラベルのインキを「パッケージ用インキ」と言っているのですが、(これは)まだ増えています。そのようなところに経営資源を集中することで、しっかり利益の稼げるビジネスにしてきた(ということです)。 (スライドの)一番下の利益率を見ていただきますと、9年前が3.7パーセントで、「儲かっていない会社だな」というところが今(2018年見通し)は7.0パーセントですから、化学会社としては、そこそこの収益性になってきたのではないかと思います。

自動車の快適、省エネに貢献

dic_2018ir-007 それでは、次のページです。ここからちょっと、代表的なわかりやすい市場の製品(をお示しして)「どのようなものをやっているの?」ということを、ご説明したいと思います。個別の製品については後でご説明しますので、簡単にいきます。 まず、自動車です。自動車に関しては、(外装が)塗料用樹脂ですとか、あるいはシートがウレタンの合成樹脂でできています。スピードメーターは、最近は液晶材料でできていますし、内装には木目柄や抽象柄などが付いていますよね? あの柄模様を付けるためのインキです。 それから、タイヤホイールにはアルミ系の塗料(光輝材)が塗られています。タイヤそのものにも、実は「金属石鹸」という我々の製品が使われています。さまざまなものがエンジンのパーツなどにも使われていますので、(我々の製品が)自動車の中にたくさん入っています。

デジタル社会に欠かせない製品群

dic_2018ir-008 次のページです。もう1つは「デジタル社会(に欠かせない製品群)」ということで、先ほど申し上げたディスプレイです。 液晶テレビやスマートフォンにも、我々の材料がたくさん使われています。表になかなか「DIC」というロゴマークは出てきませんので、わかりにくいのですが。先ほど言いましたプリント配線基板や、半導体の封止材、液晶カラーフィルタ。 それから、スマートフォンで言えば、部材を固定するための工業用粘着テープや、防水両面粘着テープなどの表面のトップコートにも使われています。 このように(自動車やデジタル関連製品を展開して)いろいろなことをやっていまして、先ほども言いましたが、「何をやっている会社なのか、わかりにくい」と言われてしまっているところです。

事業セグメントと主要製品

dic_2018ir-009 私どもの会社の(事業)内容を、このようにまとめています。 今、IR資料に記載しているセグメントは5つです。これは、儲かっている順番に並べ替えているのかな(笑)。(業績が)いいもの、成長しているもの、シェアの高いものが、左にいくように工夫しています。 メインの(プリンティング)インキが、利益貢献としては、今は3割弱です。 同じくらい稼いでいるものが、実はファインケミカルというセグメントとなります。ファインケミカルセグメントは、顔料と液晶です。有機顔料は(世界)シェアトップです。先ほど「印刷インキが、世界シェアトップ」と言いましたが、有機顔料も世界シェアトップです。TFT液晶は、世界シェアトップとはいかなくて、3番手です。 コンパウンドに関しては、先ほどの(ご説明にあった)自動車のエンジンパーツに使われているPPSコンパウンドが、シェアトップです。 ポリマは、(具体的に)どれがシェアトップかと言うとなかなか難しいのですが、国内ではいろいろなものを細かくやっていまして、それぞれの分野でトップクラスの実績を持っています。 一番右(アプリケーションマテリアルズ)は次世代分野ですので、まだこれからの成長株ですが、ヘルスケア食品の「スピルリナ」という、ちょっと毛色の変わったところがシェアトップです。

他社にないグローバルネットワーク

dic_2018ir-010 それでは、ちょっと立ち戻りまして、グローバルネットワーク(のご説明)です。 印刷インキメーカーとしては突出していて、化学メーカーとしても、なかなかここまで海外比率が高い会社はないと思います。売上高に占める海外比率が約6割で、半分以上が海外での売上です。 先ほどの(ご説明にあった)買収したサンケミカルの事業を中心に、海外での事業を伸ばしてきましたので、欧州・アフリカ、北米・中南米、アジア・オセアニアということで、わりとバランス良く事業を進めています。(そうは言っても)日本が4割ですから、(現在の比率としても)大きいのは間違いないのですが。 印刷インキとは、基本的には地場産業です。印刷物があります、印刷会社があります。そうすると、「インキが必要です」ということですから、いろいろな国に行ってインキを作っているわけです。さすがに南極ではやっていませんが、だいたいどこの大陸に行っても、どこかに私どものインキ会社がある。 逆に言えば、どこに行っても見つかる会社ですので、拠点が多いため、いろいろなことができるのです。「新しい製品を投入しよう」といったときに、そこに必ず当社の社員がいますから、マーケティングなどがやりやすいという1つの特徴を持っています。

