2018年8月期第1四半期決算説明会
篠田真貴子氏(以下、篠田):株式会社ほぼ日CFOの篠田です。今日はお忙しい中、大勢のみなさまにお集まりいただき、誠にありがとうございます。
当社の2018年8月期第1四半期の業績につきまして、これから30分弱のお時間を頂戴して、私からご説明申し上げます。
株式会社ほぼ日とは
こちらは、いつもご紹介している、当社の事業概要です。
ほぼ日の提供するおもな場
こちらは、当社が提供しているおもな場です。こちらについては、ご覧いただいたという前提でご説明していきます。
サマリー
サマリーです。
1つ目のトピックは、第1四半期の業績報告です。全部で4点あります。
まず1点目に、全体の数字としては、売上高・経常利益ともに、前期比でプラスとなっています。
2点目に、主力商品の「ほぼ日手帳」につきましては、この期の11月1日に発表・発売した新商品(「weeks MEGA」)が、増収につながりました。
3点目に、手帳以外のほぼ日商品の部分も、売上が大きく伸びています。こちらについては、3月に1回目を開催した「生活のたのしみ展」という大きな物販のイベントです。これの2回目を11月に開催しました。その売上が貢献して、増収になっております。
4点目に、コストと利益のお話です。販管費が、売上の増加にともなって増える販売費のほかに、人件費の増加がございます。上場時から継続的に申し上げているように、当社では事業拡大に向けて人員の増強を図っており、それによる人件費の増加です。
それから、今3点目に申し上げた、「生活のたのしみ展」の開催費用です。これが前年(2017年8月期第1四半期)にはなかったコストとして発生しており、利益の伸びは売上より低くなっています。
2つ目のトピックは、第2四半期の取組紹介です。詳しくは、あとでご紹介します。
1点目の新商品は、「ほぼ日5年手帳」です。こちらは(2017年)12月1日に一般販売を始めました。同じく12月1日に、2点目の新商品の「ほぼ日のアースボール」も、一般販売を始めています。
それから3点目に、新しく人々が集う「場」になっていく「ほぼ日の学校」の開校記念イベントを、12月に開催しています。正式な開校は、一昨日の(2018年)1月16日でした。
【Q1業績報告】P/L前期比較
それではまず、数字の説明からまいります。8ページをご覧くださいませ。
毎年9月1日に、翌年から始まる手帳を発売します。例年どおり(2017年9月1日に)こちらが発売になりました。スライドをご覧ください。
売上高が、この2018年8月期第1四半期で20億7,700万円で、合計では(2017年8月期第1四半期から)約4億円伸びております。そのうち1億6,300万円が、ほぼ日手帳の伸びになっています。
この成長に貢献したものが、新しい判型のweeks MEGAです。それから、社内でOEMと呼んでいる、よそさまのブランド用に別個デザインした手帳があります。そちらの販路で販売していただくかたちの、新しいタイプの卸が貢献しました。
約4億円増の売上高のうち、ほぼ日商品が2億3,600万円の貢献をしています。こちらは、規模を拡大して(2017年)11月に開催した、生活のたのしみ展が牽引しています。
売上原価のご説明です。伸び率で見ていただくと、売上高が23.8パーセント伸びたことに対して、売上原価の伸びは37.0パーセントです。原価のほうが伸びが高く、売上に対する原価率でいくと、約4ポイントの悪化をしています。
この理由は、商品構成の変化によるものです。生活のたのしみ展は、まだ開催が2回なので、発展途上の事業です。現在のところは、仕入れによる商品の売上の比率が高いです。そのため、ほぼ日手帳の自社企画商品よりも、原価率が高いものの構成比が、この3ヶ月では高くなっていくということです。
販管費は、冒頭で申し上げたように、前期からの伸び率は29.0パーセントです。金額では1億4,600万円増えて、6億5,000万円を計上しています。
この理由は、売上高が20数パーセント伸びたことにともなう販売費用(発送費等)と、昨年度から継続的にしている、商品あるいは場の増強に向けた、人材への積極投資による人の人件費の増加などです。また、繰り返しになりますが、生活のたのしみ展の開催費用です。これが、昨年はなかったものですので、これが新たに乗ってきたかたちになっております。
結果として、営業利益は5億6,100万円・経常利益は5億6,300万円で、それぞれ約4パーセントの伸びになりました。
【Q1業績報告】販路別売上高
