連結損益計算書

佐野公哉氏:それではさっそく、2017年12月期第2四半期の決算概要について、ご説明いたします。

2017年第2四半期は、機械関連で大幅に増収、医薬品・不動産で増益となりました。最終利益は前期に、投資有価証券の売却益が10億円ほどありましたため、減益となっております。

本年の2月にリリースしました予想値からは、減収ではありますが、費用の期ずれなどによりまして、当期は増益となりました。

売上高254億6,700万円、営業利益15億3,000万円、経常利益19億5,600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は9億1,600万円であります。

連結損益計算書/セグメント別実績

セグメント別の実績について、増減の大きい順にご説明をいたします。

前期対比増減でございますが、①の機械関連事業で10億1,500万円の増収となりました。これは大型ポンプ車、化学車等の受注増により増収となりましたが、外注費等の製造コストがかさみ微増益に留まりました。

②の医薬品事業で、3億2,800万円の減収ですが、2億9,000万円の増益となりました。これは主力のフランドルテープを中心に長期収載品の減少等により減収となりましたが、研究開発費、減価償却費等の減少で増益となりました。

③の繊維事業では、2億3,400万円の減収、3,300万円減益となりました。これは、機能性繊維の好調がありましたけれども、カジュアルインナーの販売不振により減収減益となりました。

次に予想との差異でございます。①の医薬品事業で、研究開発費等の下期への期ずれにより、4億1,300万円の増益となりました。

②の不動産事業で、修繕費等の下期への期ずれにより1億7,800万円の増益となりました。

なお、アスタリスクを付けております、当社管理部門などのコストであります、調整額ですが、退職給付費用の増加を主として、前期比・予想比ともに損益悪化となっております。

連結貸借対照表

連結貸借対照表について、ご説明いたします。総資産は1,399億2,800万円であり、前期末より47億3,100万円減少いたしました。

これは衝動自動車等の出荷による棚卸資産の減少や、投資有価証券の時価評価差額により減少したものでございます。

連結キャッシュ・フローの実績についてご説明いたします。現金及び現金同等物の期末残高は114億500万円であり、前期末から18億4,300万円減少いたしました。

営業キャッシュ・フローは、税前利益16億円に加え、減価償却が17億円あり、28億5,400万円の収入となりました。

連結キャッシュフロー計算書

投資キャッシュ・フローは、34億6,800万円の支出で、有形固定資産の取得により7億円の支出に加えまして、3ヶ月超定期預金への振替が27億円ありましたことなどによります。

財務キャッシュ・フローは、長期借入金がネットで5億円の収入でありましたが、短期借入金の返済が11億円あったことなどにより、12億2,900万円の支出となりました。

連結損益計算書/通期予想

続きまして、2017年度の通期業績予想についてご説明いたします。本年は2月に発表しました5年間中期経営計画「カタクラ2021」の初年度であります。

前期比では増収、営業利益が増益、最終利益は中間のご説明と同様、前期投資有価証券の売却益がありましたため、減益となる見込みです。

予想比では、8月7日の決算短信の中で開示のとおり、減収・減益、最終利益も1億円の減益となる見込みです。

連結損益計算書/セグメント別予想

売上高474億円、営業利益17億円5,000万円、経常利益25億円、親会社株主に帰属する当期純利益12億円と予想しております。

セグメント別の予想について、増減の大きい順にご説明いたします。

まず、前期増減でございますが、①の8億8,800万円の増収でありますが、3,800万円の減益を見込んでおります。これは大型ポンプ車、化学車等の受注増により増収となりますが、外注費等の製造コストがかさみ減益となる見込みであります。

②の医薬品事業で3億6,500万円の減収でありますが、1億100万円の増益を見込んでおります。これは長期収載品の減少等により減収を見込みますが、研究開発費、減価償却費等の減少で増益となる見込みです。

③の繊維事業で2億3,500万円の減収でありますが、1億5,000万円の好転を見込んでおります。これはカジュアルインナーの販売不振により減収となりますが、機能性繊維の好調により好転する見込みであります。

次に、予想との差異でございますが、①の医薬品事業で3億円の減収となりますが、利益は期初の当初の予定を見込んでおります。これは、長期収載品の減少等により減収ですが、研究開発費等の減少もあり当初予想どおりの利益となる見込みです。