海外事業:円高の向かい風でも利益拡大

dic_2018ir-011 それでは、次にいきます。海外事業が、実際にどれくらい成長しているかということです。 これも、この約10年間で大きく海外事業の数字を伸ばしています。このグラフの下です。(2008年の)リーマンショックから(2011年の)東日本大震災くらいまでは、正直に言って、業績が下降線をたどっていたのですが、その後、上昇カーブに転じています。途中で円高など(の影響が)入っているので、ちょっと下がるのですが、基本的には右肩上がりです。とくに、海外の成長が著しいです。 これはオーガニック(成長)と言っています。単純に売上が増えていき、数量が伸びる効果プラス、M&A(の組み合わせによる成長です)。代表的なところを挙げますと、2012年には、アルミ顔料を作っている会社を買収して、無機顔料に進出しています。2015年には、化粧品用顔料の会社を買収して、化粧品用顔料事業のビジネスを伸ばしています。 徐々に海外で新しいビジネスへ出て、それで市場を伸ばしてきているところです。

カラーの会社なのにホワイト

dic_2018ir-012 次にいきましょう。ちょっと違う話で、「カラーの会社なのにホワイト」と、なんだかダジャレを言っていますが(笑)。 「働き方改革」が今非常に流行りのテーマですが、我々も熱心に、国内だけではなく海外も含めて取り組んでいます。 数字として目に見えて出てきているものの1つは、男女差です。右のグラフは、男性と女性の社員平均勤続年数です。 20年くらい前は、当然男性が長く、女性は結婚したら辞めてしまう。男女雇用機会均等法ができて、「男女で雇用の差がなくなりました」と言っても、現実はこのようなものでした。 ところがその後、急速に女性の勤続年数が伸びてきまして、現在ではまったく男女差がありません。むしろ、女性がちょっと長いくらいです。女性の活躍には、非常に熱心に取り組んでいます。そのようなところで今年(2018年)、MSCIの「日本株女性活躍指数」という指数にも採用していただきまして、「女性の活躍に熱心な会社」だと、ご評価をいただいています。 もう1つ、左のグラフは低い離職率(をお示ししています)。今は(世間一般では)「ブラック(企業)」などといろいろと言われて、入ってきた社員が辞めてしまうことが多いですが、我々の年間離職率は、なんと1パーセント台です。新入社員が入ってきたら、きちんと継続的に働いていただけるような、いい会社になっているなと自負しています。 結果として、健康経営優良法人である「ホワイト500」という指数にも、ご採用いただいています。

サステナビリティの取り組みと外部評価

dic_2018ir-013 次のページです。サステナビリティ(の取り組みと外部評価)。 先ほどの働き方改革の一方で、やはり化学メーカーですから、「化学は、環境に良くないよね」というイメージがなんとなく付いて回るということで(それを払拭するために)、環境に対しても一生懸命やっています。 一例を挙げますと、環境負荷を低減する製品です。「ライスインキ」とは、実は米ぬかを(使っています)。 インキの油脂と言いまして、インキを柔らかくするために脂分が必要なのですが、もともとは化学合成した油を使っていました。そうすると、揮発しますので「臭い」、あるいは「人体・健康にあまりよくない」というイメージがありました。 「天然系の資源を使おう」ということで、かつては大豆油インキなどが流行った時期がありました。ところが、大豆は食べられますよね。大豆の油は食用油なので、「食品の値段が上がってしまうのでないか?」という懸念が出てきました。 (それに対して)米ぬかは、漬物には使えますが、だいたい捨てています。ということで、非食用の油(を使用する取り組みをしています)。米ぬかだけではなく、他のいろいろなものも研究しています。例えば、バイオマス由来の油脂も研究しています。 それから、蓄熱シートは建築材料ですが、化学材料です。例えば熱を溜めて、周りの温度が低くなってきたら放出する。そうすると、部屋の温度が安定するわけです。暑いときには熱を吸ってくれて、寒くなってくると熱を出すシートを開発して、電力消費やエネルギー消費を抑えることを考えています。 一方、製造現場ではどうしても、温度をかけて化学反応を起こしますので、エネルギーが必要です。そのためのエネルギーに、再生可能エネルギーの積極的な使用を続けてきています。 (外部評価は年々向上していて)第三者評価の中でも、Dow JonesのSustainability Indexの、Asia Pacific Indexには2018年も採用が決まりましたので、「3年連続」と書いてありますが、4年連続で採用されます。 MSCIのESGセレクト・リーダーズ指数にも採用されていますので、外部評価は高まっています。化学会社の中でも、トップクラスの評価をいただいています。

2018年業績:最高益の見通し

dic_2018ir-014 それでは、(説明会の)前半の最後に、みなさまのご関心の高い業績です。 今年(2018年)の業績見通しです。これは8月の(第2四半期決算説明会でお伝えした)ものですが、昨年(2017年)と比べまして、売上高・利益はいずれも増える予定です。とくに、営業利益・経常利益・純利益については、過去最高益の更新を目指しています。 ROEは、昨年が13.0パーセントでした。今年はちょっと下がっていますが、12.4パーセント(の見通しです)。化学会社としても非常に高い水準を維持していまして、投資効率はわりと良いと考えています。 弱点としては、為替あるいは原料価格です。これらは我々にとって逆風ですが、その中でもなんとか史上最高益を出したいということで、努力しています。