それではここから、売上高を販路別・地域別に見ていきます。
まず、販路別です。この四半期に関しては、直販が大きく伸びました。伸び率でいくと、24.8パーセントです。ここは、繰り返しになりますが、生活のたのしみ展が直販になりますので、その貢献が大きいです。
次に、卸の伸び率は、20パーセントを超えて30パーセントぐらいになっています。先ほど冒頭で申し上げた、ほぼ日手帳のweeksの別注タイプが貢献しています。それから、ほぼ日手帳の卸の販路が、Amazonや海外等で少しずつ広がっておりまして、それが伸びに貢献しています。
【Q1業績報告】地域別売上高
続きまして、地域別です。お手元の資料の10ページです。こちらでは、いちばん大きい国内(日本)売上が、(2017年8月期第1四半期の)12億7,800万円から(2018年8月期第1四半期で)16億3,300万円になりました。そして、太枠で囲ったところが海外売上です。3億9,900万円から4億4,400万円ということで、11.4パーセントの増加となりました。
これも主に、生活のたのしみ展がこの四半期の売上の伸びを牽引していることもあり、海外売上高比率という意味でいくと(前期から)少し減って、21.4パーセントになっています。
海外売上の国別比率では、(構成比の)順位は変わっていないのですが、中国の売上が少し落ちています。一方、その他のアジア圏……香港や台湾などが大きく伸びて、アジア圏全体としては伸びています。地域別売上高は、このような状況になっております。
【Q1業績報告】貸借対照表(17/11末時点)
こちらは、貸借対照表です。2017年の8月末と11月末で比較しています。
大きなポイントとしては、9月1日(に販売開始)の手帳です。大型基幹商品の発売に向けて、8月末時点では棚卸資産がかなり大きいのですが、今(11月末時点)は、これが順調にはけております。負債も、仕入債務のところが減っているという動きになっています。
ここまでが、数字を中心にしたご説明でした。
【Q1業績報告】ほぼ日手帳2018①
ここからは、少し画像などを交えて、商品やイベントの様子をご紹介します。
まずは、「ほぼ日手帳2018」です。(2017年)9月1日にウェブ販売と、それから卸先での店頭販売を開始しました。
例えば、かなり古くからあるドイツのぬいぐるみメーカー「シュタイフ」とコラボレーションしています。そちらの素材を使ったカバーと、別注のぬいぐるみを合わせて、手帳の範疇として販売していくなどの、話題作りもありました。
【Q1業績報告】ほぼ日手帳2018②
次のスライドをご覧ください。(2017年)10月1日に、THE BEATLESとコラボレーションというかたちで、(ほぼ日手帳の)カバーを発売しました。THE BEATLESの曲名をイメージして、日本の3名のクリエイターに4タイプのカバーをデザインしていただきました。このような目玉商品が牽引するかたちで、ほぼ日手帳の売上は伸びています。
【Q1業績報告】ほぼ日手帳2018③
こちらは、新商品の1つのweeks MEGAです。週間タイプのメモページを、3倍に増やしています。ページ数を増やしているものの、厚みとしては5ミリ増えただけなので、これまでのカバーも、多くのものが使えますよという商品性です。
ほぼ日手帳について、もともとの1日1ページ型も、「たくさん書ける」ということを魅力に感じているお客さまが多いところから、このような商品を投入しました。
【Q1業績報告】ほぼ日手帳2018④
卸の伸びの一因としてご紹介申し上げたのは、このスライドにあるような、外部のブランドデザインの表紙に変えた週間タイプ手帳です。実物は、今持っていないのですけれど……(手帳を広げて)本来のほぼ日手帳は、このようなプレーンなカバーです。このカバーを(外部ブランドのものを)出しています。例えば、「ドラえもん」のカバーがあります。これは、藤子・F・不二雄ミュージアムで販売されています。
また、例えば、人気の漫画の『宇宙兄弟』の新しい単行本が出るときに、それの特別バージョンを出しています。『宇宙兄弟』の表紙の手帳と、漫画がセットでいくらですよというノベルティ品になるかたちで、今は新しい販路を作りつつあります。
ここまでが、ほぼ日手帳のご説明です。
【Q1業績報告】生活のたのしみ展
続きまして、(2017年)11月15日から19日までの5日間に開催した、生活のたのしみ展です。3月は(会期が)3日間で、出店数も、ブースで20店プラス飲食で7店という規模感でした。今回は、全部で59店のブランドやクリエイターの方に出ていただきました。会場面積も大きく広げ、会期も5日間としています。
