「ほぼ日のアースボール」の意図を、どう伝える?

質問者1:エース経済研究所のサワダと申します。ご説明ありがとうございました。3点お願いいたします。

まず1点目は、今期の業績予想の前提について。「ほぼ日手帳」の単価ですけども、(中国の)爆買いも落ち着いて、今期の分については、足元もこれ以上大きな下落はないと考えてよいのでしょうか?

篠田真貴子氏(以下、篠田):今言ってくださったとおり、ほぼ日手帳の業績予想については、単価はもうここで落ち着いたと考えております。

先ほど(の決算説明では)スライドを飛ばしましたけれど、お手元の資料の24ページ(上記)にありますように、今期は(2017年)11月に、「ほぼ日手帳 weeks MEGA」というページ数が多いタイプ。それから12月に、まったくの新商品である「ほぼ日5年手帳」。こういったものを、新商品として投入します。これらも含めた部数の増を中心に、業績予想をいたしました。

質問者1:ありがとうございます。2点目は、ほぼ日商品について。「生活のたのしみ展」も含めて、商品数のラインナップが増えてきます。本社から直接物販・インターネット通販される分についても、商品数が増えるにつれて、どんどん増加していく。そのようなイメージを持っていてよろしいでしょうか?

篠田:そういった見方で、お願いできればと思います。生活のたのしみ展は、前年度はイベントから日が経ってから通販をいたしましたが、今年に関しては(イベントと)同時に買えるような準備を進めておりますので、Web通販のところも販売も、アイテム数が増えるということを見込んでおります。

質問者1:商品数は、ある程度期間が経てば、入れ替えで減らしていくのでしょうか? どんどん増やしていく一方でしょうか?

篠田:年度で見ていただくと、増える方向になります。当然、たくさん売っている時期と、そうでない時期の波はございます。

質問者1:ありがとうございます。3点目は、「ほぼ日のアースボール」について。今お話をいろいろお伺いして、アカデミックなことに気づいてもらいたいところが、ポイントかなと思っています。ただ、アースボールを手に取って体験をしないと、なかなか意図が通じない部分もあるのかなと感じております。

ここについて、どういった仕掛けをしていけばいいとお考えなのでしょうか?

糸井重里氏(以下、糸井):「おもしろそう」という感じが、地球儀にはもともとなかったんです。そこをどういうふうに伝えていくかというところが、まずはポイントだと思っています。ですから、頭の中先行の商品になって、スタートすると思うんです。「そういえば、ここには地球儀がないよね」みたいなことが普通に言われる状況を、まずは走らせていく。

それから販売店については、今のところ、今までの手帳の販売ルートが、非常に引きがいいものですから。今のところBtoBの段階では、A社とB社がそれぞれ、「うちはいくつ入れます」というようなことを、言うようなタイプのものなので。

そこの様子を見て、いわば「地球とグローバルと○○」みたいなテーマで、あらゆることが、できることはできるので。イベントなどについても、これ(アースボール)を使って何かをしていくとか、あるいはテレビを使って何かをしていくとかは、積極的にやっていくつもりです。

これについては、僕自身がセールスマンにならないといけないなという覚悟もしています(笑)。「自分が、いずれいなくなっちゃうときのために……」ということを、やたらに強調しすぎた気がするので。「俺も売るからさ」と(アースボールを)背中に背負って、どこかに出かけていくみたいなことを、した方がいいタイプの商品だと思っています。

それを、どうニュースに作っていくか。「え、地球儀!?」という……。ふだん「地球儀のこと、どう思う?」とか、1年間に(話題に挙げて)喋ったことのない人だらけですから、ここでこんなふうにみなさんにも、お知らせしたかった。そういうことの一環です(笑)。

質問者1:追加で、質問があります。アースボールを実際に販売してみて、どういったかたちで使われるのか見てみたい、というお話でした。それによって、(アースボールに連動した)アプリの開発については、さまざまな方向性が出てくる可能性があると、理解してよいでしょうか?

糸井:アプリについては、技術的に最先端の人たちとの研究も、並行してやっているんです。ただ、アプリを使ってこの地球儀を前に出していこうとすると、難しいものだと思われすぎちゃうので。

今日の説明会でも、平気でアプリ関係なく(欲しい人にアースボールを)お渡ししますと言ったのも、地球儀そのものとして「ああ、そういえば(地球儀を持っていないな)」という思いをしてほしかったので。アプリで見せる要素を、まったく端折りました(笑)。

このあたりは、僕らの重要な戦略なんじゃないかなと思っています。下手をすると、こっち(自分たち)でやっていることがおもしろいものですから、ついもっと「ああしたい、こうしたい」というところで(追求すると)、奥さま方や子どもから、興味を一気に失わせちゃうみたいなとこにいきかねないんです。

ですから、それをなんとか防ぐために、(アースボールは)ただのビーチボールで、猫が蹴飛ばしているみたいなイメージで、地球儀が家にある状態を先に伝えていく。そのうえで、「アプリも使うと、こうなるんだよ」というふうに、足していこうと思います。

今やっていることは、やろうと思えばけっこう、いろんなことができるものなので。やりかけていることもたくさんあるんですが、そっちに足を取られすぎないようにという意味で、今やっているのは、「地球儀、そういえばうちにはなかったね」「そのわりには地球、地球って言ってるわね」みたいなこと。そのことをコンセプトにして、しばらくやっていくと思います。

質問者1:どうもありがとうございました。

現在の株価の見方は?

質問者2:東洋経済のヤマダです。(2017年)3月に、株価について発言されてたと思うんです。今(2017年10月18日時点)株価を見ますと、5,000円台よりは上のところでずっと推移されています。株価については、どのようにご覧になっているでしょうか?