成長シナリオ

dic_2018ir-016 そのような会社でございますが、今後の成長戦略です。今までは、やはり「印刷インキの会社」ということで、「市場が縮小しているでしょ」というイメージが、どうしてもついてまわっていたのですが、そのようなことはありません。「会社としては、きちんとした成長戦略を持っています」というのが、このページです。 ちょっとわかりにくいのですが、このグラフの一番下の濃いところが「安定基盤事業」で、印刷インキと合成樹脂です。市場規模も売上規模も大きく、稼いでいる金額も大きなビジネスですが、成長性はあまりないです。市場が縮小しているわけではないので、今でも数量は少しずつ増えていっています。 先ほどの印刷インキで言えば、紙あるいは新聞の印刷は減っていますが、パッケージの印刷は増えているんです。結果として印刷インキの売上は、決して減ってはいません。増えています。ただ、それほど極端に利益率が高くないので、キャッシュカウということで、着実に利益を稼いでいくエリアです。 その上に、成長加速が強い「成長牽引事業」が乗っています。先ほどの(ご説明にあった)自動車用のPPSコンパウンドみたいなものです。後で、いくつか例を挙げてご説明いたします。ちょうど、この3ヶ年計画(「DIC108」)が2016年から2018年までなのですが、この3年間で着実に成長しているエリアということで、売上も利益も増えています。 (そうは言っても)それだけですと、いずれ頭打ちになるわけですから、さらに「次世代事業」ということで、これも後でご説明しますが、新しい製品の開発も進めています。 それだけですとちょっと足りないので、「インオーガニックな戦略投資もしよう」というところで、全体として、会社を大きく成長させていこうと考えています。

化粧品用顔料事業:市場拡大と採用増で好調

dic_2018ir-017 ここから、「成長牽引分野は、どのようなものなの?」ということを、ご紹介したいと思います。 まず1つ、いきなり出てきましたのが、化粧品用顔料事業です。先ほど「2015年にM&Aで手に入れました」という話がありましたが、M&Aで手に入れる前から、細々とやっていました。非常に(優れた)表面処理の技術を持っているいい会社をM&Aで買収しまして、使える用途が増えたのです。 今は口紅を中心に、アイシャドゥやマニキュア、あるいは男性用のヘアケア商品・スキンケア製品までを含めて、いろいろなものをやっています。 2015年から2017年で、売上高は3割伸びていまして、シェアも4パーセントぐらい伸びています。化粧品の市場自体も、とくにアジア地域で、今は非常に伸びてきています。市場成長率が7パーセントとなっていますが、わりと高いです。 ここでの我々の強みは、先ほど言いました(多彩な)ラインナップ。それから、高い技術をベースにした、各国の法規制への対応や安全性です。今日(この場にいらっしゃるみなさま)はほとんど男性の方なので、なかなかご自分でお化粧をしている方は少ないのかもしれませんが、お肌に直接付けますから、安全性が重要視される(ということです)。 それから、国ごとに法律が異なっているので、きちんとそれに対応できる製品を用意しなければいけません。そのようなところが、我々の強みです。先ほどの(ご説明にあったように、グローバルに)64ヶ国でやっていますから、いろいろな国の法律を知っています。そのため、それぞれの場所で(法規制に対応した)物を作れます。そのようなことから、「対応力がある」ということで、シェアを伸ばしています。

PPSコンパウンド事業:自動車用途で出荷増

dic_2018ir-018 次が、PPSコンパウンドです。 「PPS」はあまり聞き慣れない名前ですが、エンジニアリング・プラスチックの一種で、主な用途は、ここに出ている自動車のエンジン(周辺部分)や、ハイブリッドカーやEVのモーター部品です。ここに使われている合成樹脂です。 熱に強く、薬品に強く、軽くて丈夫で、(他のエンプラに比べて)わりと値段が安いといういろいろな特徴がありまして、今も売上高を伸ばしています。これも、2015年から2017年の3年間で売上高が(プラス)21パーセントと、大きな伸びを示しています。 市場成長率は4パーセントと書いてありますが、実際にここ2年ぐらいでは、ハイブリッドカーやEVが増えてきています。どちらかと言えばガソリン車よりも、ハイブリッドやEVのほうがPPSコンパウンドの使用量が多いので、実際には4パーセントよりももっと(市場成長率は)伸びています。 ここは(世界)シェアのトップです。製造拠点としても、日本だけではなくオーストリア・中国・マレーシアと、自動車産業の大きなところに拠点を持っています。

ディスプレイ関連事業:市場拡大以上の成長

dic_2018ir-019 ディスプレイ関連事業に戻ってきましたが、先ほどもご紹介した液晶材料と、カラーフィルタ用顔料です。 売上高の伸びもすごいのですが、ここで強調したいことは、世界シェアです。カラーフィルタ用顔料には、グリーン・ブルー・レッドの3色があるのですが、そのうちグリーン顔料は、スライドに書いてあるように、ほとんど当社が独占しています。85パーセントぐらいのシェアなので、みなさまが使っている液晶ディスプレイの大半は、当社のグリーン顔料が使われていると思っていただいてもいいぐらいです。 ブルー顔料はだいたい半分ぐらいのシェアですが、残念ながら、レッドはあまりシェアがないので書いていません。 得意不得意がありまして、我々はグリーン顔料に関しては、他社が真似できない特殊な顔料の特許技術を持っています。材料そのものが他社に真似できないところで、ここは非常に強い部分です。成長も、非常に高いです。