②の不動産事業で、1億円の増収、2億円の増益を見込んでおります。これは修繕費の減少等により増益となる見込みです。

通期でのアスタリスクの調整額ですが、第2四半期同様退職給付費用の増加を主として、前期比予想比ともに損益悪化する見込みであります。

次に、設備投資額・減価償却費・研究開発費の予想についてご説明いたします。

設備投資額・減価償却費・研究開発費予想

設備投資額は合計が21億3,000万円の見込みであります。前期増減で、不動産事業以外が7億6,700万円減少する理由といたしましては、医薬品事業で前期に製品の製造販売権の消権があったことなどによるものであります。

減価償却費は合計が34億9,000万円。研究開発費は合計が25億3,000万円の見込みであります。

基本戦略

続きまして、本年2月に発表しました中期経営計画「カタクラ2021」につきまして、ご説明いたします。中期経営計画の基本戦略について、2月に開示した内容ですが、概要をご説明いたします。

まず、成長事業への転換ですが、特定領域でのナンバーワン、既存事業のビジネスモデルを見直し、新興国市場の開拓に注力してまいります。

次に、新規事業の創出ですが、多角化した事業のシナジーを効かせ、独創的な製品やサービスを提供することで、新たな柱となる事業を創出してまいります。

本計画の到達目標については、2023年の創業150周年を控え、その後も愛される200年企業に向けて持続的な成長をしていきたいという思いから、「愛される200年企業の礎ができていること」といたしました。

2017年本年度を初年度とする5年間の新しい中期経営計画では、基本戦略を継続するとともに、前期中期経営計画での反省もふまえ、構造改革が必要なビジネスを明確化し、2018年までに構造改革を完了させ、継続的な成長が見込めるビジネスへ展開してまいります。

数値計画 セグメント別売上高・営業利益等

続きまして、数値計画でございますが、新中期経営計画最終年の2021の計画は、売上高が566億円、営業利益52億円、営業利益率9.2パーセントを目標としております。

また、中期経営計画5年間の設備投資などについてはスライドの右側の表の通りでございます。

数値計画 新中期経営計画を支える事業基盤

新中期経営計画を支える事業基盤として、3点を念頭に置いております。

1つ目は、不採算事業については、2018年度中を目途に、ビジネスの縮小・撤退も視野に入れながら構造改革を完了させること。

2つ目は、継続的に成長している事業については、事業領域を拡大させ、更なる成長を目指すこと。

3つ目は、重点戦略分野では、各事業セグメントの経営資源を持ち寄り、他社との業務提携や M&Aを積極的に活用しながら、グループの新たな柱となる事業の創出を目指すことであります。

具体的な重点戦略分野は、画面の下にございます5つの分野でございます。

セグメント別進捗 繊維事業

続きまして、セグメント別の各進捗状況についてご説明いたします。

まず、繊維事業でございます。実用衣料につきましては、天然素材を基軸にした新NB(ナショナルブランド)の展開。機能再構築による競争力の強化。この2点を具体的な戦略として取り組んでおります。

進捗状況としては、新NBへの取り組みとして、シルクにこだわった「Katakura Silk」ブランドを発売しました。また、肌ケアの新ベーシック商品「ケアコットン」の拡販に努めております。

構造改革への取り組みとして、低採算商品の絞り込みや物流費の見直しを中心に、集中して検討を進めております。また、実用衣料3社の共通システムが稼働し、構造改革に向けてインフラ面での整備も進めております。

次に、機能性繊維ですが、具体的な戦略としては、新たな高機能素材の開発と耐熱性繊維の用途開発に取り組んでおります。耐熱性繊維であります、アルミナ長繊維の新品種の開発に加えまして、静岡にございます、製造工場のグランドデザインについても検討を開始しております。

セグメント別進捗 繊維事業【トピックス】

繊維事業トピックスについて、ご紹介いたします。前段でご紹介いたしました、新ブランド「Katakura Silk」でございます。当社はご案内の通り、シルクを祖業とした会社であり、現在でもシルク製品の製造販売に取り組んでおります。