その結果、レジの回転数で申し上げますと、前回は15,700件だったのが、今回は31,600件になりました。細かい話なのですが、前回はお店ごとにレジがあったものを、今回は集中レジにしています。そのため、同じ比較はできず、今回の1決済あたりの単価は、当然大きく上がっています。(会場の)六本木ヒルズアリーナという、テレビ朝日のわきの広い場所が、このような賑わいでした。
スライドショーのようなかたちで、少し当日の様子を振り返ってみます。
(生活のたのしみ展の画像が流れる)
篠田:意外と、平日も週末もこのようなにぎわいで、商品が見えづらいぐらいの感じです。このように、アパレルやジュエリーといった、Web(で販売する)よりもこのようなところ(現地販売)に向いている商品を、扱うことができるようになりました。
実際に(商品を)作っている方が来てくださっています。また、機織りの体験ができるというものもあります。
(画像を指して)こちらはお弁当です。
初日は、アリーナの外のけやき坂のところまで、行列ができてしまうような状況でした。その日のうちにオペレーションを改善して、2日目以降はそこまでの列が発生しないようにしました。週末は、より多くのお客さまが来てくださったのですけれども、ここまでの混乱はなかったと思います。
ほぼ日のアースボールを、ここで先行販売しました。糸井重里が先頭に立って、ずっと大道芸人のように販売しました。
(画像を見せて)「わざと混んでいるところだけ撮っているでしょ」と思われるかもしれませんが、ずっとこのような感じです。
他にも、絵本作家かつイラストレーターで、すごくファンの多いヒグチユウコさんという方のデザインをあしらった商品を販売しました。また、ライブペインティングというかたちの催しがあります。現場では絵を描きづらいので、(会場から)すぐ近くの場所で絵を描いている様子を、中継で見られるという催しも行っています。
我々ほぼ日社員がスタッフとして総出になり、そこに加えてアルバイトスタッフがおり、延べ130人の応援がありました。
ここまでが、生活のたのしみ展の様子です。これについては、前回の説明会でも糸井が少しお話ししたと思いますが、今見ていただいたように、(生活のたのしみ展は)お客さまと、Webでは扱いにくいコンテンツホルダーが集まる場になっています。
それに加えて、前回糸井が申し上げたように、「ほぼ日で働きたいけれども、ずっとは難しい」「数日間だったら、ぜひやってみたい」という方たちに、アルバイトスタッフとして(働いていただき、その方々と)出会える場になったという意味でも、非常に手応えを得た取り組みになっております。
【Q2の取組み】ほぼ日5年手帳
続きまして、第2四半期の取り組みを少しご紹介して、私からのご説明を終わりにします。
まず1つ目ですが、(2017年12月1日に)「ほぼ日5年手帳」という新商品を発売しました。一般的な5年日記と、機能的には大きく変わりません。ほぼ日手帳と同じ文庫本の大きさで、見開きで1日というかたちで、左側が5年分(の日付入りページ)、右側が空欄のフリーページになっている仕様です。普通のほぼ日手帳よりは、若干分厚くなっています。
ほぼ日手帳で特徴的な、これまで「ほぼ日刊イトイ新聞」で掲載された「日々の言葉」の中でも選りすぐりのものを、こちらに365日分載せました。
生活のたのしみ展で先行販売して、非常にご好評をいただきました。ロフト・Amazonと、初めてジャパネットたかたさんで、この商品を扱っていただいています。
また、海外のユーザーからも(手応えを得ていて)、どうも海外では、そもそもこのような5年日記のようなものがないようです。まるでほぼ日が発明したかのような、「すごくいい考えですね!」というかたちで、いい手応えを得ております。
【Q2の取組み】ほぼ日のアースボール
2つ目が、ほぼ日のアースボールです。これは前回の説明会で実物をこちら(決算説明会の場)にお持ちして、みなさんに見ていただきました。生活のたのしみ展で先行販売をしたところ、けっこうな数を用意していたのですけれども、5日目の早い段階で、現場の分は完売しています。
おかげさまでWebでもご好評をいただき、メディアの取材などで取り上げていただいた効果もあって、いいスタートが切れたかなと思っております。