ヘルスケア事業:天然色素の拡販に期待

dic_2018ir-020 次に、次世代分野をご紹介します。 次世代分野にはいろいろとあるのですが、わかりやすいところで、天然青色素を例に挙げています。これはもともと、右下にあります「スピルリナ」で、藻なんです。塩水で育ち、これを砕いて錠剤のサプリメントにして、健康食品として売っています。 「なんで、インキ屋が健康食品なの?」というところですが、やはり化学会社として、「社会にどうやって貢献できる製品を生み出していくか?」で、ずっとたんぱく質の研究をしていました。 その中から、非常に高タンパクで健康にいい……薬品ではありませんので、効用を細かく言うことはできないのですが、健康食品・サプリメントとして使えるものを見出しまして、これを販売しています。 このスピルリナから、非常に鮮やかな青い色素が取れます。緑色の藻なのですが、中に青い色素がたくさん入っています。それを取りまして、(健康成分の)「フィコシアニン」(たんぱく質)なのですが、天然系の青色色素として販売を始めました。 これは、何が特徴かと言うと、青色の色素は日本ではあまり食べ物に使いませんが、アメリカやヨーロッパでは、わりと食べ物にたくさん使っています。 (使っているものの)なかなか、鮮やかな色が出ない。クチナシなどの色素があるのですが、天然系ではくすんだ青色になってしまって、きれいな色が出ない。なので、ほとんどは合成色素です。「青色なん号」のような合成色素が使われていますが、昨今の社会の流れとして、「合成色素は、止めていきたい」というニーズが増えてきています。 その中で、このフィコシアニンを使った天然青色素が、非常に鮮やかかつ天然系ということで、今注目されています。今後は、ものすごく強い市場の伸びが期待できそうということで、注力しています。ここ(スライド下部)にあるアメリカのカリフォルニアの南と、中国の南でも作っています。 おもしろいのは、食べるものですから、いろいろな認定が(かかわってきまして)……アメリカのFDAとか、ムスリム(や、ユダヤ教)の方でも食べられるように、ハラルやコーシャなど(の認定があります)。これらの認定を取りまして、世界中でいろいろな方に使っていただける材料として、供給しています。 スピルリナの原料生産量は世界No.1ですので、青色素の供給としても、ほとんどは我々がやっているという(ことです)。ちなみに日本国内では、右上にあるアイスキャンデーが主な用途ということです。コンビニで売っている青いアイスキャンデーに、当社の材料が使われています。 ちなみに、鮮やかな青色素を使うことで何が起こるかと言うと、今は「インスタ映え」ブームという(ものがあります)。 鮮やかな食品が作れ、日本国内でも、いろいろなシェフやレストランなど、製品を企画する方からけっこう注目されていまして、主にスイーツ・ドリンク類でご採用いただいています。 (色鮮やかで)すごく目立つことで、いろいろな方のInstagramにも出ているところです。

太陽ホールディングスとの資本業務提携

dic_2018ir-021 次世代分野について、もう1つご紹介しておきます。 エレクトロニクスです。ニュースをウォッチしている方の中には、昨年(2017年)の初めに、私どもが太陽ホールディングス株式会社と資本業務提携したことを、ご存じの方がいらっしゃるかもしれません。 太陽ホールディングスは、プリント配線基板用の(絶縁材料の)「ソルダーレジスト」で世界シェアトップの、リーディングカンパニーです。 私どもは太陽ホールディングス株式会社に、もともとはエポキシ樹脂や、色素・顔料などの材料を供給していました。この2社がコラボレーションすることで何が起こるかと言うと、プリント配線基板用の新しい部材、あるいは材料。ここ(スライドの左下)にイメージ写真がありますが、例えば最近、自動車の接近防止や自動運転などで、センサ類が増えています。 そうすると、小型の部品が出てくると、大きなプリント配線基板が作れないので、「部品そのものに、プリント配線をしてしまえ」ということです。そこで、例えばインクジェットで配線をしてしまいます。あるいは、「ソルダーレジスト」で(配線をします)。「ソルダーレジスト」は、配線の上から錆びないように保護する膜なのですが、このようなものも刷ってしまえと(いうことです)。 あるいは、我々は土台側でPPSやエポキシの樹脂をやっていますので、成形された回路の、土台側のケース自体を作ってしまえということです。 太陽ホールディングス株式会社は、エレクトロニクスメーカーと取引がありますから、市場ニーズがわかっていますし、評価技術があります。我々はいろいろな材料を持っていますので、そのニーズに合わせたいろいろな材料が供給できるということでコラボレーションして、今は新製品の開発をやっています。 まだ提携して1年ですので、市場に問えるような大きなものが出ていないのですが、来年(2019年)以降、新製品として世に問うていきたいと思っています。