糸井:(とくに意識はしておらず)「そういうつもりだったらそうなった」という感じです(笑)。たぶん、「ここに大きな投資をして、何かで上がったら売って」という(考え方の)人たちの数そのものが、とても少ないのではないかと思っています(笑)。

それで、どう言えばいいでしょうかね? 出来高が、めちゃくちゃ少ないですよね。「そんなものは、市場に出しても意味がない」と言われているのも存じ上げていますけれども、もともと、こういうこと(ほぼ日の事業)を考えてやってたことなんで。

何か考え方や次元が変わったときには、また違うことになると思うんですけど。今は健全に、株を持っているというかたちでほぼ日の活動に参加してくださっている方が多いということで、僕は喜んでいます。

もうすぐ株主総会が、来月(2017年11月)行われます。そこも個人の株主の方がたくさん来てくださればいいなと思って、それ用に5時間ぐらいかけて、いろんな勉強をしていこうと計画していますので。楽しいですよ。

質問者2:5時間かけて勉強するというのは、総会のときにそういった仕掛けをされるという……?

糸井:総会が終わってからですけども、お金を取れるようなことをします(笑)。取りませんけど。

質問者2:総会を、マスコミ向けに別室で開催するとかは、考えてらっしゃらない?

糸井:やります! 来てください。

質問者2:ぜひ、お願いします。

糸井:おもしろいと思いますよ。

質問者2:あともう1点だけ。2回目の生活のたのしみ展は、六本木ヒルズのヒルズアリーナで開催されるそうですが、その次はどこで開催予定でしょうか?

糸井:六本木のあとも、ずいぶん申し込みがございます。ですから、いろいろ考えていて、もうそろそろ実現します。今度の六本木(2回目)は絶対に成功させたいと思うんですけど。

そのあともさまざまなバリエーションを、誘致したい側の人も一緒に考えてくれようとしているし。あるいは冗談で言った、「こんなコンテンツがあればいいのにな」というのを聞きつけた人が、「やりたい!」と言い出すとか、そういうことはたくさんありますので。(生活のたのしみ展は)まだ1回しかやっていないのですが、大きなメディアとして、僕らは位置づけています。

質問者2:1回目の生活のたのしみ展は長蛇の列で、レジ決済回数が1万5,700回ということでした。売り逃しは、どれぐらいあったと見たらいいんでしょうか?

糸井:言っていいの? だめ?

篠田:売り逃しのカウントはできないんですけれども、(次回は)規模を、かなり思い切って大きくしています。「しっかりお客さまに喜んでいただけるであろう」と思っているというところから、ご推察いただければと。開催日数が(1回目の)3日から(2回目は)5日に増えて、お店の数が3倍になっていますので。

質問者2:ありがとうございます。

新サービスの売上の内訳は?

質問者3:矢野経済研究所のトクナガと申します。今期業績について1点、来期業績予想について1点、それぞれ質問があります。

まず今期の業績について。ほぼ日手帳のカバーの販売をされています。こちらは、決算内容の売上高の内訳のうち、「ほぼ日手帳」もしくは「ほぼ日商品」、どちらに分類されますか?

篠田:ほぼ日手帳ですね。

質問者3:ほぼ日手帳ですか。

篠田:はい。ほぼ日手帳という分類にしているのが、手帳の本体、カバー。それから一緒に売っている、付属する文房具がさまざまございます。これらをすべて、ほぼ日手帳に分類しております。

質問者3:承知しました。ちなみに本体のカバー・付属品という区分けですと、それぞれ何割程度の構成比になるのでしょうか?

篠田:すみません、ちょっとそれは。

質問者3:承知しました。次に、来期の予想について。(予想売上高の)46億円のうち、「ドコノコ」「ほぼ日のアースボール」「生活のたのしみ展」「ほぼ日の学校」という新しいサービスの売上規模が、約5億円になるとご説明されていました。それぞれ、だいたい何パーセントずつぐらいの比率になる見通しでしょうか?

篠田:細かい数字は、申し訳ありません。申し上げられないんですけれども。今期に関して、規模感としては、生活のたのしみ展がいちばん大きくなると考えております。

質問者3:承知いたしました、ありがとうございます。

生活のたのしみ展は黒字化する?

質問者4:内藤証券のアサイと申します。よろしくお願いします。

ほぼ日商品が、2016年8月期と比べて2億円増加した。これは生活のたのしみ展が売上に貢献したということでした。そして来期予想では、ほぼ日商品は4億円の増加。生活のたのしみ展の規模が拡大・複数回開催されるということでした。そこに、ほぼ日のアースボール等も加わってくるということですが、(4億円の増加は)少し、控えめに見られている気がするんです。

それから、2回目の生活のたのしみ展は、黒字化する見込みなのでしょうか?

篠田:お答えします。「控えめなのか?」と言われると、ニュートラルにこれくらいかな? と思っています。なにぶん、やっぱり新規事業ですので。まだ1回しかやったことのないものに対する、売上とコストの予測なので。

正直に申し上げて、それこそほぼ日手帳の予測と比べると、かなり精度がまだ粗いと言いますか。やってみてわかることが、いろいろある段階かなと思っています。

それは収益性に対しても同じであって、(来期の)着地予想の中では、生活のたのしみ展だけを取り上げれば黒字が見込めるかなと、わずかですけれども見ております。

質問者4:2回目の、生活のたのしみ展に関してですか?

篠田:年間で、ですね。1年間に2回開催して、それらで黒字になるかなと見込んでおりますが、なにぶん新規事業ですので。進めていくうちに、今の段階では見えていなかったコストの変動というのは、ありえるのかなと思っております。

質問者4:ありがとうございます。