当社が民間最後のオーナーを務めた富岡製糸場が、ユネスコの世界文化遺産に登録されて以降、再びシルクの良さに注目が集まる中、片倉シルクブランドを立ち上げました。

上質な素材と技術力からなる、日本製のシルク100パーセントインナー、Premiumラインを3月27日に発売し、伊勢丹新宿本店、高島屋大阪店、三越日本橋本店を皮切りに、全国百貨店にポップアップ販売を展開し、お客様からもたいへんご好評をいただいております。

セグメント別進捗 医薬品事業

次に、医薬品事業でございます。前期中期経営計画までの課題をふまえまして、新中期経営計画では4つの具体的な戦略に取り組んでおります。

1つ目は、周辺領域である腎・透析領域等への参入であり、主力であります循環器系領域の周辺領域の参入を推進しております。

また後発品事業への注力、ライセンス展開による新薬の研究開発効率化、承継及びコ・プロモーション(販売提携)の強化に取り組んでおります。

進捗状況としましては、2013年に高血圧治療剤として発売しました「ビソノテープ」ですが、以前から取り組んでおりました、慢性心房細動への適応追加につきまして、2018年に承認申請する見込みとなりました。

後発品を中心とした品ぞろえの拡充につきましても、既存の循環器領域と参入を推進している、腎・透析領域で具体的な品目はお出しできませんが、現在3品目の承認申請中でございます。来期以降も複数品目の申請ができるよう進めてまいります。

領域戦略・製品戦略の転換に対応するため、組織体制を見直しにも取り組んでおります。

セグメント別進捗 機械関連事業

次に機械関連事業でございます。新中期経営計画の具体的な戦略は、4点ございます。

1つ目は、消防自動車の性能向上と周辺分野の拡大であり、はしご車を積極展開するとともに、他社との業務提携やM&Aにより周辺分野を拡大してまいります。

さらに、大容量水中ポンプシステム「Vowcan」シリーズの拡充と防災分野への参入であります。

艤装技術を基にした特装車両開発、アジアを中心とした海外マーケットへの進出へも取り組んでまいります。

進捗状況といたしましては、事業領域の拡大に向け、電力会社向けメンテナンスのための新会社設立しました。また、周辺分野の拡大に向け他社との業務連携の検討を進めております。

セグメント別進捗 不動産事業

次に、不動産事業でございます。まず、中期経営計画事業であります、さいたま新都心まちづくりでございますが、JRさいたま新都心駅に隣接した社有地におきまして、人や町のニーズに合わせ、段階的に開発を行うことで持続的成長を実現してまいりました。

本中期経営計画では、第三期開発への着手、まちづくり視点でのビジネスの拡充に取り組んでおります。

第三期開発につきましては、充実した商業機能に加え、「働く・楽しむ・暮らす」などの多機能を導入融合させ、新たなコミュニティを創造していくため、従来第三期開発の対象地としておりました、住宅展示場敷地に限らず、さいたま新都心エリア全体を対象に開発計画を検討中であります。

エリア価値向上に向けた取り組みとして、「さいたま新都心まちづくり推進協議会」を中心に周辺事業者と連携して検討を進めております。

次に新規取得開発であります。エリアとしては、先ほどご説明しました、さいたま新都心を含めまして首都圏での取得を見込んでおり、ショッピングセンターなどの商業系開発を中心に、オフィスなどの業務系開発を視野に入れ物件探索中であります。

セグメント別進捗 不動産事業

この写真は従前からお見せしております、さいたま新都心駅前の社有地の航空写真でございます。黄色い枠の社有、地14万7,000平米、約4万5,000坪をコクーンシティとして運営しております。

周辺に様々な機能が集積しておりまして、ますますエリアとしてもポテンシャルが高まっております。また、さいたまスーパーアリーナでは、東京オリンピックのバスケットボール競技が開催される予定でございます。

従前からスーパーアリーナなどの施設に加えまして、今期からは、さいたま赤十字病院、埼玉県立小児医療センター、造幣局さいたま支局・博物館などが次々と稼働し、さらに大宮警察署が移転の予定であります。