英国セキュリティインキ事業の買収

dic_2018ir-022 (ご説明の)最後になってきましたが、トピックスとしてM&Aの1つ(について申し上げます)。 今年(2018年)の初めに、イギリスのセキュリティインキ事業を買収いたしました。LUMINESCENCE(ルミネッセンス)という会社名です。イギリスの、わりと規模の小さい……買収金額としては表に出てこないくらい、小さな規模のインキメーカーなのですが。 「セキュリティインキ」とは、例えば紙幣です。それから、パスポートのようにIDを要求されるもの。みなさまがお持ちのクレジットカードなども、そうです。それから、収入印紙などでは、海外にはけっこう複雑な印刷があり、偽造防止などにも使われています。いろいろな技術があり、印刷方法もさまざまです。 こちらの写真に出ているうち、一番左のものは、UVランプを当てると印刷物が出てくる(ものです)。みなさまがパスポートをお持ちであれば(イメージしていただきたいのですが)、ふだん見ているパスポートには、何も印刷が見えない部分があるのですが、イミグレーションで、係の人が何かをかざしていますよね? あれはUVランプにかざしていて、(パスポートが)本物かどうかを見ているのです。そのようなものに使われています。 真ん中のものは、例えば紙幣に使われていて、見る角度を変えると色が変わるインキです。偽物を作りますと、見る角度を変えても色が変わらないので、「これが偽札だ」とわかるという話です。 一番右のものは、(スライドの)画面ではわからないのですが、手触り感のある、盛り上げていく印刷です。このようなものもやっています。 ここ(ルミネッセンス)は、もともと高い技術力を持っていたのですが、イギリスの小さな会社ですから「信用力がない」ということで、紙幣のような大きな市場には、なかなか入れませんでした。 ここに、我々が資金を投入することで、あるいは先ほどの(ご説明にあった)幅広い世界中のネットワークを使うことで、これから市場に食い込んでいこうというかたちです。 もともと、スイスの大きな会社が、紙幣市場のほとんどを独占しています。やはり1社独占ですから、セカンドサプライヤーがほしいということで引き合いが強く、これからもシェアが伸びそうという話です。 このような技術力のある会社を買収して、世界のネットワークに乗せて拡販していく路線を続けています。

配当性向は30%程度

dic_2018ir-024 それでは最後に、みなさまのご関心のある配当・株主優待等をご説明していきます。 配当に関しては、今回の2016年から(2018年まで)の中期経営計画で、配当性向は30パーセント程度を目安に、お約束していくことにしています。ここまでは、どちらかと言うと「配当は、安定配当を重視」ということで、あまり金額をお出ししていなかったのですが、2015年くらいから増配を続けています。 最初にお見せしたように、業績も良くなってきていますので、稼いだ利益をきちんと投資家のみなさまにお返しするということです。 そのような中で、今は配当利回りが3パーセント台と、良い方向にきています。「なんでいいのか?」と言うと、ちょっとPERが低めになるわけですが。まずは、稼いだものをきちんとお返しする。一方、お返しした残りの分は、先ほどの成長(分野)へきちんと投資していくことを考えています。

PERが低い背景

dic_2018ir-025 PER(が低い背景)です。 今、「PERが低い」とぽろっとお話ししましたが、正直に言えば、株価がなかなか上がってこないのです。 ちょっと自虐的ですが、自己分析をしています。今日もいろいろとご説明させていただいたのですが、なかなか「成長戦略のうち、どこを成長させるのか」が、アピールしきれていない。 「インキの会社でしょ」と言われ続けていて、「いえ、そうではないんです。いろいろなものをやっています。自動車用の材料も、ディスプレイも、健康食品もやっています」という話なのですが、アピールしきれていない。 あとは、インキそのもののイメージの悪さ(があります)。印刷インキの市場そのものは小さくなっていないのに、「みんな、やっぱり新聞を読まないよね」ということで、「衰退産業」のイメージが付いてしまっている。 最初に申し上げた、DIC株式会社の認知度の低さです。それに加えて、リスク要因としての原料価格・円高が、なかなか我々の株価を押し上げていかない要因になっているかなと思います。 ここ10年くらいで見ますと、ずいぶん株価は上がっているのですが、まだまだ(証券アナリストの)コンセンサスには届いていない状態です。中小型と大型の間を、ふらふらしている感じです。

株主優待は年2回

dic_2018ir-026 最後の最後ということで、株主優待です。 先ほども申し上げたように、コンシューマ製品をやっていませんので、あまり自社製品で「これです!」とお出しできるものはないのですが。唯一お出しできる健康食品を、12月末基準の4月配付で、株主優待としています。 それと併せて、私どもは千葉県佐倉市に美術館を運営しています。「DIC川村記念美術館」です。 特徴があるのが、アメリカの戦後の美術を中心とした、どちらかと言えば、現代アートに近いものをコレクションしている美術館です。こちらの入館券付き絵ハガキを、2枚(贈呈いたします)。1枚で、2名様がご入場できます。 もう1つ、6月末基準では、DIC川村記念美術館を中心としたオリジナルカレンダーを毎年お配りしています。これは(贈呈時期が)12月上旬ですので、これからお配りするかたちです。基準日は過ぎてしまいましたが、このようなものをお配りしています。 (以上をもって、ご説明は)最後となりました。今日のお話で、少しでも私どもの会社に興味を持っていただけましたら、ぜひ弊社のホームページをご覧ください。IR情報だけではなく、製品情報やテレビCMの詳細など、いろいろとお知らせしています。 吉岡里帆さんのテレビCMを2016年から始めまして、今年(2018年)が3年目なのですが、やはり知名度がないということで……とにかく、会社名を知らしめたい。 最後に、またそれを言いまして(笑)。「ぜひ会社名を覚えて帰ってください」というのが、締めになります。どうもありがとうございました。 (会場拍手)