ほぼ日のアースボールの商品性は、柔らかい素材のビーチボールのような地球儀で、それに連動するアプリがあります。アプリ側で、その地域に紐付いた世界遺産の動画コンテンツや、あるいは小学館さんの恐竜図鑑(小学館の図鑑NEO 新版『恐竜』)のコンテンツが入っていて、その恐竜の遺骨……じゃない、なんて言うんでしたっけ?(笑)。
(会場笑)
篠田:化石ね。まあ、遺骨なんですけど(笑)。化石が出土した場所がわかるような機能があります。このコンテンツを拡充していくことが、将来の展望としては可能になってくるわけです。
いわば、これが新しいコンテンツのプラットフォームになるポテンシャルというものも、まだ発売して1ヶ月ちょっとですけれども、「自分たちの仮説は間違ってはいなかったのかな」という手応えまでは、得ることができていると感じております。
【Q2の取組み】ほぼ日の学校
この第2四半期の取り組みの、最後のご紹介です。3つ目は、ほぼ日の学校です。こちらは、古典というものを、現代の私たちの暮らしの中で改めて学んでいこうというものです。ただ文献を分析するような学術的なアプローチというよりも、私たちの日々の暮らしや人生へのさまざまな教えや示唆がある、生きたものとして学ぶ場にしたいと考えています。
(2017年)12月にはオープニング記念として、草月ホールでイベント(「ごくごくのむ古典」)をしました。(スライドに)登壇者が出ています。手前の白っぽい衣装の方は、シェイクスピア作品ばかりを上演する劇団の方です。その方たちのリードのもと、客席のみんなで『ロミオとジュリエット』のセリフを言い合うというような、体験も交えたイベントでした。
この方たちと一緒に、一昨日(2018年1月16日)に第1回を開講しました。今回の講座の受講生枠は、99人です。99人の生徒さんの募集に対して、大勢の応募がありました。講座は全14回なのですけれども、全部売り切れをしています。この内容を「オンラインクラス」で有料で楽しんでいただけるように、今準備を進めております。
ここまでが、第2四半期の取り組みのご説明でした。
社是
ずっと申し上げておりますが、「夢に手足を。」というのが、当社の目指すところです。夢、あるいはビジョンというものをそのままにしておかず、しっかり手足をつけて、お客さまと楽しんでいきます。それが、いずれは私どもの収益になっていくということを、引き続きやっていこうと思います。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:社名「ほぼ日」の由来と上場の理由について
質問者1:新宿で不動産業をやっている者です。今日は、初めてお話を伺うことができました。ありがとうございます。事前に勉強してくればよかったのですが、基本的なことを2点お尋ねします。
1点目に、社名の「ほぼ日」が意味するところについて教えてください。2点目に、そもそもなぜ上場しようと思ったのかについて、教えてください。
篠田:ご質問を2ついただきました。「株式会社ほぼ日の『ほぼ日』の由来と、上場の理由」です。
まず、「ほぼ日」(の由来)について。株式会社ほぼ日の旧社名は、「東京糸井重里事務所」です。フリーランスのクリエイターだった糸井重里の、個人事務所でした。1998年に、糸井の個人的なさまざまな思いがあって、Webサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設しました。この長い「ほぼ日刊イトイ新聞」の略称を「ほぼ日」と言って、ずっと運営してまいりました。
その「ほぼ日」という名前がお客さまに浸透し、自分たちも社外の方から、「『ほぼ日』の篠田さんに、会ったことがあるよ」「あの人、『ほぼ日』で働いているんだよね」「『ほぼ日』の、あの商品はいいね」と、広く受け入れていただいていることを踏まえ、上場を控えたタイミングで、それを社名にしています。
次に、上場の目的なのですけれども、大きく言うと、現在と未来の話の2つがあります。
現在の私たちにとって……社会性と言ったらいいのでしょうか。上場しなくても、ある一定規模の中で「お客さまと小さく楽しくやっていく」という現実は、すでにできあがっていたのですが、それだけですと、ちょっと独りよがりになってしまいます。
それよりも、「『より広く社会に認められ、求められる存在になること』を自分たちが求めないと、自分たちの成長が止まってしまう」という危機感がありました。直接の危機感としては、東日本大震災です。
そこで、会社の目指すところに関する質的転換があって、ここにいらっしゃる方々を含む顧客……いわゆる、商品を買ってくださる方や読者とは違うステークホルダーに関わっていただき、我々を見て鍛えていただくことが、まず現在の我々に必要であると考えました。