セグメント別進捗 不動産事業【トピックス】

不動産事業のトピックスを2点ご説明します。まず、写真左側のコクーンアスレチックス(cocoon athletics)でございます。

前段でご説明いたしましたコクーンシティにおいて、当社が事業主体となり、ヨガスタジオ&ボルダリングジムとして9月開業に向け会員を募集しております。

埼玉県初のアウトドアフィットネスを取り入れた会員制スポーツクラブでありまして、収益形態は利用料収入でございます。

小規模の施設でありますが、周辺の自然や文化に触れるプログラムを予定しており、エリアの価値向上につながると考えております。

次に右側の写真、住宅型有料老人ホームであります。東京都三鷹市の社宅跡地で開発いたしました。運営はベネッセスタイルケアさまにお願いしており、収益形態は建物賃貸であります。

井の頭公園からほど近い立地で、入居募集についても順調に進んでいると聞いております。

セグメント別進捗 新規事業

次に新規事業でございます。前中経期間中に立ち上げました5つの事業につきましては、事業規模拡大、収益力強化のため、3つの具体的な戦略を考えております。

デイサービス、オストメイト対応型便座事業におきましては介護サービスの業容拡大と介護福祉機器の開発・拡販に取り組んでおります。

「絹蜜」化粧品につきましては、周辺領域の拡大を視野に入れ、美容分野の商品ラインナップの拡充と健康食品分野への参入に取り組んでおります。

低カリウムレタス、はなびらたけにつきましては、植物工場による高付加価値野菜の開発・拡販と量産体制の構築に取り組んでおります。

進捗状況としては、早期収益化・事業規模拡大に向けた取り組んでいるところでございます。

セグメント別進捗 新規事業【トピックス】

新規事業のトピックスをご紹介します。介護分野への取り組みとして「いい安座」を2015年に発売しております。

この商品は日本で21万人とも言われるオストメイト、いわゆる大腸がんの手術により、人工肛門や人工膀胱を持つ方々が座ったままパウチ処理しやすいよう広く開いた前の部分と、幅広奥行きのある便座が特徴でございまして、日本オストメイト協会の推奨を受け拡販に努めております。

オストメイトの方々のご自宅はもとより、スライドに掲載の通り、病院や商業施設、パブリック空間にも導入をいただいております。

今般、公共のトイレで導入いただきやすいように、盗難防止機能など新機能を追加した新しいモデルを7月5日に発売しました。

日経新聞にも掲載いただきましたが、大手ドラッグストアであるウエルシア薬局さまに全1,500店で導入決定いただき、順次設置を進めているところでございます。

これを機会と捉え、社内課題を解決する商品として、多く他の企業様にも展開してまいります。この商品の特徴は便座のみの交換で、便器自体の交換は不要でございます。

またオストメイトのかたと健常者の共用が可能であるということ、病院においては採尿や導尿から介護の場面での利用が可能であるということでございます。

ESGへの取り組み

最後にESGへの取り組みでございますが、コクーンシティで市民活動団体や行政等と共催の「さいたま打ち水大作戦2017」を開催いたしました。

当日のイベントでは約300名に参加いただき、水資源の大切さを学べる展示やブースを体験いただきました。エリア価値向上のため、今後もこのような地域型のイベントは積極的に展開していきたいと考えております。

なお、お手元に5月22日付でリリースをいたしましたペーパーをお配りしています。こちらは、コクーン2が日本政策投資銀行が主催するDBJ・GreenBuilding認証の5つ星をいただいたという内容でございます。

環境、社会への配慮がなされた施設として、埼玉県内の商業施設では初めて最高評価をいただくことができました。

具体的な取り組みは、共用部のLED化やエネルギー管理システムの導入、バリアフリー化に評価をいただきました。

これら環境や社会への取り組みをさらに強化させ、中期経営計画の着実な実行とともに持続的な成長へのベースとして、推進してまいります。

株主還元

最後に株主還元につきましてご説明をいたします。利益配分の方針は業績や今後の事業展開、内部留保の水準等を総合的に勘案し、株主さまへ継続的に安定した配当を実施することを基本としております。

今後も安定配当を基軸に、そしてより私どもの経営実態が株価が反映されて、株主の皆様にもお喜びいただける、ご満足いただけるような片倉グループになってていきたいと考えております。

以上をもちまして、ご説明を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。