質疑応答:PPSコンパウンド事業とEVの関係は?

dic_2018ir-018 質問者1 PPSコンパウンド事業で「自動車用途で出荷増」とありました。これはEVが増えていることと、何か関係がありますか? 中川 EVもハイブリッドもそうなのですが、電装系の部品が増えてきます。今までのガソリン車ですと、点火プラグなどに使われていたのですが、EVやハイブリッドカーになりますと、モーターそのもの。あるいは、モーターの周辺にあるセンサや制御系の部品などにも、PPSコンパウンドが使われています。 先ほどの(ご説明にあった)耐熱性やいろいろな特性から、車のエンジン部分・駆動系部分にはPPSコンパウンドのシェアが高く、我々としては、今後はまだ伸びていきそうだと考えています。 質問者1 ありがとうございます。もう1件、化学メーカーでは原料や燃料価格が、利益に非常に影響するかと思います。御社では、どのようなものが影響しますか? 中川 私どもは基本的に、原料の7割が石油由来です。石油からナフサ、ナフサからBTX(ベンゼン・トルエン・キシレンなどの芳香族炭化水素)。BTXの次には、例えばアクリル酸やフタル酸やMMA(メタクリル酸メチル)など、そのような化学物質ができています。これを「誘導体」と言っていますが、BTXの次にくるぐらい(のもの)が、我々の原料です。 ですから、いろいろな原料があり、それぞれ価格の動きが必ずしもナフサには連動していないのですが、全体としては原油・WTIやナフサ価格が上がってくれば、どうしても原料(価格)が全体的に上がります。(逆に)下がってくれば下がります。 残りの3割は、石油由来以外です。例えば、無機顔料です。先ほどのアルミや、酸化チタン・酸化鉄のようなものと……顔料中間体と言っていますが、原料はさまざまです。石炭あるいは薬品などから作る、化学物質です。 質問者1 ありがとうございました。

質疑応答:JPX日経400採用について

質問者2 僕の質問は(個人投資家の)夕凪さんの(ご質問の)中に入っていて、重複している部分は除いてほしいのですが……いろいろと、ご説明ありがとうございました。事業については多岐にわたっていて細かいところになってしまうので、大きな質問をしたいのですが。 今はJPX日経400に採用されていると思うのですが、そのための財務戦略や、業績に対する目標などを意識されているのかを、おうかがいしたいです。 中川 JPX日経400の狙いとしては、例えば「資本の効率的活用」ですとか、「投資家を意識した経営観点」みたいなことを言われているのですが。我々はもともと、サステナビリティ経営で、そこにずっと取り組んでいます。サステナビリティ活動方針を毎年作って、毎年きちんと課題設定をして、順次クリアしていく作業を続けてきています。 結果として、JPX日経400にご採用いただいています。とくにJPX日経400だけを意識して、「採用されるために、このようなことをやろう」ということではなく、日々の取り組みの中で評価していただいたのかなと思っています。 質問者2 自然に入られるのはすごくいいと思うのですが、これを、けっこう証券会社が飯の種にしていて(笑)。「CBと一緒に自社株買いをして、そこで入れましょう」とか、「御社はボーダーぐらい……ギリギリのところにいるので、やりましょう」という人もいるのですが。 普通に入るのは当たり前だと思うので、非常にいいなと思って聞いていました。ありがとうございました。

質疑応答:さまざまな指数採用について

夕凪氏(以下、夕凪) (今のご質問と)関連なのですが、先ほどありましたサステナビリティで、いろいろなところに指数として採用されています。やはり、これもオリジナルの(施策の)結果から、知名度を狙ってやっているわけではなく、自然に入っているイメージですか? 中川 第三者機関の評価に関しては、例えば、直接インタビューや質問に来るケースも中にはございますので、一生懸命応えているところもあるのですが。 基本になりますのは、先ほどもご説明したように(当社は)化学会社なので、あまり環境にいいことをやっていなかったわけです。環境にいかに対応するか、あるいは最近であれば、働き方改革も含めたサステナビリティを重視しています。 我々はそのような活動の中で、日本だけではなく海外も含めてカバレッジを広げ、最近では水リスクへの対応などで、いろいろな課題に対する答えを出すかたちで、結果としてご評価いただけているのかなと思っています。

質疑応答:中計「DIC108」の進捗は?