未来については、その延長上になります。糸井重里は、「自分がいなくなった後も栄える会社」……もっと言えば、「自分がいなくなったら、より栄える会社を残したい」と考えています。
そうなったときに、正直に申し上げて、今は「糸井重里」というものの方が、「株式会社ほぼ日」よりもおそらく知名度は高いし、社会的信用もある状況だと思います。「会社としての信用あるいは実績を世の中に見ていただき、蓄積していくことなしには、その未来は到底描けないな」という問題意識から、上場を考えました。お答えになっているでしょうか?
質問者1:はい。
質疑応答:改元と手帳ビジネスの関係について
質問者2:1点目に、御社の手帳の販売は、季節性が非常に大きいものです。第1四半期だけを見ると、社内の計画と比べて良かったのか、ほぼ予定どおりなのかというイメージについて、教えてください。
篠田:今ご質問いただいたのは、「第1四半期の手帳の売れ行きが、社内の予想に対してどうだったのか」です。売れ行きは、予想どおりです。
質問者2:わかりました。2点目に、イベント(生活のたのしみ展)について教えてください。第1回はイベントとして育成段階なので、まだ利益貢献には至っていない感じだったと思います。第2回以降は、利益面での影響は、どのようなイメージになっているでしょうか?
篠田:マイナスかプラスかと言えば、プラスです。ただ、本当の意味での事業としての貢献には、まだ伸びしろがあると思っております。
質問者2:わかりました。3点目に、御社の手帳のビジネスについて教えてください。元号が変わりますよね。あと、祝日もちょっと変わる可能性があります。1年だけのインパクトかと思いますが、このあたりの手帳のビジネスへの影響や、季節性が変わることについて、どのような影響を想定されているかを教えてください。
篠田:今のところ、プラスにもマイナスにも影響があるとは思っていません。そう言いますのは、私どもの手帳の使われ方は、もちろんスケジュール管理もあるのですけれども、どちらかと言うと、ユーザーの方に「日々の何かを記録していくもの」として使われる方が多いです。このようなことから、先ほどのような見解になっています。
質問者2:それに対応して、何か特別にスケジュールを変えるようなことも、基本的に予定はないということでしょうか?
篠田:ございません。例えば、今販売している商品では、5年手帳がございます。こちらは向こう5年(使用するもの)で、今元号の変更が予定されているので、元号を入れないかたちで販売しました。
質問者2:わかりました、どうもありがとうございます。
質疑応答:第2回生活のたのしみ展で、うまくいったことは?
質問者3:エース経済研究所のサワダと申します。どうもご説明ありがとうございました。3点お願いいたします。
1点目に、生活のたのしみ展について伺いたいです。「1回目の反省を踏まえて、また2回目に活かしていく」というお話がありました。今回の2回目で、「これはうまくできたのではないか」という点があれば、教えてください。
篠田:わかりました。ご質問は、「生活のたのしみ展で、とくに前回との比較でうまくいったことは何か?」でしょうか。今回は、規模の拡大・コンテンツの質的・量的な拡充を同時に達成できたことが、一番大きな成果だったと思っております。
前回は、このようなリアルのイベントが初めてだったこともあって、正直3日目には人気商品が店頭からなくなってしまい、他の商品を回して、なんとか場が荒れないようにするということがありました。今回の2回目では、そのようなことは基本ございませんでした。
さらに、質という面でも、先ほどちょっと(画像を)見ていただいたように、ジュエリーやアパレルも、かなり種類を拡充しました。
あともう1つは、実は前回は、ほぼ日の商品を前面に出さずに「(ほぼ日としては)あくまで他のクリエイターの方をプロデュースする」という位置づけでした。2回目では、それがありながらも、ほぼ日の商品をしっかり紹介することにチャレンジして、良い手応えを得ております。
質問者3:ありがとうございます。2点目に、ほぼ日の現在の販路について、ちょっと確認したいです。以前から、直販されている分・ロフトさんに卸されている分・Amazonさんに出されている分がありました。
今回はOEMを始めたということでした。これは多分、商品によって、また販路が個別になってきます。これは企画が広がれば広がるほど、どんどん販路が広がっていくという見方をしてよろしいでしょうか?