叶内文子氏(以下、叶内) ありがとうございます。2016年から2018年という中期経営計画(「DIC108」)ですが、これについて、進捗具合などはいかがでしょうか? dic_2018ir-014 中川 もともと、私どもの中期経営計画では、今年度(2018年)の目標値は売上高で9,600億円、営業利益で650億円でした。(2018年業績見通しを)見ていただいておわかりのように、届いていないです。 売上高に関しては、2015年に計画した時点で、ドルを120円と置いてました。今は110円をちょっと割っている状態ですので、為替円高の影響で、どうしても連結決算の目減りが出てきています。3年間の増え方を見ていただければ、着実に数字が伸びていることはわかると思いますが、売上高としては、目標に届いていない。 一方で、営業利益に関しては、昨年(2017年)の半ばまでは、円高にもかかわらず、順調に伸ばしていました。逆に言えば、64ヶ国のいろいろな国で(事業を)やっているがゆえに、ドルだけではなくいろいろな通貨の影響を受けますので、収益にかかわる為替の影響が低いのですが、一方で、原料(価格)が……先ほどの(ご説明にあった)石油が上がりました。あるいは、酸化チタンなども、昨年から値上がっています。 原料が高騰しまして、昨年の後半から目標との乖離が広がってきたところで、苦しい状況です。ただ、原料高騰に関しては、順次価格転嫁をしています。我々としても、原料が上がります。石油が上がり始めてから、3ヶ月や半年をかけて我々の原料が上がります。それをお客さまに転嫁していく価格是正をするのに、また3ヶ月や半年ぐらいかかります。 どうしてもタイムラグがありますので、もうちょっと先までいきますと、そのぶんが補正されてきて、元に戻るところです。 叶内 為替・原料高騰あたりが(要因として)大きいということですね。M&Aも多用されていると思いますが、今後はどのような分野にM&Aしようかなとか、何か(お考えは)ありますでしょうか? dic_2018ir_plus-001 (1) 中川 あまりわかりやすくないのですが、中期経営計画ではこのようなエリアを狙っていますというグラフです。横軸は(「安定基盤事業」の)インキやポリマとか、それからすでに成長している(「成長牽引事業」の)PPSコンパウンドや(ファインケミカルの)機能性顔料みたいな軸です。 (これらは)すでにある程度の市場を持っていますので、これから(のM&Aの)目安となるのは、事業規模や売上高、地域などです。これらを拡大していくために、M&Aで(費用を)投じていこうという話です。 例えばインキ分野であれば、先ほどのセキュリティインキみたいな(ものが)、1つの新しい市場です。それから、エリアは、どちらかと言えば西へ向かっています。例えば、ポリマであればアジアの西側。インキは、もうアジアの西側にもありますので、さらに先……中東やアフリカなど、そのような方向へ向かって拡大していこうという流れが、1つあります。 あと、製品ラインナップの拡大について、「パッケージ」という分野で言えば、パッケージ用インキだけではなく、接着剤や周辺材料、ソリューションなど。いろいろなものを拡大していこうと考えています。 一方、縦軸(のうち、申し上げたいこと)は、今までまったく手を付けていなかった、次世代エリアです。例えば、今日ご説明した、ヘルスケア分野の天然青色素です。 また、先ほど申し上げた太陽ホールディングスとの提携では、センサ類。例えば、「プリンテッドエレクトロニクス」という話があります。今までのプリント配線基板と言うと、銅板を貼ってエッチングをして、回路を作る。 ところが、(それを)例えばインクジェットなどで回路を刷ってしまうということです。そのための、インクジェットのインキが必要です。我々はこのインキを作れます。そうすると、非常に多種多様な回路が印刷できます。 最終的に、どのようなところで使われるかと言うと、例えば肌に貼る回路を作って、電源も人体の生体電位から取って……ということで、生体センサみたいなものを作ってしまうとか。まだ夢みたいな技術ですが、将来は、そのようなところもできないかなと考えています。 あるいは、今「セルロースナノファイバー」が話題になっています。セルロースを、ナノレベルまで小さく砕いた材料を使って、プラスチックの成形品を作る。あるいは、プラスチックの成形品を作るための材料を我々が作るところにも、取り組んでいます。 あとは、先ほどの(ご説明にあった)バイオマス原料です。「環境の影響を減らす、バイオマス由来のインキ・顔料製品を作れないかな?」という部分に、資金を投じようとしています。 叶内 ありがとうございます。

質疑応答:「世の中を変える製品」はある?

夕凪 今、せっかくそのような話をされたので(おうかがいしたいのですが)、夢の話でもいいので、「このような製品があるので、世の中はこれで変わっていくんじゃない?」みたいな代表的なものが何かありましたら、少しうかがわせていただけたらと思います。 中川 今ご説明した中に入っているのですが、1つは、これからどんどんセンサ(類)が増えてくると思います。 先ほどの(ご説明にあった)自動車でも、「センサが付くことで事故が防止できる」とか「自動運転ができる」とか。そうなると、回路が増えてきて、作り方もさまざまになってくる。それを、印刷技術を使ってなんとかできないかなと(考えています)。あるいは、3Dの造形があります。あのようなものも、考えられるのではないでしょうか。 結局、「センサを作るには、電気の技術だけではなくて、そのような化学の物を作る技術が必須だよね」というところで、我々の出番がくるのではないか。あと、セルロースナノファイバーは、もっと幅が広いです。最終的には、「自動車のボディを作れないか」とか、そのような話もあります。どこまでいけるかはわかりませんが、非常に未来を感じさせる材料だと思います。 あと、先ほどの(ご説明にあった)バイオマス由来材料です。先ほどの原料の話で出ましたように、我々は石油から原料を得ていますから、環境的にはCO2の放出量を増やしているわけですし、石油の値段が上がると、原料が上がるところになります。 バイオマス由来の原料になれば、例えば「藻で原料を作る」あるいは、「植物から原料を作る」ということになりますと、トータルのバランスから言えばCO2は増えませんし、環境にも優しい。人体にも優しそうな感じがしますよね。このようなことで、世の中の化学へのイメージを変えていけるのかなと(考えています)。 結果として、みなさんの生活にもっと……先ほど(申し上げた)我々の「化学で彩りと快適を(提案する-Color & Comfort by Chemistry-)」というキャッチフレーズなのですが、社会の「快適」になるように。あとは、「彩り」が豊かになるようにということで(笑)。そのようなことを、考えています。 夕凪 ありがとうございます。 叶内 わかりました、ありがとうございます。「ストロー(の使用)も止めてしまおう」という時代ですからね。 中川 そうですね。あれも、ベースは紙ですが。紙には、実は糊などのいろいろな材料が入っているんです。プラスチックはなくなっても、化学物質は使われますから。 叶内 「いろいろなところで環境に優しい」というのは、1つのテーマになりそうです。

質疑応答:「貿易戦争」の影響は?

質問者3 本日は、ありがとうございます。先ほどのストローの話が、ちょっと僕も気になっていて。「プラスチックは、海に投げちゃいかん」という話で、「海でも分解できるプラスチック」みたいなものに、今はいろいろな会社が取り組んでいるのかなと思っているのですが。御社は、そのような取り組みはやっていないんですか? 中川 一概に「プラスチック」と言いましても、いろいろな種類があります。今問題になっているものはポリオレフィンなど、我々が「熱可塑性樹脂」と呼んでいる(加熱すると軟化し、冷却すると硬化する)カテゴリーです。ショッピングバッグやストロー、あるいは包装の類いです。そのようなものが、結局ゴミとして捨てられて、海に出てマイクロプラスチックになっていくと(いうことです)。 我々がやっている合成樹脂は、基本的にはそれとはちょっと違う(もので)「熱硬化性樹脂」と言いまして、熱で(化学変化を起こし)固まったら溶けません。用途としては、印刷物や塗料という、どちらかと言えば燃やすか、あるいはゴミにならないような長期間使われる働きのものです。 ですから、そのようなマイクロプラスチックや環境プラスチック問題は、当社に対してダイレクトには影響してきません。 間接的な話で言えば、先ほどのストローの糊の部分に当たるようなものも、合成樹脂でできています。あるいは、プラスチックの中でも燃やせるものや、環境に対応できるもの……先ほどおっしゃった(他社の「海でも分解できるプラスチック」である)「生分解性ポリマ」みたいなもの。我々は、生分解性ポリマの大きな製品は持っていないのですが、それを使いやすくするために、いろいろなもの(がございます)。 それから、インキでも、結局はプラスチックフィルムの上に印刷しているわけです。これが環境に害を及ぼしてもしょうがないですから、先ほどの(ご説明にあった)ようなバイオマス由来のものということで、「環境から取って、環境へ戻す」という材料に取り組んでいます。 質問者3 わかりました。あともう1点、お願いします。最近、「(米中)貿易戦争」が、よくニュースで取り上げられていると思うんです。 御社でも、たぶん中国や他のところとかで、いわゆる関税にかかわることが(影響として)けっこう大きいのかなと思うのですが。これらの関税に対する影響って、どの程度だと考えていますか? 中川 「影響がない」とは、ちょっと言えないです。一番影響があるのは、顔料です。顔料は世界中に拠点があって、それぞれで、例えば「青色はここ」「赤色はここ」みたいな感じで作っていて、輸出入がありますから。 原料も含めて、例えばアメリカと中国の間でやり取りしているものがあります。これは、影響を受けると思います。金額はまだちょっと定かではないのですが、ある程度の影響があります。 この影響に関しては、先ほど申し上げたように、いくつか工場が集中している中で、例えば中国の工場からアメリカに出せないのであれば、インドネシアや日本の工場から出すことでバランスを取って、影響を軽減できる体制にはなっています。 その他の製品で言いますと、日本とアジアの間ではある程度、合成樹脂などの輸出入がありますが、基本(的に)印刷インキは地場産業と言いまして、ローカルで作ってローカルで消費する(ものです)。 ヨーロッパなら、ヨーロッパで作ってヨーロッパで消費する。アメリカは、アメリカで(作って消費する)ということです。ほとんどが域内消費なので、あまりそのような貿易摩擦の直接的な影響は、受けないというところです。 あとは、石油ですか。そのあたりが、気になるところです。 質問者3 ありがとうございました。

  
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DIC、18年の予想PERは9倍 投資フェスで明かす、5つの背景
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