篠田:はい、そのようにご理解いただければと思います。
質問者3:ありがとうございます。3点目に、アースボールの現時点でのご評価と、今後の展開についてお伺いしたいです。
ひとまず、生活のたのしみ展で完売、しかも想定数より売り切れてしまった状況かと思います。今後も、コンテンツの拡充をしていき、また本体を売るというビジネスをどんどん強化していくと、理解してよろしいでしょうか?
篠田:はい、そのようにご理解いただければと思います。「今の商品の製造能力を超える可能性もあるかもしれない」というところまで、今社内では見据えています。その場合、「(現在の作り方と)違った、より製造量をまかなえる作り方に変えるべきなのか」というところも含めて、今検討をしている状況です。
質問者3:ちょっと失礼かもしれませんが、(アースボールは)見た目では、ビーチボールの作り方と、それほど変わらないのかなと思っております。あれを製造する際にネックとなるのは、例えば印刷の部分なのでしょうか? それとも、ちょっと入手が難しい素材がなのでしょうか? 加工が難しいのでしょうか? そのあたりを、教えていただいてもよろしいですか?
篠田:大きくは、加工の部分になります。実物を見ていただくとおわかりのように、印刷が非常に精密です。地球儀としてズレがあってはならないし、糊を貼りすぎてしまって小さい島が見えなくなるとか、そのようなことが一切あってはなりません。一見、素材は一般的なビーチボールと変わらないように見えますが、実は素材の製造工程は、かなり精度が高いものになっています。
製造は凸版印刷さんにお願いしているのですが、そのような商品性が求められるものは、なかなか類似商品がないので、一緒に試行錯誤をしながら、製造効率を上げていく方法を考えているところです。
質問者3:どうもありがとうございました。
質疑応答:アースボールの供給状況について
質問者4:ほぼ日のアースボールの、出荷状況について伺いたいです。一応ホームページを見ると、「(増産中で)1月中旬から出荷再開」とか、店頭でどれだけ売られているのかわからないのですが、「全国のロフトや東急ハンズの店舗によっては、在庫があるようです」という状況です。
ネットでも、Amazonで1万円で売っているとか(笑)。「想定以上に売れてしまった」ということだと思いますが、供給面は大丈夫なのかなと心配しています。
篠田:はい。今のご質問は、「供給面をがんばれ」という励ましということで、よろしいでしょうか?(笑)。
質問者4:そうですね(笑)。そうです。あと、一応(1月中旬に出荷を)再開をするけれど、すぐにこのような状況が再び起きてしまうリスクはあるのかについて、確認したいです。
篠田:わかりました。そのようなリスクを回避すべく、今努力しているところです。その前のご質問でちょっとお答えしたように、まだ(アースボールを)発売して1ヶ月半なので、早々に申し上げることではないと思いますが、可能性として現在見えている需要、あるいはそれ以上の需要のポテンシャルがあるとするならば、製造面からよりキャパが広がるような見直しをする必要があるかというところまでは、社内の認識を統一しています。
質疑応答:大幅な売上増を考えている会社なのか?
質問者5:前期比で20~30パーセントの売上増ではなくて、2倍、3倍、もしくは10倍のような爆発的な成長を遂げることを考えているとします。魅力的な商品を供給されているのですけれど、「物販」にとどまってしまうと、なかなか難しいのではと思います。
もし大幅な成長を考えているならば、物販以外の商品・サービスの供給をお考えなのかについて、教えてください。
篠田:はい。まず、大幅な成長を目的関数にしている会社ではないです。そのため、「(売上高を)一気に何倍に増やすために、何をするか」という事業は、実は組み立てていません。
それでは、当社が何を基軸にしているかと申し上げますと、「コンテンツを仕入れる力をいかに確保し、さらに高めていくか」というところに、注力しています。
先ほどの生活のたのしみ展は始まったばかりなので、上場時にありませんでした。それを例として申し上げると、あれがなかったらお付き合いができないクリエイター・我々が手がけることのできない商品のコンテンツがあるということは、先ほどの説明でも、少し感じていただけたかと思います。
あれが手に入ることで、もちろん「販売」という売上にもなりますけれど、それを生んだクリエイターの方とのお付き合いを通して、新しいものを売り出していくポテンシャルを身につけていく時期だと考えています。結果として、売上が大きく伸びるタイミング、あるいは伸びる事業ということを構想できたら、それはもちろんそれの可能性を排除するということでは、まったくございません。
少なくとも今は、繰り返しになりますが、売上のために何かをするというよりも、より我々が作る「場」の質的な拡充を主眼に、着実に事業の力をつけていくということを考えています。お答えになっているでしょうか?
質問者5:ありがとうございます。
篠田:ありがとうございます。
質疑応答:第1四半期の業績予想について
質問者6:1点目に、「ドコノコ(いぬねこ写真アプリ)」について伺いたいです。今回はドコノコについては何もご説明がなかったのですが、この3ヶ月くらい、あまり動きがなかったということでしょうか?
篠田:はい。ドコノコについては、ダウンロード数は着実に伸びていて、今(2018年1月18日時点)は17万ダウンロードまできています。今回はトピックとして、正直手帳という目玉商品が出ていることと新商品のご紹介と比べると、お伝えすべきポイントが少なかったかなと思って、今回のスライドからは省いていました。
こちらが、ダウンロード数の推移です。お手元の資料ですと、Appendicesの26ページです。
質問者6:2点目に、人員増加について伺いたいです。人を増やされたということですが、この3ヶ月ではどれくらい増えたのでしょうか?
篠田:この3ヶ月では、ほとんど増えておらず、1名の入社がありました。ただ、去年との比較でいきますと、去年(2017年)の11月末だから……12月以降に入社したものの人件費が、去年のこの3ヶ月(2017年8月期第1四半期)にはなかったけれども、今年(2018年8月期第1四半期)にはあるということです。この人数は、ちょっと手元にはないので、正確な数字を申し上げられないのですけれども、複数名入社しています。
質問者6:3点目に、業績について伺いたいです。「(業績は)第1四半期の計画比予想どおり」と、さらりとお答えいただきましたけれども、個々に見ると、予想どおりにいったもの・いかなかったものがあると思います。予想より費用がかかったところ・かからなかったところがあると思います。それを、もう少しブレークダウンしていただきたいです(笑)。
篠田:そうですね(笑)。おかげさまでほとんど予想どおりで、どこまでブレークダウンするかですけれども……生活のたのしみ展も、正直、業績予想のとおりです。
ただ、自分たちの気持ちとしては、けっこうがんばって業績予想に乗せたという気持ちがあります。(生活のたのしみ展は)まだ2回目だったので、「自分たちの思惑どおり進めばこの数字は達成できるけれど、果たしてどうだろうかというリスクがある」と思って、前回はご説明しました。
結果としては、そのようなマイナスのリスクが実現することはなく、思ったとおりにできたという意味では、感覚値・手応えとしては、予想を超えるものです。数字としては、そこも(業績予想の)数字に入れたというお答えになります。
質問者6:生活のたのしみ展の期初から、プラスだと見ていたのでしたっけ?
篠田:はい。
質問者6:ああ、そうなんだ。生活のたのしみ展は、今期はあと何回かあるのですか?
篠田:はい。第4四半期に第3回を予定しています。
質問者6:規模的には、同じくらいなのですか?
篠田:今は、そこも含めて検討中です。
質問者6:場所もですか?
篠田:場所も検討中です。
質問者6:わかりました、ありがとうございます。